19世紀
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世紀: | 18世紀 - 19世紀 - 20世紀 |
10年紀: | 1800年代 1810年代 1820年代 1830年代 1840年代 1850年代 1860年代 1870年代 1880年代 1890年代 |
目次 |
[編集] 19世紀の歴史
[編集] 帝国主義の興隆
19世紀のイギリスは工業化による生産力の増大により得た、圧倒的な経済力と軍事力で世界の覇権を握った。イギリスは時には武力をも用いて世界各国に自由貿易を認めさせ、イギリスを中心とした国際経済体制に世界を組み込んでいった(パクス・ブリタニカ)。この過程で、大陸国家である清やロシアと海洋国家のイギリスとの間に度重なる衝突が発生し、20世紀における世界大戦の遠因が形成された。
アジア、アフリカにとっては苦渋の時代であり、トルコ、タイなどの国では西欧文化を取り入れ近代化が試みられた。清帝国はアヘン戦争の敗北により、植民地化がはじまる。1853年、アメリカのペリーが浦賀に来航、江戸幕府に開国を認めさせ、日本も欧米を中心とした世界経済に組み込まれた。1868年には長らく続いた幕藩体制は崩壊し(明治維新)、新たに発足した明治政府は欧米文化を摂取して急速な近代化を目指した。19世紀末には、近代化に成功した日本以外の国は、西欧列強の植民地にされるか、強い影響下におかれた。
[編集] 国民国家の成立
西欧では、フランス革命の影響により自由主義とナショナリズムが広がった。19世紀初頭のナポレオンの興亡や反動的なウィーン体制、数々の市民革命の勃発の後、ナショナリズムの高揚によりドイツ、イタリアなどの新たな統一された強力な国家が登場した。また南米ではナポレオン戦争による混乱に乗じてラテンアメリカ諸国が独立した。
[編集] 列強の植民地争奪戦
19世紀中頃に、ドイツ、フランス、アメリカ合衆国はイギリスに続いて産業革命をなしとげた。こうした後進産業国では政府の強力なリードのもとで産業育成がなされた。19世紀の末期には資源の豊富なアメリカ合衆国や重化学工業分野が成長したドイツの発展が著しく、事実上イギリスの覇権は崩れた。これにより19世紀末には列強の植民地争奪競争がおこなわれた。日本も日清戦争をへて、こうした植民地争奪戦に参加していく。
[編集] できごと
- 1801年
- 1802年
- 1803年
- 1804年
- 1805年
- 1806年 - 神聖ローマ帝国の解体により、オーストリア帝国成立。
- 1812年 - 米英戦争( - 1814年 )
- 1814年 - ウィーン会議(会議は踊る)。
- 1815年 - ウィーン体制(1848年革命で崩壊)。
- 1817年 - 光格天皇が譲位し、第120代仁孝天皇が即位。
- 1818年 - スウェーデン、新王朝ベルナドッテ朝開始。
- 1820年
- 1821年 - ギリシャ独立戦争( - 1829年)。
- 1821年~1825年 - 中南米諸国の独立が相次ぐ → アメリカ大陸諸国の独立年表
- 1822年 - ギリシア独立宣言。
- 1823年 - アメリカ合衆国がモンロー宣言を発する。
- 1825年
- 文政の外国船打払令。
- ロシアでデカブリストの乱が発生。
- 1830年
- 1831年 - 天保の大飢饉。
- 1835年 - ハレー彗星接近。
- 1837年
- 1839年 - 中米連邦が解体。蛮社の獄。
- 1840年 - アヘン戦争(- 1842年)
- 1842年 - 清国と英国の間で南京条約締結。
- 1845年~1849年 - ヨーロッパでジャガイモ飢饉。特にアイルランドで深刻な被害。
- 1846年 - 仁孝天皇が没し、第121代孝明天皇が即位。
- 1848年 - 1848年革命。第一次シュレースヴィヒ・ホルシュタイン戦争。
- 1850年
- 1852年 - ルイ・ナポレオン・ボナパルト(ナポレオン3世)、フランス皇帝に就任(フランス第二帝政)。
- 1853年
- 1854年 - 日本、安政東海地震、安政南海地震。
- 1855年 - 日本、安政江戸地震。
- 1857年 - アロー戦争(-1860年)
- 1858年 - 徳川家茂が江戸幕府第14代将軍となる。
- 1859年
- 1860年 - 清とイギリス・フランスが北京条約を締結。
- 1861年
- 1864年 - 第二次シュレースヴィヒ・ホルシュタイン戦争。
- 1866年
- 1867年
- オーストリア・ハンガリー帝国成立。
- 『資本論』第1巻刊行。
- 1867年
- 1868年
- 1870年
- 1871年
- 1873年 - 西郷隆盛、江藤新平、副島種臣ら、征韓論に破れ下野。
- 1874年 - 民選議院設立建白書提出。
- 1875年 - 清の光緒帝が第11代皇帝に即位。
- 1876年 - 神風連の乱、秋月の乱、萩の乱。
- 1877年
- 1880年 - 国会期成同盟結成
- 1881年 - 9年後国会開設の詔、自由党結成。
- 1882年
- 日本銀行創立。
- ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、イタリア王国、三国同盟締結。
- 1883年 - アフリカ分割、帝国主義の時代。
- 1884年 - 清仏戦争(-1884年)
- 1885年 - 内閣制度発足、伊藤博文総理就任(12月)。
- 1886年 - アメリカ、ジョージア州アトランタでコカコーラ発売。
- 1888年 - 枢密院設置、市町村制公布。
- 1889年 - 大日本帝国憲法発布(2月11日)、市町村制施行。
- 1890年 - 第1回帝国議会、第1回総選挙、足尾鉱毒事件。
- 1894年 - 日清戦争( - 1895年)。
- 1896年 - 明治三陸大津波(6月15日・M6.8)。
- 1897年 - 宮城沖地震(2月20日・M7.9)。
- 1898年 - 明治民法施行。
- 1898年
- 1899年 - 清で義和団事件。
[編集] 文化
[編集] 文学
- ロマン主義文学
- 自然主義文学・写実主義文学
- サイエンス・フィクションの成立
- 推理小説の成立
[編集] 思想
[編集] 科学
- 19世紀は制度としての科学が確立し、「科学の世紀」とも呼ばれる。科学が自然哲学から分離し、技術への応用が進展した。
- 物理学 - 古典物理学の体系化が進展し、電気、磁気、光、熱、重力など様々な現象を統一的に説明する理論へ発展した。
- 化学 - 物理学により化学反応の中心原理となる原子と電子の相互作用が解明され、化学合成がはじまる。
- 生物学 - このころまでの生物学は博物学的側面が強かったが、生化学、進化論の確立により、大きなパラダイムシフトが発生した。
- 天文学
- 数学
[編集] 技術
- 写真、映画
- 蓄音機
- 蒸気機関の発達。トラクションエンジン、乗合バスの登場と普及。
- 蒸気船、装甲艦の発達
- 飛行船
- 木材パルプからの紙の大量生産。輪転機、鋳植機の登場により、大量の印刷物の発行が可能になり、マスメディア時代が幕を開けた。
- 歯車式計算機、タビュレーティングマシン
- 万国博覧会
- 鉄道の建設がはじまる。19世紀後半には建設ラッシュに。
- 電気技術の発達。電信機、電話機、モーター、発電機、配電設備、白熱電球の発明。電車の登場
- 内燃機関の発明。ガソリンエンジン駆動の自動車が発明される。
- 化学合成のはじまり。合成染料、合成繊維の発明。アスピリンの合成
[編集] 人物
[編集] 首脳
- ナポレオン1世(フランス皇帝、在位1804年 - 1814年、1815年)
- フランツ1世(オーストリア皇帝、在位1804年 - 1835年)
- フランツ・ヨーゼフ1世(オーストリア皇帝、在位1848年 - 1916年)
- アレクサンドル1世(ロシア皇帝、在位1801年 - 1825年)
- アレクサンドル2世(ロシア皇帝、在位1855年 - 1881年)
- ヴィクトリア(英国女王、在位1837年 - 1901年)
- ジャン=バティスト・ジュール・ベルナドット(スウェーデン王カール14世ヨハン、在位1818年 - 1844年)
- ナポレオン3世(フランス皇帝、在位1852年~1870年)
- トーマス・ジェファーソン(第3代アメリカ大統領、任期1801年 - 1809年)
- エイブラハム・リンカーン(第16代アメリカ大統領、任期1861年 - 1865年)
- ヴィルヘルム1世(初代ドイツ皇帝、在位1871年 - 1888年)
- ヴィルヘルム2世(3代ドイツ皇帝、在位1888年 - 1918年)
- ラーマ5世(タイ国王、在位1868年 - 1910年)
- 明治天皇(大日本帝国元首(第122代天皇)、在位1867年 - 1912年)
- クレメンス・メッテルニヒ(オーストリア宰相、1821年 - 1848年)
- ベンジャミン・ディズレーリ(イギリス首相、在任1868年・1874年 - 1880年)
- ウィリアム・グラッドストン(イギリス首相、在任1868年 - 1874年、1880年 - 1885年、1886年、1892年 - 1894年)
- オットー・フォン・ビスマルク(ドイツ帝国宰相、在任1871年 - 1890年)
[編集] 軍人
[編集] 産業と科学
[編集] 思想
- カール・マルクス
- フリードリヒ・エンゲルス
- ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
- フリードリヒ・ニーチェ
- ウィリアム・モリス
- フリードリヒ・シェリング
- ルートヴィヒ・アンドレアス・フォイエルバッハ
- オーギュスト・コント
[編集] 文学
- ヴィクトル・ユーゴー(フランス)
- チャールズ・ディケンズ(イギリス)
- ウィリアム・ワーズワース(イギリス)
- アレクサンドル・デュマ(フランス)
- ジュール・ヴェルヌ(フランス)
- マーク・トウェイン(アメリカ)
- ニコライ・ゴーゴリ(ロシア)
- フョードル・ドストエフスキー(ロシア)
- レフ・トルストイ(ロシア)
- 曲亭馬琴(日本)
[編集] 音楽
- ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770年 - 1827年)
- フェリックス・メンデルスゾーン(1809年 - 1847年)
- フランツ・リスト(1811年 - 1886年)
- フレデリック・ショパン(1810年? - 1849年)
- ロベルト・シューマン(1810年 - 1856年)
- リヒャルト・ワーグナー(1813年 - 1883年)
- ヨハネス・ブラームス(1833年 - 1897年)
- ジュゼッペ・ヴェルディ(1813年 - 1901年)
- アントニン・ドヴォルザーク(1841年 - 1904年)
[編集] その他
[編集] 10年紀と各年
記事が少ない間、各年は10年代へのリダイレクトです。