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歴史教科書問題 - Wikipedia

歴史教科書問題

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

歴史教科書問題(れきしきょうかしょもんだい)とは、歴史教科書の記述や、ある歴史の認識解釈をめぐって関係各国で発生した諸問題のことである。日中韓の場合、主に近代史や現代史の記述について論争となることが多い。また中国では歴史認識問題、韓国では歴史歪曲問題と言われることも多い。

歴史教科書問題がしばしば話題にあがる地域としては、先進国であるドイツ連邦共和国の周辺地域や日本国の周辺地域、があるが、そのほかに中華人民共和国侵攻したベトナム社会主義共和国などがあげられる。このうち、日本については、教科用図書(教科書)の教科用図書検定(教科書検定)や教科書採択などの国の教育システムそのものに関連して議論が行われることが多い。これは近隣諸国条項があるためである。

目次

歴史教科書が社会で取り上げられる理由

第一次世界大戦後のドイツ(ヴァイマル共和国)の歴史教科書では、多額の戦争賠償金にあえぐ社会情勢の原因を外国の責任であると決めつけるような叙述が相次いでいた。

ただし、ジョン・メイナード・ケインズのようにドイツへの賠償請求額が過大であるとする意見は当時にも存在したため、このような記述は事実の反映という側面もあった。

その後、年数が進んだドイツにおいては、他国を批判する歴史教科書で教育を受けた当時の若い世代が、極端なドイツ至高思想を持つアドルフ・ヒットラーが率いる国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)を支持するようになった。若い世代によるアドルフ・ヒットラーと国家社会主義ドイツ労働者党の支持は、民主主義的なヴァイマル憲法を無効化する独裁政治をヴァイマル憲法下の国民投票によって招き、このような経緯でおこったドイツの独裁政治は、第二次世界大戦ヨーロッパにおいて引き起こしてしまった原因の一端にもなった。

アドルフ・ヒットラーと国家社会主義ドイツ労働者党(ナチ党)の台頭を招いたのは、あまりに高額な戦争賠償金による社会の疲弊と不満であった。しかし、歴史教育を通じて、安定した発展性のある社会を形成する一助となる事項については、第二次世界大戦後から教育関係者を主とした議論が盛んになり、歴史教科書に対しての一般社会における関心も高まってきている。

ドイツが東西に分裂していたころの西ドイツ(ドイツ連邦共和国)では、他国との共同歴史研究が障害を経つつも行われ、その研究成果が現在に引き継がれている。ただし、ドイツは第一次世界大戦直後から他国との共同歴史研究を行っていたが、研究自体が進まなかったこともあり、現場の教科書にはほとんど研究成果が活かされなかったといわれている。このため、歴史教育においては、研究そのものとその有効な利用の双方の点に重要性があるといわれる。ただし、実際の研究方法・研究利用についてはさまざまな見解があり、画一的な合意は見られていないとも世間一般ではいわれている。

日本・中国・韓国との対立の発端

1982年昭和57年)6月26日付朝刊の各新聞が、日本国内の教科用図書検定において、昭和時代前期の日本の記述について「日本軍が「華北に『侵略』」とあったのが、文部省の検定で「華北へ『進出』」という表現に書き改めさせられた」と報道したことを発端に外交問題に発展した(この報道については下の節を参照)。その後、日本政府は、『「歴史教科書」に関する宮澤喜一内閣官房長官談話』によって解決をはかる。文部科学省においては、教科用図書検定基準の中に「近隣のアジア諸国との間の近現代の歴史的事象の扱いに国際理解と国際協調の見地から必要な配慮がされていること。」という近隣諸国条項の追加が談話と連動して行われた。

一部の人々は、近隣諸国条項は、日本の歴史分野の教科用図書検定について、日本国に対して中華人民共和国や大韓民国が抗議することの慣例化や、日本政府がこの抗議に対し取り立てて反論せず受け容れることの習慣化につながったと、指摘している。また、教科書以外の点、靖国問題スポーツの場についても、中華人民共和国や大韓民国は責める立場で、日本国は責められる立場という図式がしばしば見られるようになっていった。一部の人々は、これもまた近隣諸国条項によるものであるとして、政治的・外交的な損失を招いているという見解をもっている。また現在の日本の世論の一部は、教科用図書検定に関する中華人民共和国や大韓民国の抗議は「国家固有の主権を侵害するものである」との、考えをもっている。一方、日本国の外務省は、「内政干渉には当たらない」と発表していた。(この外務省の発表については、外務省内の親中国政策を指向する一派である「チャイナスクール」の影響が示唆されている。)

本条項は、学校教育法(昭和22年法律第26号)を大本として公示された文書(告示)の1規定であり、教育法規に付随する文書である。このことから、ほかの教育法規などと同様に近隣諸国条項の解釈も、教育そのものが持っている目的などを踏まえて行うことが妥当であるともいわれる。しかし、教科用図書検定の実施者が政治的責任も有している文部科学大臣であるため、教育法学の枠内に留まらない多面的な解釈が行い得る可能性も指摘されている。

また、この問題が国会で取り上げられたときに日本も外国の教科書について書き換えを要求していた事態も明らかになっている。具体例としてはエジプトなどに対し「北方領土をソ連領と記載しているものを日本の固有の領土であるから、そのように書き換えよ」というものであった。

誤報だったか否か?

発端となった実教出版の「世界史」の「華北へ侵略」を「華北に進出」と書き換えた記述は存在せず誤報であった。これは6月16日の教科書検定の集団取材において日本テレビ記者が担当した世界史教科書の取材において実教出版の教科書の「華北へ侵略」記述に対し、直さなくてもよい改善意見(B意見)が付記されたことと、帝国書院の「世界史」にあった「東南アジアを侵略」が「東南アジアへ進出」や「日本の中国侵略」が「日本の満州占領」、「特に東三省に駐屯する関東軍は…満州国をつくった。この侵略にたいして」が「特に東三省に駐屯する関東軍は…満州国をつくった。これらの軍事行動にたいして」などの検定書き換えがあったことを混同した結果であった。この集団取材の結果を6月22日に各社持ち寄って6月26日に報道したことが誤報の始まりであった。時の文部省教科書検定課長藤村和男は「最初は『侵略』から『進出』への書き換えがあったかもしれないと思っていた。それまでの検定で、『侵略』にはずっと改善意見をつけ、直した社も直さなかった社もあったからだ」と話す。当時の検定意見には、必ず直さなければならない修正意見(A意見)と、が直さなくてもよい改善意見(B意見)あった。「侵略」には、強制力の弱い後者の検定意見がつき、判断は教科書会社に委ねられていたのである。だが実教出版の教科書にはいくら探しても「華北へ侵略」を「華北に進出」書き換えの該当部分が見つからなかった。このことは当時の鈴木薫中等教育局長が7月30日の衆議院文教委員会において「この華北への侵略というような点については、今回の検定の教科書を精査いたしましたが、この部分についての該当は当たらないわけでございます」と答弁し、同日、藤村和男も衆議院外務委員会においても「ことしの春終了しました教科書の検定で、日本史、世界史の中で調べてみますと、原稿が『華北侵略』あるいは『全面的侵略』となっておって、それに意見をつけて『華北進出』『全面的進出』というふうに改められた事例は見当たらないわけでございます」と答弁しており、すぐに新聞でも報道された。「今年の検定で『侵略』を『進出』と変えた例はいまのところの文部省調査では見当たらない」(7月30日付朝日)。「これまでの調べでは今回の検定で『侵略』が『進出』に言い換えられた例は見つかっていないという」(同日付毎日)。「検定前も『日本軍が華北に進出すると…』であり、『中国への全面的侵攻を開始した』である。検定で変わってはいないのだ」(7月28日付産経)。朝日新聞は8月14日付では「『侵略』を『進出』になどと歴史教科書の記述を検定によって書き改めた、いわゆる歴史教科書問題は、・・・」と報道したが、朝日新聞8月25日付では「文部省は・・・「今回の検定で・・・中国側が指摘しているような、日本軍の華北への侵略、中国への全面侵略の『侵略』を『進出』に変えた例は、いまのところ見当たらない」ことを7月30日に続いて報道し、「朝日新聞社のその後の調査によっても、文部省のこの発言は事実と認められる」と、当初の華北部分については報道が誤報であったことを再度確認する記事を掲載した。 だが、国会での藤村答弁以降すぐに「侵略」を「軍事行動」に書き換え「東南アジアへ侵略」を「東南アジアへ進出」と書き換えた帝国書院版の実例があると指摘され、前述のように「侵略」を「進出」に書き換えるB意見の改善意見が実教出版版「世界史」にも存在していたことも指摘された。以後の国会での論戦は、最初に報道された「華北」部分以外の侵略進出書き換えについてであった。つまり、華北部分についての書き換えが無かったことが政府説明員の答弁で確認された後は他部分の書き換えを何故したかの追求に変わったのである。政府説明員の答弁は「用語の統一」であったが、質問者は「それでは何故、ドイツや蒙古(モンゴル)は『侵略』で日本は『進出』にしたのか」と詰問した。この論議の果てに宮澤談話が出たのである。

書き換え報道があってから2ヶ月後の9月2日になって文藝春秋社のオピニオン誌「諸君!」に渡部昇一の「萬犬虚に吼えた教科書問題」が掲載された。「諸君!」の渡部論文は、後に南京事件研究家として知られるようになる板倉由明の調査や8月6日付世界日報「テレスコープ」「実際は変わっていない“教科書”」「一部を誇大に報道」「『侵略』記述は、逆に増加」などを参考にしている。また、週刊文春には「意外『華北・侵略→進出』書き換えの事実なし」が掲載され、9月7日には産経新聞が一面で訂正お詫びを掲載した。ここに「侵略進出書き換えは誤報である」との主張が始まった。一方朝日新聞は9月19日付の「読者と朝日新聞」という中川昇三社会部長名の四段の囲み記事で、「『侵略』→『進出』今回はなし」「教科書への抗議と誤報」「問題は文部省の検定姿勢に」と報じた。「一部にせよ、誤りをおかしたことについては、読者におわびしなければなりません」としながら、「ことの本質は、文部省の検定の姿勢や検定全体の流れにあるのではないでしょうか」「侵略ということばをできる限り教科書から消していこう、というのが昭和三十年ごろからの文部省の一貫した姿勢だったといってよいでしょう」と書いた。毎日新聞は9月10日付「デスクの目」で、この問題に触れ、「当初は、これほどの問題に発展すると予測できず、若干、資料、調査不足により読者に誤った解釈を与える恐れがある部分もあった」「不十分な点は続報で補充しており、一連の報道には確信を持っている」と書いた。

以後、教科書検定を巡る論戦は、一方は「侵略から進出への書き換えはなかった。明らかな誤報であり、左翼が気に食わない教科書検定を攻撃したに過ぎない」と主張し、他方は「これは誤りだが侵略を進出と書き換えた教科書自体は実際にあったし、書き換えの無かった教科書も文部省による改善意見はついていた。教科書検定への批判自体は正当だ。右翼はあえて「華北」を略して全てが誤報であったと捏造している」と主張する事態となった。町村文部大臣時代には民主党議員が「侵略進出書き換えは誤報であったのでは」との質問に町村大臣が「誤報であった」と認める答弁をし、次の遠山文部大臣時代に社会民主党議員が「町村前大臣時代の『侵略進出書き換えは無かった』はあくまで『華北』についてであり他の部分ではあったのでは」と質問し、岸田副大臣や政府委員が「侵略進出書き換え自体はありました。無かったのは華北部分」との答弁をしている。

歴史分野における教科用図書検定では、個別の教科書ごとに全体的な記述の調和を取るということで教科書内の用語使用に言及する「改善意見」(現在の「検定意見」の1部分に相当)もあった。「侵略」などの用語使用にかかわるものもそれに含まれていたと後者は主張しており、1978年には検定前後で「侵略」が「進出」に変わっている具体例があることを指摘している。

各国の教科書をめぐって

日本・中国・韓国

日本と中国と韓国の間における歴史教科書をめぐる対立の場合、特に第二次世界大戦太平洋戦争中の中国大陸朝鮮半島地域における日本の政策の評価の相違、侵略/進出などの歴史的事実の認識をめぐる記述の表現や量について問題になることが多い。

中国・韓国の国定の歴史教科書(両国共に国定教科書が唯一の教科書である)では、日本が侵略者であったとする侵攻的側面が重点的に記述され、またその量も多い。日本のある教科書では防衛戦略上、海外進出は必要であったとする自衛的側面が記述され、侵攻的側面の量は中国・韓国の教科書と比較して少ないなど、各国の歴史認識の対立などが背景にあると考えられる。しかしながら、日本の占領植民地政策による近代化論(近代司法制度の導入、金融制度の整備、教育の振興など)などの軍事的な被害ばかりではない記述が見られる教科書や、日本に占領された東アジアの抗日運動家を英雄扱いする教科書など、日本には多様な考えや教科書が存在している。そのため、一概に日本と中国・韓国の教科書を同列に比べることはできない。

また、日本の歴史教科書は「戦前の軍国主義思想が再来し、右翼的な記述が大半を占めている」など、中国や韓国の歴史教科書は「反日感情を芽生えさせており、現在の現実的な日本との関係を妨げている温床」などと双方の歴史教科書は非難を受けている。しかしながら、現在のところ、日本国政府は中国政府に対して、中国の教科書の内容に関する是正や変更を要求する声明は出されていない。日本の一部の人々は、それは他国の教科書に関する要求は国家固有の主権を侵害する虞があると、日本政府が懸念しているからではないかと、指摘している。そのため、中華人民共和国政府からの日本の教科書に関する要望は、一方的なものとなっている。一部の人々は、こういった日本側から何も働きかけないことについて、かえって日本国と中華人民共和国との相互理解の推進を阻んでいると、懸念している。

争点(歴史認識・記述の相違)

中国や韓国1国定教科書制度下(近年一部で検定制度も採用されている)で使用されている歴史教科書と、民間の出版社が出版している何十種類といった日本の歴史教科書とを簡単に比べることは難しい。対立している部分は非常に多いが、必ずしも中国や韓国の歴史教科書と日本の歴史教科書が全ての部分で対立しているわけではないということにも注意しなければならない。

  • 1. 高等学校の近・現代史は検定教科書である。

日本と韓国

【古代史】

  • 任那日本府
    日本・・・『日本書紀』には「任那日本府を通じて、朝鮮半島から日本に文化が伝わる」と記述されているなど、任那日本府の存在をそう簡単に否定することは難しい。また、「半島から日本に文化が伝わる」という都合の良い部分だけ恣意的に抽出している韓国の歴史教科書はいかがなものか。『広開土王碑文』や『日本書紀』を否定する立場で研究を進めるのではなく、もっと学術的に検証しどう資料的に活用していけば任那日本府の実態を明らかにできるかということを念頭に研究を進めていかなければならない。
    韓国・・・『日本書紀』や『宋書』などを検証しても、任那日本府の神功皇后が韓半島(朝鮮半島)南部の7カ国を支配していた事実を確認することは出来ない。ただ、ヤマト王権任那を軍事的に支配した事実はなかったという点では韓日双方の見解として一致している。そのため任那の存在の有無を研究するのではなく、4世紀当時の韓日関係を双方が新たに研究しなおさなければならない。


【中近世史】

  • 元寇(蒙古襲来)
    日本・・・日本が、とその服属国だった高麗の連合軍による武力侵攻を二度にわたって受ける。しかし、元による侵攻は失敗に終わる。韓国の国定教科書では元寇を日本「征伐」と記載されている。
    韓国・・・元から軍事的な侵攻で内政干渉を受けた高麗は元軍とともに、二度に渡って日本遠征を試みるも失敗。
  • 文禄・慶長の役(壬辰倭乱)
    日本・・・韓国が日本に併合されてから文禄・慶長の役という名称が一般に普及したのは事実だが、最近は「朝鮮侵略」という名称も一般化していてその批判はあたらない。
    韓国・・・「豊臣政権が朝鮮に出兵した」など日本の侵略性が意図的に隠蔽されている教科書がある。こういう国粋主義的な表現は、昨今の日本の右傾化を助長させている。平和的な韓日関係の阻害である。

【近現代史】

  • 日韓併合
    日本・・・日帝(日本帝国主義)という言葉を恒常的に使ってることからしても、韓国側の研究者が冷静にこの問題に取り組めているか疑問である。また、日本の植民地政策によって、インフラ整備や義務教育の普及、李氏朝鮮では禁止されていたハングルの採用など、朝鮮半島の近代化と文化振興が促進された点は否めない。
    韓国・・・日帝による韓国(朝鮮半島)支配は、他の日本の植民地に類を見ないぐらいおぞましいものであった。韓民族が今まで築いてきた経済や文化を奪い、民族の繁栄すら奪った。日本は“朝鮮半島の近代化”を誇るが、誰の・何の為の近代化だったかという観点がすっぽり抜け落ちている。
  • 日韓併合条約
    日本・・・日本が大韓帝国に多少の外交的な威圧は与えていたかも知れないが、国家の代表者である皇帝には圧力を掛けておらず、その当時の国際法上では明らかに合法である。また、日本の併合に問題が在れば、国際的な批判が日本に当然あったはずだが、当時の欧米列強は異議を唱えていない。また、1905年12月26日に交付された韓国の官報で、韓国の外務大臣が署名をし締結された第二次日韓協約の全文が載っている事実と辻褄が合わない。
    韓国・・・当時の大韓帝国は日本に軍事的圧力を受けており、韓日議定書を締結させられたりなど主権侵奪過程に結ばれた韓日併合条約は無効である。また、皇帝の署名国璽がある批准書も存在しないなど不備も見られる。
  • 創氏改名慰安婦皇民化教育など
    日本・・・これらは戦争が激化し始めた1930年代後半以降の「総力戦」の時期に起き始めたことであり、併合当時から取られた政策ではいずれもない。また、他の地域とは違い広範囲でそれらが行われたことは、日韓併合条約などの有効性を示すことにも繋がり着眼すべきである。慰安婦についても日本官憲による組織的強制連行の事実はない。
    韓国・・・1910年の日本の強占(併合)が始まった頃から、こういった日帝による韓国人の民族意識を根絶やしにするような政策が続いた。日帝の残虐性、鬼畜性を語る上で欠かせない歴史的事実である。
  • 竹島(独島)領有権問題
    日本・・・日本固有の領土である。日本が連合国の占領下から脱した翌年の1952年に韓国が不法占拠した。また、漁業をしていた漁夫が殺害されるなど日本側は悲惨な目に遭っている。
    韓国・・・韓国固有の領土である。「日本の領土」だという妄言は日本が侵略戦争を実行したことを反省していない証拠であり、軍国主義が復活している象徴である。
  • 日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓国交正常化)
    日本・・・漢江の奇跡に象徴されるよう韓国経済に多大な発展をもたらし、また東アジア地域の安定にも貢献した。また、無償3億ドル、有償2億ドル、民間借款3億ドルと当時の日本の外貨準備額18億ドルの半分近い資金を韓国政府に援助するなど、そういう日本が尽力した面を韓国側が2005年まで一般国民に説明しなかったのが誤解の原因である。
    韓国・・・日本の朝鮮半島の植民地が正当化され、日本が果たさなければいけない謝罪と賠償の問題は存在するなど、不備が残る不平等な条約である。
  • 日韓基本条約が現在の問題として議論が続く理由の検証
    日本・・・当時は共産圏勢力の台頭により東亜には軍事的な緊張が高まっていたなど、関係諸条約を結ぶに至った過程を多角的により一層検証すべきである。謝罪や賠償は解決済みであり(日本の戦争謝罪発言一覧日本の戦争賠償と戦後補償)、歴史研究にそういう政治的な議論は控えるべきである。
    韓国・・・歴史教科書問題や、従軍慰安婦など徴用による被害者補償などを含んだ今後の過去の清算を考える上で、大きな意義がある。

日本と中国

  • 尖閣諸島領有権問題尖閣諸島
    日本・・・日本固有の領土である。単に林子平の著書だけで中国領とすることはできない。国際法的にも日本が占有してきた日本領であり、戦前、中華民国大使が尖閣諸島を日本領と認めていた公文書が存在する、海底油田の可能性が出てきて中国が領有権を主張するのは、あまりに矛盾がある。それ以前の地図には中国、台湾ともに尖閣諸島を日本領と図示しているのに、油田の可能性が出てきてからは地図が変更されてしまっている。
    中国・・・中国固有の領土である。日本国の林子平が1786年(天明6年)に記した三国通覧図説清国の領土と記載していることからも明らかに中国領である。その著書を日本が隠しており、最初からそれを明かせば中国の領土になっていたことは間違いなく、今日まで不法占拠をしている。そもそも小笠原諸島日米和親条約締結時に小笠原には日本人がおらずアメリカ合衆国からの移民のみが島民として存在していたにも関わらず日本の帰属になったのも林子平の三国通覧図説によってである。幕末に同じ林子平の書物をもって日本は小笠原を領有したのであるから同じく林子平の書物に従って尖閣を中国の領土と認めるべきである。

日本と台湾

  • 尖閣諸島領有権問題
    日本・・・日本固有の領土である。現在台湾は中華民国の立場をとっており、中華人民共和国とは別国と考えられていることから考えても中華人民共和国の主張を同等と扱うことはできない。また、編入した際から長年なんら抗議せず日本国の領土として認めていたのにもかかわらず突如領有権の主張は矛盾している。
    台湾・・・台湾固有の領土である。少なくとも中国の一部と考えられていた台湾は中国と同じ主張をできる。また、林子平の著書によれば釣魚島ではなく釣魚台と記述されている。中華人民共和国のものでも日本のものでもない。漁業権すらこちらにある。

中国と韓国

  • 高句麗
    中国大陸・・・当時の中国の地方政権の一つであり、高句麗の歴史は中国の歴史である。
    韓国・・・高句麗の歴史が韓国の歴史の一部であることは明白で、中国の歴史であるという言い分は歪曲でしかない。

各国の歴史教科書への総合的な指摘

韓国の歴史教科書への指摘

中国の歴史教科書への指摘

  • 中国戦線での日本軍との戦いがなければアメリカ軍連合国の勝利がなかったなどと、第二次世界大戦での中国の役割を過大評価している。
  • ソ連日ソ中立条約を反故にし満州侵攻をしたことを、世界平和の貢献を担ったと讃えるなど、その後シベリア抑留など苦痛を味わった日本国民の感情を無視している。
  • 中国は国民党政府軍と英米軍と日本軍のビルマでの戦いを、自国の海外での初めての戦いとしている。しかし、それは李氏朝鮮が実質属国であったと位置づけ、日清戦争で朝鮮半島と戦った事実を無視していることになる。
  • 日清戦争の最中、旅順で起きた日本軍による清の非戦闘員虐殺に関して、「被害者が慰霊されている万忠墓は、日本軍に刃物などでズタズタになるまで殺されたあの惨劇を忘れてはいけないと警告してる」などと、生徒に対し反日感情を抱かせるような記述になっている。
  • 日本の侵略による中国人の死者は約300万人とされているが中国の歴史教科書では約3000万人と多い。

日本の歴史教科書への指摘

問題となった日本の個別の教科書

教科書の検定に関することで、日本国内で発売された歴史教科書が問題にされることがあった。また中国や韓国などの非難や抗議をキッカケに、日本国内でも問題になった教科書もある。2004年平成16年)度の歴史教科書は中学校用が8社、高等学校用の日本史が8社から出版されたが、以下が問題とされる代表的な教科書である。

『新日本史』(三省堂

『新日本史』とは、高等学校日本史用の教科書として家永三郎らによって執筆されたものである。教科用図書検定で「ページ配分の偏り」や文部省の検定意見に基づいて「家永三郎が"修正"を行わなかった」として不合格とされ、実際に日本国内の高等学校で使われることはなかった。教科書の特徴として、第二次世界大戦中の日本と諸外国との関係について15ページ以上にもわたって重点的に取り上げられていた。

後に、家永三郎は「教科用図書検定は検閲に当たり、憲法違反である」として3回にわたって日本国などに対して裁判を起こす。第1次と第3次の訴訟では、日本国憲法下において教科用図書検定は制度として合憲・適法とされる一方、当該教科用図書の検定行為は行き過ぎで違法とされる判決が出された(詳細は、家永教科書裁判)。教科用図書検定について争われた裁判には、ほかに例が少なく、判決理由として示された事項は、現代社会における教育裁判でも参考にされる。しかし、教育の主体者をどう捉えるかという点について、右派・左派に関わらず批判的な意見があがる。

『新編日本史』(原書房)

『新編日本史』とは、高等学校日本史用の教科書として日本を守る国民会議(現在の日本会議)によって執筆されたものである。教科用図書検定に合格しているものの、教科書採択率は低かった(最高時の1989年で1%との推計がある)。この教科書は、特に近代の日本(明治時代から昭和時代初期)に重きをおくことを志向として、平易で分かりやすい文章で記述されていた。そのため、基本的な事項を重視する高等学校で主に採用されていた。

この教科書は、教科用図書検定に合格した後も内容の修正が行われた。背景には、中華人民共和国政府の日本政府に対する抗議があったといわれる。制度上、文部省が検定合格後に発行者に対して修正を指示することは可能であったが、文部省の指示が適切だったどうかは議論を呼んだ。なお、現在でも出版社こそ変わりはしたが、この教科書の改訂版というべき教科書が刊行されている。

『新しい歴史教科書』(扶桑社

『新しい歴史教科書』とは、中学校社会科の歴史的分野用の教科書として新しい歴史教科書をつくる会によって執筆されたものである。この教科書の特徴の一つは、日本の伝統文化や日本人の努力や功績が他の教科書に比べて多く取り上げられていることである。また、独自の歴史観が記述されているとして中国や韓国から批判を受けている教科書であり、中国や韓国に親しみを感じていたり、歴史解釈に異論のある日本人の中からも批判を受ける。

本教科書は2001年に初めて教科用図書検定に合格しているが、当時の教科書採択率は低い(2001年の推計で0.097%)。教科書採択率の低さをめぐっては、市民団体在日コリアン、更には中核派や過激派の団体が「戦争責任の記述があいまい」であるとして組織的に不採択活動や抗議運動を展開したことや、日本の歴史学会の多くが加盟する日本歴史学協会が批判したことなどの要因が考えられる。また、新しい歴史教科書をつくる会などによって教科書採択制度についての主張がなされている。

この教科書は、2001年の初めての検定では137か所にのぼる検定意見が付けられたが、他の教科書と同様に記述を修正することで、教科用図書検定に合格した。初回の検定であったため、他社の教科書一般と比べ文部科学省から通知された検定意見の数は多かったといわれる。そのため、検定意見が多く付いた教科書が検定に合格した事例として、歴史事実に対する記述内容の賛否は別として、この時の扶桑社の初の検定合格は教育行政を研究する上で参考にされている。

一部の人々は、『新しい歴史教科書』が記述を修正した上で検定に合格できたのは、『新日本史』の家永教科書裁判で検定がどのような場合に行き過ぎで違法になるかが示されたことから、その判例を参照して教科書の記載および書き換えができたことも理由であると、考えている。


問題波及

国外

反日暴動

2005年3月16日島根県が「竹島の日」を条例で制定したことに対して、韓国国内では”日本の歴史認識は誤りである””日本は過去の侵略を忘れている”などと日本大使館などで、プラカードや自身の体を燃やすなどする抗議活動がおこった。それが、同年の4月になると中国国内に飛び火し、日本企業や大使館、在中国の日本人(一般民間人)が経営する店舗にも投石やペンキ汚しなどが行われ被害を受けた。

日本側は被害を受けた大使館の補償や、ウィーン条約違反であるなどとして謝罪を要求するも、中国政府や上海当局などは”謝罪する理由はない”などと主張し拒否している。ただし、上海市当局が後日、投石などの被害を受けた店舗に対して補償を申し出るなど(被害額の全額ではなかった模様だが)「非政府系」の施設に対する補償は一部行った。また、日本国内でも中国大使館・領事館や、政府とは無関係の銀行や学術施設に対してスプレー落書きや銃撃がされたりするなど、中国国内の暴動に反射されたように数件起きた。 日本国内の報道機関(?)によるFAX報道として「中国人留学生2名が日本人により殺害された」旨の報道が行われたとされたが、この報道機関が発信した事実は無く、第三者による虚偽の発信であった。後日、これが悪意のある第三者によるものと確認され、その報道機関も被害者であると判明したが、2005年8月末時点では犯人は捕まっていない。一方、中国国内ではこの記事により反日活動が更に活発化する兆しをみせていたが、中国当局によってデモが禁止され、インターネットもその書き込み内容の規制が強化された影響もあり、以降拡大することはなかった。中国当局のこのような対応については、これらの反日活動が反体制運動に飛び火するのを恐れたためだとの、見解がある。

中国政府による検閲強化

2005年6月27日、中国大連市にある日本人学校が教材として使うため日本から取り寄せた資料集や問題集CDなどが大連の税関で没収される事件が起きた。小学生用の「社会」や中学生用の「歴史」や「公民」の副教材が初めて差し押さえを受けた。大連当局は、「台湾が独立した国として扱われ、”一つの中国”という大原則に違反している」「尖閣諸島が日本領としている地図がある」などと主張している。また、それらの教材は『違法図書』であるとして罰金を日本学校の関係者に要求する事態に発展した。日本学校の関係者が、罰金1千元と始末書を提出することで、事態は沈静化した。但し、中国当局はフランスイギリスの在留者学校のそれに対しても同等の処分をしており、「日本人学校を狙い撃ちしたものではない」と回答している。

日本人学校で使用される教科書は、文部科学省の外郭団体である『海外子女教育振興財団』が手配をしている。しかしながら、授業を補助するために使用される副教材は日本人学校が選択しているため、中国国内では日本国内の出版物の検閲が強まりつつあるという見方がある。そのため、副教材だけではなく教科書にまで検閲が波及する可能性もあり、北京など他の日本人学校の関係者などは懸念している。中国国内ではテレビ局出版社などのマスコミは国内外問わず公安当局の監視の対象となっている背景が、関係者の懸念を深め、在外人の知る権利を中国政府が奪っているとして、批難されている。

この差し終さえを受けた教材の数点は日本に送りかけされたものの、日中間の政治的な摩擦が高まっている中、この差し押さえに中央政府の支持や関与があったかなど注目が集められている。

一方で中国政府や中国人の多くは、日本が作成した教科書やメディアの反中姿勢に対してたびたび批判している。

中国側の言い分

  • ドイツネオナチをはじめとすう国内勢力があるにもかかわらず、戦争直後より謝罪し、個人に対する賠償もしている。そして現在に至って政府首脳がヒトラー・ナチス戦犯の墓地への参拝をしておらず、また自虐史観と批判されながら、近隣諸国と共同で同じ歴史認識の下、歴史教育を受けていて、近隣諸国の理解を得ている。しかし、日本はドイツと比べて、国家対国家の賠償を行った以外、全くといって良いほど近隣諸国の理解が得られる行動を現在に至ってとっていない。
  • そんなナチスドイツがヨーロッパで起こした侵略戦争に対して、日本は大東亜戦争と根本的に性質が違う、ドイツの方がより悪いと主張し続けている。
  • 広島市への原子爆弾投下長崎市への原子爆弾投下東京大空襲・サイパン玉砕・神風特攻隊など、日本が第二次世界大戦において、他国への侵略・侵攻で現地に損害や犠牲を与えたことより、自国の受けた損害や犠牲を中心に、誇張して教育を行っている。
  • 日本が中国の教科書で、争議のある尼港事件南京事件通州事件などの記述がないことを批判している一方、日本が行った中国人や諸外国人に対する迫害南京大虐殺慰安婦問題・731部隊による人体実験・強制連行シンガポールの戦いにおけるアレクサンドラ病院虐殺事件・中国系住民虐殺・ニューギニア島など東南アジア諸国に与えた被害については殆ど記述をしない、または削除するように文部省の教科書検定などをはじめ、政府主導で行っている。
  • このような日本が行った侵略戦争を靖国神社や一部右翼分子を中心に、大東亜戦争聖戦と称して、現在なお美化している。
  • 日本政府は日中戦争の謝罪と何度にわたり言いながら、政治家・首相による靖国参拝や文部省主導の教科書の改悪などで、中国や朝鮮半島やその他日本から戦争被害を受けた人々に対して、謝罪のの言葉と全く矛盾している行動をとり続けている。
  • そして、このような教科書やメディアの報道により、日本は中立的ではなく偏見的さらには歪曲し歴史の教育をさせている。
  • その為に日本の人々のほとんどは真の歴史、特に第二次世界大戦の歴史を知らない。
  • 日本のメディアでは中国に対してマイナスの面を中心に報道している。
  • 日本のメディアの反中報道により2005年の中国における反日活動が過大に報道され、日本国内で中国脅威論が起こるきっかけとなった。

国内

教科書採択

日本における現行の義務教育諸学校の教科書採択の制度は、主に義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律などによって定められている。この制度下において、教科書の採択は、原則として地域ごとに行われ、例外的に中高一貫教育校の教科書のみ学校ごとに採択を行われる。このため、各学校の学習者の実態に沿う教科書を使用するのが困難であり、個性的な教科書は、汎用的でないため特に採択がされにくい。このため現行の教科書採択の制度は、右派・左派を問わず個性や人格の成長を重んじる人々から批判されることもある。

大学入学試験

日本の大学入学試験においても教科書が出題の際に参考とされるためか、問題が生じることがある。2004年1月に行われた大学入試センター試験における世界史Bの設問で、「朝鮮人の多くが強制連行された」という旨の選択肢が正答に設定されていたことに対して、ある受験者が「その答えは歴史的事実と異なる」と、採点からのこの問題の除外を求める仮処分申し立てを2004年2月東京地方裁判所に起こした。また同年、河合塾の試験では、創氏改名が「かつて、日本は朝鮮人を日本へ同化させる政策の一環として、姓を日本式に変えることを強要した」を正答とする出題を行ったが、実際は創氏と改名の間では扱いが異なるなど、単純な制度ではなく出題自体に不備があった。

このような事情から、歴史教科書は詳細に記述されていたほうが、答案作成者も受験者に誤解が生まれないような答案を作ることを心がけ、子供も本当の歴史を知る上で望ましいといわれる。一方、教育内容に全ての歴史を詰め込むことは不可能なのだから、年齢学年に応じた基礎基本の事柄を精選したほうが受験する子供には望ましいという意見もある。

教科用図書検定を実施している文部科学省は、教科用図書検定基準の改正などを行って教科書制度の改善に努めてもいるが、教科書の記述については、重要性や編集の難しさから、教育内容や教育評価の点で議論となることが多い。

解決へ向けて各国の取り組み

歴史教科書問題の解決に向けていくつかの方法が考えられるが、根本的な解決のためには「中国や韓国が持つ歴史認識を日本人も共有しなければならない」という論調がメディアなどでは強い。しかしながら、日本は民主主義的な検定教科書を何十冊と使用し、中国・韓国は全体主義的な国定教科書を一冊しか使用していないなど教育システムが全く違う国において、双方の国が要求するような共通の教育を行うことは難しい。一部の日本の政治家などからは「中国や韓国では教師用の教科書にまで徹底した反日が書かれているのにまともな教科書が出来上がるのか?」という声が上がるなど、形だけのパフォーマンスでしかないと疑問を持つ者もいる。

2005年5月7日町村信孝外務大臣が李肇星外相と会談し、中国の歴史教科書の偏った記述内容の改善を要求したが拒否されている。このことから、中国の歴史認識に対する考えや姿勢を変えることも難しいとされる。

日本では中国・韓国から歴史教科書に対する批難が多いため、2005年7月9日に町村信孝外務大臣が日本で採用された歴史教科書の一部(近代歴史)を中国語朝鮮語に翻訳し外務省のホームページで8月ごろに公開することを決めた。

共同の歴史書・歴史教科書の制作

共同の歴史書・歴史教科書の制作には、政府を中心にして行われるものと民間を中心にして行われるものがある。

なお、このようなプロジェクトには、対象地域(日本国の周辺では、アジア太平洋)のほかにもヨーロッパアフリカの研究者など多様な立場の人々が広く参加することが理想であるが、実施の難しさもあって日中韓の限られた立場の研究者の参加しか実現していない。

政府間プロジェクト

日本国・大韓民国双方の国家間のプロジェクトとして、日韓歴史共同研究事業がある。しかし、韓国の研究者による、歴史検証よりもまず結論ありきの自国の歴史認識の主張があるなど、双方の研究者の研究姿勢のズレから、現時点での成果は少ない。

大韓民国の国定の歴史教科書は韓民族中心史観が強く、一部では非科学的な歴史の記述も見られる。誤述修正のための見直しには韓国世論の反発も予想され、日本の研究者の新しい見解や事実が受け入れられるのに時間がかかるといわれる。また伊藤博文を殺害した安重根は大韓民国では祖国の独立運動の英雄とされるが、日本国では教科書によっては抗日運動家、あるいは単なる過激な暗殺者などと記述されるなど、双方の超え難い立場や視点の壁も存在する。こういった様々な障壁から、共同研究の結果を出すことがなかなかできない状態であり、その結果を双方の歴史教育に反映させることは今のところ困難である。

また、日本側も、プロジェクト合意の時点で、日本の歴史教育で使用されている文部科学省検定済教科書の著作者があくまでも民間人であることにかんがみ、研究結果は教科書の執筆に直接反映されるわけでないことを明らかにしている。(なお、文部科学大臣が著作の名義を有する文部科学省著作教科書を発行することも制度的には不可能でない。しかし、2005年度の日本国内には、民間の著作による文部科学省検定済教科書が、小学校社会科で5種類、中学校社会科歴史的分野で8種類、高等学校の歴史分野で1科目につき平均9種類以上あるため、文部科学省(文部科学大臣)が教科書を著作することへの需要は低い。)

民間プロジェクト

2004年(平成16年)8月、中国社会科学院近代史研究所の呼びかけで、日本国・中華人民共和国・大韓民国の3国の一部の識者共同で歴史書を制作することが、中国紙、韓国紙などの報道によって明らかになった。日中韓3国の歴史研究者と教員およそ30人が参加した。

2005年(平成17年)5月に3か国で発売された。日本では『未来をひらく歴史:日本・中国・韓国=共同編集 東アジア3国の近現代史』の書名で発売されている。この教材の内容に関しては、賛否両論がある。

  • 肯定的評価
    • 自国中心ではなく、東アジア史の視点で記述されている。
    • 各国の教科書でこれまで記述されていなかったことが、数多く記述されている。
    • 日本・中国・韓国の歴史教育関係者が共同して作成した、初めての歴史教材である。
    • 各国の執筆者がそれぞれの立場でできるだけ公平な歴史認識で記述しようと努めている。
  • 否定的評価
    • 元々このプロジェクトが立ち上げた中国側の意図は「昨今の日本独自の歴史観や自由主義史観による歴史教科書に対抗するため」であった。
    • 反日的な内容が多く含まれている。
    • 戦後60年の各国の動向の記述が少ない(チベット問題、ベトナム戦争など)。
    • あとがきによれば「同じ内容の本を三国の言葉で同時発刊」とのことであるが、日本と韓国で発行された本の間で朝鮮戦争の記述などに全く異なる部分がある。そのようなこの本の現状が、まさに歴史認識の共有の困難さを示している。
    • 各国からの参加者が限定的である。

日本からの参加者: 野平晋作(ピースボート)、小河義伸(平和を実現するキリスト者ネット事務局代表)、高嶋伸欣(琉球大学教授)、故松井やより(元朝日新聞記者、元『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク代表)(歴史教育アジアネットワークJAPANを参照のこと。)

関連項目

関連文献

  • 歴史学研究会編『歴史家が読む「つくる会」教科書』青木書店 ISBN: 4250201465
  • 子どもと教科書全国ネット21/編『教科書攻撃のウソを斬る』青木書店 ISBN: 4250200019
  • 高崎宗司編『岩波ブックレット 歴史教科書と国際理解』岩波書店 ISBN: 4000031716
  • 鳥海靖『日・中・韓・露 歴史教科書はこんなに違う』(扶桑社)
  • 小森 陽一 (編集), 安丸 良夫 (編集), 坂本 義和 (編集)『歴史教科書 何が問題か -徹底検証Q&A-』(岩波書店)- ISBN 4000025252
  • 藤岡信勝『「自虐史観」の病理』(文春文庫
  • 藤岡信勝『歴史教科書採択の真相』(PHP新書)
  • 藤岡信勝『これだけは譲れない歴史教科書10の争点』(徳間書店
  • 自由主義史観研究会『教科書が教えない歴史』(扶桑社)
  • 西尾幹二『民族への責任』(徳間書店)
  • 坂本多加雄『歴史教育を考える』(PHP新書)
  • 西尾幹二『異なる悲劇日本とドイツ』(文春文庫)
  • 西尾幹二『歴史と科学』(PHP新書)
  • 西尾幹二/藤岡信勝『国民の油断』(PHP文庫)
  • 秦郁彦『現代史の争点』(文春文庫)
  • 秦郁彦『現代史の光と影』(グラフ社)
  • 三橋広夫訳『入門 韓国の歴史―国定韓国中学校国史教科書 世界の教科書シリーズ』(明石書店) - ISBN 4750310840
  • 大槻健訳『新版 韓国の歴史―国定韓国高等学校歴史教科書』(明石書店) - ISBN 4750316733
  • 人民教育出版社地理社会室(大沼正博訳)『わかりやすい中国の歴史―中国小学校社会教科書』(明石書店) - ISBN 4750313424
  • 日中韓3国共通歴史教材委員会・編著『未来をひらく歴史:日本・中国・韓国=共同編集 東アジア3国の近現代史』(高文研) - ISBN 4874983413

外部リンク


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