占領
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占領(せんりょう military occupation)とは他国の領土、拠点、政経中枢などを軍が占有・占拠することをいう。
[編集] 概要
国力の基盤は領土であり、また軍事的にも広大な領土はそれ自体が戦力化できるものである。軍事的に見て占領の意義とは敵部隊を空間的に追い詰め、戦闘力となる各種資源を獲得し、防御においては重層的な防御方式を採ることができる点にある。また国家戦略としては占領は戦略資源を得、戦略的地理を有利なものとし、産業基盤を分量的に拡大するなどの意義がある。占領地においては軍隊による占領行政が敷かれるか、支配下においた現地政権を通じた間接統治がなされる。
対象地の既存政権あるいは監督政権の承認あるいは黙認のもとに、重大な戦闘を伴わず兵を進めることを進駐と呼ぶ。進駐は実態は占領と似ているが、対象地の既存政権や監督政権の許諾によるため、厳密には占領とは異なる。
占領地における被占領国の主権は占領国の監督下や制限下におかれるものとされ、領有権が占領国に移行したわけではない。従って占領は、領有あるいは国家の併合を意味するものではない。同じように主権の制限が伴う場合でも、文民支配を前提とした被保護国や保護領、属国、植民地などとも区別される。