ドラム (潜水艦)
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| 艦歴 | |
|---|---|
| 発注: | |
| 起工: | 1940年9月11日 |
| 進水: | 1941年5月12日 |
| 就役: | 1941年11月1日 |
| 退役: | 1946年2月16日 |
| 除籍: | 1968年6月30日 |
| その後: | 1969年4月14日に売却後博物館船として公開 |
| 性能諸元 | |
| 排水量: | 1,526トン（水上） 2,410トン（水中） |
| 全長: | 307ft (93.6m)（水線長） 311ft 9in (95m)（全長） |
| 全幅: | 27.3 ft (8.3 m) |
| 吃水: | 19.3 ft (5.9 m) |
| 機関: | フェアバンクス・モース38D-1/8 10気筒ディーゼルエンジン 4基 エリオット・モーター発電機2基 |
| 最大速: | 水上：20.25 ノット (37 km/h) 水中：8.75 ノット (16 km/h) |
| 航続距離: | 11,000カイリ（10ノット時） （18.5 km/h 時に 20,000 km） |
| 試験深度: | 300ft (90m) |
| 乗員: | 士官、兵員70名（平時） 士官、兵員80 - 85名（戦時） |
| 兵装: | 3インチ砲1基、21インチ魚雷発射管10基 |
ドラム (USS Drum, SS-228) は、アメリカ海軍の潜水艦。ガトー級潜水艦の一隻。艦名はドラムと呼ばれるドラミング音を発するスズキ目の魚類数種に因む。ガトー級潜水艦の中で最も早く竣工し、かつ太平洋戦争前に竣工した唯一艦であり、同級の実質的な「長男」である。ドラムは現在アラバマ州モービルで博物館船として公開されている。
目次 |
[編集] 艦歴
ドラムは1940年9月11日にメイン州キタリーのポーツマス海軍工廠で起工する。1941年5月12日にトーマス・ホルコム夫人によって進水し、ロバート・H・ライス艦長の指揮下年1941年11月1日に就役する。1942年になって真珠湾に回航され、4月に一度ミッドウェー島への航海を実施し、真珠湾に戻ってきた。
[編集] 第1～第4の哨戒
4月14日、ドラムは最初の哨戒で本州海域に向かった。5月1日23時20分、ドラムは遠州灘で艦艇を雷撃した。この艦艇は水上機母艦瑞穂であり、瑞穂は翌2日4時16分に沈没した。瑞穂の沈没は、太平洋戦争での日本海軍軍艦[1]の初の喪失であった。続く5月9日には4,000トン級の貨物船撃沈を報じた[2]。5月13日に神子元島70度12海里の地点で昭南丸（拿捕船。5,356トン）を、5月25日にも野島岬沖で喜多方丸（栗林汽船。2,380トン）を撃沈し、上々の初陣を飾った。帰途にミッドウェイ海戦に参加した後、6月12日に真珠湾に帰投した。7月10日、ドラムは2回目の哨戒でトラック諸島在泊の日本艦艇の行動監視と、トラック諸島～ラバウル、カビエン間の交通路を遮断する任務に就いたが、54日間行動して戦果は無く、唯一攻撃した貨物船[3]も魚雷の不具合で取り逃がした。
9月23日、ドラムは3回目での哨戒では本州近海に向かった。10月8日10時15分、尾鷲沖で5隻の貨物船からなる門司行きの船団を発見。ドラムは船団の左側から攻撃し、へいぐ丸（大阪商船。5,641トン）に魚雷3本を命中させて撃沈した。翌10月9日には和歌山沖で八幡山丸（鶴丸汽船。2,461トン）を、さらに10月20日に大王崎沖で隆南丸（松本正一。5,106トン）を撃沈し、46日間の行動を終えた。艦長がバーナード・F・マッキャノンに代わった11月29日からの4回目の哨戒では、豊後水道に機雷を敷設する任務を命じられた。その途中の12月12日、ドラムは八丈島の東海上で駆逐艦1隻を従えた空母を発見する。この空母は約2週間前に竣工したばかりの軽空母龍鳳であった。龍鳳はトラック諸島に九九式双発軽爆撃機を輸送するため、前日に横須賀を出撃したものであった。ドラムは前部発射管のうち4つを開き（残りには機雷を搭載）、龍鳳に向けて発射。うち1本が龍鳳の右舷艦橋下に命中したが、命中箇所付近にあった火薬庫が誘爆を起こさなかったので、龍鳳は辛うじて横須賀に引き返すことが出来た。その後、12月17日に豊後水道に機雷を敷設し、その帰りにタンカーを攻撃したものの、取り逃がした。1943年1月24日に真珠湾に帰投した後オーバーホールに入った。
[編集] 第5～第8の哨戒
徹底的なオーバーホールが終わり戦列に復帰したドラムは、3月24日に5回目の哨戒に向かった。この任務の終了次第、ブリスベンの南西太平洋方面部隊潜水部隊への異動も命じられていた。ドラムは4月3日にナウル島の写真偵察を実施。その後、4月9日に北緯0度32分、東経150度5分のラバウル沖で雄山丸（馬場商事。3,809トン）を、4月18日には北緯1度55分、東経148度24分のビスマルク諸島沖で日春丸（日産汽船。6,380トン）を撃沈し、ブリスベンに帰投した。ドラムは以後しばらくはブリスベンから作戦を行い、6月7日からの6回目の哨戒ではビスマルク諸島海域に向かい、6月17日に南緯2度3分、東経153度44分の地点で妙高丸（板谷商船。5,086トン）を撃沈[4]。8月16日からの7回目の哨戒ではニュージョージア諸島海域に向かい、9月8日に南緯2度44分、東経141度36分の地点で第十三博鉄丸（西海汽船。1,134トン）を撃沈した。しかし、この7回目の哨戒の途中でジャイロコンパスに異常を来たし、9月29日から10月2日までツラギ島で応急修理の後ブリスベンに帰投した。修理後、艦長がデルバート・F・ウィリアムソンに代わった。11月2日から8回目の哨戒でトラック～ラバウル、カビエン間の海域に向かい、11月17日に北緯1度48分、東経148度24分のラバウル北西300海里の地点で元特設潜水母艦日枝丸（日本郵船。11,621トン。氷川丸の姉妹船）を撃沈した。ドラムは哨戒任務終了後真珠湾に向かい、司令塔の再改装工事を受けるために2度目のオーバーホールに入った。
[編集] 第9～第13の哨戒
1944年4月9日、オーバーホールを終えたドラムは9回目の哨戒で小笠原諸島・硫黄島海域に向かったが、50日間の行動で戦果は無くマジュロ環礁に帰投した。艦長がモーリス・H・リンスコフに代わった6月24日からのパラオ諸島海域に向かった10回目の哨戒でも、51日間の行動でサンパンを1隻撃沈したに留まった。しかし、9月9日からの11回目の哨戒では再び大きな戦果を挙げることができた。ドラムはソーフィッシュ (USS Sawfish, SS-276)、アイスフィッシュ (USS Icefish, SS-367) とウルフパックを組んでルソン海峡に向かった。途中、シャーク (USS Shark, SS-314)、シードラゴン (USS Seadragon, SS-194)、ブラックフィッシュ (USS Blackfish, SS-221) からなる別のウルフパックと、また別行動をとっていたスヌーク (USS Snook, SS-279) とも合流。これらのウルフパックは10月23日、ルソン海峡でマタ30船団を襲撃した。この船団は12隻の貨物船と春風、竹、呉竹の駆逐艦3隻、給糧艦鞍崎、第20号駆潜艇で構成されており、春風が船団を指揮していたので「春風船団」という異名がある。ドラムは10月24日7時58分ごろ、信貴山丸（三井船舶。4,725トン）に向けて魚雷5本を発射し、7時58分にそのうちの4本が信貴山丸に命中して信貴山丸は轟沈した。攻撃自体も12隻の貨物船のうち9隻を撃沈するなど上々の成果だったが[5]、シャークは春風に撃沈された。ドラムらのウルフパックは10月26日早朝、バブヤン諸島西方でマニラに向かっていたモマ05船団を発見し攻撃に移った。ドラムは4時に、2A型戦時標準船大彰丸（大阪商船。6,886トン）に向けて魚雷を発射し命中。兵士とガソリンを搭載していた大彰丸は大爆発を起こして沈没した。、次いで6時5分には戦時標準船大博丸（大阪商船。6,886トン）に向けて魚雷2本を発射し命中。8時40分に爆発物を搭載していた船体前半部分が誘爆を起こし脱落した[6]。ドラムは59日間の行動で3隻撃沈という戦果を挙げたが、これらがドラムにとっては結果的に最後の戦果になった。艦長がフランク・M・エディに代わった12月7日からの南西諸島への42日間にわたる12回目の哨戒、また1945年2月11日からの南西諸島への51日間にわたる13回目の哨戒では戦果が全く無かったからであるが、後者に関しては、第58任務部隊に対する支援、撃墜された搭乗員の救助も兼ねていた。この後は3度目のオーバーホールに入り[7]、7月に戦列に復帰して14回目の哨戒準備のためにサイパンに進出したところで終戦を迎えた。
ドラムは13回の哨戒の内、第2回、9回、12回、13回が成功として記録された。ドラムは第二次世界大戦の戦功で12個の従軍星章を受章した。15隻の敵艦を沈め、総トン数は80,580トンに上る。これはアメリカ海軍潜水艦の中で8番目の記録である。
[編集] 退役・博物館船として
ドラムはサイパンを去り、真珠湾とパナマ運河地帯を通過してポーツマスに向かった。その後1946年2月16日に退役し、1947年3月18日からワシントンD.C.のポトマック川海軍司令部で予備役艦隊の一部として係留され、1967年まで保管された。その後は1967年から1969年までバージニア州ノーフォークの予備役艦隊で保管された後、ドラムは1969年4月14日に戦艦アラバマ委員会に寄贈された。その後、アラバマ州モービルに牽引され1969年5月18日に到着する。1969年7月4日に一般公開された。当初は戦艦アラバマ (USS Alabama, BB-60) の後方に係留されたが、ハリケーン・ジョージの高波によって破損したため、現在では陸上の船台の上に展示されている。2005年8月29日にハリケーン・カトリーナが襲来し、ドラムはアラバマ同様に損害を被った。ドラムの見学ツアーは2006年1月9日に再開された。
[編集] 脚注
- ^ 日本海軍では、艦首に菊の御紋章をつけている艦艇を「軍艦」に類別している
- ^ Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II"では船名を"Unknown"としてカウントしているが、『戦史叢書』および『日本商船隊戦時遭難史』には記載がない
- ^ 詳細は不明
- ^ 『日本商船隊戦時遭難史』では北緯4度4分、東経154度3分の地点で沈没
- ^ ソーフィッシュ：1隻、シードラゴン：3隻、スヌーク：3隻、アイスフィッシュ：1隻。ドラムは本文中のとおり
- ^ 大博丸はこの後、浮いていた後半部分を曳航され10月30日にラポック湾サンフェルナンド港近辺の浅瀬に座礁の末、11月9日に台風で全損となった
- ^ この時のオーバーホールの際、ドラムは砲煩兵装を著しく強化している。すなわち、日本の東方海面に点在する特設監視艇撃破のためにいわゆる「潜水砲艦」として活用しようというものであった。アメリカ潜水艦と特設監視艇の戦いは圧倒的にアメリカ有利であったが、思い出したころに手痛い反撃を食らうこともあった。そこで、強武装でさらに一方的に戦闘を進めようと砲煩兵装の強化に到ったのである。潜水艦用に作られた25口径12.7センチ砲マーク40を前後に2門装備し、機銃も40ミリ機銃を2門装備、さらに水上射撃指揮装置も潜水艦にしては豪華なぐらいの最新鋭のものが装備された。ドラムのほかに複数の潜水艦が砲煩兵装を著しく強化したが、本格的に実戦に活用される前に終戦となった。
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- Theodore Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II" Naval Institute press、ISBN 0-87021-731-3
- 財団法人海上労働協会編『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、1962年/2007年、ISBN 978-4-425-30336-6
- 防衛研究所戦史室編『戦史叢書62 中部太平洋海軍作戦<1> 昭和十七年五月まで』朝雲新聞社、1970年
- Clay Blair,Jr. "Silent Victory The U.S.Submarine War Against Japan" Lippincott、1975年、ISBN 0-397-00753-1
- 木俣滋郎『日本空母戦史』図書出版社、1977年
- 駒宮真七郎『続・船舶砲兵』出版協同社、1981年
- 駒宮真七郎『戦時輸送船団史』出版協同社、1987年、ISBN 4-87970-047-9
- 高須廣一「米潜水艦のウエポン・システム」『世界の艦船第446号 特集・アメリカの潜水艦』海人社、1992年
- 野間恒『商船が語る太平洋戦争 商船三井戦時船史』私家版、2004年
[編集] 外部リンク
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