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ブラジル - Wikipedia

ブラジル

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

ブラジル連邦共和国
República Federativa do Brasil
ブラジルの国旗 ブラジルの国章
国旗 国章
国の標語 : Ordem e Progresso
ポルトガル語: 秩序と進歩)
国歌 : ブラジルの国歌
ブラジルの位置
公用語 ポルトガル語[1]
首都 ブラジリア
最大の都市 サンパウロ
元首
大統領 ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ
首相 なし
面積
総計 8,511,965km²5位
水面積率 0.7%
人口
総計(2004年 184,101,109人(5位
人口密度 22人/km²
GDP(自国通貨表示)
合計(2005年 1兆9,432億レアル
GDPMER
合計(2005年 7,320億ドル(12位
GDPPPP
合計(2004年 1兆4,920億ドル(9位
1人当り 8,100ドル
独立
 - 宣言
 - 承認
ポルトガルから
1822年9月7日
1825年8月29日
通貨 レアルBRL
時間帯 UTC (-2 ~ -5)(DST: 脚注を参照[2]
ccTLD BR
国際電話番号 55
  1. ^ 実際に用いられているのは方言のブラジルポルトガル語である。
  2. ^ なお、一部の州で夏時間を導入している。

ブラジル連邦共和国(ブラジルれんぽうきょうわこく)、通称ブラジル(伯剌西爾)は、南アメリカに位置する連邦共和制国家である。首都はブラジリア。南米大陸で最大の面積を誇り、ウルグアイアルゼンチンパラグアイボリビアペルーコロンビアベネズエラガイアナスリナムフランス領ギアナ(つまりチリエクアドル以外の全ての南米諸国)と国境を接している。また、大西洋上のフェルナンド・デ・ノローニャ諸島、トリンダージ島・マルティン・ヴァス島、セントピーター・セントポール群島もブラジル領に属する。国土面積は日本の約22.5倍で、アメリカ合衆国よりは約110万k㎡(コロンビア程度)小さいが、ロシアを除いたヨーロッパ全土より大きい。

南アメリカ大陸最大の国家であると同時にラテンアメリカ最大の領土、人口を擁する国家であり、世界全体でも第5位の面積を誇る。南北アメリカ大陸で唯一のポルトガル語圏の国であり、同時に世界最大のポルトガル語使用人口を擁する国でもある。

目次

[編集] 国名

正式名称は、República Federativa do Brasil(ポルトガル語)。IPAでは、[xeˈpublika fedeɾaˈtʃiva du bɾaˈziw]。通称、Brasil

公式の英語表記は、Federative Republic of Brazil。通称、Brazil

日本語の表記は、ブラジル連邦共和国。通称、ブラジル。漢字表記では伯剌西爾となり、と略される。

中国語の表記は、巴西

国号由来

国号のブラジルは、樹木のブラジルボクに由来する。元々この土地は1500年にポルトガル人ペドロ・アルヴァレス・カブラルが来航した当初は、南米大陸の一部ではなく島だと思われたためにヴェラ・クルス(真の十字架)島と名づけられたが、すぐにマヌエル1世の時代にサンタ・クルス(聖十字架)と改名された。 その後あまりにもキリスト教的すぎる名前への反発や、ポルトガル人がこの地方でヨーロッパで染料に用いられていたブラジル(ブラジルスオウ、ブラジルはポルトガル語で燃えるように赤いの意)に似た木を発見すると、それもまた同様に染料に使われていたことから木を「ブラジル」というようになり、ブラジルの木のポルトガルへの輸出が盛んになったこともあり、16世紀中にこの地はブラジルと呼ばれるようになった。

[編集] 歴史

ブラジルの古地図
ブラジルの古地図

詳細はブラジルの歴史を参照

[編集] 政治

ブラジリアの上下両院
ブラジリアの上下両院
左から、ルーラ大統領、マリザ・レティシア大統領夫人、ペレ
左から、ルーラ大統領、マリザ・レティシア大統領夫人、ペレ

大統領制を敷き、大統領を元首とする連邦共和制国家である。大統領および副大統領の任期は4年で、一度限りにおいて再選が認められている。大統領は国会により弾劾されることが可能である。議会は上院・下院の二院制。現在の大統領は、左派・労働党のルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァである。

東西冷戦が崩壊した1980年代末まで長年軍事政権下にあった。軍事政権下の当時から現在にいたるまで、官僚の腐敗や汚職が広まったままである。借金大国で累積債務に苦しんでいたが、現在では改善されつつある。

[編集] 政党

与党である労働者党(PT)の他に、同党と連立を組んでいたブラジル民主運動党(PMDB)と社会大衆党(PPS)などがある。与党首脳部の間における他党議員の買収、不正資金の調達、選挙での裏金作りなどの疑惑が出て以来、与党の存在感が低下している。

[編集] 現政権

2003年1月にルーラ政権が発足した。元労働組合の指導者だったルーラは「飢餓ゼロ」計画を打ち上げ、貧困家庭向けの食料援助や援助金制度などを推進した。貧困家庭の生活水準改善を着実に進め、経済発展に取り残されていた内陸部へのインフラ整備も進みつつある。外交面では、南米統合へのリーダーシップも発揮した。2006年6月24日にルーラ大統領は、政権与党の労働党の全国大会で大統領候補指名を受託し、10月の大統領選挙で貧困層の圧倒的な支持を得て再選した。

[編集] 投票権

投票は18歳から70歳までの読み書きができる全ての国民に義務付けられている(義務投票制)。希望すれば16歳以上、もしくは70歳を超える国民や読み書きのできない国民も投票することができる。

[編集] 外交

独立直後は旧宗主国だったポルトガルに代わって英国の投資を受け、「老いた母の代わりに金持ちの叔母を得た」といわれて飛躍的な経済的発展を遂げた。独立直後からウルグアイを巡ってアルゼンチンとシスプラチナ戦争を起こし、バンダ・オリエンタル(シスプラチナ州)がウルグアイとして独立するなどの失敗もあったが、それでもウルグアイへの影響力は大きく、大戦争終結後は植民地時代のウルグアイの領域の大きな部分(東ミシオネス州など)をブラジルに併合することを認めさせた。

1860年代には親英政策の下にパラグアイ戦争でパラグアイを完膚なきまでに破壊し尽くし、戦争が終わるとパラグアイの領土は一部ブラジルに割譲され、パラグアイそのものも政治的に事実上のブラジルの属国となった。その後はリオ・ブランコなどの尽力もあり、ギアナ三国、ベネスエラ、コロンビア、ボリビアなどの周辺国からアマゾンの辺境地を獲得することに躍起となった。ボリビアとの争いではアクレ共和国のような傀儡政権が樹立されることもあった。

20世紀前後から周囲をスペイン語圏諸国に囲まれていることの孤立感、および当時急速な発展を遂げていたアルゼンチンの勃興などに対処するために親米政策を採った。共和制革命直後のバルボーザ案新国旗に見て取れるように、この当時知識人のアメリカ合衆国崇拝は激しいものがあったことが窺える。 アルゼンチンとの対立はチリを交えて二十世紀初頭から1980年代まで続く軍拡競争を招き、アルゼンチン・ブラジル・チリはABC三大国と呼ばれるようになった。一方で親米英政策は第一次世界大戦第二次世界大戦に連合国側で参戦したように激しいものがあり(アルゼンチンが独自外交を標榜して両大戦でドイツに好意的な中立を続けようと努力したのとは対照的である)、第二次世界大戦後も暫くこの政策は続いた。

戦後イギリスが没落すると左翼民族主義路線で親米政策から第三世界外交が続いたが、1964年にアメリカの内諾を得て起こされた軍事クーデターにより成立した官僚主義的権威主義体制は、いよいよ露骨に積極的な親米を掲げてアメリカに追従し、1965年のドミニカ内戦の際にはドミニカ共和国ポプリスモ政権潰しのための平和維持軍を率先して送り、その後軍部はペルーなどの多くのラテンアメリカ諸国の右翼反共軍事クーデターを支援した(時系列的には前後するが、パラグアイのアルフレド・ストロエスネル政権の成立にもブラジル軍の支援があった)。そして当然ながらこの露骨な親米政策は、エドゥアルド・ガレアーノをはじめとするラテンアメリカ諸国の知識人からは「裏切り」だとみなされた。

しかし、1985年に民政移管すると、特に1980年代後半の冷戦終結後は南アメリカの大国としてアルゼンチンやパラグアイなどの近隣諸国のみならず、アジアアフリカ中近東諸国などとも全方面外交を行い、WTOメルコスールなどを通して積極外交を行う他、没落したアルゼンチンに代わってラテンアメリカ諸国をまとめるリーダーとして国連改革を積極的に推進し、国連安全保障理事会常任理事国入りを日本やインドドイツなどとともに狙っているとされる。また、ポルトガル語圏の一員として旧宗主国ポルトガルや、アンゴラモザンビーク東ティモールとも強い絆を保っている。

ブラジルは主権の相互尊重の原則を根拠に対等な外交施策をとることで知られている。アメリカ政府がテロリスト対策の一つである新入国管理制度で、ブラジルを含む25カ国から入国する者に顔写真と指紋の登録を実施したのに対抗し、ブラジル政府は、2004年1月1日から報復として入国するアメリカ人を対象に、顔写真と指紋の登録を実施した。

また、ブラジルは南米で唯一日本人が短期滞在のために入国するときにビザが必要な国である。これも、日本政府がブラジルからの入国に対してビザを求めていることに対する対抗措置である。

[編集] 日本との関係

活発な交流

日本との外交関係は1895年の修好通商航海条約調印から始まり、1897年に両国内に公使館を開設。1908年6月には日本からの本格的移民が開始され、笠戸丸がサントスに入港した。その後第二次世界大戦中の断交状態(ブラジルは連合国として参戦)と国交回復を経て、常に活発な人的、経済的交流が行われており、その距離の遠さに反比例して世界各国の中でも特に日本との縁が非常に深い国である。

移民

サンパウロの日本人街
サンパウロの日本人街
1908年に最初の本格的な集団移民、いわゆる「笠戸丸移民」が到着して以降、第一次世界大戦、第二次世界大戦を経て1950年代に日本政府の後援による移民が停止されるまでにブラジルに渡った日本人移民の子孫は4世、5世の世代になり、サンパウロの世界最大級の日本人街リベルダージ」を中心に、海外で最大の日系人社会(約140万人)を持つなどブラジル社会に完全に溶け込んでいる。現在は政界や経済界、法曹界で高い地位につくものも多い他、特に長年の農業における高い貢献は非常に高い評価を得ている。2007年2月には、2世のジュンイチ・サイトウ空軍大将が空軍総司令官に任命された。(日系人がブラジル軍の最高位ポストについたのは初)在日ブラジル大使館報道資料

民間・経済交流

また、1950年代以降、日本の高度経済成長期にかけて東芝トヨタ自動車東京海上日動コマツヤクルトなど、重工業から金融、サービス業にいたるまで様々な業種の日本企業がサンパウロを中心に数百社進出しており、世界でも有数の規模の日本人学校サンパウロ日本人学校など複数の日本人学校がある他、日本においてもブラジルの音楽やスポーツ、料理などの文化が広く親しまれており、また、両国間の人的交流が活発にあるなどその関係は非常に深いものがある。

ODA

1962年に両国による合弁事業であるウジミナス製鉄所へのODAによる融資を行って以降、電気や港湾、衛生設備など、各種インフラの充実を中心としたODAが継続的に行われている。しかしながら、ブラジルが工業国であり比較的インフラが整っていることから、近年はインフラでも環境、衛生関係に特化されたものとなっている。

[編集] 地方行政区分

詳細はブラジルの州を参照

リオデジャネイロ (ポン・デ・アスーカルの丘からコパカバーナ海岸を望む)
リオデジャネイロ (ポン・デ・アスーカルの丘からコパカバーナ海岸を望む)

ブラジルは26の州(Estado エスタード)と1つの連邦直轄区(首都ブラジリア)から構成されている。地図のように国土は5つに分かれる。

  1. アクレ州
  2. アラゴアス州
  3. アマパ州
  4. アマゾナス州
  5. バイーア州
  6. セアラ州
  7. エスピリト・サント州
  8. ゴイアス州
  9. マラニョン州
  10. マット・グロッソ州
  11. マット・グロッソ・ド・スウ州
  12. ミナス・ジェライス州
  13. パラー州
  14. パライバ州
  15. パラナ州
  16. ペルナンブコ州
  17. ピアウイ州
  18. リオデジャネイロ州
  19. リオ・グランデ・ド・ノルテ州
  20. リオ・グランデ・ド・スル州
  21. ロンドニア州
  22. ロライマ州
  23. サンタ・カタリーナ州
  24. サンパウロ州
  25. セルジペ州
  26. トカンティンス州
  27. 連邦直轄区
1 州名 略称 人口 (2005年/2006年) 面積 (km²) 州都
1 アクレ州 AC 557.882 153.149,9 リオ・ブランコ
2 アラゴアス州 AL 2.827.856 27.933,1 マセイオ
3 アマパ州 AP 477.032 143.453,7 マカパ
4 アマゾナス州 AM 2.817.252 1.577.820,2 マナウス
5 バイーア州 BA 13.085.769 567.295,5 サルヴァドール
6 セアラ州 CE 7.431.597 146.348,3 フォルタレザ
7 エスピリト・サント州 ES 3.097.498 46.184,1 ヴィトーリア
8 ゴイアス州 GO 5.004.197 341.289,5 ゴイアニア
9 マラニョン州 MA 5.657.552 333.365,6 サン・ルイス
10 マット・グロッソ州 MT 2.505.245 906.806,9 クイアバ
11 マット・グロッソ・ド・スウ州 MS 2.078.070 358.158,7 カンポ・グランデ
12 ミナス・ジェライス州 MG 17.905.134 588.383,6 ベロ・オリゾンテ
13 パラ州 PA 6.195.965 1.253.164,5 ベレン
14 パライバ州 PB 3.444.794 56.584,6 ジョアン・ペソア
15 パラナ州 PR 10.261.856 199.709,1 クリチバ
16 ペルナンブコ州 PE 7.929.154 98.937,8 レシフェ
17 ピアウイ州 PI 2.843.428 252.378,6 テヘシナ
18 リオデジャネイロ州 RJ 14,381,282 43.909,7 リオ・デ・ジャネイロ
19 ヒオ・グランジ・ド・ノルチ州 RN 3.003.087 99.818 ナタール
20 ヒオ・グランジ・ド・スウ州 RS 11.108.322 269.153,9 ポルト・アレグレ
21 ホンドニア州 RO 1.380.952 238.512,8 ポルト・ヴェーリョ
22 ホライマ州 RR 324.397 225.116,2 ボア・ヴィスタ
23 サンタ・カタリーナ州 SC 5.357.864 95.442,9 フロリアノーポリス
24 サンパウロ州 SP 37.035.456 248.808,8 サンパウロ
25 セルジペ州 SE 1.784.829 22.050,3 アラカジュ
26 トカンティンス州 TO 1.157.690 278.420,7 パルマス
27 連邦直轄区 DF 2.051.146 5.822,1 ブラジリア

代表的な都市

[編集] 地理

ブラジルの地図
ブラジルの地図

国土は、流域を含めると400万km²にも及ぶアマゾン川と、その南に広がるブラジル高原に別けられるが、広大な国土を持つだけに様々な地形があり、北部は赤道が通る熱帯雨林気候で、大河アマゾン川が流れる。最高峰はベネズエラとの国境近く、北部ギアナ高地にあるピコ・ダ・ネブリナ山で、標高3,014メートルである。

南西部のパラグアイ、アルゼンチンとの国境付近には有名なイグアスの滝のある、ラ・プラタ川水系の大河パラナ川が流れる。他にネグロ川、サン・フランシスコ川、シング川、マデイラ川やタパジョス川がある。ブラジル南部3州ではブラジル高原はパンパとの移行地帯となり、伝統的に牧畜が盛んでガウーショ(ガウチョ)も存在する。

現在、環境破壊によるアマゾン川流域の砂漠化が問題となっている。また、日本の対蹠地に当たり南半球となるため、季節は時刻と共に日本とはおおよそ正反対になるが、熱帯ではない南部以外ではあまり意識されることはない。

[編集] 気候

ケッペンの気候区分によると、国土の90%は熱帯地域に属す。気候は熱帯性気候、亜熱帯性気候、半砂漠サバナ気候熱帯雨林気候熱帯モンスーン気候、高地の亜熱帯性気候、温帯夏雨気候温暖湿潤気候に分類できる。大西洋沿岸は全体的に温暖なため、リオデジャネイロやレシフェなどのリゾート地が多い。

年間平均気温

  • アマゾン地域:22~26℃
  • 大西洋沿岸地域:23~27℃
  • 内陸部高原地域:18~21℃

四季 緯度によって異なるが、一応は以下の通りである。

  • :9月22日から12月21日
  • :12月22日から3月21日
  • :3月22日から6月21日
  • :6月22日から9月21日

[編集] 軍事

サンパウロ州のポアを閲兵するブラジル陸軍
サンパウロ州のポアを閲兵するブラジル陸軍
ブラジリアのブラジル軍
ブラジリアのブラジル軍

詳細はブラジル軍を参照

1889年の共和制革命で主要な役割を果たしたことが主な理由となって伝統的に政治に強い影響力を持ち、「テネンティズモ」(テネンテ=中尉から転じて青年将校を指す)と呼ばれる、革新的な青年将校が強い影響力を持って政治を進めようとする傾向が生まれ、ヴァルガス体制の設立にも協力した。その後1964年から1985年まで軍政下にあった事もあり、現在もそれなりの存在感を持つもののその影響力は比べ物にならないほど小さいものとなっているというものもいるが、それでも未だに軍は「ブラジル最大の野党」と呼ばれている。

なお、第二次世界大戦連合軍として参戦した際には、陸軍がヨーロッパ戦線へ派遣されている。その後ドミニカ共和国の内戦の治安維持に派遣され、アメリカ合衆国主導による、ボッシュ派社会改革政権崩壊への積極的な協力を行った。

1980年代にマルビーナス戦争の敗北でアルゼンチンの軍事政権が崩壊してからは、融和政策が続き、それまでの軍拡競争が終わったため現在は周辺諸国との軍事的緊張関係には無いものの、国土が広大なこともあり南アメリカで最大規模の軍事力をもつ。

12ヶ月の徴兵制を敷いており、総兵力は約320,000人程である。陸軍海軍空軍軍警察が存在する。軍事政権期核開発計画を進めていたが、1988年アルゼンチンと共に核計画の放棄を宣言した。

近年は国連PKOに積極的に派遣されている。また、各種軍用機や軍用車両の国産化が進んでおり、特に軍用機は南アメリカの周辺国のみならず、ヨーロッパや中東諸国、オセアニアにも輸出されている。

[編集] 陸軍

  • ブラジル陸軍

兵力:189,000人

[編集] 海軍

兵力:32,900人 2007年、原子力潜水艦建造計画が持ち上がった。

[編集] 空軍

  • ブラジル空軍

兵力:65,300人

※2007年2月、日系2世のジュンイチ・サイトウ大将が空軍総司令官に任命された。

[編集] 経済

詳細はブラジルの経済を参照

エンブラエルEMJ-170LR
エンブラエルEMJ-170LR

メルコスール南米共同体の加盟国である。

1990年代に入ってからはインフレも安定し、カルドーゾ政権下で安定成長を遂げた。ルーラ政権では発展途上国向けの貿易拡大が行われ、ブラジルは長く続いた累積債務問題の解消へ向かう。2007年には国際通貨基金への債務を完済し、債務国から債権国に転じた。現在ではロシア中華人民共和国インドと並んで「BRICs」と呼ばれる新興経済国群の一角に挙げられるまでに経済状態が復活した。重工業、中でも航空産業が盛んで、1969年に設立された国策会社のエンブラエルは現在、小型ジェット機市場の半分近いシェアを誇り、一大市場である欧米諸国をはじめとする世界各国へ輸出されているなど、その技術力は高い評価を得ている。

公衆衛生・教育などの公共サービスの水準は先進諸国に比べ低く、沿岸部と大陸内部の経済的な格差や貧富の格差が大きいが、経済や財政の好転を背景に近年急速に改善されつつあり、貧困層の生活水準の底上げは内需の拡大にも貢献している。

また、GDPに於ける税の割合は30%を超えており、BRICs諸国で突出している。これは、貧困層への援助(食糧配給)のために課税が行われているが、高い税率に嫌気がさしている富裕層からは現政権に対して不満の声があがり始めている。しかし、医療や福祉・教育水準の改善、地方への生活インフラの整備が着実に進んでおり、ルーラ大統領の支持率は高い。

[編集] 工業

サンパウロの中心街
サンパウロの中心街

安価な労働力と豊富な天然資源により、ブラジルは2004年度の国民総生産(GNP)で世界第9位に位置し、南半球および南アメリカの国家における最大の経済規模を有する。

第二次世界大戦後の1950年代以降急速な経済発展を遂げ、軍事政権の外資導入政策によって1960年代後半から、毎年10%を超える成長率を見せ、ブラジルブーム(安い人件費で腕の良い熟練の労働者が得られる、豊かな資源がある)となる。

これによりアメリカ合衆国ヨーロッパ、日本などの先進工業国からの直接投資による現地生産や合弁企業の設立も急増し、自動車生産や造船、製鉄では常に世界のトップ10を占める程の工業国となったが、1950年代後半に当時のジュセリーノ・クビチェック大統領の「50年の成長を5年で」の号令下でスタートした首都ブラジリア建設の負担や、1970年代初頭のオイルショックなどで経済が破綻した。

これらの結果1970年代後半には経済が低迷し、同時に深刻な高インフレに悩まされるようになったため、これ以降グルジェル自動車メーカー)のように業績が悪化・倒産する企業が相次いだ。また経済の悪化を受け、1980年代にかけてクライスラーや石川島播磨(現・IHI)など多数の外国企業が引き上げてしまい、同時に先進国からの負債も増大した。

[編集] 農業

農業では、かつてはブラジルボクゴムの生産を中心とした。ブラジルボクはポルトガル語でパウ・ブラジルと呼ばれ、赤茶色の木地を持つ、堅く重たい木である。当時、赤の染料が貴重であったことから、赤の染料の原料となるこの木の経済価値が高かった。乱伐により一時は枯渇しかかったが、その後植林が進められて現在でもパウ・ブラジルでできた土産物などが現地で売られている。 19世紀までブラジルはゴム栽培を独占し、アマゾン川中流域のマナウスは大繁栄し、アマゾンの中心にオペラハウスが建設された。しかしペルーのイキトスやボリビアのリベラルタをはじめとする周辺国へのゴム栽培の拡大があり、さらに19世紀後半のイギリスによるマレーシアへのゴムの密移入によりアマゾンのゴム栽培は大きく衰退した。

プロデセール

1970年代から21世紀初頭にかけては、日本によるナショナルプロジェクト「セラード農業開発プロジェクト」(プロデセール)が3期に渡って行われ、その結果、ブラジル内部のセラード地帯(セラードとは「閉ざされた」を意味する)を中心とする農業発展が急速に進んだ。その際、日本とブラジルは共同事業として日伯セラード開発公社(CAMPO社)を現地に設立してプロジェクトの進捗管理を行うとともに、開発面積と同規模の保留地を耕作地周辺に確保するなど、農業開発と環境保全の両立を率先して行った。
また同時に、現地に適した種子の開発や栽培方法の確立などについても、ブラジル国内に専門の研究所を設立して支援するなど、日本はハード面とソフト面の両面に渡って支援する壮大なものとなって成果を発揮した。現在では、ブラジルは大豆の生産ではアメリカに次ぐ世界第2位の地位を占めている。

牧畜

牧畜が盛んであり、近年まで「1ヘクタールに足1本」とまで言われていた。最近では都市近郊の農家の所得向上と相まって集約的な畜産業が行われるようになってきており、特にサンパウロ等大都市周辺の養鶏などは近代的システムの下で行われている。鶏肉については加工肉を中心に日本に相当輸入されているものの、牛肉については口蹄疫などの検疫上の問題が依然として存在している。

サトウキビとコーヒー

植民地から、独立後の帝政期にかけてのブラジルではサトウキビプランテーション栽培が盛んだった。カリブ海諸国と同ジように、サトウキビを作る時は労働力としてアフリカから連れてこられた奴隷を働かせた。しかし、米州でも最も遅い1888年にようやく奴隷制が廃止されると、栽培の主流作物もサトウキビからコーヒーへと移り、大量導入していたヨーロッパからの移民を労働力に主に南東部のサンパウロ州を中心にしてコーヒー豆の栽培が進んだ。その後ヨーロッパ諸国と移民の待遇を巡って対立すると、今度は日本人を働かせるため、1908年に第一回目の日本人移民が行われた。サトウキビは砂糖の原料になるだけでなく、バイオエタノールに精製されてガソリンの代わりの燃料に使われている。
コーヒーの輸出量は、世界第1位である。これは、人的労働が重要なコーヒー生産において、なにより安い労働力を得やすいという事情に因るところが大きいが、霜の降りにくい高台地帯の広いことも幸いしている。しかし、コーヒーの過剰生産により、国際価格が暴落。コーヒーへの依存度を下げるために、とうもろこし・大豆・サトウキビなどの栽培が奨励された。

焼畑農法

未だに貧困層がアマゾン熱帯雨林焼畑農法を行い、それが自然環境の破壊につながるとして問題視されているが、むしろ同地域を大規模に焼き払うのは当地での農業生産を目指す企業家たちである場合が多い。一方、ブラジル東北部の乾燥地域では生活そのものが苦しく、政府が募った入植に応じた農業者が生活を行っているが、生活は極めて厳しく、都市部の生活者との経済的格差は極めて大きい。現在では、衛星を使った監視網などが整いつつある。

日系移民者の貢献

かつて日本人が農業移民としてブラジルに入植して以来、日本人は「農業の神様」と呼ばれ、現在に至るまでブラジル社会における日系ブラジル人の高いステータスを確保する重要な礎になっている。ブラジルの首都ブラジリアが建設された際には、首都建設に必要な食料生産を日系人に任せる目的で、当時の政府はブラジリア周辺に日系人を入植させた。日本人の農業を通じたこうした功績に対し、ブラジリア建設40周年記念式典の際には、日系人に対して連邦区知事から特別に感謝の言葉が述べられた。
果実生産も日本の経済協力を契機に盛んになっており、特に南部サンタ・カタリーナ州におけるリンゴ栽培等への協力は、ブラジルにおける日本のプレゼンス向上に大いに役立った。リンゴ栽培に関するブラジル側研究施設の所長に日系人が抜擢されたこともある上、同協力に殉じた日本人研究者の胸像まで設置されているなど、日本の農業協力の一つの象徴として位置付けられる。また、2005年9月29日解禁のマンゴーの対日輸出は、両国政府の間で20年以上に渡る懸案となっていたものである。

[編集] エネルギー

ペトロブラスは、元々ブラジル国営企業として成り立っていたが民営化プロセスに成功、その後企業は急拡大し、カナダオイルメジャーを買収。欧米のオイルメジャーと張り合える存在となっている。ペトロブラスには、深海での石油開発能力、技術力において他メジャーよりも先行しており、未開発な箇所が多い深海油田をめぐり優位な立場で開発をおこなうと見られる。他、サトウキビ栽培によるバイオエタノール生産では2007年現在唯一、内需より生産量に余裕があり、輸出を行える状況にある。世界としてのバイオエタノール市場において、ブラジルが占める割合は7割以上に達する。エネルギー資源の確保について世界的に問題が深刻化するであろう今後にとって、ブラジルのエネルギー市場での存在感が2000年代初頭より、急激に大きくなっている。

発電方法

ブラジルは水資源が豊富なので、水力発電が占める割合は大きい。パラグアイと共同建設した同国国境地帯の世界最大のイタイプー・ダムから電力を買っている他、国内各地にダムがある。

[編集] 交通

旅客および貨物輸送の約85%を道路輸送に依存しているが、国土が広大なことより古くから航空運送が盛んな上、長い海岸線や豊富な河川を元にした水上輸送も盛んに行われている。

[編集] 陸運

アルコール(右)とガソリン両方のポンプが用意されたガソリンスタンド
アルコール(右)とガソリン両方のポンプが用意されたガソリンスタンド

第二次世界大戦後は自動車の一般層への普及が進むとともに、高速道路網が急速に発達した。自動車の燃料として1970年代後半より政府主導の下アルコールが普及しており、多くの自動車メーカーがアルコール燃料車を用意しており、大抵のガソリンスタンドでアルコール燃料車にアルコールを入れることができる。最近ではフレックス燃料車(ガソリンや、アルコールを入れても動かせる車、混入可)が注目されている。

なお現在はヨーロッパや日本などと比べて排気ガス規制が甘いこともあり、都市部を中心に排気ガスによる大気汚染が深刻化しており、渋滞とともに大気汚染の緩和を目指して様々な対策が試されている。

現在の道路の総延長距離は165万kmであり、旅客および貨物輸送の約85%が道路輸送に依存している。サンパウロやリオデジャネイロ、ブラジリアなど都市部近郊の道路、および幹線道路の殆どが舗装整備されており、また、第二次世界大戦後の自動車産業の発達と自動車産業保護の観点から道路網の整備に重点が置かれていたこともあり、一般層への普及に併せて沿岸都市部を中心に高速道路網が急速に発達した。

しかし、大気汚染や渋滞削減などの観点から、近年は鉄道への注目が高まっており、都市圏における地下鉄や通勤電車の整備が進められているだけでなく、サンパウロリオデジャネイロ間の高速鉄道の整備も計画されており、日本の新幹線の導入も検討されている。

[編集] バス

高速道路網の発展とともに、寝台設備やトイレエアコン完備した長距離バスによる路線網が国中に張り巡らされ、手軽で安価な交通手段として重宝されている。また、アルゼンチンやウルグアイ、パラグアイなどの近隣諸国との間の長距離定期バスが、両国の主要都市の間で運行されている。

多くの都市では市内鉄道や地下鉄路線網が整備されていないことから、主な市内交通手段として市バスが使用されている他、サンパウロをはじめとするいくつかの大都市ではトロリーバスも運行されている。殆どのバスは外国資本や民族資本の企業によってブラジルで自国生産されており、連接バスや二階建てバス、歩道側だけでなく運転席側にも客用ドアを設置したバスなど多彩な車種が走っている。またその多くが国外へ輸出されている。

[編集] 鉄道

サンパウロの地下鉄
サンパウロの地下鉄

航空機やバスによる長距離移動網が古くから整えられていた事や、自動車業界保護の観点から道路網の整備に重点が置かれていたこともあり、鉄道の総延長は2000年現在で29,283kmとその広大な国土に比べて少ない上、その殆どが沿岸部に集中している。なお、鉄道による貨物輸送のシェアは20パーセント強となっている。

上記のような理由から都市間を結ぶ長距離鉄道網だけでなく、都市近郊の鉄道網の整備も遅れていたが、サンパウロやリオデジャネイロなどの大都市では1970年代以降、交通渋滞解消や省エネルギー、排気ガスによる大気汚染の解消などの目的から、地下鉄や郊外との通勤電車の整備が進んでいる。なお多くの車両は国産ではなく日本やドイツなどの鉄道先進国からの輸入となっている。

[編集] 航空

国土が広大なために古くから航空網が国中に張り巡らされており、現在国内に2000を超える空港を有しており、アメリカやロシアなどと並ぶ航空大国として知られている。特にサンパウロリオデジャネイロ間のシャトル便は世界有数の運送量を誇る。近年では元々はローカル線専門であったTAMブラジル航空と、元々はフラッグ・キャリアであった老舗のヴァリグ・ブラジル航空を傘下におさめた新興航空会社のゴル航空の二社を筆頭に、格安航空会社がその勢力を伸ばしている。

[編集] 日本との航空便

日本との間には、現在日本航空成田空港からサンパウロまで週3便の直行便(ニューヨーク経由)を運行している。2005年1月まではヴァリグ・ブラジル航空も成田空港と中部国際空港ロサンゼルス経由の直行便を運行していたものの、アメリカ同時多発テロ後アメリカ政府がブラジル人に対してトランジットビザの取得を義務付けたことによる旅客の減少や、経営状況悪化を受け現在は運行を停止している。なお、ヨーロッパやアメリカ、カナダ中東の主要都市で乗り継いで行く事も出来る。

[編集] 国民

[編集] 人種

ブラジル人は大きく4つのグループに分かれる。トゥピ・グアラニー語族の言葉を話す先住民グアラニー族、アマゾン先住民など)、植民当時のポルトガル系、アフリカからの黒人奴隷の子孫(アフリカ系ブラジル人)、そして19世紀半ばからブラジルに定住するためにポルトガル以外のヨーロッパ中近東日本を中心としたアジア諸国からやってきた移民である。

ヨーロッパ系ブラジル人の多くは元ポルトガル人で、ポルトガル人と原住民、黒人奴隷との雑婚が普通である。後に続くイタリアドイツユダヤ系ロシア系アラブ系などのヨーロッパ系や日本や中国などのアジア系移民の波が、多様な民族と文化の形成に貢献し続ける。ただし北東部は黒人が多く、南部は主にドイツ系ブラジル人が、南西部はイタリア系やスペイン系や日系をはじめとして、サンパウロ州のコーヒーブームにより現存するほぼ全てのエスニシティの移民が流入していたなど、多少地域差も見られる。

[編集] 言語

公用語はポルトガル語で、ブラジル生まれの国民のほとんどにとっての母語でもある。ただし、ブラジルで使われるポルトガル語は語彙の面でアフリカやインジオの影響を強く受けているため、ブラジルポルトガル語と言われるほど本国ポルトガルのポルトガル語とは異なっているが、日本はポルトガル語圏諸国の中ではブラジルとの交流関係が圧倒的に多いため、あえてポルトガルのポルトガル語と特記されていない限り、日本国内の語学教科書や語学講座で教えられているポルトガル語はブラジルポルトガル語であると考えて差し支えない。

1950年前後にブラジルのポルトガル語をブラジル語と呼ぶべきか否かを巡ってブラジル語論争があったが、結局ブラジル語なるものは存在せずに、ブラジルの言葉はポルトガル語の方言であることが確認された。ただし、ナショナリズムの観点からブラジル語という言葉を用いるブラジル人は今でも存在する。

なお、ブラジルにおける外国からの移民第1世代の中には、イタリア語ドイツ語日本語中国語なども使う者も多く、ブラジル生まれの2世以降においても家庭や各種教育機関においてこれらの言語を習得し、これらの言語に堪能な場合が少なくない。

たとえば、ドイツ語は南部のテウト・ブラジレイロ達に6世まで受け継がれて話されている。また北部イタリア移民の言語であるタリアンと呼ばれる北イタリア語がパラナ及びサンタ・カタリーナ東部からリオ・グランデ・ド・スル(以下RS)にかけて強く残り、北部ドイツからポーランドにおけるポメラノ語は、エスピリト・サント、サンタ・カタリーナ、RSで使用。ドイツ西部のフランス国境付近の言語であるフンスルキッシュ語は、RSのサンレオポルドやサンタクルス・ド・スル、ベナンシオ・アイレスといった各市に残る。

またインヂオでは、ツピナンバ系の言語の1つであるニェエンガツー語は、特にリオ・ネグロの上流、サンガブリエル・ダ・カショエイラでは日常語である。またグアラニー語はMBYA、NHANDEVA、KAIOWAの3語族に大別されるが、エスピリト・サント、リオ、サンパウロ、南3州、マットグロッソ・ド・スルの各州において役3万人が話す言語である。アフリカ系言語であるカフンド語は、ミナス・ジェライスの中西部のジラ・ダ・タバチンガの奴隷博物館、サンパウロのサルト・デ・ピラポーラ市に残っており、ブラジル最北端のオヤポケ地方ではインヂオ語やアフリカ語、フランス語の交じり合ったカリプナ語などがある。

[編集] 宗教

ブラジル人の約73%は、カトリックの信者であり、これは1億1240万人に相当し、カルナヴァルなどをはじめとして現在も社会に強い影響を持つ。プロテスタント信者も多く、人口の15.4%となっている。

人口の7.3%が無宗教であり、他にはマクンバ、バトゥーケ、カンドンブレ、ウンバンダなどアフリカの宗教に起原する宗教、アジアからの仏教神道道教やさまざまな新興宗教などがあり、日本の新興宗教からも生長の家創価学会統一教会などが布教に勤しんでいる。

[編集] 教育

[編集] 初等および中等教育

詳細はブラジルの教育を参照

初等教育と中等教育(日本における高校以上の教育)、高等教育(日本における大学)からなり、義務教育は8年。義務教育年齢の児童の中、学校に行っているものの率は約97%となっている[1]1990年代から中等教育を受けるものが急増している。なお、サンパウロやリオデジャネイロなどの大都市には日本人学校小学校中学校)がある他、日本人子弟向けの幼稚園も存在する。

[編集] 高等教育

植民地時代にはブラジルに大学は存在せず、エリート層はポルトガルのコインブラ大学などで教育を受けた。独立後の1827年にサンパウロとオリンダ(後にレシフェに移転)法科大学が設立され、ブラジルのエリートを養成する機関になった。正規の大学は20世紀になってからの1913年にようやく建設されたために、(クリチバパラナ連邦大学)高等教育の歴史は浅い。

[編集] 文化

詳細はブラジルの文化を参照

ブラジルの文化は、インジオと呼ばれるトゥピ・グアラニー系の先住民や、ヨーロッパやアフリカ、アジアからの移民などが持ち込んだ様々な文化が織り成すモザイクだと評されることが多い。古くから音楽建築スポーツなどの分野で世界的に高い評価を受けることが多く、世界的に有名なミュージシャンやスポーツ選手、芸術家を多数送り出している。また、多彩な文化的なバックグラウンドを持つ国民を対象にした広告表現などでも近年では高い評価を受けている。

[編集] 食文化

詳細はブラジル料理を参照

食事

アフリカからの奴隷の食事がルーツといわれるフェジョアーダや牧童の肉料理であったシュハスコ、バイーア地方のムケカ、ヴァタパ、カルルー、ミナス地方のトゥトゥ・ア・ミネイラほか、またロシア系のストロガノフもブラジル風にアレンジされてよく食される。

おつまみ程度のものはサウガジニョと呼ばれるが、これらにはブラジル風コロッケのコシーニャやアラブ系のキビ、パステウ(ブラジル風揚げ餃子)などがあり、豊富な肉や野菜、魚介類を基にしたブラジル料理が日常的に食べられている。南部三州では、ウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイといったラ・プラタ諸国と文化が近いため、グアラニー族起源のマテ茶を飲む伝統がある。

また、ヨーロッパなどからの移民20世紀以降の日本人をはじめとするアジア系移民など、様々な人種が融合していることもあり、都市部を中心にイタリア料理ドイツ料理中華料理日本料理など様々な国の料理が味わえる。特にイタリア料理のレベルは高いとされている。

酒類

主にドイツ系移民がもたらしたビールの生産、輸出国としても知られている。ブラジル国内では加熱処理したセルヴェージャに加え、生ビールであるショッピが非常に好まれるが、地ビールのブランドもかなりの数がある。またブラーマやアンタルチカ、スコールといったブランドは日本やヨーロッパ、アメリカ諸国にも輸出されている。なお、これらは当初別会社であったが次第に合併により、現在はベルギーに本社を持つ世界最大の「InBev(インベブ)」社に属すブランドとなっている。

また、南部では同じくドイツ系の移民やイタリア系の移民を中心に、その気候を生かしてワインの生産も古くから行われている。ブラジル独自の酒としては、サトウキビを原料とした蒸留酒であるピンガ(カシャーサ)が有名である。このピンガを使用したカクテルであるカイピリーニャやバチーダもよく飲まれる。また、日系人が設立した現地企業が日本酒「東麒麟」を生産している。

ソフトドリンク

コカ・コーラペプシなどの他にガラナの実を使用したソフトドリンクガラナ飲料)が広く飲まれており、日本やアメリカなどの各国へ輸出もされている。また、ブラジルはフルーツも豊富な国として知られ、オレンジジュースやマラクジャ(パッションフルーツ)、カジュー(カシューナッツの実)、ココナッツなど多くの種類がある。またアマゾン原産のフルーツであるアサイーアセロラ、グラヴィオラやクプアスなどもよく好まれており、近年日本でもそれらのジュースやバルブ(ピューレ)が輸入されている。

[編集] 文学

詳細はブラジル文学を参照

マリオ・ヂ・アンドラーヂやマヌエル・バンデイラなど数多くの文学者を輩出している。中でもジョルジ・アマードの『カカオ』や『果てなき大地』など、またパウロ・コエーリョの『星の巡礼』や『ベロニカは死ぬことにした』など多くの著作が翻訳されている。

[編集] 映画

詳細はブラジル映画を参照

ブラジルでは、シネマ・ノーヴォという運動からカルロス・ヂエギス、ネルソン・ペレイラ・ドス・サントスグラウベル・ホーシャといった監督を輩出した。

近年ではセントラル・ステーションシティ・オブ・ゴッドなどが、映画祭で多く受賞したため、ブラジル人監督による映画作品が注目されている。また他にバス174フランシスコの2人の息子などがある。毎年ブラジル映画祭が東京で開催されており、日本でもいくつかの作品が公開されている。

[編集] 音楽

詳細はブラジル音楽を参照

ブラジルの音楽はトゥピ・グアラニー系のインジオ、アンゴラをはじめとするアフリカ、ヨーロッパの伝統が混ざり合わさって発展しており、昔から世界的に高い評価を得ている。日本でも他の地域のワールドミュージック愛好者に比べれば、ブラジル音楽を愛好する人は非常に多い。

主なポピュラー音楽のジャンルとしては、ショーロサンバボサノヴァMPB、フォホーをはじめとするノルデスチ(北東部の音楽)、バイーアのアシェーなどが挙げられ、比較的にパーカッションが多用される。

ただし、ブラジルの若い世代は、こうしたブラジル音楽よりも、欧米のロックやポップス、ブレーガ(ブラジルの俗謡)を好む人が多い。

また、ポピュラー音楽のみならず、クラシック音楽ジャズの分野においても重要な音楽家を輩出している。

[編集] カーニバル

リオのカルナヴァル
リオのカルナヴァル

毎年2月頃の四旬節の前に、国中の市町村でカーニバル(ブラジルポルトガル語では"カルナヴァウ"と発音する)が祝われる。期間中は国中を挙げ、徹夜でサンバのリズムに乗って踊りまくる。リオのカーニバルといえば、一般的に死者が多いことで知られるが、これはに酔ったための喧嘩や飲酒運転による自動車事故、心臓麻痺などで毎年数百人規模の死者が出ることである、したがってカーニバル自体での死者が多いということではない。

リオデジャネイロで行われるカーニバルは世界的に有名で、世界各国から多くの観光客を呼び寄せている。エスコーラ・ジ・サンバ(Escola de Samba、千人単位の大規模なサンバチーム、以下「エスコーラ」と略称)単位によるパレードがサンボドロモというコンテスト会場で行われ、一番高い評価を得たサンバチームが優勝する。いわゆるリオのカーニバルは、サンボドロモで行われるコンテストを指すことが多いが、それ以下の小規模なエスコーラやブロコ・カルナヴァレスコ(Bloco Carnavalesco)などが、リオ・ブランコ通りなど街中やイパネマ海岸付近などをパレードすることも多い。

なお、リオのカーニバルはサンバだけだと思われがちであるが、マルシャ(ブラジル版3拍子のマーチ)やポルカなども演奏されている。

[編集] 世界遺産

ブラジル国内には、ユネスコ世界遺産リストに登録された文化遺産が10件、自然遺産が7件ある。詳細は、ブラジルの世界遺産を参照。


祝祭日
日付 日本語表記 現地語表記 備考
1月1日 元日 Confraternização universal, Ano Novo
1月20日 聖セバスティアンの日 São Sebastião リオデジャネイロのみ
1月25日 サンパウロ記念日 Aniversário de São Paulo サンパウロのみ
4月23日 聖ジョルジの日 São Jorge リオデジャネイロのみ
5月1日 メーデー Dia do Trabalho
9月7日 独立記念日 Dia da Independência
10月12日 聖母アパレシダの日 Nossa Senhora de Aparecida 子どもの日としても祝う
11月2日 死者の日 Dia de Finados
11月15日 共和国宣言記念日 Proclamação da República
11月20日 パルマレスのズンビの日 Zumbi dos Palmares, Dia da Consciência Negra リオデジャネイロのみ
12月25日 クリスマス Natal

[編集] スポーツ

詳細はブラジルのスポーツを参照

サッカーF1などのモータースポーツバレーボールブラジリアン柔術などの格闘技が強いことで世界的に知られており、これらのスポーツにおいて数々の世界チャンピオンに輝いているほか、著名なスーパースターを多数輩出している。

[編集] サッカー

サッカーが非常に盛んである。クラブ選手権レベルでは、UEFAチャンピオンズリーグの優勝クラブを退けて過去3度トヨタカップ王者となったサンパウロFCの他、パルメイラスなどの世界有数の強豪が揃っている。、サッカーブラジル代表は、FIFAワールドカップにおいて大会史上最多である5度の優勝を誇る優勝候補の常連国である。第1回大会以来、本大会に連続出場を続ける唯一の代表国である。またFIFAランキングの上位に常に位置する等、世界最強国の一角として君臨している。

人材の面でも、古くはレオニダスペレガリンシャトスタンザガロ、そしてジーコソクラテスロマーリオカフーロナウドロベルト・カルロスリバウドロナウジーニョカカをはじめとするサッカーの歴史に残る選手を多数輩出しており、自他ともに認めるサッカー大国である。

ブラジル代表

エスタジオ・ド・マラカナン.ここで1950年の歴史的な決勝戦が行われた
エスタジオ・ド・マラカナン.ここで1950年の歴史的な決勝戦が行われた

ブラジル代表のユニフォームはカナリアイエローを基調としており、ブラジル代表は「セレソン」もしくは「カナリア軍団」と呼ばれる。日本のメディアにおいては後者がしばしば用いられるが、ポルトガル語では「カナリア」という発音に似た単語「カナーリャ(カナージャ)」というものがある。これは「ばか者(集団)」という意味を指し、否定的な意味で捉えられる。そのため、ブラジル国内ではブラジル代表をこのような呼び方をしない。ブラジルにおいては、ブラジル代表に敬意を表するため前者を用いる。

ちなみに「セレソン」というのは「代表」という意味を持ち、サッカーが国技化しているブラジルにおいては「セレソン」という称号は栄誉そのものである。それを知ってかワールドカップドイツ大会が開幕した前後の日本の一部のマスメディアでは、ブラジル代表を「セレソン」という表記を使う所も現れている。詳細はブラジルのサッカーを参照。

またブラジル国民は世界有数の強豪であるブラジル代表に対して特別の感情を抱いており、負けると選手や監督に多くの批判を浴びせる。近年では1990年のFIFAワールドカップイタリア大会の決勝トーナメント初回戦で敗退した際に、帰国時に激怒した国民から襲われるという危険性があるために、監督を含めメンバー全員の帰国日時、ルートが極秘にさればらばらに帰国したケースがあるほか(実際に監督の親族の家が襲撃されたために親族は一時的に避難した)、「歴代最強チーム」と呼ばれ大きな期待がかけられた2006年のFIFAワールドカップドイツ大会において決勝トーナメントでフランスに敗れたことに国民が激怒し、帰国する選手達に空港でブーイングし、最も期待がかけられていた選手のロナウジーニョの像を燃やすほどである。これはブラジルチームが毎年優勝候補の一角となり大きな期待を背負うからでもある。

その国民のサッカーに対する情熱を語るエピソードが1950年に自国ブラジルで開催されたFIFAワールドカップブラジル大会の決勝戦だろう。引き分け以上で優勝が決まる最終戦で、20万人の観客を前にしてアウェイだったウルグアイにまさかの逆転負けし、ウルグアイ代表(ロス・チャルーアズ)が戦後初のワールドカップ王者に輝いた事件である。ブラジルサッカー史上過去最高の自殺者、ショック死(優勝したしないにかかわらず、ほぼ毎回発生すると報道されている)や失神する人が発生するほどの事態となった(詳細はマラカナンの悲劇を参照)。


[編集] モータースポーツ

富裕層を中心に古くからモータースポーツが盛んで、南東部と南部を中心に国際規格を満たした規模の大きなレース用サーキットを多数持つ。それらのサーキットにおいては、シボレーゼネラルモーターズ)など大手自動車会社の後援で各種の選手権が行われており、加えてサンパウロ市郊外のインテルラゴス・サーキットでは毎年F1世界選手権が開催されている(以前はリオデジャネイロでも行われていた)。

レーシングドライバーの面では、ブラジルの英雄であり日本でも高い人気を誇ったアイルトン・セナや、ブラジル初のF1チャンピオンとなったエマーソン・フィッティパルディなど、数々のF1チャンピオンを輩出した他、北米におけるインディ500CARTIRLといったレース・選手権においても、上記のエマーソン・フィッティパルディ、ジル・ド・フェランクリスチアーノ・ダ・マッタら、多数のチャンピオンを生み出しており、著名なレーシングドライバーを幾人も輩出したイギリスイタリアフランスと並ぶモータースポーツ大国である。

ブラジル人レーシングドライバー

1970年代~
1980年代~
1990年代~
2000年代~

[編集] バレーボール 

バレーボールも人気の競技である、特に男子は80年代に力を付け2000年代に入ると他国を完全に圧倒している。女子も強豪であるが、こちらは五輪などでの優勝は未だ、達成していない。 海岸が多いことを生かしたビーチバレーも盛んであり、男子・女子ともにオリンピックや世界選手権の上位を常に占めるなど、世界レベルの強さを誇る。

[編集] その他のスポーツ

カポエィラ「戦争のダンス」
カポエィラ「戦争のダンス

ブラジリアン柔術柔道空手などの格闘技テニスウィンドサーフィンハンググライダーなど、多様な文化と広大な国土を背景に様々なスポーツが行われている。 都市部では競馬が行われている他、サンパウロなどの都市部では日系人を中心に野球も行われて松元ユウイチなどが日本のヤクルトで活躍している。バスケットボールではアンダーソン・ヴァレジャオリアンドロ・バルボサなどがNBAで活躍している。

その他のブラジルオリジナルのスポーツとしては格闘技とダンス、音楽がミックスされたカポエィラがある。

[編集] 通信とメディア

軍事政権下で報道の自由はある程度制限されたものの、民政化された現在では完全に自由な報道が行われている。新聞はオ・グロボなどの全国紙の他、スポーツ専門紙などがある。また、専門紙や雑誌をはじめとするスポーツメディアの中でも、特にサッカー専門メディアについては世界的に高い評価を誇る。近年では衛星放送インターネットの普及が急速に進んでいる。

[編集] 脚注


[編集] 参考文献

[編集] 関連項目

[編集] 関連人物 (ブラジル人以外)

[編集] 外部リンク

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政府
日系機関
メディア
日本語メディア
旅行
その他

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