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クローカー (潜水艦) - Wikipedia

クローカー (潜水艦)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

艦歴
発注:
起工: 1943年4月1日
進水: 1943年12月19日
就役: 1944年4月21日
退役: 1968年4月2日
除籍: 1971年12月20日
その後: ニューヨーク州バッファローで博物館船として公開
性能諸元
排水量: 1,526トン(水上)
2,424トン(水中)
全長: 307ft (93.6m)(水線長)
311ft 8in (95m)(全長)
全幅: 27.3 ft (8.3 m)
吃水: 15.3 feet (4.6 m)
機関: ゼネラル・モーターズ278A16気筒ディーゼルエンジン 4基
ゼネラル・エレクトリック発電機2基
最大速: 水上:20.25 ノット (37 km/h)
水中:8.75 ノット (16 km/h)
航続距離: 11,000カイリ(10ノット時)
(19 km/h 時に 20,000 km)
試験深度: 300ft (90m)
巡航期間: 潜航2ノット (3.7 km/h) 時48時間、哨戒活動75日間
乗員: 士官6名、兵員54名(平時)
士官、兵員80 - 85名(戦時)
兵装: 3インチ砲1基、21インチ魚雷発射管10基

クローカー (USS Croaker, SS/SSK/AGSS/IXSS-246) は、アメリカ海軍潜水艦ガトー級潜水艦の一隻。艦名は鳴き声を上げるスズキ目の魚類の総称に因む。

目次

[編集] 艦歴

クローカーは1943年4月1日にコネチカット州グロトンエレクトリック・ボート社で起工する。1943年12月19日にW・H・P・ブランディ夫人によって進水し、艦長ジョン・E・リー少佐の指揮下1944年4月21日に就役する。ニューロンドンを出航したクローカーは、年6月26日に真珠湾に到着した。

[編集] 第1の哨戒

7月19日、クローカーは最初の哨戒で東シナ海および黄海に向かった。8月7日12時過ぎ、クローカーは長崎の真南、樺島の近海で駆潜艇と対潜哨戒機に護衛され航行をしていた軽巡洋艦長良を発見した。クローカーは魚雷を4本発射したが、長良がジグザグ航行で転舵したため、魚雷は逸れたと半ば諦めかけていた。ところが、2分後に長良が元の進路に戻ってきたため、少なくとも1本は命中することとなった。12時22分に魚雷1本が長良の右舷後方に命中。クローカーは長良の左舷側に転じ、12時40分に再び魚雷を1本、長良の中央部に命中させた。長良は艦首を上にして間もなく沈没し、クローカーはその様子を潜望鏡越しにカラームービーで撮影した[1]。8月14日、北緯37度30分、東経125度8分の地点で特設砲艦第七大源丸(名村汽船。1,289トン)を撃沈し、8月16日には北緯36度15分、東経125度50分の地点で特設掃海艇太東丸(西日本汽船。267トン)を撃沈した[2]。8月17日にも北緯35度33分、東経126度10分の地点で山照丸(山下汽船。6,862トン)を撃沈した[3]。クローカーは、これら一連の功績で海軍殊勲部隊章を受章することとなった。この哨戒の後半では小笠原諸島に対する第58任務部隊の救助任務に従事した。8月31日、クローカーは43日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投し、修理に従事した。

[編集] 第2・第3・第4・第5・第6の哨戒

9月23日、クローカーは2回目の哨戒でエスカラー(USS Escolar, SS-294)、パーチ(USS Perch, SS-313)とウルフパックを組んで黄海に向かった。10月9日、クローカーは北緯32度20分、東経128度58分の地点で神喜丸(栗林商船。2,211トン)を撃沈し、10月23日にも朝鮮半島南西岸海域で白蘭丸(白洋汽船。887トン)を撃沈した。10月24日には済州島西岸北方沖でモマ06船団を追跡し、4時ごろに月山丸(日本海汽船。4,515トン)の船尾に魚雷を命中させ大破させた後[4]、4時30分には御影丸(武庫汽船。2,741トン)に魚雷を命中させ撃沈した。魚雷が無くなったため帰投することとし、ミッドウェー島を経て11月10日に48日間の行動を終えて真珠湾に帰投し、弾薬と燃料を補給した上で修理を受けた。また、艦長がウィリアム・B・トーマスに代わった。
12月13日、クローカーは3回目の哨戒でソーフィッシュ(USS Sawfish, SS-276)、アスプロ(USS Aspro, SS-309)とともにウルフパックを組んでルソン海峡南シナ海に向かった。この哨戒では敵艦と遭遇することはなかったが、1945年に入りリンガエン湾上陸に先立って行われた、第38任務部隊第7艦隊によるルソン島への攻撃に対しての救助支援任務に従事することとなった。2月12日、クローカーは60日間の行動を終えてフリーマントルに帰投したあと修理を受けた。
3月12日、クローカーは4回目の哨戒でインドシナ半島、南シナ海へ向かった。この哨戒では修理のため、2度ほど細かい修理のためにフリーマントルに一時帰還することもあったが、4月22日に42日間の行動を終えてスービック湾に帰投したあと修理を受けた。
5月15日、クローカーは5回目の哨戒でジャワ海に向かった。5月30日、クローカーはジャワ海で護衛艦を伴った3隻のタンカーと思しき船のいる輸送船団を攻撃。特設駆潜艇研海丸(日本海洋漁業。89トン)に護衛された2隻のシャトルボートを撃沈した[5]。6月5日、クローカーは22日間の行動を終えてフリーマントルに帰投した。
7月1日、クローカーは6回目の哨戒でからまで行われ、南シナ海と香港沖で日本本土に対する空襲部隊の救助支援を担当する。8月13日に47日間の行動を終えてスービック湾に帰投したクローカーは、サイパン島を経て帰国の途に就く。テキサス州ガルベストン経由でニューロンドンに到着し、1946年5月15日に退役、大西洋予備役艦隊入りする。

[編集] 戦後

1951年5月7日に再就役したクローカーは、ニューロンドンで訓練艦としての任務に従事した。1953年3月18日に予備役となり、ポーツマス海軍造船所で対潜潜水艦への転換が行われる。1953年4月9日に SSK-246 (対潜潜水艦)へ艦種変更され、1953年12月11日に再就役する。1954年2月に現役復帰し、クローカーは東海岸及びカリブ海で活動、1957年と58年にはNATOの演習に参加しイギリスの港を訪問した。クローカーは1959年8月に再び SS-246 に艦種変更される。1960年2月に特別潜水艦演習が行われ、再びイギリスを訪れる。9月にクローカーは地中海スエズ運河を経由し様々な中東の港及びパキスタンカラチを訪問した。12月半ばにニューロンドンに帰還する。1967年5月に AGSS-246 (実験潜水艦)に艦種変更され、1968年4月2日に退役する。クローカーは1971年12月20日に除籍され、同月に IXSS-246 (雑役潜水艦)に艦種変更された。1988年以降クローカーはニューヨーク州バッファローのバッファロー・エリー郡海軍軍事公園で博物館船として公開される。

クローカーの6度の哨戒のうち、第1、第2、第5、第6が成功として記録された。クローカーは第二次世界大戦の戦功で3個の従軍星章を受章し、撃沈した艦艇の総トン数は19,710トンに上る。

[編集] 脚注

  1. ^ 長良に関する記述等でしばしば掲載されている「沈み行く長良」の写真は、このときに撮影されたものに他ならない
  2. ^ The Official Chronology of the U.S. Navy in World War IIによる。船舶データは林寛司、戦前船舶研究会「特設艦船原簿」「日本海軍徴用船舶原簿」による
  3. ^ 『日本商船隊戦時遭難史』では、同船は1944年8月24日に同地点で触雷沈没
  4. ^ 月山丸は、この後済州島に曳航された上で放棄
  5. ^ The Official Chronology of the U.S. Navy in World War IIによる。船舶データは林寛司、戦前船舶研究会「特設艦船原簿」「日本海軍徴用船舶原簿」による。シャトルボートの仔細は不明だが、恐らく交通艇か何かと考えられる

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献

  • Theodore Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II" Naval Institute press、ISBN 0-87021-731-3
  • 財団法人海上労働協会編『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、1962年/2007年、ISBN 978-4-425-30336-6
  • Clay Blair,Jr. "Silent Victory The U.S.Submarine War Against Japan" Lippincott、1975年、ISBN 0-397-00753-1
  • 木俣滋郎『日本水雷戦史』図書出版社、1986年
  • 駒宮真七郎『戦時輸送船団史』出版協同社、1987年、ISBN 4-87970-047-9
  • 木俣滋郎『敵潜水艦攻撃』朝日ソノラマ、1989年、ISBN 4-257-17218-5
  • 林寛司、戦前船舶研究会「特設艦船原簿」「日本海軍徴用船舶原簿」『戦前船舶 第104号』戦前船舶研究会、2004年
  • 田村俊夫「5500トン型軽巡「長良」の兵装変遷の定説を正す全調査」『歴史群像太平洋戦史シリーズ51 帝国海軍 真実の艦艇史2』学習研究社、2005年、ISBN 4-05-604083-4
  • 松井邦夫『日本商船・船名考』海文堂出版、2006年、ISBN 4-303-12330-7

[編集] 外部リンク


ガトー級潜水艦

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