スティールパン
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スティールパン | ||||||
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別称:スティールドラム | ||||||
各言語での名称 | ||||||
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スティールパン |
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分類 | ||||||
スティールパン(Steelpan)は、ドラム缶から作られた音階のある打楽器で、独特の倍音の響きを持った音色が特徴。カリブ海最南端の島国・トリニダード・トバゴ共和国で発明された「20世紀最後にして最大のアコースティック楽器発明」と呼ばれており、トリニダード・トバゴ政府により、「国民楽器」として1992年に正式に認められた。 スティールドラム(スチールドラム)とも呼ばれる。
トリニダード・トバゴ独立後、アメリカやイギリスなど先進国への移民の奨励によって、世界中にスティールパンが広まった。その後、スティールパンはジョン・レノンの「ビューティフル・ボーイ」にも使用され、グローヴァー・ワシントン・ジュニア&ビル・ウィザーズ「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」で一躍、世界的に有名な楽器となった。
スティールパンは、トリニダード・トバゴの首都ポートオブスペインで毎年開催されているカーニバルの場においても、欠かせない楽器である。カーニバル期間中に行われるスティールパンのコンテスト「パノラマ(Panorama)」は毎年盛大に行われ、スティールバンド(スティールパンを演奏する音楽グループ)の世界大会と言える。
目次 |
[編集] スティールパンの歴史
トリニダード・トバゴでは、19世紀半ばにドラムの使用を禁止された黒人達が、いろいろな長さにした竹の棒を叩いて音を出すタンブーバンブーを代用していた。しかし1937年、このタンブーバンブーの使用も禁じられた人々は、身近にあったカン類などを楽器として使用し始めた。そうしたなか、1939年に、ウインストン・スプリー・サイモンがぼろぼろになったドラムを直そうとしていた際、叩く場所によって音が違っていることに偶然気づき、スティールパンの元となるものを作り出したと言われている。それ以後、エリー・マネット、ネヴィル・ジュレス、バーティー・マーシャル、アンソニー・ヘインズ、ルドルフ・キング・チャールズなどの人々が改良を加え、スティールパンを発展させてきた。
[編集] スティールパンの種類
スティールパンは、音域によってさまざまな種類がある。
- テナーパン(ソプラノ)/tenor
- ダブルテナー/Double tenor
- ダブルセカンド/Double second
- ダブルギター/Double guitar
- クアドロフォニック/Quadrophonic
- トリプルギター/Triple guitar
- チェロパン/Cello
- シックスパン(チャリオット)/Six pan
- テナーベース/Tenor bass
- シックスベース/Six bass
- ナインベース/Nine bass
- トゥエルヴベース/12
[編集] 日本でのスティールパン
日本では、1970年代後半から細野晴臣の楽曲に使用されたほか、1980年発表の郷ひろみのシングル曲、セクシー・ユーで演奏されたのがきっかけで一般的に知られるようになった。 その後、ヤン富田、原田芳宏、山村誠一、町田良夫、リトルテンポ、上々颱風などといったアーティストによって取り組まれるとともに、全国で多くのスティールバンドが結成されている。 最近では、その印象的な音色から、テレビ番組やコマーシャルなどで使用されることも多く、一般的に耳にする機会も増えている。また現在では、トリニダード・トバゴ出身のマイケル"マニッシュ"ロビンソンや、園部良など、日本で活動するスティールパン製作者も存在し、多くの演奏者が彼らの製作した楽器を使用している。
[編集] 外部リンク
- PanTrinbago | The World Governing Body for Steelpan
- When Steel Talks
- Review of Forty Years in the Steelbands by George Goddard
- Americans patent pan plan
- Steel bands London
- Pan Jumbie
海外のアーティスト
日本のスティールバンド
- Pele
- Pan Pop Paradise
- スキヤキスチールオーケストラ
- Pan Village
- Panland Steel Orchestra
- PANPLE
- pansonido on Line
- Pan Note Magic
- Panorama Steel Orchestra
- カリビアン・ブリーズ
- RUSTIC PANS
- "SONICS-TOKYO Steel Orchestra"
日本で活動しているアーティスト
スティールパン製作・販売・指導
[編集] 関連文献
- 冨田晃著『祝祭と暴力 スティールパンとカーニヴァルの文化政治』二宮書店、2005年12月、ISBN 481760235X