ソーフィッシュ (潜水艦)

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艦歴
発注:
起工:	1942年1月20日
進水:	1942年6月23日
就役:	1942年8月26日
退役:	1946年6月26日
除籍:	1960年4月1日
その後:	スクラップとして廃棄
性能諸元
排水量:	1,526トン（水上） 2,424トン（水中）
全長:	307ft (93.6m)（水線長） 311ft 9in (95m)（全長）
全幅:	27.3 ft (8.3 m)
吃水:	15.3 ft (4.6 m)
機関:	フェアバンクス・モース38D8 1/8型9気筒6,500馬力ディーゼルエンジン 4基 ゼネラル・エレクトリック2,740馬力発電機 2基
最大速:	水上：20.25 ノット (37 km/h) 水中：8.75 ノット (16 km/h)
航続距離:	11,000カイリ（10ノット時） （19 km/h 時に 20,000 km）
試験深度:	300ft (90m)
巡航期間:	潜航2ノット (3.7 km/h) 時48時間、哨戒活動75日間
乗員:	士官6名、兵員54名
兵装:	3インチ砲1基、21インチ魚雷発射管10基、機銃4基

ソーフィッシュ (USS Sawfish, SS-276) は、アメリカ海軍の潜水艦。ガトー級潜水艦の一隻。艦名はノコギリエイに因む。

目次 1 艦歴 1.1 第1・第2の哨戒 1.2 第3・第4・第5・第6の哨戒 1.3 第7・第8・第9・第10の哨戒 1.4 戦後 1.5 脚注 2 関連項目 3 参考文献 4 外部リンク

[編集] 艦歴

ソーフィッシュは1942年1月20日にメイン州キタリーのポーツマス海軍造船所で起工した。1942年6月23日にアメリカ合衆国初の女性上院議員ハッティー・ワイアット・キャラウェイによって命名、進水し、1942年8月26日に艦長ユージン・T・サンズ少佐の指揮下就役する。ソーフィッシュはポーツマス沖とナラガンセット湾で整調後、パナマ運河を経由して1943年1月21日に真珠湾に到着した。

[編集] 第1・第2の哨戒

1月31日、ソーフィッシュは最初の哨戒で日本の本州海域に向かった。哨戒中に何隻かの船を攻撃してそれらを撃沈あるいは損傷を与えたと判断した。しかし、戦後日本側及びアメリカ側の資料を注意深く確認すると、ソーフィッシュは最初の哨戒では日本船に対しては戦果を挙げることができず、逆に2月17日朝に、当時は中立の立場にあったソ連の貨物船イルメン (Ilmen。2,369トン) とコラ (Kola。4,994トン) を撃沈してしまった^[1]。サンズは最初、ソ連船舶旗を見て「日本がソ連船舶旗を掲げてソ連船に成りすましている」と思っていたが、撃沈後に次々と現れる4隻のソ連貨物船を見てそうではないことを悟った^[2]。イルメンとコラ以外は旗をきっちり確認したので見逃した。誤認撃沈の後の2月21日には、沖大東島沖で特務艦大瀬を攻撃して撃沈と判断したが、大瀬は小破にとどまった^[3]。3月6日には都井岬沖で陸軍輸送船くらいど丸（南洋海運。5,497トン）を撃破し^[4]、帰途途中の3月20日には特設監視艇を撃沈した^[5]。3月25日、ソーフィッシュは53日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投した。
4月15日、ソーフィッシュは2回目の哨戒で再び本州海域に向かった。5月5日、ソーフィッシュは北緯24度5分、東経137度35分の地点で白海丸（北日本汽船。2,921トン）を撃沈した。2週間後には、4月18日に戦死した連合艦隊司令長官山本五十六の遺骨を載せ横須賀に向かっていた戦艦武蔵などから成る日本の艦隊に接近するが、悪天候の中見失ってしまった。6月6日、ソーフィッシュは53日間の行動を終えて真珠湾に帰投した。

[編集] 第3・第4・第5・第6の哨戒

6月30日、ソーフィッシュは3回目の哨戒で東シナ海に向かった。7月21日夜、ソーフィッシュは北緯30度54分、東経125度15分の上海東方370キロ地点でヒ03船団を発見した。ソーフィッシュは西阿丸（大阪商船。6,658トン）に対して雷撃し、船尾に魚雷を命中させた。ソーフィッシュはこれを撃沈と判断したが、西阿丸は船尾甲板まで沈め船首を突き出しながら浮いており、後に曳航され修理を受け沈没は免れた。7月27日には、福江島大瀬崎西方80キロ地点で別の輸送船団を発見し、ソーフィッシュは魚雷を4本発射した。輸送船を狙ったつもりだったが、目標の輸送船は回避した。しかし、逸れた魚雷が護衛の敷設艇平島に命中し轟沈させた。ソーフィッシュは反撃を恐れて1時間もの間潜伏していたが、潜望鏡深度に戻ったときには輸送船団は影も形もなかった。8月10日、ソーフィッシュは41日間の行動を終えて真珠湾に帰投した。
9月10日、ソーフィッシュは4回目の哨戒で歴戦の雄ワフー (USS Wahoo, SS-238) とともにオホーツク海を経て日本海に向かった。計画では、9月20日ごろに宗谷海峡を通過して日本海に侵入し、予定の期日を過ぎたら攻撃を開始する手はずとなっていた。ソーフィッシュは日本海で18日間哨戒し、18隻もの貨物船に遭遇した。うち7回攻撃のチャンスがあり、僚艦のワフー艦長ダドリー・ウォーカー・モートンの要請で搭載された新型のマーク18型電池魚雷を発射したが、性能が不安定でありいずれも命中しなかった。10月16日、ソーフィッシュは36日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投した。帰投後、ソーフィッシュの今回の哨戒は総じて失敗であったと判断されたが、その原因に関しては、レポートではマーク18型電池魚雷に原因があるとしており、レポートは「マーク18型電池魚雷は、実用で満足できるようになるまでかなりのテストと試験射撃が必要である」と締めくくられた^[2]。また、僚艦のワフーはついに帰らなかった。
11月1日、ソーフィッシュは5回目の哨戒で小笠原諸島方面に向かった。12月8日、ソーフィッシュは父島近海で海軍徴用船山西丸（大連汽船。3,266トン）を撃沈した。12月19日、ソーフィッシュは48日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投し、サンフランシスコのハンターズ・ポイント海軍造船所でオーバーホールに入った。また、艦長がアラン・B・バニスターに代わった。オーバーホールは1944年の春先には完了し、真珠湾に回航された。
4月8日、ソーフィッシュは6回目の哨戒で本州海域に向かった。4月25日と4月29日にそれぞれ単独航行している貨物船を発見し、攻撃距離が申し分なかった前者に対し攻撃した。ソーフィッシュでは撃沈と判断したが、日本側の記録に該当する船舶がなく、戦後記録は削除された。5月27日、ソーフィッシュは49日間の行動を終えてマジュロ環礁に帰投した。

[編集] 第7・第8・第9・第10の哨戒

6月22日、ソーフィッシュは7回目の哨戒でロック (USS Sawfish, SS-276) 、タイルフィッシュ　(USS Tilefish, SS-307) とウルフパックを組んでルソン海峡方面に向かった。7月18日にタンカーを攻撃した後、ウルトラ情報により、付近を遣独潜水艦作戦から帰還途中の伊29が通過することが判明し、予想針路に近かったソーフィッシュ以下のウルフパックにその捕捉が命じられた。7月25日に一度は伊29を発見したが見失い、追跡の上翌7月26日に再び発見した。16時45分、ソーフィッシュは伊29に向けて魚雷を4本発射して命中させ、1942年9月15日に空母ワスプ (USS Wasp, CV-7) を撃沈した名艦長木梨鷹一やドイツからの数々の貴重物資もろとも葬り去った。その後は船団を発見し追跡したが徒労に終わった。8月15日、ソーフィッシュは55日間の行動を終えて真珠湾に帰投した。
9月9日、ソーフィッシュは8回目の哨戒でドラム (USS Drum, SS-228) 、アイスフィッシュ (USS Icefish, SS-367) とウルフパックを組んでルソン海峡方面に向かった。10月9日、ソーフィッシュは北緯19度30分、東経116度38分のルソン島北西端ボヘヤドール岬西北西232海里地点でタンカー橘丸（日本油槽船。6,539トン）を撃沈した。この頃、第38任務部隊がフィリピン攻略支援で台湾や南西諸島を叩くべく接近しており、ソーフィッシュは第38任務部隊機の援護任務を命じられた。10月16日、ソーフィッシュは小さなゴムボートで数日間も飲まず食わずで日よけもないまま漂流していたパイロットを救助した。救助後、シャーク (USS Shark, SS-314)、シードラゴン (USS Seadragon, SS-194)、ブラックフィッシュ (USS Blackfish, SS-221) からなる別のウルフパックと、それとは別の行動をとっていたスヌーク (USS Snook, SS-279) が合流してきた。10月23日、ソーフィッシュは折からの悪天候の中を航行中のマタ30船団を発見した。ソーフィッシュは元特設水上機母艦君川丸（川崎汽船。6,863トン）に対して雷撃。魚雷は船尾に1本命中しただけだったが、君川丸はあっけなく沈没していった。マタ30船団に対する攻撃では、君川丸を含め合計9隻の貨物船・輸送船を撃沈する戦果を挙げたが、シャークが駆逐艦春風の反撃を受けて撃沈されており、100パーセントの完勝劇とは行かなかった。11月8日、ソーフィッシュは58日間の行動を終えてマジュロ環礁に帰投し、艦長がダグラス・H・プーグに代わった。
12月17日、ソーフィッシュは9回目の哨戒で台湾近海に向かった。前回の一時期と同様に、この哨戒でも主に航空部隊の救助任務に当たった。1945年1月21日、ソーフィッシュはパイロットを1名救助することに成功した。2月4日、ソーフィッシュは47日間の行動を終えてグアム島アプラ港に帰投した。
3月10日、ソーフィッシュは10回目の哨戒で南西諸島方面に向かった。この哨戒でも沖縄戦の援護を行う第58任務部隊の救助任務が主任務となった。ソーフィッシュの担当海域に不時着機が来ることもなく、4月26日に47日間の行動を終えて真珠湾に帰投し、その後サンフランシスコに向かいベスレヘム・スチールでオーバーホールに入った。

[編集] 戦後

ソーフィッシュは終戦当日の8月15日に真珠湾へ向けて出航する。22日に真珠湾に到着するが直ちに西海岸へ帰投し、西海岸艦隊音響学校での訓練任務に従事する。ソーフィッシュは1946年の初めに再度真珠湾へ戻るが、3月22日に不活性化のためにサンフランシスコに帰投した。ソーフィッシュは1946年6月26日に退役し、メア・アイランド海軍造船所で1947年5月まで保管された後、海軍予備役訓練艦としてサンペドロで任務に従事した。1960年4月1日、ソーフィッシュは除籍され、スクラップとして廃棄された。

ソーフィッシュは第二次世界大戦の戦功で8個の従軍星章を受章した。

[編集] 脚注

1. ^ 船舶データはuboat.net Sawfish (SS-276)による
2. ^ ^{a b} Clay Blair,Jr. "Silent Victory"による
3. ^ The Official Chronology of the U.S. Navy in World War IIおよび伊達久「第二次大戦 日本海軍作戦年誌」による
4. ^ uboat.net Sawfish (SS-276)による。船舶データは『日本商船隊戦時遭難史』による
5. ^ uboat.net Sawfish (SS-276)による

[編集] 関連項目

• アメリカ海軍艦艇一覧

[編集] 参考文献

• Theodore Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II" Naval Institute press、ISBN 0-87021-731-3
• 財団法人海上労働協会編『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、1962年/2007年、ISBN 978-4-425-30336-6
• Clay Blair,Jr. "Silent Victory The U.S.Submarine War Against Japan" Lippincott、1975年、ISBN 0-397-00753-1
• 駒宮真七郎『続・船舶砲兵』出版協同社、1981年
• 駒宮真七郎『戦時輸送船団史』出版協同社、1987年、ISBN 4-87970-047-9
• 木俣滋郎『敵潜水艦攻撃』朝日ソノラマ、1989年、ISBN 4-257-17218-5
• 伊達久「第二次大戦 日本海軍作戦年誌」『写真 日本の軍艦14 小艦艇II』光人社、1990年、ISBN 4-7698-0464-4
• 木俣滋郎『日本潜水艦戦史』図書出版社、1993年、ISBN 4-8099-0178-5
• 松井邦夫『日本・油槽船列伝』成山堂書店、1995年、ISBN 4-425-31271-6
• 新延明/佐藤仁志『消えた潜水艦イ52』日本放送出版協会、1997年、ISBN 4-14-080307-X
• 野間恒『商船が語る太平洋戦争 商船三井戦時船史』私家版、2004年

[編集] 外部リンク

• history.navy.mil: USS Sawfish
• hazegray.org: USS Sawfish
• navsource.org: USS Sawfish
• Sinkings by boat: USS Sawfish
• uboat.net Sawfish (SS-276)

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