A-train
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A-train(エートレイン)は、日立製作所が開発した鉄道車両の製造技術で、アルミニウム合金押し出し型材を構造材料に用いる。"A-train"という呼称は、Advanced・Amenity・Ability・Aluminumの「A」を取って名づけられた。
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[編集] 特徴
1. アルミ押し出し型材を用いたダブルスキン構体
- 初期のアルミ構体では、アルミ押し出し型材(以下、型材)製の骨組にアルミ薄板製の外板を溶接した骨組み構造を採用していた。これは鋼製の構体と同様な構造でもあった。その後外板の裏側に一体化した補強部材を持つ型材を用いたシングルスキン構造が開発され、溶接コストが削減されるとともに、車体の軽量化にも貢献した。
- さらにアルミ押し出し型材を中空箱型断面にしたものがダブルスキン構体である。側面や天井面が二重構造になることから車内の騒音を軽減する効果があるとともに、箱型内部に設けられたトラス構造(斜め方向の強度部材)により車体強度や軽量化に優れる。また、車体全長サイズの型材を使うため部材の点数が減り、接合に伴うコストを削減する効果も期待できる。
2. FSW溶接工法の採用
3. 自立型内装構造の採用
- 従来の鉄道車両の内装は、構体の完成後内側からアルミ化粧板材やFRP製の内装板をネジ止めなどで取り付けていく工法を採用しており、部品点数が多く作業時間も多く要した。また、内装工程は構体完成後でないと開始できないため、車両組み立ての総工期を短縮するには限界があった。
- A-trainでは、内装自身が自立できるモジュールとして独立に作られ、完成後構体の端部から差し込むようにして取り付けられる。構体には内装モジュールを支持するガイドレールが型材で形成されており、これで内装を前後方向にスライドさせると同時に上下左右方向に保持することができる。このためモジュールを固定する締結部品は必要最小限で済み、組み立てコストが削減できた。また、内装は構体の製作と並行して別な作業場で製作できるため、車両組み立ての工期も短縮可能となった。
- さらに運転台部分や中・長距離列車に必要なトイレなども、別工程で組立てたモジュールを取り付けるようになっている。
[編集] A-trainの採用例
- JR九州815系電車
- JR九州817系電車
- JR九州885系電車
- JR西日本683系電車
- JR東日本E257系電車
- 東武50000系・50050系・50070・50090系電車
- 西武20000系電車
- 西武30000系電車
- 首都圏新都市鉄道TX-1000系電車(ただし、製造は川崎重工業)
- 首都圏新都市鉄道TX-2000系電車
- 東葉高速鉄道2000系電車
- 東京地下鉄05系電車(第40編成以降)
- 東京地下鉄10000系電車
- 阪急9300系電車
- 阪急9000系電車
- 福岡市交通局3000系電車
- 台湾国鉄TE1000形電車
- イギリス・クラス395電車
なお今後、韓国鉄道のムグンファ号新型電車として採用が予定されている。