営団02系電車
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営団02系電車(えいだん02けいでんしゃ)は、1988年(昭和63年)に登場した東京地下鉄(旧・帝都高速度交通営団)丸ノ内線用の通勤形電車。
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[編集] 車両の特徴
銀座線用の01系をベースに設計・製造したため、外観や性能も同系に酷似したものとなっている。車体がアルミニウム製で、片側3扉である点も同様である。
ただし、銀座線に比べて丸ノ内線の方がトンネル断面を拡大しているぶん車両限界も大きいため、01系の全長16m・幅2,600mmに対して本系列は全長18m・幅2,830mmと一回り大きくなっている。
走行機器や性能は01系に準じている。丸ノ内線においても本系列への統一と保安装置のCS-ATC化に伴い、最高速度は従来の65km/hから75km/hに引き上げられた。
乗務員室内の内装は緑色、運転台筐体は紺色である。乗務員室と客室の仕切りには前面窓と同じような割合で窓が設置されていて、遮光幕は大窓と乗務員室扉窓の2箇所で使用し、フロントガラスが緩い曲面ガラスなので映り込み対策で残りの右側の窓は曇りガラスを使用している。
初期に落成した編成は、丸ノ内線内でトンネル冷房を実施していることから01系初期編成と同様に非冷房車だったが、1990年度から営団が車両冷房を実施する方針に転換したため、新製時から冷房装置を搭載した編成と冷房改造した編成が混在している。ただし、改造編成は01系より製造開始が遅かったことから第1~7編成のみで、側面上部に通風口を塞いだ跡があり、容易に判別できる。
制御装置は、第1~19編成が高周波分巻チョッパ制御、第20~53編成と第81~86編成がIGBT素子によるVVVFインバータ制御である。
[編集] 車体外観
- 丸ノ内線のラインカラーであるスカーレット(赤色)の帯が入っている。
- ラッシュ時に赤坂見附駅で銀座線と乗り間違えるのを防ぐため、本線用車両は扉上部に赤帯が巻かれている[1]。
- 方南町支線用の80番台編成(3両編成)は誤乗防止のために黒帯が入り、また扉上部の帯がないことから01系により近い風貌となっている。また、ワンマン運転対応車でもある。
[編集] 運用と編成
全編成が中野検車区所属である。
- 本線
- 6両編成(CTMTMMCT)53本(318両)
- 方南町支線(80番台)
- 3両編成(CMMCT)6本(18両)
[編集] 旅客への情報提供
[編集] 車外向け
- 第1~12編成と80番台は字幕式、第13~53編成はLED式の行先表示器を両方の先頭車前面に設置。1編成あたり計2台で、側面には設置していない。
- 方南町支線用編成は、側面の中央ドアの上部に中野坂上~方南町間の運行であることを示すステッカーを貼付している。
- 車外スピーカーと乗降促進音(メロディ)を搭載している。
[編集] 車内向け
- 自動放送装置を搭載している。
- 客室内の乗降ドア上部に現在の位置およびその電車の終点を表示する路線図式案内表示器を設置した。1次車の第1~4編成では冷房搭載まで終点ではなく開くドアの位置を表示をしていた[2]。これは本線用編成のみで、方南町支線用編成では新製時には省略されていた。なお、1996年5月28日開業の西新宿駅対応時には第1~30編成が交換されたほか、第31~53編成は製造当初から対応(隙間の設置)されており、同駅開業時に駅名を表記した透明ステッカーを貼付した。現在第8編成は全ドア上部配置、それ以外は千鳥配置となっている。また、千鳥配置編成の路線図は駅ナンバリングに対応したものに交換されているが、最近置き換えられた編成は路線のナンバリングも併記された路線図に交換されている。一方で全ドア上部配置編成の路線図も営団から東京メトロへの移行時に駅名部分を駅ナンバリング付きのものに置き換えているが、急速に置き換えるため、こちらは上から駅ナンバリングが印刷されたステッカーが貼付されたのみである[3]。東京メトロへの移行から2005年3月までは全編成がこの仕様だった。これは後述するワンマン改造の際に千鳥配置編成と同様の仕様に交換されている。
- 路線図式の案内表示器は丸ノ内線本線と方南町支線の全駅が横並びに表示され、「この電車の行先は■(赤ランプが点灯する)で示します」と隅の方に書かれている。これによると、本線用6両編成では池袋・茗荷谷・後楽園・御茶ノ水・銀座・四谷三丁目・新宿三丁目・新宿・中野坂上・新中野・荻窪・中野富士見町・方南町行の列車が設定できるようになっている。このうち、御茶ノ水・銀座・四谷三丁目・新宿三丁目・新中野は事故などの不具合があった場合にしか使用されない。前述した通り、第1~4編成は登場時から冷房を搭載するまで現在のものとは異なり、路線図上で各駅の開くドアの位置を表示していた。
- 方南町支線用編成は、登場当初はすべてのドア上部中央がドアチャイムのスピーカーのみで、両端に路線図とSFメトロカードの広告ステッカーを貼付していたが、ワンマン運転対応によりLED式の案内表示器を設置した。
[編集] 主要諸元一覧
- 定員:先頭車124名/中間車136名(支線用135名)
- 制御方式:第1~19編成は高周波分巻チョッパ制御方式 、第20~53編成と方南町支線用はIGBT素子によるVVVFインバータ制御方式
- 自重:24.9~31.2t(チョッパ車)/23.1~28.4t(本線用VVVFインバータ車)/26.6~29.4t(方南町支線用VVVFインバータ車)
- 最大長:18,000mm
- 最大幅:2,830mm
- 最大高:3,495mm
- 車体構造:全アルミニウム合金製
- 電車線方式:直流600V 第三軌条方式
- 軌間:1,435mm
- 設計最高速度:80km/h
- 営業最高速度:75km/h(新CS-ATC)
- 起動加速度:3.0km/h/s(チョッパ車)/3.2km/h/s(VVVFインバータ車)
- 減速度:(常用)4.0km/h/s/(非常)5.0km/h/s
- 主電動機:120kW(チョッパ車、VVVF車共)
- 方南町支線用は編成中6台搭載とし、実質MT比を1:1に揃えている。
- ブレーキ方式:回生ブレーキ付き電空演算形電気指令式空気ブレーキ(保安・ブレーキ装置付き)、第8編成以外は方南町支線用を含め耐雪ブレーキ付き
- 列車保安装置:新CS-ATC
- 全線力行時手動運転・制動時自動運転(TASC制御方式)(訓練運転時を除く)
- 製造:日本車輌製造・川崎重工業・近畿車輛・東急車輛製造
[編集] 仕様一覧表
第1~12編成 | 第13~19編成 | 第20~53編成 | 第81~86編成 | |
---|---|---|---|---|
制御方式 | 高周波分巻チョッパ | IGBT素子VVVFインバータ | ||
主電動機出力 | 120kW | |||
起動加速度 | 3.0km/h/s | 3.2km/h/s | ||
行先表示器 | 字幕式 | LED | 字幕式 | |
運用線区 | 本線および支線(中野坂上-中野富士見町) | 支線のみ |
[編集] ワンマン運転への対応
- 本線用の編成はワンマン運転[4]およびホームドア設置準備工事のため、2005年(平成17年)3月から順次ワンマン運転に対応した改造が進められている。改造された編成は運転台が従来のマスコンハンドルとブレーキハンドルを別個にした横軸レバーのツーハンドル式からT字型ワンハンドル式(三菱電機製)に改造され、準備工事のままであった運転台のモニタ装置が本設された。これにより従来の車内放送に加えて優先席や携帯電話などの啓発放送がモニタ装置で選択することにより可能となった[5]。このモニタ装置は1分間何も操作しないと自動的に表示内容が消えるようになっている。その他、車内ドア上の案内表示器がそれまでの路線図式のみからLED式との千鳥配置に変更され、ホームドア設置により車体側面下部の車両番号表記が見えなくなるため車体側面上部にも車両番号が表記された。なお、方南町支線用の80番台編成は落成当初からマスコンはワンハンドル式を採用しており、2004年夏の同線のワンマン運転開始時に前面右側に「ワンマン」のステッカーを貼付した。
- ワンマン運転改造を施した第1~53編成は、前述の通り1・4・5番ドア上部の案内表示器が路線図式からLED式に置き換えられ、路線図式とLED式で交互に千鳥配置している。LED式の案内表示器は03系・05系(第40~43編成を除く)・06系・07系と同じタイプの1段表示で、次駅案内や行先表示の他に東京メトロからのお知らせなどが表示されるようになった。これに伴ってドアチャイムの音色が03系や05系などと同じものに、自動放送もワンマン運転に対応したものに変更された。なお、路線図式の案内表示器も駅ナンバリングに対応したものに変更されている。また、東京メトロ移行後も営団時代の音声のままで残っていた乗車促進放送も東京メトロの音声に変更された。
- 2007年9月から、第53編成を皮切りに運転台上部への駅到着・発車モニターが設置され、全編成完了している。
- また2007年12月より、第31編成にATO機能追加に伴う改造を実施、ATO出発ボタン・非常停止ボタン・ノッチ表示灯・TASC開放表示灯を追加し、併せて再開閉スイッチの撤去も行われた。2008年1月現在、他に第34・35・38編成の合計4編成が改造済である[6]。
- 2008年6月より、従来の乗車促進音に変わってメロディが導入されている。なおメロディ後の乗車促進放送も変更され、「ドアが閉まります。手荷物をお引きください・・・」となっている。
[編集] ラッピング車両
2003年(平成15年)末から、丸ノ内線の池袋~御茶ノ水間開業50周年を記念して第50編成に開業当時の車両(300形)の塗装のラッピングが施された。この編成は翌2004年(平成16年)1月24日に臨時列車に充当された後、2月25日から3月31日まで通常ダイヤに組み込まれて運転された。
[編集] 関連商品
[編集] 脚注
- ^ 銀座線用の01系には巻かれていない。
- ^ 開くドアの位置は更新後に両端に「このドアが開きます」のランプを設置した。それ以前はランプのみだった。
- ^ 同じく路線図式案内表示器の01系についても同様の対応がなされた
- ^ なお、2007年10月時点で東京地下鉄から丸ノ内線本線でワンマン運転を実施するかどうかの公式発表はない。
- ^ 現在は乗務する車掌により頻度は異なるが、適宜使用している。
- ^ この改造とは別に、空調装置の自動運転化改造も行われており、車掌業務の簡素化と運転士の負担を抑える意味では空調ボタンを操作する必要がないので、モニタ装置に次ぐワンマン化の準備とも言える。
[編集] 外部リンク
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