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京王8000系電車 - Wikipedia

京王8000系電車

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

京王8000系電車
8連(2004年10月2日・高幡不動駅)
8連(2004年10月2日・高幡不動駅
起動加速度 2.5(高加速スイッチ投入時3.3)km/h/s
営業最高速度 110km/h
設計最高速度 120km/h
減速度 4.0km/h/s(常用最大)


4.5km/h/s(非常)

車両定員 143(先頭車)、154(中間車)
全長 20,000mm
全幅 2,845[1]mm
全高 4,100mm
軌間 1,372mm
電気方式 1,500V直流
モーター出力 150kW(200馬力)
編成出力 2,400kW(6・8両編成)・1,200kW(4両編成)
歯車比 6.07
駆動装置 WN平行カルダン
電動機 かご形三相誘導電動機
制御装置 VVVFインバータ制御
ブレーキ方式 全電気指令による電磁直通ブレーキ回生ブレーキ
保安装置 京王形ATS
メーカー 日本車輌製造東急車輛製造

■Templateノート 解説)鉄道PJ

京王8000系電車(けいおう8000けいでんしゃ)は、1992年平成4年)から1999年(平成11年)にかけて新製された京王電鉄通勤形電車

京王の電車では初めてVVVFインバータ制御を採用した。

  • 遮光幕など各系列の共通事項や運転台高さについては別項も併せて参照願いたい。

目次

[編集] 性能

7000系と同様に軽量ステンレス車体を用いた20m級両開き4ドア通勤車両である。定格出力150kWのかご形三相誘導電動機8基を耐圧4500V容量4000Aの日立製GTO素子を使用したVVVFインバータ装置で制御する。台車6000系や7000系と同系のペデスタル方式軸箱支持(軸ばね)+車体直結空気ばね懸架のTS-823A型台車電動車用)とTS-824型台車(付随車用)を用いている。ただし最終増備車の第32・33編成はボルスタレス台車を使用している。MT比は6両編成が4M2T、4両編成が2M2T、8両編成が4M4Tとなっており、他系列とは異なり単独電動車を含む編成は存在しない。歯車比85:14(6.07)のWN平行カルダンで駆動し、惰性走行時にはWN平行カルダン特有の床振動が当形式でも顕著である。他系列車両との連結はできない。

1992年10月1日の「デザインの日」に通商産業省(現・経済産業省)からグッドデザイン商品に選定されている。

[編集] 車体外観

10連・短いスカート(先頭クハ8803)(2007年2月17日・平山城址公園駅~南平駅)
10連・短いスカート(先頭クハ8803)(2007年2月17日・平山城址公園駅南平駅
10連・長いスカート(先頭クハ8753)(2006年9月9日・高幡不動駅~南平駅)
10連・長いスカート(先頭クハ8753)(2006年9月9日・高幡不動駅~南平駅)
急行灯の白色LED化と種別・行先表示がフルカラーLED化が行われた8000系(先頭クハ8854)(2008年2月16日・調布駅)
急行灯の白色LED化と種別・行先表示がフルカラーLED化が行われた8000系(先頭クハ8854)(2008年2月16日・調布駅)

柔らかな曲面形状を持ち、アイボリーに塗装された普通鋼製の先頭部分の形状は、5000系のイメージを踏襲したものである。帯色はCI導入に伴う新しいコーポレートカラーの濃いピンクと紺色を採用した。8000系のみ側面上部にも京王レッド帯を貼付している。また、前面と側面で色の上下が逆になっている。この帯色は2002年に6000・7000系についても変更した。

行先表示器は0番台は前面は全車幕式、側面は幕式の編成のほか、第8・11~14編成の全車と第10編成の6連はLED式を採用していたが[2]、2008年2月から3月にかけて前面側面とも9036F以降で採用されているフルカラーLEDに変更された。20番台は前面側面ともにLED式である。ただし、当初第21~25編成は前面のみ幕式であり、第24編成と第25編成は営業前に、残りの3本も営業後にLED式に変更している。側面表示器は幕車は種別と行先を別々に表示するが、LED車は一体表示で、同車に限り側面種別は各停以外も省略して表示する。書体は当初、幕式車はゴシック体、LED車は明朝体で、英字は未併記であったが、現在では全てゴシック体で英字併記のものへと変更されている[3]

側面のビードは7000系20番台の上部2本下部4本から、上部2本下部3本へと変更した。7人掛け座席部の客室側窓は2連窓となった。なお、側窓は一段下降窓である。妻窓は設置されている。側扉窓は同時期の関東西部の大手私鉄などより角の丸みの小さいものである。京王の20m車の車端部座席は4人掛けとなっていることから、一般的な20m4扉車よりやや側扉が中央に寄っている。また、戸袋窓を設置した京王最後の形式でもある。前面窓のうち、中央の非常口窓のみ上部に遮光シートが貼られている。これは、全先頭車とも後付けで貼付されたものである。転落防止幌は第26編成で初めて取り付けられ、以後全車に普及した。全車長方形の形状のものが設置されており、第26編成~第33編成ではこの部分にも帯が入っていたが、擦れて剥がれた部分は修復されることなく撤去されている。

集電装置は当初菱形であったが、全編成シングルアーム式へ交換された。冷房装置は屋根上搭載の集中式で、ベンチレーターは設置していない。車両番号表記はゴシック体で、前面のものは他系列より小さい大きさで銀色の表記である。

排障器(スカート)の形状は第10編成までが下辺が短いもの、第11編成以降は下辺がやや長くなったものが基本である。第21編成以降は自動解結装置を装備しないために、その部分の切り欠きがない[4]。第1~第12編成は当初灰色塗装であったが、後に全車アイボリー塗装に変更した。前面のワイパーは左右の窓に取り付けられており、中央の非常口窓には取り付けられていない。前面窓上部に設置されている急行標識灯は橙系の色であったが、2007年10月から順次白色LEDに交換されている。なお、この白色標識灯は一時期第1編成で試用されていた。前面非常口にはヘッドマークを掛ける部分がある。ヘッドマークは京王線系統の他系列より横長の五角形のものを使用する。アンチクライマーは左右に分けて設置されている。

車両外観各所の写真

[編集] 車内

座席にピンク色のバケットシートを採用したほか、車いすスペースを設けている。2001年~2003年に1000系・7000系・9000系と同様のドアチャイムと3色LED1段式車内表示器(千鳥配置)を追加設置した。これに伴い(表示器のない側も含めて)側扉上部が出っ張っているものに変更された。表示内容は停車駅、開扉案内、乗り換え案内、京王からのお知らせ、車内マナー啓発、運行情報(自社線・他社線振り替え情報)となっている。運行情報は運転台助士席側に据え付けたアンテナから受信し表示する。座席端部は6000系・7000系・1000系と同様のパイプ構成での仕切りである。かつて分割運用に使用されていた4両編成はつり革が車端部と近年の7人掛け中間部枕木方向増設部以外黄緑色、6・8両編成は車端部以外白色、2006年に全車両に設定した車端部の「おもいやりぞーん」は黄色である(京王電鉄の項を参照)。三角形であるおもいやりぞーんおよび近年の7人掛け中間部枕木方向増設部を除き丸形つり革である。側扉窓の支持方法は全車とも室内側からの金属押さえであり、その室内側は化粧板仕上げである。乗務員室と客室の仕切り部は3箇所窓を設置するが、このうち中央部である仕切り扉は6000系・7000系・9000系の丸みを帯びている窓形状に対し、8000系は長方形である。客室側から見て左の窓は6000系・7000系より縦方向が長くなり、上辺の高さが高くなった。第6編成までは各車間(先頭部以外)の貫通路の窓は7000系などと同等の、下辺の高さが側窓とは大きくは変わらないタイプだが、第7編成以降の投入車は9000系同様、天地方向に拡大した下方向に長いものとなっている。また、第22編成までは貫通路の窓が薄いブラウン色に着色されているのに対し、第23編成以降は、無色透明となっている。貫通路窓の形状は両タイプとも長方形型に近いが角に丸みがある。床敷物は軌道方向に線が入ったものである。送風装置はラインデリアである。

車内の写真

[編集] 運転台

運転台
運転台

灰色である。速度計はデジタル表示を採用している。表示パネルとともに一体型LEDで構成されている。また6015Fでの試験結果を基にモニタ装置(TNS:Train Navigation System)を本格採用した。ただし落成時の仕様は第1~第6編成が準備工事、第7編成以降が本工事である。TIMSのように、運転行路を記録したTNSカードと呼ばれる仕業カードを差し込むことにより運転情報や機器の動作状態が表示されるが、TIMSと違い運転士のみ操作が可能である。加えて機器故障時の応急処置や空調の一括管理、検査時や運転前の機器動作試験なども行うことができる。これは後に3000系・6000系・7000系にも改造で設置している。なお、速度計は直射日光によって視認性が悪化することがあるため、後継の9000系ではアナログ速度計に戻っている。尚、一部の編成は更新工事の際に、アナログ速度計になっている。最大目盛りは他系列の140km/hに対し、8000系では130km/hまでである。圧力計は白地である。警笛は通常の警笛と電気笛である。車体側面の乗務員室扉窓には金属板がついている車両もある。

[編集] 運用

京王線系統で運用される。1994年までに4+6連の10両編成が14本、1995年~1999年に8両編成13本(計244両)が新製された。6000系・7000系・9000系と併結できないため、独自の運用を組む。

2001年のダイヤ改定以降、地上線では6000系・7000系・9000系と同様に列車種別を限定しない運用体制となっている。ただし、下記の分割・併結特急は8000系に限定されていた。

[編集] 10連(8000系)

8000系併結作業(2004年9月26日・高幡不動駅)
8000系併結作業(2004年9月26日・高幡不動駅)

6両編成と4両編成を連結して、10両編成として特急準特急に使われている。営業開始直後の一時期を除き、京王八王子側に6両、新宿側に4両が基本的な組成であったが、2007年11月からは順次組み換えが行われ、京王八王子側4両、新宿側6両の組成となった。

かつて存在した土曜休日シーズンダイヤ(4月~6月・9月~11月)の土曜休日には高幡不動駅で特急を高尾山口行と京王八王子行に分割併合していた(※2001年改定までは実施日が異なる)。この作業をスムーズに行うために全先頭車に電気連結器と自動解結装置を装備している(電気連結器は京王線系統の全先頭車に設置)。2006年9月1日のダイヤ改定でシーズンダイヤを廃止したため分割併合は事実上消滅し、当該ダイヤ最終適用月の2006年6月をもって特急の分割運用を終了した。特急のほか、2001年3月のダイヤ改定まではシーズンダイヤの急行についても高尾山口行と多摩動物公園行に分割併合を行っていた。

1次車は第1~6編成で、同車登場直後の1992年のダイヤ改定時にそれまで6000系が担当していた本線特急が一度に8000系に置き換えられた(以後2001年ダイヤ改定まで)。なお、2次車(第7~10編成)は相模原線特急にも8000系を使用する目的で製造する予定であったが先に高尾線急行(当時)に8000系が入れられる事となった。また、2006年9月改定までは6両編成単独での各停運用や4+4両編成での運用もあったが廃止された。

[編集] 8連(8020系)

8020系(桜上水駅にて2007年9月26日撮影)
8020系(桜上水駅にて2007年9月26日撮影)

8両編成は車両番号20番台に区分される。相模原線特急用および5000系・6000系初期車取替え用として投入された。

相模原線特急は2001年3月改定で運行を終了し、当該改定後の同線の各停は当初は6連、2006年9月改定後は走行距離調整のため都営車8連を使用するようになった関係で、京王線の各停、新宿発着の相模原線快速と土曜・休日の急行に運用している。他編成や他系列と併結できないため、10両主体の平日ラッシュ時はピークを外して運用される。

過去には2両の中間車を増結して10両化する計画があったが、少子高齢化など沿線環境の変化で中止となっている。

[編集] 直通運転について

京王電鉄の車両限界は京王線で2,844mm、京王新線で2,800mmとなっている。8000系は東京都交通局都営地下鉄新宿線との乗り入れも考慮して車体幅を2,800mmとしたが、当時の都営地下鉄の保安機器に誘導障害が生じる問題があったことから京王線専用とされた。早朝・深夜に新線新宿着発の運用がある他、休日の東京競馬場での競馬開催日に府中競馬正門前駅からの臨時急行として新線新宿まで運転されることもある。

2005年に都営新宿線は保安機器更新を完了し、2006年1月に9000系に乗り入れ対応車が登場した。

[編集] 関連商品

[編集] 脚注

  1. ^ 京王の電車(京王電鉄発行)による
  2. ^ 第10編成の6連は幕式からの変更。それ以外の5本は新造時から
  3. ^ 幕式車の一部で英字併記なしのものや英字併記でも文字の大きさが小さいもの(一時期、第7編成~第9編成に使用された)を使用していた車両があるが、これは破損等で交換した際にストック品を再用した関係である
  4. ^ 例外としてクハ8753、クハ8760、クハ8808は長いスカートを装着するが、これは事故などにより破損し予備品と交換したためである。同様の理由でクハ8764が短いものを、クハ8777が0番台の長いものを装着していた時期があった

[編集] 関連項目

ウィキメディア・コモンズ


[編集] 外部リンク

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