ジャック (潜水艦)
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艦歴 | |
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発注: | |
起工: | |
進水: | 1942年10月16日 |
就役: | 1943年1月6日 |
退役: | 1946年6月8日 |
除籍: | 1967年9月 |
その後: | 1958年4月21日にギリシャ海軍へ貸与 1967年9月5日に標的艦として海没処分 |
性能諸元 | |
排水量: | 1,526トン(水上) 2,424トン(水中) |
全長: | 311.8 ft (95.0 m) |
全幅: | 27.3 ft (8.3 m) |
吃水: | 15.3 ft (4.6 m) |
機関: | ホーヴェン=オーエンス=レントシュラー(H.O.R.)5,400馬力ディーゼルエンジン 4基 (換装後)ゼネラル・モーターズ278A16気筒ディーゼルエンジン 4基 ゼネラル・エレクトリック2,740馬力発電機 2基 |
最大速: | 水上:20.25 ノット (37 km/h) 水中:8.75 ノット (16 km/h) |
航続距離: | 11,000カイリ(10ノット時) (19 km/h 時に 20,000 km) |
試験深度: | 300ft (90m) |
巡航期間: | 潜航2ノット (3.7 km/h) 時48時間、哨戒活動75日間 |
乗員: | 士官6名、兵員54名 |
兵装: | 3インチ砲1基、21インチ魚雷発射管10基 |
ジャック (USS Jack, SS-259) は、アメリカ海軍の潜水艦。ガトー級潜水艦の一隻。艦名は様々な魚の名であるジャックに因む。
目次 |
[編集] 艦歴
ジャックはコネチカット州グロトンのエレクトリック・ボート社で起工する。1942年10月16日にフランシス・シーリー夫人によって進水し、艦長トーマス・M・ダイカース少佐の指揮下1943年1月6日にニューロンドンで就役する。ジャックはニューイングランド沿岸で整調後、4月26日にニューロンドンを出航し太平洋での任務に入る。ジャックは5月21日に真珠湾に到着し、補給を受けた。
[編集] 第1・第2の哨戒
6月5日、ジャックは最初の哨戒で日本の本州沖に向かった。6月26日未明、ジャックは八丈島沖で5隻から成る船団を発見。艦首と艦尾の発射管を使って攻撃し、特設運送艦の東洋丸(沢山汽船。4,163トン)と彰山丸(山本汽船。5,857トン)を撃沈し、さらに護衛の特設敷設艇高千穂丸(南貿汽船。342トン)に対しても魚雷を3本発射したが、これは交わされてしまった。最初のうちは、部下に潜望鏡越しに沈む船を見せていたダイカースも、高千穂丸が反撃しつつあるのを確認して避退行動に入った。しかし、高千穂丸の投じた爆雷がジャックの至近で爆発し、ジャックの艦体は大きく揺さぶられた。ジャックは何とか態勢を立て直して船団になおも食らいつき、翌6月27日21時過ぎには浜松沖で高千穂丸に向けて再度魚雷を計5本発射したが、命中しなかった。この頃には、高千穂丸の応援に駆けつけた敷設艇浮島などもジャックを攻撃し、ジャックは潜望鏡1本とレーダー、エンジンを損傷し重油も流出させたが、何とか危機を脱した。7月4日には、北緯34度33分、東経138度37分の御前崎沖で日久丸(日産汽船。6,529トン)に対して魚雷3本を発射し命中、これを撃沈した。7月19日、ジャックは40日間の行動を終えて真珠湾に帰投した。
9月5日、ジャックは2回目の哨戒で日本の本州海域に向かったが、戦果が挙がらなかった。それとは別に、「H.O.R.エンジン搭載艦は1隻残らず、暫時エンジンを換装するように」という合衆国艦隊司令長官兼海軍作戦部長アーネスト・キングの命令により、予定を切り上げて帰投することとなった。10月10日、ジャックは30日間の行動を終えて真珠湾に帰投し、ただちにメア・アイランド海軍造船所に回航されて、GM社製278A16気筒エンジンに換装した。ダイカースは後年、「H.O.R.エンジンのせいで、30隻から40隻もの日本船が保たれた」と回想している[1]。
[編集] 第3・第4の哨戒
1944年1月16日、ジャックは3回目の哨戒で南シナ海に向かった。この海域はさすがに重要船団や重要船が多かった。2月19日3時58分ごろ、北緯14度34分、東経114度11分の地点で、ジャックの見張員が何かを発見した。よく確認すると、それは日本に向けて北上するヒ40船団で、5隻のタンカーと3隻ぐらいの護衛艦がいると判断された。ジャックはタンカー船団に接近しつつ、相手の隊列が2列縦隊であることを確認し、よいポジションを占めるべく行動した。4時42分、ジャックは射点に就き、魚雷を4本発射。うち2本がタンカー南栄丸(日東汽船。5,019トン)に命中し大爆発を生じさせ撃沈した。もう2本はジャックからは死角になっていて見えなかったが、別のタンカー国栄丸(日東汽船。5,155トン)に命中し撃沈した。護衛の海防艦占守がこちらに向かう気配を見せたためジャックは避退し、第二撃をかけるべく準備を急いだ。やがて日が昇りつつある頃、船団の姿がはっきり見えるようになった。ジャックは昼に浮上し、速力を上げて250キロもの距離を移動して船団の前方で潜航し、待ち伏せをした。3時間後、ジャックは船団を再度発見し、それから1時間経った18時49分、ジャックは北緯15度46分、東経115度57分の地点で2隻のタンカーに対して魚雷を4本発射。魚雷はタンカー一洋丸(浅野物産。5,106トン)と日輪丸(昭和タンカー。2,762トン)に命中し2隻とも沈没していった。ジャックは1時間後に浮上し、残った目標を追い求めたがついに発見できなかった[2]。3月13日、ジャックは51日間の行動を終えてフリーマントルに帰投した。
4月6日、ジャックは4回目の哨戒で南シナ海に向かった。4月25日朝、ジャックは北緯18度6分、東経119度40分のルソン島沿岸で、ニューギニアに増援部隊を送る竹船団を発見。この船団は15隻の輸送船と13隻の護衛艦で構成された大規模な船団であった。ジャックはこのうちの1隻である第一吉田丸(山下汽船。5,425トン)に魚雷2本を命中させて撃沈した[3]。4月27日には、砲火でトロール船を撃沈。5月10日、ジャックは35日間の行動を終えてフリーマントルに帰投し、艦長がアーサー・E・クラプフに代わった。
[編集] 第5・第6の哨戒
6月4日、ジャックは5回目の哨戒で南シナ海に向かった。ジャックはルソン島沿岸部に向かい、6月25日早朝、北緯16度9分、東経119度41分の地点でマニラから出てきたマタ23船団を発見した。左舷側から攻撃し、タンカーさんぺどろ丸(三菱汽船。7,268トン)に魚雷を命中させた。魚雷命中で大火災を発したさんぺどろ丸は、一晩燃えて沈没していった。6月30日には、北緯14度30分、東経119度43分のマニラ湾西方180キロ地点で、折からの悪天候の中をサイゴンからマニラに向けて米を輸送していたサマ08船団を発見した。ジャックは船団に対し3度の攻撃を仕掛け、3時12分に鶴島丸(山下汽船。4,652トン)に魚雷を3本命中させて撃沈。1時間後の4時22分には、松川丸(川崎汽船。3,832トン)にも魚雷を4本命中させて撃沈した。7月14日、ジャックは39日間の行動を終えてフリーマントルに帰投し、ジャックのここまでの戦績に対して殊勲部隊章が授与された。
8月6日、ジャックは6回目の哨戒でセレベス海方面に向かった。8月29日未明、ジャックは北緯2度15分、東経123度29分のセレベス島マナド近海で輸送船団を発見し、月が没するのを待って攻撃した。まず護衛の第28号掃海艇を撃沈し、次に輸送船を攻撃した。しかし、このとき発射した魚雷は命中しなかった。他の護衛艦が押し寄せてくる気配を見せたので、ジャックはうまく立ち回って第二撃を敢行し、2時48分にめき志こ丸(大阪商船。5,785トン)を撃沈した[4]。9月24日、ジャックは48日間の行動を終えてフリーマントルに帰投し、艦長がアルバート・S・ファーマンに代わった。
[編集] 第7・第8・第9の哨戒
10月27日、ジャックは7回目の哨戒で南シナ海に向かった。11月14日から15日にかけて、ジャックはインドシナ半島沿岸でミ25船団を発見、追跡した。潜水艦が行動するには条件がよいとは言えない海域ながら攻撃を仕掛けた。15日未明、まず日永丸(日本郵船。5,397トン)の左舷に魚雷を命中させて撃沈。日永丸の後方を航行中の第二勇山丸(山本汽船。6,930トン)にも魚雷を命中させて撃沈した。この頃には日本の南方航路は黄昏に大きく傾いており、必死に日本へ向かう船にもっと出会ってもよさそうであったが、この哨戒ではこれ以上の戦果を挙げることはなかった。ジャックは真珠湾への帰還を命じられ、12月27日に58日間の行動を終えて真珠湾に帰投し、サンフランシスコに回航されてオーバーホールに入った。
ジャックはオーバーホールが終わると、1945年4月1日に真珠湾に戻ってきた。4月26日、ジャックは8回目の哨戒で日本の本州沖に向かった。しかし、最初の哨戒のときとは違い、この頃の日本では大方の船舶は姿を消し、残った船も大半は稼動不能状態に陥っていた。そういうこともあり、この哨戒での主な任務は機動部隊やB-29のパイロットを救助するというものであった。6月18日、ジャックは51日間の行動を終えてグアム島に帰投した。
7月12日、ジャックは9回目の哨戒で台湾近海に向かい、8月15日に日本が降伏するまでパイロットの救助を主な任務とした。戦争終了後の8月29日、ジャックは48日間の行動を終えてミッドウェー島に帰投した。
[編集] 戦後・ギリシャ海軍で
ジャックは9月5日に帰途に就き、真珠湾とパナマ運河地帯を経由して10月3日にニューヨークに到着する。1946年6月8日にニューロンドンで退役し、大西洋予備役艦隊入りする。ジャックは1957年12月20日に再就役し、短期間の訓練の後1958年4月21日にギリシャ海軍へ貸与された。ジャックはアンフィトリティ (HHMS Amfitriti, S-17) と改名され、1967年まで活動した。その後ギリシャより返還されたジャックは1967年9月5日に第6艦隊の演習で標的艦として地中海に沈められた。
ジャックの総撃沈トン数は76,687トンに上る。ジャックは第二次世界大戦の戦功で7個の従軍星章と殊勲部隊章を受章した。第2と第9を除く全ての哨戒が成功として記録された。
[編集] 脚注
- ^ Clay Blair,Jr. "Silent Victory"による
- ^ Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II"では、ジャックは浮上後に5番目の目標を追跡し、22時33分に目標を撃沈したことになっているが、ヒ40船団の残存船であるタンカー南邦丸(飯野海運。10,033トン)と浅間丸(日本郵船。16,975トン)が攻撃を受けたのは、2月23日に台湾沖においてであり、攻撃したのはグレイバック(USS Grayback, SS-208)である
- ^ The Official Chronology of the U.S. Navy in World War IIなどアメリカ側の記録では、ジャックはこの攻撃で、うゑいるず丸(川崎汽船。6,586トン)を撃破したということになっているが、駒宮真七郎『戦時輸送船団史』では、竹船団加入船の中にうゑいるず丸の名前は見出せなかった
- ^ 『日本商船隊戦時遭難史』では、めき志こ丸の沈没日は8月21日となっているが、ここではアメリカ側の記録および野間恒『商船が語る太平洋戦争』によった
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- 自昭和十八年六月一日 至昭和十八年六月三十日 伊勢防備隊戦時日誌(昭和18年6月1日~昭和18年6月30日 伊勢防備隊戦時日誌(1)) アジア歴史資料センター レファレンスコード:C08030417600
- Theodore Roscoe "United States Submarine Operetions in World War II" Naval Institute press、ISBN 0-87021-731-3
- 財団法人海上労働協会編『復刻版 日本商船隊戦時遭難史』財団法人海上労働協会/成山堂書店、1962年/2007年、ISBN 978-4-425-30336-6
- Clay Blair,Jr. "Silent Victory The U.S.Submarine War Against Japan" Lippincott、1975年、ISBN 0-397-00753-1
- 駒宮真七郎『戦時輸送船団史』出版協同社、1987年、ISBN 4-87970-047-9
- 木俣滋郎『敵潜水艦攻撃』朝日ソノラマ、1989年、ISBN 4-257-17218-5
- 伊達久「第二次大戦 日本海軍作戦年誌」『写真 日本の軍艦14 小艦艇II』光人社、1990年、ISBN 4-7698-0464-4
- 野間恒『商船が語る太平洋戦争 商船三井戦時船史』私家版、2004年
[編集] 外部リンク
- history.navy.mil: USS Jack
- navsource.org: USS Jack
- hazegray.org: USS Jack
- Sinkings by boat: USS Jack
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