ガードフィッシュ (潜水艦)
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艦歴 | |
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発注: | |
起工: | |
進水: | 1942年 1月20日 |
就役: | 1942年 5月8日 |
退役: | 1946年 5月24日 |
除籍: | 1960年 6月1日 |
その後: | 1961年 10月10日標的艦として沈没 |
性能諸元 | |
排水量: | 水上:1,526トン(1,550トン) 水中:2,424トン(2,460トン) |
全長: | 水線長 93.6m(307フィート)、全長95 m(311フィート9インチ) |
全幅: | 8.3 m (27.3フィート) |
吃水: | 5.9 m(19.3フィート) |
最大速 | 水上:20.25 ノット (37 km/h) 水中:8.75 ノット (16 km/h) |
機関: | ゼネラル・モーターズ 278A16気筒 ディーゼルエンジン4基、ゼネラル・エレクトリック 発電機2基 |
航続距離: | 11,000 カイリ (20,000 km) 10ノット (18.5 km/h) 水上 |
試験深度: | 91.4 m (300フィート) |
巡航期間: | 潜航2ノット (3.7 km/h) 時48時間、哨戒活動75日間 |
乗員: | 士官、下士官兵70人 (平時), 80-85人 (戦時) |
兵装: | 21インチ魚雷発射管10基(艦首6基、艦尾4基)魚雷装填数24本 3インチ砲1基、12.7mm機関砲2基、7.62mm機関砲2基 |
ガードフィッシュ (USS Guardfish, SS-217) は、アメリカ海軍の潜水艦。 ガトー級潜水艦 の6番艦。同名のアメリカ海軍艦艇としては最初の艦である。 艦名は北米大陸に生息する緑色と銀色の細長い胴体に狭くとがったあごを持つ貪欲な魚パイクに由来する。
目次 |
[編集] 艦歴
ガードフィッシュは艦隊型潜水艦としてコネチカット州グロトンのエレクトリック・ボート社で 1942年1月20日起工された。同年5月、エドワード・J・マーカート夫人によって進水、ニューロンドン海軍潜水艦基地においてトーマス・B・クラークリング少佐の指揮下就役した。
[編集] 1942年8月 - 11月
ニューロンドンでの整調を終え、6月28日にガードフィッシュは基地を離れパナマ運河を通過して真珠湾へと向かった。真珠湾には7月25日に到着する。1942年8月6日に最初の哨戒任務に就き、これまで偵察が行われていなかった日本の本州東北海域への哨戒を行った。ガードフィッシュは8月22日にはトロール船を、8月24日には金華山港沖で貨物船盛海丸(3,114トン)を撃沈した。これが最初の戦果となる。
9月2日、輸送船団を発見したガードフィッシュは護衛艦をかいくぐって進み、9月3日開明丸を雷撃、撃沈した。知多丸(2,376トン)は、港の中に逃れて投錨したが、被弾し着底した。9月15日、改装を受けるためガードフィッシュは任務成功のうちにミッドウェー島に帰還した。
二週間後の9月30日、ガードフィッシュは二度目の哨戒任務で東シナ海に向かった。10月19日に哨戒機に発見されるも、猛追を乗り切って10月21日には台湾北で七隻からなる輸送船団を船団散開の隙を突いて攻撃した。この攻撃で4000トン級と6,362トンの貨物船二隻を撃沈し、日本海軍の追跡を振り切って11月28日真珠湾に帰還した。この二度にわたる哨戒任務での傑出した戦果によってガードフィッシュは殊勲部隊章を受けた。
[編集] 第3回、第4回、第5回の哨戒任務
ガードフィッシュは1943年1月2日、次なる作戦のため真珠湾を出港して日本の制海権下にあるトラック島海域に移動した。12日にはカビエン西で日本の警備艇を、翌日には1,300トン級の貨物船を撃沈した。 23日には艦尾からの雷撃によって駆逐艦羽風を撃沈している。その後ラバウル南方に移動し輸送船団を攻撃したが、護衛艦の反撃を受けて撃退されている。 かくしてガードフィッシュの3回目の哨戒任務は終了し、2月15日にオーストラリアのブリスベーンに帰着した。
4度目の哨戒任務はビスマルク諸島、ソロモン諸島、ニューギニアの海域で3月9日から4月30日まで行われたが、戦果はなかった。
5月25日には五回目の哨戒任務でブリスベーンを出港し哨戒艇鈴谷丸を撃沈した。しかし6月13日空母艦載機の攻撃によって損傷した。7月14日、ブーゲンビル島西岸に測量団を陸揚げした後、8月2日ガードフィッシュはブリスベーンに帰還した。
[編集] 第6回、第7回の哨戒任務
1943年8月24日、ガードフィッシュは6回目の哨戒任務のためブリスベーンを出航した。ブーゲンビルの探察チームを上陸させた後は直ちに潜航した。10月8日には5,460トンの貨物船鹿島丸を撃沈する。続いてラバウルに赴き2日間にわたる空襲の間、救助員船として待機した。1943年11月3日、ガードフィッシュはブリスベーンに帰着し6回目の哨戒任務を終える。
1943年12月27日、ガードフィッシュはトラックとガダルカナルを結ぶ補給ラインに移動し、7回目の哨戒任務に就いた。1944年1月14日には給油艦けんよう丸(10,024トン)を撃沈した。2月1日には日本の輸送船団を攻撃し護衛駆逐艦海風を撃沈した。この後ガードフィッシュは救助員船としての任務を務めた後、2月18日に真珠湾に入港し、9日後に修理のためにサンフランシスコに帰還した。
[編集] 第8回、第9回の哨戒任務
1944年6月1日、ガードフィッシュは再びサンフランシスコから真珠湾に到着した。 スレッシャー (USS Thresher, SS-200)、ピラーニャ (USS Piranha, SS-389)、アポゴン (USS Apogon, SS-308)の3隻からなるウルフパック「ミッキーフィン」に加わわる。司令官のオリガン大佐はガードフィッシュに座乗した。このウルフパックは台湾周辺の航路を哨戒し、多大な成果を挙げた。
ガードフィッシュは7月17日に5,863トンのまんたい丸、2,838トンの貨物船ひざん丸、5,215トンのじんさん丸を台湾南西海域で撃沈した。翌7月18日には別の貨物船を破損させ、さらに19日、5,872トンのていりゅう丸を撃沈し31日、改装のためミッドウェイに帰着した。ガードフィッシュはこれら8回目の哨戒における傑出した戦果によって2個目の殊勲部隊章を受賞した。
8月23日、ガードフィッシュは再びウルフパックのメンバーとして出撃した。9月2日に、ガードフィッシュと僚艦スレッシャー、サンフィッシュ (USS Sunfish, SS-281)はサンパンとの40分にわたる砲撃戦を展開した。9月25日には、日本海で873トンの貨物船宮川丸を攻撃して撃沈し10月24日、真珠湾に帰還した。
[編集] 第10回、第11回、第12回の哨戒任務
1944年11月26日、ガードフィッシュは10回目の哨戒任務のためウルフパックを編成し南シナ海に出動した。 この哨戒任務においては全く成果はなかった。1945年1月24日の早朝には薄暮の暗闇に乗じてグアムに接近したが、日本の伊号潜水艦に発見され、アメリカの引揚げ船エキストラクター (ARS-15)を誤射雷撃して撃沈させた。誤射は直ちに判明し、ガードフィッシュは救助活動に転じた。結果エキストラクターの79人の乗組員のうち73人を救助に成功したが、6人は救助できなかった。翌々日1月26日にグアムで哨戒任務を終了した。
1945年2月27日、ガードフィッシュは11回目の哨戒にサイパンから出動した。この任務は本州と四国の間の紀伊水道を通って瀬戸内海に後退する敵艦隊を待ち構えることに費やされたが、1945年4月11日ミッドウェイに戻るまで、敵艦は全く見つけられなかった。しかし3月19日には撃墜されたパイロット2名を救助した。
1945年5月8日、ガードフィッシュは12回目、最後の哨戒任務にミッドウェイから出動した。その主な任務は日本本土空襲に向かい撃墜されたパイロットの救助船としてのものだった。しかし6月16日には砲撃で底引網漁船(日本海軍に徴用された船と思われる)を撃沈している。この哨戒での戦果はこれだけだった。6月26日、ガードフィッシュは真珠湾に帰港し任務を終了した。
[編集] 戦後
ガードフィッシュはハワイに帰還すると、1945年8月25日まで水上艦による最新の対潜水艦戦戦術訓練を支援した。その後9月12日にパナマ運河を通過し9月16日にニューオーリンズに到着する。ガードフィッシュは11月6日にニューロンドンに到着し、同所で1946年5月25日に退役する。
ガードフィッシュは1948年6月18日までニューロンドンで不活性状態のまま海軍予備役訓練艦として保管された。その後余剰艦と認定され、1960年6月1日に除籍される。第二次世界大戦で最も輝かしい戦果を挙げた潜水艦の一隻である本艦は、新型潜水艦の水雷標的として最後の任務に就いた。ドッグフィッシュ(USS Dogfish, SS-350)とブレニー(USS Blenny, SS-324)の雷撃により、ガードフィッシュは1961年10月10日に海没処分となった。 ガードフィッシュは第二次世界大戦の戦功で11個の従軍星章を受賞している。1、2、3、5、6、7、8、9および11回目の哨戒任務が成功とみなされた。
ガードフィッシュの艦名は後にパーミット級原潜ガードフィッシュ(USS Guardfish, SSN-612)に引き継がれた。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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