スコーピオン (潜水艦)
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| 艦歴 | |
|---|---|
| 発注: | |
| 起工: | 1942年3月20日 |
| 進水: | 1942年7月20日 |
| 就役: | 1942年10月1日 |
| 退役: | |
| 除籍: | |
| その後: | 1944年1月6日に戦没 |
| 性能諸元 | |
| 排水量: | 1,475トン（水上） 2,370トン（水中） |
| 全長: | 307ft (93.6m)（水線長） 310ft 6in (95m)（全長） |
| 全幅: | 27.1 ft (8.3 m) |
| 吃水: | 13.8 ft (4.2 m) |
| 機関: | ゼネラル・モーターズ278A 16気筒ディーゼルエンジン 4基 ゼネラル・エレクトリック2,740馬力発電機2基 |
| 最大速: | 水上：20.25 ノット (37 km/h) 水中：8.75 ノット (16 km/h) |
| 航続距離: | 11,000カイリ（10ノット時） （19 km/h 時に 20,000 km） |
| 試験深度: | 300ft (90m) |
| 巡航期間: | 潜航2ノット (3.7 km/h) 時48時間、哨戒活動75日間 |
| 乗員: | 士官6名、兵員54名 |
| 兵装: | 3インチ砲1門、 21インチ魚雷発射管10基 |
スコーピオン (USS Scorpion, SS-278) は、アメリカ海軍の潜水艦。ガトー級潜水艦の一隻。艦名はサソリに因む。その名を持つ艦としては5隻目。
目次 |
[編集] 艦歴
スコーピオンは1942年3月20日にメイン州キタリーのポーツマス海軍造船所で起工した。1942年7月20日にエリザベス・T・モナグルによって命名、進水し、1942年10月1日に艦長ウィリアム・N・ワイル少佐の指揮下就役する。艤装が完了すると、スコーピオンは1943年1月にニューイングランド南部で整調を行い、2月後半にパナマへ向かう。パナマ運河を通過し3月半ばに真珠湾に到着する。真珠湾でスコーピオンはバチサーモグラフを含む海洋測定機器の装備が行われ、ソナーの効果を低減させる温水層の探知が可能になった。
[編集] 第1・第2の哨戒
4月5日、スコーピオンは最初の哨戒で日本の本州海域に向かった。4月19日に那珂湊沖に達し、午後に海岸周辺の調査を実施し、夜に機雷を敷設した。その後は通常の哨戒に戻り、4月20日に金華山灯台沖で特設砲艦明治丸（日之出汽船。1,934トン）を撃沈した。4月21日未明1時ごろには浮上砲戦でサンパンを撃破。続いて塩屋埼灯台周辺の海岸や航路を哨戒。4月22日夜にも3隻のサンパンを撃破した。その後も引き続き哨戒したが、意外と獲物には恵まれなかった。しかし、4月27日朝に護衛艦がついた4隻の輸送船を発見し、最も大型の輸送船であった勇山丸（山本汽船。6,380トン）に対し魚雷を4本発射し、命中させた。攻撃後は深深度潜航で退避した。5時5分になって護衛艦が爆雷攻撃を行ったが、被雷した勇山丸救援のため、程なく攻撃を切り上げた。スコーピオンは軽微な損傷を負ったのみで逃げ切り、勇山丸は沈没していった。4月28日に帰還命令を受領し、4月29日には100トンの小船を炎上させた。4月30日早朝、スコーピオンは北緯37度34分、東経155度0分の南鳥島の北方海域で第二監視艇隊所属の特設監視艇第五恵比寿丸（131トン）を発見した。第五恵比寿丸は1942年5月10日にシルバーサイズ (USS Silversides, SS-236) と交戦して、死傷者を多く出しながらもシルバーサイズを追い散らした戦歴を持っていた。第五恵比寿丸はスコーピオンの方に突進し、約1時間あまり交戦。第五恵比寿丸は搭載の7.7ミリ機銃で機銃掃射し、R・M・レイモンド少佐が戦死し、他にも負傷者が出た。スコーピオンは北緯37度20分、東経149度50分の地点まで交戦した後、残っていた魚雷を第五恵比寿丸に向けて発射し命中。弾薬が尽きていた第五恵比寿丸は8時に「機械故障」の無電を発した後沈没したものと考えられる。第五恵比寿丸と交戦した後、航空機が出現したのでスコーピオンは潜航して逃げ切った。ミッドウェー島を経て、5月8日にスコーピオンは33日間の行動を終えて真珠湾に帰投し、備砲を7.6センチ砲から10.2センチ砲に換装した。
5月29日、スコーピオンは2回目の哨戒で東シナ海、黄海方面に向かった。6月2日にミッドウェー島に到着して給油した後、担当海域に向かった。6月21日にトカラ列島周辺に着き、台湾と長崎間の航路を哨戒した。6月28日にトカラ列島の哨区を後にして黄海に向かい、6月30日に到着。山東半島付近を哨戒した。7月3日、スコーピオンは北緯38度21分、東経124度24分の地点で1隻の護衛艦がついた5隻の輸送船からなる輸送船団を発見。9時55分に攻撃した後、46メートルの深度でじっとしていた。程なく爆雷攻撃が始まり、10時2分と6分、8分には比較的至近距離で爆雷が炸裂し危機が迫っていた。1時間に及ぶ攻撃の間、スコーピオンは水中でうまく立ち回り、11時49分に潜望鏡深度に戻して探索したところ、護衛艦は6.4キロ先にいたがこちらには気付いてない様子であり、スコーピオンはその場を立ち去った。スコーピオンが発射した魚雷は鞍山丸（大連汽船。3,690トン）と黒竜丸（大連汽船。6,112トン）に命中し、両船を撃沈していたことが戦後判明した。爆雷攻撃で少なからず損傷を受けたスコーピオンは、トカラ列島周辺を航行して引き返していったが、悪石島付近で航空機の攻撃を受けた。ミッドウェー島を経て、7月26日にスコーピオンは48日間の行動を終えて真珠湾に帰投し、修理と訓練に従事した。また、艦長がマクシミリアン・G・シュミットに代わった。
[編集] 第3・第4の哨戒・喪失
10月13日、スコーピオンは3回目の哨戒でトラック諸島方面に向かった。10月17日にミッドウェー島で給油した後、まずマリアナ諸島周辺に向かい、10月25日と26日の2日間にわたってパガン島とアグリハン島を偵察。11月1日、パハロス島近海で海図に載っていない暗礁に軽く座礁したが、損害はほとんどなかった。11月2日に離礁し、11月5日には最上型重巡洋艦と思われる艦影を発見したが、スコールによって邪魔をされ、4時間追跡したが結局見失った。11月7日にアグリハン島沖に戻り、11月8日には貨物船を発見したが、どうもQシップではないかと思われたため、スコーピオンはその場を去った。その後この海域は悪天候が続き、なかなか敵船を発見できなかった。しかし、11月13日になって北緯18度22分、東経142度50分のパガン島近海で、3隻の護衛艦がついた特務艦知床を発見し雷撃。魚雷は知床のボイラー室に命中し航行不能となった。護衛艦が威嚇のために爆雷攻撃をしてきたが、それ以上には攻撃してこなかった。スコーピオンは11月14日にはロタ島近海、15日にはサイパン島近海で哨戒をした。しかし、依然として悪天候は収まらず、11月22日に2隻の護衛艦がついた輸送船を発見し16時間も追跡したものの、結局攻撃できなかった。スコーピオンは53日間の行動を終えて真珠湾に帰投した。
12月29日、スコーピオンは4回目の哨戒で東シナ海、黄海方面に向かった。1944年1月3日にミッドウェー島に到着して給油を行った後、担当海域に向かった。1月5日の朝、スコーピオンは乗組員の一人が上腕を骨折したため、哨戒から帰還途中で付近にいたハーリング (USS Herring, SS-233) への移乗を要求した。その日の午後に2隻は合流したが、荒天のため移乗は行えなかった。スコーピオンは予定は順調であることを報告したが、ハーリングと別れた後消息不明となる。2月16日、スティールヘッド (USS Steelhead, SS-280) はスコーピオンと思しき潜水艦に接近しており、付近に敵の潜水艦がいると警告された[1]。
日本軍にはスコーピオンが戦闘の結果失われたという記録はなかった。しかしながら、スコーピオンが消息不明となった海域は、黄海の入り口を横切るいくつかの機雷敷設区域であった。これらの機雷敷設区域と「制限区域」の存在は、後に接収した日本軍の航路情報の中から発見された。1943年5月21日付で、この海域に機雷を敷設する命令が出されており、実際に朝鮮半島南西部から158海里にも及ぶ機雷礁が構築されていた[2]。しかし一方で、いくつかの潜水艦はこの海域で偵察を行い、機雷敷設区域を横切り何事もなく帰還していた。実際、スコーピオン自身も2回目の哨戒でこの海域を航行しているし、タング (USS Tang, SS-306) もこの海域を航行した。これらの機雷敷設区域では機雷の密度が薄く、潜水艦に対しては最高でも1割程度の脅威にしかならず、時間の経過と共に機雷の有効性が減少していた可能性が高い。スコーピオンは機雷が敷設された直後、あるいは機雷の密度が一番高かったときに失われたのではないかと考えられる。スコーピオンは作戦活動の犠牲となったのかもしれないが、偵察海域の水深は浅く、何名かの乗組員が生存していたのではないかと考えられる。しかしながら生存者の情報は存在しないため、最も合理的な仮定はスコーピオンが触雷して沈没したということになる。後に、エスカラー (USS Escolar, SS-294)もこの海域で失われたと判断されることとなった。
スコーピオンは第二次世界大戦の戦功で3個の従軍星章を受章した。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 横須賀防備隊 大東亜戦争戦時日誌 自昭和十八年四月 至昭和十八年五月（昭和18年4月1日～昭和18年5月31日 横須賀防備隊戦時日誌（1）） アジア歴史資料センター レファレンスコード：C08030376400
- 自昭和十八年四月一日 至昭和十八年四月三十日 北方部隊哨戒部隊戦時日誌 第二十二戦隊司令部（昭和17年12月1日～昭和18年5月31日 第22戦隊戦時日誌（6）） アジア歴史資料センター レファレンスコード：C08030071600
- Theodore Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II" Naval Institute press、ISBN 0-87021-731-3
- 財団法人海上労働協会編『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、1962年/2007年、ISBN 978-4-425-30336-6
- 防衛研究所戦史室編『戦史叢書46 海上護衛戦』朝雲新聞社、1971年
- 防衛研究所戦史室編『戦史叢書62 中部太平洋海軍作戦<2> 昭和十七年六月以降』朝雲新聞社、1973年
- Clay Blair,Jr. "Silent Victory The U.S.Submarine War Against Japan" Lippincott、1975年、ISBN 0-397-00753-1
- 木俣滋郎『敵潜水艦攻撃』朝日ソノラマ、1989年、ISBN 4-257-17218-5
[編集] 外部リンク
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