日本車輌製造
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種類 | 株式会社 | ||||
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市場情報 |
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略称 | 日本車両、日車 | ||||
本社所在地 | 456-8691 愛知県名古屋市熱田区三本松町1番1号 |
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電話番号 | 052-882-3316 | ||||
設立 | 1896年(明治29年)9月18日 | ||||
業種 | 輸送用機器 | ||||
事業内容 | 鉄道車両・橋梁・農業用プラントなどの製造・販売 | ||||
代表者 | 生島勝之(取締役社長) | ||||
資本金 | 118億1千万円 | ||||
売上高 | 875億5,400万円 (2007年3月期連結) | ||||
従業員数 | 1,778名(2007年4月1日現在) | ||||
決算期 | 3月 | ||||
主要株主 | 三菱東京UFJ銀行 4.87% 中央三井信託銀行 3.72% (2007年9月30日現在) |
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主要子会社 | 日車エンジニアリング・日車建設工事 | ||||
外部リンク | www.n-sharyo.co.jp | ||||
日本車輌製造株式会社(にっぽんしゃりょうせいぞう、英文社名:Nippon Sharyo, Ltd. )は、鉄道車両、特装車、基礎工事用建設機械、橋梁、農業用プラントなど、特に「大型」と呼ばれる分野をメインに生産を行う大手企業である。1996年より日本車両の呼称を使用している。略称は「日車」。
1896年に名古屋で創業した老舗である。本社は愛知県名古屋市熱田区。東京、名古屋両証券取引所の第1部に上場している(証券コード7102)。
目次 |
[編集] 事業所
鉄道車両、特装車の生産は愛知県豊川市の豊川製作所が担当する。NHK名古屋放送センタービル内にオフィシャルショップ・「日車"ゆめ"ステーション」がある。
かつては、鉄道車両の生産拠点として本社周囲に名古屋製作所(本店工場)と、埼玉県川口市(1934年に東京より移転、当時の住所は北足立郡芝村)に東京支店蕨工場があった。現在、名古屋工場の跡地には中日ハウジングセンターやKDDI熱田事業所(旧ツーカーセルラー東海・本社)、中京倉庫が立地している。東京支店蕨工場の跡地は川口芝園団地となっている。
[編集] 沿革
- 1896年(明治29年)9月 - 会社設立。
- 1920年(大正9年)4月 - 東京都墨田区の天野工場を買収、東京支店工場とする。
- 1934年(昭和9年)4月 - 東京支店工場を移転、蕨工場を新設。
- 1938年(昭和13年)6月 - 鳴海工場(現・鳴海製作所)を新設。
- 1949年(昭和24年)5月 - 東証、名証、大証にそれぞれ上場
- 1961年(昭和36年)10月 - 名古屋市港区に大江工場を新設。
- 1964年(昭和39年)7月 - 豊川工場(現・豊川製作所)を新設。
- 1970年(昭和45年)4月 - 茨城県古河市に大利根工場を新設。
- 1971年(昭和46年)3月 - 工場を製作所に改称。鉄道車両製作を豊川製作所へ統合。
- 1972年(昭和47年)3月 - 蕨製作所閉鎖。豊川製作所を「豊川蕨製作所」に改称。
- 1975年(昭和50年)6月 - 衣浦製作所を新設。
- 1983年(昭和58年)5月 - 名古屋製作所閉鎖。
- 1984年(昭和59年)11月 - 大江製作所閉鎖。
- 1996年(平成8年)4月 - 豊川蕨製作所を「豊川製作所」に改称。
- 1996年(平成8年)9月 - 創立100周年を迎え、企業活動上の呼称を「日本車両」とする。
- 2003年(平成15年) - 大証上場廃止
- 2004年(平成16年) - 日経225から除外される。
- 2005年(平成17年)6月 - 大利根製作所閉鎖、衣浦製作所に統合。
- 2007年(平成19年) - 国土交通省と旧日本道路公団の橋梁工事をめぐる談合事件をうけ、国土交通省より建設業法に基づき45日間の業務停止命令を受ける
[編集] 製品
創業以来、旧国鉄・私鉄・産業用向けに多くの鉄道車両を製作した実績を持つ。
なお、鉄道車両以外の分野、特に橋梁構造物、水門などの事業は近年の公共事業削減の影響を受け売上が減少、営業赤字となっている。
新分野への進出を目指しPCBの処理プラントを愛知県半田市内で試験運転していたがトラブルが相次いだため事業化を断念。2007年度に特別損失として35億7600万円を計上し、中間期(2007年9月)は大幅な赤字決算となった。
鉄道車両部門でも原材料の高騰の影響を受け、JR東海・西日本の「N700系特需」などにより受注残は過去最高となっているものの採算は低下しており2008年3月の通期決算でも赤字に陥る見込みであることが発表された。
[編集] 鉄道車両
- 新幹線:0系・100系・200系・300系・500系・700系・N700系・E2系など
- 国鉄・JR在来線:415系1500番台・103系・キハ281系・E351系・JR東海(一部車両を除き、ほぼ全形式を納入)・683系(「しらさぎ」編成)・キハ187系(2次車)・8000系・キハ200系・215系など
- 東京地下鉄:07系・08系・9000系など
- 東武鉄道:8000系など(ただし1971年の東京支店工場閉鎖以後取引なし)
- 東京都交通局:10-300形・6300形以外全て(東京支店製車は5000形まで、豊川製は6000形2次車以降)
- ゆりかもめ:7000系・7200系
- 横浜市交通局:3000R形
- 小田急電鉄:50000形「VSE」・30000形「EXE」・3000形・歴代ロマンスカー
- 京成電鉄:AE100形・3700形・新3000形など
- 新京成電鉄(新性能車全車):800形・8000形・8800形・8900形・N800形
- 北総鉄道(旧・北総開発鉄道):7000形(7002・7004編成のみ)・7300形(7318編成のみ)・7500形(7501編成を除く)
- 千葉ニュータウン鉄道:住宅・都市整備公団9000形電車・住宅・都市整備公団9100形電車
- 鹿島臨海鉄道(全車両):6000形気動車・KRD64形ディーゼル機関車など
- 京王電鉄:9000系・8000系など
- 名古屋鉄道(モンキーパークモノレール線・気動車を除き、車両をほぼ全面的に納入)
- 名古屋市交通局(全形式(5000形・5050形・N1000形・2000形・3000形・3050形・6000形・7000形)を納入。日立製作所と分担)
- 愛知環状鉄道:2000系
- 真岡鐵道:モオカ14形気動車(2次車以降)
- 遠州鉄道(全車両)
- 名古屋臨海高速鉄道1000形
- 大阪市交通局:21系・24系など
- 福岡市交通局:2000系(増備車)
- 西日本鉄道:1000形
- 松浦鉄道:MR-600形
- 長野電鉄:2000系(B編成廃車・C編成運用離脱)・0系(廃車)・10系(運用離脱)・初代1000系グループ1500形(廃車)
- 沖縄県営鉄道
- 路面電車
- 旧国鉄・私鉄・産業用向けディーゼル機関車
- 各種貨車
- 新交通システムVONA:山万ユーカリが丘線
- 愛知高速交通:100形(リニモ)
海外
- 台湾高速鉄道:700T型(一部)
- 台湾鉄路局:DR3100型、DR1000型、EMU700型(台湾車輛制)
- 台北捷運:C371型(381形一部、台湾車輛制)
- カルトレイン普通列車用客車
- シカゴ・Metra
- ブエノスアイレス郊外鉄道(後のメトロビアスS.A.):ウルキサ線電車
過去には以下の事業も行った。
- 地方私鉄用の標準型気動車、車体リニューアルなど(1960年代に多かった)
- 電気機関車(台数は少ないものの、EF58・EF65などの製作実績あり)
- 蒸気機関車(昭和時代ではD51・C11など貨物用が多い)
[編集] 日車型ガソリンカー
戦前のガソリンカーの製作では日本車両が圧倒的なシェアを占めており、鉄道省に先駆けて軽量車体を備える機械式18m級ガソリンカーを製作し、簡易式連結器や軽量自動連結器を独自開発するなど、技術面でも業界をリードしていた。鉄道省キハ36900形(=キハ41000形)も、日本車両の設計を基に開発されている。
- 芸備鉄道の各車→加悦鉄道キハ51・紀州鉄道キハ40801など
- 関東鉄道キハ82
- 筑波鉄道初代キハ300形→南武縦貫鉄道キハ103
- 江若鉄道の気動車各形式→キニ4・9形(川崎車輌との競作)など
- 加悦鉄道キハ101
- 中国鉄道の気動車各形式(加藤車両との競作)
[編集] 日車標準車体
昭和30年代に、地方私鉄の老朽化していた木造車や初期の半鋼製車の車体を更新する際に、日本車両が設計した標準車体を採用した私鉄が全国に存在した。
[編集] 日車ロマンスカー
日本車両製造で開発された、名鉄5000系電車に準じた車体や設備を持つ地方私鉄向けの車両をこう呼ぶことがある。
[編集] 日車式ブロック工法
小田急新3000形、京王9000系、京成新3000形とその同型車、名鉄300系、名古屋臨海高速1000形、横浜市営地下鉄3000形R・S、名古屋市交通局N1000形など、日本車両が設計幹事会社となって導入された私鉄の通勤電車では、側窓・ドア上の長い幕板を廃止し、構体のドア部分とそれ以外の部分を別々のブロックとして製作して結合するという工法で作られたものが多い。これらの低コスト軽量ステンレス車体は、鉄道ファンの間で“日車ブロック工法”などと呼ばれているが、正式名称ではなく、正しくは“日車式ブロック工法”[1]あるいは“日車式SUSブロック構体”[2]である。
JR東日本・東急車輛・川崎重工を中心としたE231系グループのステンレス製通勤電車や、日立製作所が開発したA-train(新工法のアルミ製電車)とともに、標準化された通勤電車の製造法である(通勤・近郊電車の標準仕様ガイドラインの項を参照)。
[編集] 車両輸送について
新製車両の出荷である甲種輸送を行う際は、豊川工場から専用線を通り豊川駅から飯田線を走り日本全国へ輸送される。甲種輸送を行うのは火曜日が多い。
新幹線など大型車両の場合は在来線を利用できないのでトラックなどで搬出される。以前は新幹線車両も車体と台車に分けて大物車に載せる乙種輸送ではあるが飯田線・東海道本線を鉄道で国鉄浜松工場まで輸送していた。
[編集] その他
- 三点式杭打ち機
- 可搬式ディーゼル発電機
- レインボーブリッジなど橋梁の構造物
- カントリーエレベータ
- 大型自走式キャリア
- 大型無人搬送設備
- LPガス大型タンクローリー、トレーラー、バルクローリー
- LPガス球形、横型タンク