独立
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独立(どくりつ)とは、他者・他国家などによって支配され、従属的立場にあったものがその支配から離れ、1つの主体として成立することである。とりわけ従属的立場にあった民族が別個の国家を樹立する際に用いられる。
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[編集] 国家の独立
国家の独立とは、既存の国家に所属する一部の地域や、他国の支配下にあった領域が、その支配を離れ、新たな国家として成立することを指す。ただし、何をもって独立とされるかは、必ずしも明確なものではない。
明らかな支配下にあるものとして、植民地や、被保護国、信託統治領がある。第二次世界大戦後には、民族自決の考えの下、世界各地で独立運動が起こり、アジアやアフリカの植民地が次々と独立した。現在でも各地で独立運動は展開されているが、それらには支持されていないものも多い。
[編集] 国家の成立
ある地域が独立した、と言われるためには、国家として成立する必要がある。国際法においては、国家の要件として一定の領域、国民、及び主権が必要とされる。主権とは、その領域を排他的に支配する権力であり、いわば統治能力である。
ただし、その地域が国家としての実態を備えたかどうかを判断するのは他の国家に委ねられており、各国家はその地域を新たな国家として認めるか否か、つまり国家承認をするか否かを自由に決定することが出来るとされる。 そのため、たとえある地域が一見国家としての実体を持っているように見える場合でも、国家としては扱われない場合(例えば台湾など)もあり、国家の4つ目の要件として、他国からの承認を挙げる説も存在する。
[編集] 独立運動
上述のように、国家の成立には主権を確立して、その地域を有効に統治する必要がある。しかし、その地域を支配する既存の国家は、地域の独立を認めない場合も多く、既存の国家の軍隊や警察による制圧がなされたり、独立を求める勢力と既存の国家の間で内戦となる例も多い。 とりわけ、独立を求める勢力が少数で既存の国家が大国である場合(ロシアとチェチェン、中国とチベットなど)や、独立しようとする地域に資源が存在する場合など、地域の価値が高い場合(ナイジェリアとビアフラ共和国、インドネシアとアチェなど)には、反発が大きく、独立はより困難なものとなる。
現在の国際法では、民族自決が認められている。しかし、何をもって民族とするかは明確なものではなく、また民族自決権が侵害されていたとしても、侵害国に対し、何らかの制裁を行わなければならないわけではない。既存国との関係の維持など、各国の利害もあって、独立が支持されない場合も多い。
また、そもそも1つの民族のみで、一定の領域が構成されていることは稀であり、多くの場合において複数の民族が混ざった状態で居住しているため、当該地域の居住民の中でも、独立に賛成するもの(主に独立によって多数派となるもの)と反対するもの(主に独立によって少数派となるもの)との対立が発生する。そのような地域での民族自決は、独立による達成は困難である。
一方、自国の利害関係などから、独立勢力に対して何らかの支援がなされる場合もあり、既存国に対して非難や制裁が加えられたり、独立勢力に対する資金や武器の供給、軍事的支援が行われる場合もあり、既存国からは内政不干渉の原則が主張されることも多い。また国家として十分成立しているとは言い難いものでも、国家承認が行われる場合もあり、尚早の承認と言われる。
[編集] 独立宣言
独立宣言とは、独立の際に発せられる、自国が独立した旨の宣言である。アメリカ独立宣言など。
独立宣言では、自国の正当性や掲げる理念、今後の方針などが盛り込まれることが多く、人権や自決権が謳われる。
もちろん、独立宣言を出したからといって、本当に独立できるというわけではなく、独立宣言を出したものの結局成立しなかった国家もある。
[編集] 独立記念日
植民地から独立した国の多くは、独立した日を祝日としている(一部例外はあるが)。詳細は、建国記念日を参照。
[編集] その他の独立
一般的には、実家を出て生活する時や、企業の雇用を離れて自ら起業する時、師匠の元を離れて、自分の商売を持つ時などに用いられる。自立も参照。
2006年5月1日に施行された新会社法では、最低資本金の制限が無くなり、企業の設立が容易になった。(以前は株式会社で1000万円、有限会社で300万円の資本金が必要であった。) 競業避止義務が定められている例も多く、独立に際しては注意が必要である。
[編集] 関連項目