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リバイバルトレイン - Wikipedia

リバイバルトレイン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

リバイバルトレインとは、ある鉄道事業者が過去に運行していた列車を現実に再現する形で運転するものを指す。復活運転ともいう。ただし、往時の車両が現存しないことやダイヤグラム・費用などの問題から必ずしも忠実には再現されないことが多い。また、現存する列車であってもかつて使用していた車両を使用するということでリバイバルトレインとした例もある。

キハ181系「リバイバルやくも」(2002年3月30日撮影)
キハ181系「リバイバルやくも」(2002年3月30日撮影)

目次

[編集] 歴史

リバイバルトレインの元祖は、日本国有鉄道(国鉄)が慢性的な赤字に苦しみ、様々な増収策を打ち出していた1970年代にさかのぼる。どれが元祖であるかという特定は困難であるが、その一つの例としては1973年昭和48年)に小海線で実施されたC56形蒸気機関車による旅客列車の復活運転が挙げられる[1]。これは熱心なファンの活動が国鉄当局を動かし、稼働状態で残っていたC56形による旅客列車を再現したものであった。小海線のC56形は1972年まで稼働したが、旅客列車は早い時期に気動車に置き換えられたため、消滅して10年以上が経過していた。特定の列車のリバイバルというよりは「C56形が牽引する旅客列車」というイメージの再現であったが、後述するようなオリジナルの車両と異なるケースをも「リバイバルトレイン」と称する状況を考慮すれば、立派なリバイバルトレインであったということができる。

明確に、特定の列車のリバイバルとして運行された最も早い例は、1981年(昭和56年)7月に戦前戦後の国鉄代表列車「つばめ」を東海道本線東京駅大阪駅間で「栄光の列車つばめ」と称して復活運転したものだった。しかし、客車は往時のものが残存していなかったため14系を用いたが、食堂車まで営業し、さらには機関車に実際使用していたEF58形(61号機)を用いた。翌1982年(昭和57年)には「つばめ」の姉妹列車である「はと」も運転した。

その後、東海道・山陽本線を中心に「へいわ」(初代、東京駅~大阪駅間のもの)、「うずしお」(初代、大阪駅~宇野駅間、485系を使用)などが1984年(昭和59年)頃までに運転されたが、次第に目新しさがなくなったことや国鉄の分割民営化が具体的な日程に乗り、そうした列車を設定する余裕がなくなったこともあり、一旦姿を消した。

そして、1997年平成9年)10月1日長野新幹線の開業に伴う信越本線碓氷峠区間(横川~軽井沢間)の廃止から間もない翌11月東日本旅客鉄道(JR東日本)が上越新幹線新潟~大宮間開業15周年・JR東日本発足10周年(同新潟支社が主体)を記念して「懐かしのとき」(新潟→上野間)や12月の「懐かしの佐渡」(新潟~上野間)を復活運転したあたりから再びブームが起こり、引き続き翌年の1998年4月には東海旅客鉄道(JR東海)が身延線開業70周年を記念して急行「富士川」、「身延線115系(ワインレッド色)」、同年7月には東日本旅客鉄道(JR東日本)高崎支社主体で「ゆけむり」(使用車種は169系)、翌8月には同水戸支社主体で常磐線開業100周年を記念して「おもいでのひたち」が復活運転された。さらに翌年の1999年4~5月には同横浜支社主体で「あまぎ」、翌年の2000年(平成12年)12月には「さよなら20世紀踊り子」(使用車種は14系座席車)が復活運転された。また、その前の同年2000年(平成12年)8月では今度は西日本旅客鉄道(JR西日本)が山陽新幹線博多開業25周年を記念して新大阪駅博多駅間で「はと」(団臨)、同12月に東日本旅客鉄道(JR東日本)高崎支社主体で「懐かしの特急あさま」(熊谷~横川間)の 復活運転が行われた。それ以降は東海旅客鉄道(JR東海)を除くJR5社がこれを熱心に行うようになった(これらについては下記の「過去のリバイバルトレインの例」を参照)。「みちのく」「ひばり」や「やくも」「鷲羽」などが該当する。その後は165系など形式の全廃が迫った車両の「お別れ運行」を兼ねたものや信越本線あさま」のように運行されていた路線の一部区間が廃止(この場合は碓氷峠の区間)・第三セクター鉄道(この場合はしなの鉄道線)へ転換されたものであっても直通運転・バス連絡を行うなどして運転を実現させた列車も生まれた。上記以前でもJR東海において快速「メモリアルひだ」や「メモリアル南紀」(ともに団臨、使用車種はキハ82系)やJR東日本のリバイバル気動車急行シリーズとして「あがの」「羽越」「あさひ」「野沢」「ひめかわ」「奥只見」「しらゆき」(団臨)(以上同新潟支社主催)、「もがみ」(多客臨『快速』)「べにばな」(団臨)(同仙台支社主催)、「懐かしの野沢」「懐かしの白馬」(多客臨普通車定員制)(同長野支社主催)、「なつどまり」(一部区間『快速』)「陸中」(同盛岡支社主催)、「奥久慈」(同水戸支社主催)、JR北海道では「天北」(1999年8月)、「ましけ」「るもい」「なよろ」(キハ56系引退記念団臨)(2000年8月)、「宗谷」「利尻」「ニセコ」(団臨)(2000年12月)、JR四国では「いよ」「土佐」「阿波」「むろと」「うわじま」「あしずり」「よしの川」、JR西日本では「わかさ」「きのくに」「白兎」「但馬」「能登路」「白馬」、JR九州では「日田」(団臨)「はんだ」(団臨)「くまがわ」(多客臨『快速』)の運転実績がある。

なお、ダイヤグラムを組む際に定期列車が多く設定されている区間ではそれらの運行が優先されるため、待避・長時間停車が多く発生し、往時よりは所要時間がかなり順延することも多い。また、撮影する鉄道ファンの人数が多いため、運転保安上などの観点から沿線の主要場所に警備員や鉄道運転業務関連の係員などを臨時に配置する場合がある。

また、リバイバルトレインといっても実際には所縁がない線区・車両で運行した例もある。例えば、2004年(平成16年)にJR東日本が東京駅~名古屋駅間で「つばめ」を復活運転しているが、それに用いられたのは東海道本線の名古屋以東で定期運転の実績がない583系だった。これらは車両のみ当時のイメージのみを再現したというべきものである。

キハ181系「うずしお」(2002年11月2日、徳島駅にて撮影)
キハ181系「うずしお」(2002年11月2日、徳島駅にて撮影)

逆に、「うずしお」のように過去にJR四国色の車両の運転はあったが、国鉄色の車両で運転された経験は一切ない場合でも、過去を彷彿させる経路に組み込ませることにより、「もしかしたら当時実現していたかも知れない」といった趣旨での運転がなされることもある。

また、JR東日本盛岡支社の運行する臨時列車秘境駅号」も、リバイバルの冠はないがキハ52系+キハ58系の国鉄色で運行されており、実質的なリバイバルトレインとなっている例である。

これらの列車は、団体専用列車扱いで運転され市販の時刻表に掲載されないものと、臨時列車として運転して指定席券などを一般販売し、時刻の掲載を行うものとがある。後者については早い段階で指定席が売り切れる場合も多く、中には増結を実施した例もある。一方、通勤形車両(当初から特別料金を徴収しない列車で使用されている車両)によるリバイバルトレインは団体専用列車とする場合もあるが、単なる自由席・予約不要の臨時列車として運転することもある。

これまで運転されたリバイバルトレインの中で最も長い距離を走行したのは、2004年(平成16年)2月に、翌3月13日九州新幹線開業に伴い西鹿児島駅が鹿児島中央駅に改称するのを記念して運転された西鹿児島駅~(鹿児島本線経由)~東京(品川)駅間の団体専用列車『思い出のはやぶさ号』(約1,500km)と東京(品川)駅~(日豊本線経由)~西鹿児島駅間の団体専用列車『懐かしの富士号』(約1,600km)で、どちらも一時期は日本最長距離列車だったものを復活運転し、しかも東日本・東海・西日本・九州と4つの旅客鉄道会社を跨いで走るという壮大なスケールのリバイバル列車であった。

京成3200形の運用離脱を記念して運転されたリバイバル「開運号」(2007年1月28日撮影)
京成3200形の運用離脱を記念して運転されたリバイバル「開運号」(2007年1月28日撮影)

なお、私鉄においては、国鉄・JRと比較して愛称を冠した優等列車が少なく、またそのような列車は看板列車となることが多いために列車そのものが廃止となることが少ない。このため、リバイバル運転は後述の「リバイバル塗装」を施した編成を用意し、この車両を用いた特別列車運行の形をとることが多い。この場合、厳密には「車両のリバイバル」であって「列車そのもののリバイバル」ではない。私鉄におけるリバイバル列車としては、名古屋鉄道で2001年7月から9月にかけて、八百津線の廃線に合わせてかつて犬山線から八百津線に直通運転を行っていた「蘇水湖号」のリバイバル運転(ただし、この時点で同路線は非電化となっていたため、この時の列車は直通せず、リレー方式で行われた。)や、京成電鉄で2007年1月28日3200形の運用離脱に伴うリバイバル塗装編成を用いてかつて同形式で運転されていた特急「開運号」のリバイバル運転を行ったことなどが挙げられる。これらはいずれもさよなら運転を目的として行われたものである。一方、小田急電鉄では2002年のファミリー鉄道展の際に1999年に廃止された「さがみ」「あしがら」の2列車のリバイバル運転を行っているが、こちらはイベント会場への臨時列車に過去の列車名を冠するにとどまっており、列車を再現するという意味でのリバイバル列車とは呼び難い。なお、「さがみ」という列車名はその後2004年12月11日のダイヤ改正から定期列車として復活を果たしている。

[編集] リバイバル塗装

上記のリバイバル列車は、過去に運転されていた列車を臨時列車として復刻運転するもののことを指すが、塗装変更の行われている車両をかつて纏っていた塗装(旧塗装と呼ばれるもの)へ意図的に戻して運転している場合があり、これも「かつての姿を再現する」という意味では広義の「リバイバルトレイン」と言うことができ(国鉄色も参照のこと)、リバイバル塗装リバイバルカラー復活塗装などと呼ばれている。これらのリバイバル塗装は、アニバーサリーイベントのような記念行事の一環として行われたり、車両の運転終了時に登場時や最盛期を再現するために行われたり(さよなら運転参照)、あるいは単純にファンや旅行客の誘致を目的として行われる。リバイバル塗装を施した編成はリバイバル列車あるいは記念の臨時列車として運転されることが多いが、大抵はその後通常の定期列車として運用に入ることが多い。

小田急ロマンスカーSE就役50周年記念・7000形LSE旧塗装(2007年11月28日、祖師ヶ谷大蔵駅にて撮影)
小田急ロマンスカーSE就役50周年記念・7000形LSE旧塗装(2007年11月28日、祖師ヶ谷大蔵駅にて撮影)

記念行事としてのリバイバル塗装としては、JRでは2000年にJR九州がミレニアムイベントとして485系475系415系キハ66系など同社の所有する主要な国鉄型車両を1編成ずつ国鉄標準色に復元したことが代表的な例として挙げられる。翌2001年にはJR東日本勝田電車区(現・勝田車両センター)の415系も常磐線の電化40周年を記念して国鉄交直流電車の標準色(通称「赤電」塗装)に塗り戻された。また、新幹線においても2007年東北上越新幹線開業25周年を記念してリニューアル編成の200系が緑と白を基調とした開業時の塗装に塗り戻されて記念列車を運転しているが、2008年6月からはJR西日本が0系の数編成を青と白を基調とした開業時の塗装に塗り戻される予定がある。

大手私鉄においても、東武鉄道東上線の開業90周年を記念した8000系のリバイバル塗装や、京阪電気鉄道2003年2006年に二度行われている1900系特急色、小田急電鉄において2007年にロマンスカーSE車の就役50周年を記念した7000形(LSE)のオリジナル塗装など、リバイバル塗装は数多く見られる。また、このタイプのリバイバル塗装では、復刻しようとする車両が既に全車営業運転を終了しており、旧来の塗装を纏っていたことのない車両にリバイバル塗装を施すことで当時の再現を図るケースも見られる。2001年10月に西武鉄道が実施した旧塗装(通称「赤電」)のリバイバル編成においては、本来赤電塗装を纏ったことのない101系にリバイバル塗装を施したが、車体形状がほぼ等しい801系の赤電時代をよく再現したリバイバル編成となった。一方、帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)では銀座線1997年の開業70周年と2007年の開業80周年を、また2004年丸ノ内線の開業50周年をそれぞれ記念して01系02系に開業時の塗装を模したラッピングを施した編成を運転したが、こちらは外観形状のまるで異なる車両に対する塗色のみのリバイバルであり、当時のイメージを再現するといった意味合いのものである。

湘南色に塗り戻された新前橋区165系によるさよなら列車(2003年6月29日、吹上~行田間にて撮影)
湘南色に塗り戻された新前橋区165系によるさよなら列車(2003年6月29日、吹上~行田間にて撮影)

さよなら運転に伴うリバイバルもJR・私鉄を問わず多く見られる。JRにおいては、2002年新前橋電車区(現:高崎車両センター)に所属していた165系3本9両が同区のオリジナルカラー(通称「モントレー色」)から国鉄直流急行色に復元された。これはJR東日本での165系の営業運転終了に合わせたさよならイベントの一環であり、同年から2003年にかけて関東地方の各線で同車両を使用したリバイバル列車やさよなら列車が多数運転された。大手私鉄においても2000年の東急7200系、2003年の小田急2600形、2007年の京成3200形など運用離脱前に登場時の塗装に復元するリバイバル塗装は数多く見られる。2003年に行われた相模鉄道新6000系のリバイバル塗装も、公式には相模鉄道創業85周年を記念したリバイバル塗装ではあるが、時期的にさよなら運転の意味合いも強いものであるといえる。

一方、ローカル線区においては、過去に主力として運用されていた車両が都市部や幹線からの撤退後も運用を続けているケースが多く、このような路線では一旦地方の独自カラーで運用させていたものを一般色に塗り戻す、という例が見られる。多くは昭和40年代前後の国鉄の再現を狙ったものだが、これらの中には近年の旅行ブーム・レトロブームにあやかり、鉄道ファンのみならず一般の観光客をもターゲットにしている場合もある。このタイプの復元塗装はその性質上、地方線区の気動車に対して施されることが多く、JR東日本盛岡車両センターやJR西日本北陸地域鉄道部のキハ58・52形などが代表的な例といえる。

国鉄標準色に復元されて運転されている茨城交通(現・ひたちなか海浜鉄道)キハ205(元国鉄キハ20)(2007年4月8日、金上~中根間にて撮影)
国鉄標準色に復元されて運転されている茨城交通(現・ひたちなか海浜鉄道)キハ205(元国鉄キハ20)(2007年4月8日、金上~中根間にて撮影)

また、地方私鉄の中には国鉄・JRをはじめとする他の会社線で使用されていた車両を購入して運転している会社線が少なくないが、そのような会社線において、一旦自社独自のカラーリングに塗装した車両を購入元の塗色に塗り戻し、本来の姿を再現することにより同様の効果を狙っているケースも存在する。この典型例がひたちなか海浜鉄道(旧・茨城交通)で、国鉄キハ20系およびその同型車を多数保有する同社ではこれらの車両を赤・肌色もしくは青・肌色の2種類の国鉄標準色をはじめとする様々な塗装に塗り戻して運転している。現在では水島臨海鉄道などが同様にキハ20系の塗り戻しを行っており、これらの各社で国鉄標準色の同形式を見ることができる。島原鉄道でも見ることができたが、路線短縮による運用減で当該車両がすべて運用離脱した。また、東急5000系(初代)を譲受して使用している熊本電気鉄道では同形式が譲渡された他社線から完全撤退した後の2004年に自社カラーから東急時代の緑色に塗り戻して運転している。この他大井川鐵道広島電鉄などでも、譲渡前の塗装に塗り戻す・あるいはそのままの塗装で運転しているケースが存在する。

[編集] 鉄道以外の例

海外では旅客機でもリバイバル塗装が行われることがあり、ルフトハンザドイツ航空アメリカン航空などが旧塗装を復刻した旅客機を運航している。

[編集] 過去のリバイバルトレインの例

[編集] 国鉄→JRグループ

左から運転日、列車名、運転区間、使用車両の順に記載。

[編集] 2001年

[編集] 2002年

[編集] 2003年

[編集] 2004年

[編集] 2005年

  • 2月11日12日 『懐かしの特急新雪号』 上野駅~石打駅間 183系
  • 3月10日・19日・20日・26日・4月2日 『ひかり号』 新大阪駅~博多駅(博多総合車両所)間 0系(旧ウエストひかり色)
  • 3月26日・27日 急行『さよなら能登路号』 金沢駅~蛸島駅間 キハ58系
  • 6月19日26日 急行『リバイバル白馬号』 金沢駅南小谷駅間 キハ58系+キハ52形(首都圏色)
  • 10月9日11月13日 快速『懐かしのくまがわ号』 熊本駅~人吉駅間 キハ58系(JR九州色)
  • 10月15日16日 『懐かしの特急白山号』 上野駅~横川駅間 489系(JR西日本車)

[編集] 2006年

  • 8月26日 『リバイバル白山号』 金沢駅~長野駅間 489系(JR西日本車)
  • 9月23日 急行『リバイバルくずりゅう』 金沢駅~米原駅間 475系
  • 12月2日 『リバイバルおおとり号』 旭川駅→伊達紋別駅間 (伊達紋別駅→函館駅間は「函館クリスマスファンタジー号」) キハ183系
  • 12月3日 『リバイバル北海号』 函館駅→旭川駅間

[編集] 2007年

[編集] 2008年

[編集] 民鉄

左から運転日、路線名、列車名、運転区間の順に記載する。

[編集] ギャラリー(リバイバル列車)

[編集] ギャラリー(リバイバル塗装)

[編集] 脚注

  1. ^ 列車の愛称は「SLのべやま号」。同年7月15日から9月23日までの毎週日曜日中込駅小淵沢駅間でC5694号機を使用して運行された。

[編集] 関連項目


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