北総鉄道
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種類 | 株式会社 |
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市場情報 | 非上場
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本社所在地 | 273-0107 千葉県鎌ケ谷市新鎌ケ谷四丁目2番3号 |
電話番号 | 047-446-3751 |
設立 | 1972年(昭和47年)5月10日 |
業種 | 陸運業 |
事業内容 | 鉄道による一般運輸事業、その他これに関連する事業 |
代表者 | 代表取締役社長 亀甲邦敏 |
資本金 | 249億円(2005年9月30日現在) |
売上高 | 営業収益127億3,900万円(2004年度) |
従業員数 | 277人(2005年7月1日現在) |
主要株主 | 京成電鉄50% 千葉県ほか |
外部リンク | http://www.hokuso-railway.co.jp/ |
北総鉄道株式会社(ほくそうてつどう)は、東京都東部から千葉県北西部を結ぶ北総線を運営する第三セクターの鉄道会社で、京成電鉄のグループ企業の一つである。本社は千葉県鎌ケ谷市新鎌ケ谷四丁目2番3号にある。
目次 |
[編集] 概要
千葉ニュータウンの建設開始に伴い、1972年3月の都市交通審議会(現在の運輸政策審議会)答申第15号が示した2本の東京都心直結ルートの一つ[1]を運営するために、京成電鉄を主体に金融機関の出資により設立されたものである。
後に千葉ニュータウン建設の事業主体である千葉県、1973年に事業に参加した宅地開発公団(後に住宅・都市整備公団、都市基盤整備公団を経て現在は都市再生機構)および沿線の地方公共団体が出資者として加わり、第三セクター会社となった。
営業収益は毎年100億円以上(2006年度は135億円)あるものの、建設関連に伴う借入金の額が多く、2006年3月の時点で固定負債が1,145億円となり、約103億円の債務超過となっている。
経常利益 | 純利益 | 翌期繰越損失 | |
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2006年度 | 22億2,900万円 | 11億1,300万円 | 365億800万円 |
2007年度 | 24億5,300万円 | 13億3,300万円 | 351億7,400万円 |
2000年度より7期連続黒字
[編集] 歴史
北総鉄道は、その設立の経緯から千葉ニュータウンの建設と密接なつながりを持ち、歴史は千葉ニュータウン建設の歴史でもある。
千葉ニュータウンの建設は1966年に千葉県が構想を発表し、1969年に都市計画を決定した。1970年に小室地区から事業が着手されたものの、用地買収が計画通りに進まずスローダウン、その間に東京圏への人口集中が鈍化し、住宅確保の緊急性が薄れたこともあって、当初の計画から大幅な変更・縮小を余儀なくされている。これはそのまま北総鉄道の経営に影響を及ぼしている。そのような動きにより、既に不動産事業から撤退し、事業内容にそぐわない「開発」の名を都市基盤整備公団の撤退を機に社名より外し、「北総・公団線」と呼ばれた同線も「公団」を外して「北総線」とした。
- 1972年(昭和47年)5月10日 北総開発鉄道設立。
- 1979年(昭和54年)3月9日 北総線(第I期)北初富駅~小室駅間開業(当初は新京成電鉄松戸駅まで乗り入れ)。
- 1982年(昭和57年)5月 新東京国際空港アクセス鉄道として位置付け。
- 1984年(昭和59年)3月19日 住宅・都市整備公団千葉ニュータウン線小室駅~千葉ニュータウン中央駅間が開業し、運営を受託。
- 1988年(昭和63年)4月1日 住宅・都市整備公団千葉ニュータウン線の第2種鉄道事業者となる。同時に第一種鉄道事業区間を含めて「北総・公団線」と改称する。
- 1991年(平成3年)3月31日 北総・公団線(第II期)京成高砂駅~新鎌ヶ谷駅間(第1種鉄道事業)開業。
- 1992年(平成4年)7月8日 北初富駅~新鎌ケ谷駅間廃止(新京成電鉄新鎌ヶ谷駅の開業に伴う乗り入れ中止による)。
- 1995年(平成7年)4月1日 千葉ニュータウン中央駅~印西牧の原駅間(第2種鉄道事業)開業。
- 2000年(平成12年)7月22日 印西牧の原駅~印旛日本医大駅間(第2種鉄道事業)開業。印旛車両基地供用開始。
- 2000年(平成12年)10月14日 共通乗車カードパスネット対応カードとして、「ほくそうパッスルカード」発売・運用開始。
- 2004年(平成16年)7月1日 社名を北総鉄道に変更、同時に北総・公団線を「北総線」と改称。
- 2007年(平成19年)3月18日 PASMOを導入。同時にSuicaと相互利用開始。
- 2008年(平成20年)1月10日 共通乗車カードパスネットの発売終了。
- 2008年(平成20年)3月14日 共通乗車カードパスネットの自動改札機での使用を終了。
- 2010年(平成22年)4月 成田新高速鉄道線として北総線を利用した京成電鉄による成田空港までの直通運転が実現する予定。
[編集] 路線
32.3kmの路線を有するが、一部は千葉ニュータウン鉄道が施設を保有する第2種鉄道事業区間である。現在、成田空港への延伸計画が進行中である(京成成田新高速鉄道線を参照。2010年4月予定)。
- 北総線(第1種鉄道事業):京成高砂駅~小室駅 19.8km 12駅
- 北総線(第2種鉄道事業、第3種鉄道事業者は千葉ニュータウン鉄道):小室駅~印旛日本医大駅 12.5km 3駅
- 【廃止】北初富駅~新鎌ケ谷駅 0.8km
[編集] 車両
2007年2月21日現在、8両編成7本(56両)が在籍するが、自社所有の車両は5本(40両)で、残りの2本(16両)は京成電鉄からのリース車である。その他、千葉ニュータウン鉄道所有の8両編成5本(40両)も管理している。便宜上、同社所有車についてもここに記す。また、千葉ニュータウン鉄道所有車・京成電鉄からのリース車両を含む全ての現有車両が、京浜急行電鉄乗り入れ対策のため、先頭車を電動車としている。整備はともに京成電鉄で行われるが、当初9000形と9100形については新京成電鉄で整備されていた。
[編集] 自社車両
[編集] 現有車両
- 7500形:自社所有車。車体構造やスペックは京成3000形や新京成N800形と同一設計である。2006年2月20日より営業運転を開始。
- 7300形:元新京成乗り入れ対応車であった自社所有車2本(16両)および京成3700形のリース車両1本(8両)。
- 7250形(7268編成):京成3300形のリース車両。
[編集] 過去の車両
- 800形:新京成800形のリース車両。塗装は変更されなかったが、返却後に車体の車両番号表記がプレート式へ変更された。またII期線や新京成線以外の他社線への入線は行っていない。
- 7050形:京成3150形のリース車両。このうち7064Fと7068Fの4連2本は前面帯が標準のものより薄い色だった。
- 7250形(7258編成):京成3200形のリース車両。2005年度に廃車回送された。
- 7150形:京急1000形を譲り受けて運用した。このうち4両は晩年にカラードア試験を実施した。ただし、SR無線を装備しなかったので、7000形や7300形と違って新京成には入線できなかった。
- 7000形:自社所有車。元新京成乗り入れ対応車。前面がゲンコツ形のためゲンコツ電車と呼ばれる。7500形への置き換えで2007年3月25日のさよなら運転を最後に運転を終了し、全車が廃車された。
[編集] 千葉ニュータウン鉄道所有車
- 9100形:愛称はC-flyer(シー・フライヤー)。斬新なデザインに加えて車端部クロスシートを装備するが、スペック的には7300形と同じである。
- 9000形:当初は2000形と名乗っていたが、京急線への乗り入れに際して京急にも2000形があるため、地下鉄1号線乗り入れ協定に準拠して改番された。
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 過去の乗り入れ車両
1991年の第II期線開通当初は京成車両の北総線への乗り入れが行われていたこともあったが(当時京成車で千葉ニュータウン中央行の場合、行先表示の「ニュータウン」を大きく表示して千葉中央行と区別していた)、北総線列車が羽田空港方面にシフトしたことや、親会社である京成電鉄からの経営支援策(京成線内における北総車の車両使用料を金銭で支払うことによる北総鉄道のキャッシュ・フローの改善)の側面などから、2000年から2006年12月までは行っていなかった。
また、京成電鉄から一時的に3400形が帯色を変更せずに貸し出されたことがあるほか、1回のみであるが3000形(6両編成)が直通したことがある。
[編集] 運賃
北総線全線共通・大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)(2007年2月現在)
距離 | 運賃(円) |
---|---|
- 3km | 200 |
- 5km | 300 |
- 7km | 370 |
- 9km | 440 |
- 11km | 500 |
- 14km | 570 |
- 17km | 630 |
- 20km | 680 |
- 23km | 730 |
- 26km | 760 |
- 29km | 790 |
29.1km - | 820 |
[編集] 乗り継ぎ割引
- 新柴又駅と京成高砂駅経由で京成本線(お花茶屋駅 - 江戸川駅)・押上線(京成立石駅)・金町線(全線)との間で利用する場合は、各社大人運賃で10円(合計20円)の割引。
- 北総線内各駅と京成線経由で都営線各駅との間で利用する場合は、各社大人運賃で10円(合計30円)の割引。ただし北総線が大町駅 - 印旛日本医大駅間の各駅発着である場合は、北総線は20円・他社局は10円(合計40円)の割引(北総線内各駅と京成・都営線を経由して東京メトロ線各駅との間で利用する場合も割引となる)。
- 北総線内各駅と京成・都営・京急線経由で羽田空港駅との間で利用する場合は、大人運賃で北総・京成10円、都営・京急30円(合計80円)の割引。ただし、北総線が大町駅 - 印旛日本医大駅間の各駅発着である場合は、北総線は20円(合計90円)の割引。
[編集] 運賃体系
[編集] 背景
北総鉄道は首都圏内で一番運賃の高い路線としても有名である。建設コストがあまりにも高くついたことと、千葉ニュータウン事業計画の大幅な遅れによる利用の少なさから全体的に運賃体系が比較的高額に設定されている(こちらを参照)。このため利用者の負担が大きく、特に駅間距離の長い印旛地区区間での利用にあたってはそれが顕著に表れる。
少し離れた所を走る東葉高速鉄道も上記に似た運賃設定であるが、相互直通している東京地下鉄(東京メトロ)東西線が低運賃に設定されているのに対し、北総鉄道は高砂から京成電鉄、さらに押上からは都営浅草線と事業者が連続しているため、都心に出るにはさらに運賃が高くなる。このことから、通勤で交通費(定期券)が支給される場合を除いては沿線住民でも利用しにくい問題となっている。沿線人口が計画より伸びなかったうえに、それを補うための高運賃の設定はさらに利用客の逸走をもたらしている状況であり、さらにそれがニュータウン事業の低調に繋がるという悪循環をもたらしているとの見方もある。開業時は開業後10年での達成を想定していた利用者累計5億人突破は、予定より18年遅れの2007年2月末にようやく達成された。
[編集] 定期券割引
北総鉄道の定期券の割引率は他社に比べ低く、通勤定期の割引率は30%しかない。そのため、月に21往復しないと元が取れない。都営線との乗り継ぎの3社線割引で京成・北総線分は5%引きとなるが、それでも割引率は33.5%にしかならない。6ヶ月定期でかろうじて、月に18往復で元が取れる40.15%となり、定期券購入の意味が生じるといった状態である。なお、各種の割引を受けられる乗車券などが発売されている。
[編集] 地元住民への影響
東京へ行く場合は北総線を使わず、新京成線・東武鉄道野田線の新鎌ヶ谷駅やJR武蔵野線の東松戸駅まで自家用車で出送りする地元住民もいる[要出典]。また、北総線の定期乗車券を持っている人には「財布よりも、北総線の定期はなくすな」とよく言われる[要出典]。定期券が高額であることの揶揄ともいえる。
北総線内にある駅の定期券売り場では、京成電鉄が発行するクレジットカードの京成カードでも定期券の購入が可能である(京成カード以外のクレジットカードでは購入できない)。ただし、定期券があまりにも高額なため、定期券売り場には「京成カードで定期券を購入される場合は、カードのご利用可能枠をご確認下さい」旨の掲示がある(印旛日本医大→品川への6ヶ月通勤定期の価格は28万9780円)。
ちなみに、PASMO定期券で北総線の定期券を発行した場合、万一紛失しても再発行が可能である。
[編集] 国会での審議
1999年(平成11年)から2000年(平成12年)にかけて北総線の運賃問題について国会で審議された。当時の運輸省は、「これ以上の値上げは長期間しない」「仮に値上げの申請があっても十分慎重に対応したい」との答弁をした。
[編集] その他
- 開業当初にいち早く自動精算機を設置していた。当時は日本国有鉄道(国鉄、松戸駅は改札口が分離されていなかった) や新京成などは自動改札に対応していなかっため、西白井駅で遠隔操作を行っていた。後の消費者金融の自動契約機や東日本旅客鉄道(JR東日本)の「もしもし券売機Kaeruくん」に近いものといえたが、トラブルが続出したため、数年(千葉ニュータウン中央駅開業前)で撤去されたが、数年後に復活している。
- 車内に掲示されている路線図には、京成グループではない東京メトロ半蔵門線と東武野田線の駅が表示されている。
- 利益獲得のため、鉄道施設をテレビや映画などに提供し、その使用料を得る営業が早くから行われている。首都圏にありながら、現在は運行本数が少ないことにより、長い撮影時間が確保できたり、地下駅などの多様な施設があることでさまざまな要望にこたえられる環境がある。なお具体的な作品については各駅の記事を参照。
- かつては北総線の駅売店で「サントリーオープンゴルフトーナメント」(2007年限りで廃止)の前売り券を販売していたことがあった。これは会場(習志野カントリークラブや印西カントリークラブ)が沿線にあるためである。
[編集] 関連項目
- 京成グループ
- 舞浜リゾートライン
- 京成成田新高速鉄道線
- 東松戸アルフレンテ
[編集] 外部リンク
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大手私鉄・準大手私鉄 | 小田急電鉄・京王電鉄・京浜急行電鉄・京成電鉄・相模鉄道・新京成電鉄・西武鉄道・東京急行電鉄・東京地下鉄・東武鉄道 |
中小私鉄・第三セクター等 | 埼玉高速鉄道・首都圏新都市鉄道・東京臨海高速鉄道・東葉高速鉄道・箱根登山鉄道・北総鉄道・横浜高速鉄道 |
公営地下鉄 | 東京都交通局(都営地下鉄)・横浜市交通局(横浜市営地下鉄) |
モノレール・新交通システム | 多摩都市モノレール・舞浜リゾートライン・ゆりかもめ |
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大手私鉄・準大手私鉄 | 小田急電鉄・京王電鉄・京浜急行電鉄・京成電鉄・相模鉄道・新京成電鉄・西武鉄道・東京急行電鉄・東京地下鉄・東武鉄道 |
中小私鉄・第三セクター等 | 伊豆箱根鉄道・江ノ島電鉄・関東鉄道・北総鉄道・埼玉高速鉄道・首都圏新都市鉄道・東葉高速鉄道・箱根登山鉄道・横浜高速鉄道 |
公営事業者 | 川崎市交通局・東京都交通局・横浜市交通局 |
モノレール・新交通システム | 多摩都市モノレール・千葉都市モノレール・舞浜リゾートライン(導入予定)・ゆりかもめ・横浜新都市交通 |
バス(幹事事業者のみ) | 伊豆箱根バス・江ノ島電鉄・小田急バス・神奈川中央交通・川崎鶴見臨港バス・関東バス・京王電鉄バス・京成バス・京浜急行バス・国際興業バス・相模鉄道・西武バス・立川バス・千葉交通・東急バス・東武バスグループ・西東京バス・箱根登山バス・日立自動車交通・富士急行・船橋新京成バス・平和交通・山梨交通 |
相互利用 | Suica(ジェイアールバス関東・埼玉新都市交通・仙台空港鉄道・東京モノレール・東京臨海高速鉄道・東日本旅客鉄道) |
関連項目 | 首都圏ICカード相互利用サービス |