謝肉祭
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謝肉祭(しゃにくさい)とは、カトリックなど西方教会の文化圏で見られる通俗的な節期。四旬節の前に行われる。
仮装行列やパレードが行なわれたり、菓子などを投げたりする行事が行なわれる。
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[編集] 名称と起源
謝肉祭は、英語ではカーニバル(Carnival)、ドイツ語ではカルネヴァル(Karneval)・ファッシング(Fasching)・ファストナハト(Fastnacht)、スペイン語ではカルナバル(carnaval)、イタリア語ではカルネヴァーレ(carnevale)、フランス語ではカルナヴァル(carnaval)、ポルトガル語ではカルナヴァウ(carnaval)、ハンガリー語ではfarsang、ポーランド語ではカルナヴァウ(Karnawał)と呼ばれる。日本語でもカーニバルと呼ぶことがあり、特に華やかなパレード等を指す時にはカーニバルと言う方が多い。
カーニバルの語源は、一つにラテン語のcarne vale(肉よ、さらば)に由来するといわれる。ファストナハトなどは「断食の(前)夜」の意で、四旬節の断食(大斎)の前に行われる祭りであることを意味する。
しかし一説には、謝肉祭は古いゲルマンの春の到来を喜ぶ祭りから由来し、キリスト教の中に入って、一週間教会の内外で羽目を外した祝祭を繰り返し、その最後に自分たちの狼藉ぶりの責任を大きな藁人形に転嫁して、それを火あぶりにして祭りは閉幕するというのがその原初的なかたちであったという。
したがってカーニバルの語源は、この農耕祭で船を仮装した山車であるcarrus navalis(車・船の意)を由来とする説もある。いずれにしても、その宗教的起源は今ではあまり姿を留めず、現在では非宗教的行事になっている所も多い。行列が行われることが多く、多くの土地では観光行事化している。
長さは一定しないものの、多く一週間である。最終日はつねに火曜日(灰の水曜日の前日)であり、一部の地域では、この火曜日をマルティ・グラ(肥沃な火曜日)、シュロブ・チューズデー(告悔火曜日)、パンケーキ・デイなどといい、パンケーキを食べる習慣がある。これは、四旬節に入る前に卵を残さないために生じた習慣でもある。シュロブ・チューズデーの名は、かつて謝肉祭最終日すなわち灰の水曜日前日に、みなが告悔を行う習慣があったことに由来する。
[編集] 世界各地のカーニバル
リオ・デ・ジャネイロを始め、世界各地に以下の通りカーニバルで有名な町が存在する。
- →カーニバルを参照
- →トリニダード・カーニバルを参照
- →ニューオーリンズ・マルディグラを参照
- サルバドール (ブラジル)
- ヴェネツィア (イタリア)
- ケベック (カナダ)
- ニース (フランス)
- バーゼル (スイス)
- ノッティング・ヒル (イギリス)
- オルロ (ボリビア)
- ウマウアカ (アルゼンチン、ウマウアケーニョで有名)
- モンテビデオ (ウルグアイ、南米で一番期間が長い)
- マーストリヒト (オランダ)
- デン・ボス (オランダ、オランダで最古)
[編集] ドイツのカーニバル
ドイツでは、主にラインラントからバイエルン、アウガウなどカトリックの多い地域で行われ、「アラーフ!(ケルン)」、「ヘラウ!(デュッセルドルフ)」等独特の挨拶を交わし、仮装して祝う。地方により、謝肉祭は、ファッシング、ファスナハトなど呼び方が異なる。薔薇の月曜日(Rosenmontag)には、ケルン・デュッセルドルフ・マインツ・アーヘン・ボンで薔薇の月曜日の行列(Rosenmontagsumzug)が繰り出し、「カメレ」という叫び声をあげる人々に向けて菓子を投げる。