埼玉高速鉄道
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
種類 | 株式会社 |
---|---|
略称 | SR |
本社所在地 | 336-0963 埼玉県さいたま市緑区大字大門宮下3888番地 |
電話番号 | 048-878-6845 |
設立 | 1992年(平成4年)3月25日 |
業種 | 陸運業 |
事業内容 | 旅客鉄道事業 他 |
代表者 | 代表取締役社長 近藤彰男 |
資本金 | 727億8880万円(2006年10月28日現在) |
従業員数 | 213人(2006年12月1日現在) |
主要株主 | 埼玉県・東京地下鉄・川口市・さいたま市・鳩ヶ谷市・埼玉りそな銀行・日本政策投資銀行・東武鉄道・西武鉄道・国際興業 |
関係する人物 | 杉野正(前代表取締役社長) 土屋義彦(元埼玉県知事) |
外部リンク | www.s-rail.co.jp/ |
埼玉高速鉄道株式会社(さいたまこうそくてつどう、英称 Saitama Railway Corporation)は、埼玉高速鉄道線(彩の国スタジアム線)を運営する第三セクター方式の鉄道会社。本社所在地は埼玉県さいたま市緑区大門字宮下3888。
目次 |
[編集] 概要
埼玉県と帝都高速度交通営団(現・東京地下鉄)、および沿線の路線バスを運行する国際興業や東武鉄道、そして西武鉄道、協和埼玉銀行(現・りそなHDグループ埼玉りそな銀行)、沿線自治体の川口市・浦和市(当時、現在は合併によりさいたま市が引き継ぎ)・鳩ヶ谷市が出資して1992年3月に設立された。当初は2006年の開業を予定していたが、当時浦和美園駅付近に建設されていた埼玉スタジアム2002が2002 FIFAワールドカップの開催会場の一つに決定したことを受けて工期が短縮された。
開業後しばらく赤字経営だったが、上田清司埼玉県知事が立ち上げた埼玉高速鉄道延伸検討委員会の成果により、2003年度には借入金への支払利息と減価償却費を除く基礎的収支が開業後初の黒字となった。さらに経営再建を進めるため、2004年にしなの鉄道の経営で辣腕を振るった杉野正を知事自ら社長に招聘し、旅行業への進出やギフト販売(2007年1月末日をもって終了)など副業にも乗り出した。しかし、杉野は自民党神奈川県連の推薦を受け、2007年の神奈川県知事選挙に立候補するため2006年11月16日の臨時取締役会を最後に退任した。その後加藤副社長が代表取締役副社長としてつなぎを務めてきたが、2007年1月17日の株主総会で近藤彰男が代表取締役社長に就任した。
東京地下鉄南北線を経て、東京急行電鉄目黒線と相互直通運転を行っている。また、臨時列車では武蔵小杉駅から先の東急東横線を介し、横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅まで直通運転を行うことがある(みなとみらい号を参照)。なお、東急目黒線不動前以遠の連絡普通乗車券は発売されていないため、PASMOやSuicaでの乗車でない場合は下車駅で精算が必要である。
2006年9月25日より直通相手先の東急目黒線で急行運行が開始されたが、その後も埼玉高速鉄道線内では全列車が各駅停車での運転となっている。ただし埼玉高速鉄道線の活性化の一環として、急行運転が埼玉高速鉄道延伸検討委員会などで検討されている[1]。
東急東横線複々線化事業に伴い、2008年6月22日に東急目黒線の延伸が予定されており、日吉駅まで直通運転区間が延長される。2019年度には新線を介した相模鉄道との乗り入れも予定されている。また、かつての武州鉄道をなぞるように東武野田線の岩槻駅を経由し東日本旅客鉄道(JR東日本)宇都宮線(東北本線)の蓮田駅までの延伸も予定しており、この区間については運輸政策審議会第18号答申において「2015年までに開業することが適当な路線」として示されている。
第三セクターの会社であるが、東京地下鉄が出資していることや、軌道・駅舎の大部分が地下にあることから、地下鉄運営会社の一つと考えられている。
近年、埼玉高速鉄道線沿線で送る豊かなライフスタイルのことを指す造語として、「グリーンアーバニズム」という言葉を作りイメージアップを図っている。
[編集] 歴史
- 1992年(平成4年)3月25日 設立。
- 2001年(平成13年)3月28日 埼玉高速鉄道線開業。
- 2007年(平成19年)3月18日 ICカードPASMOを導入。
- 2008年(平成20年)3月14日 パスネットの自動改札機での使用を終了。
[編集] 路線
詳細は以下の項目を参照のこと。
ワンマン運転実施のために各駅にはホームゲート柵が設けられている。中間駅には待避線がないが、利用者の増加を図るために、埼玉高速鉄道延伸検討委員会において急行運転の検討も行われている[1]。
[編集] 車両
[編集] 自社車両
[編集] 直通先所有車両
[編集] 東京地下鉄
[編集] 東京急行電鉄
[編集] 運賃
大人普通旅客運賃(小児半額・10円未満切り上げ)。2004年12月1日現在。日本の鉄道としては高額の部類に入る。なお、開業の時点では5年毎の運賃値上げが計画されていたようであるが、5周年にあたる2006年3月以降も値上げは実施されていない。
キロ程 | 運賃(円) |
初乗り3km | 210 |
4~5 | 260 |
6~7 | 300 |
8~9 | 340 |
10~11 | 380 |
12~13 | 420 |
14~15 | 460 |
[編集] IC定期券
埼玉高速鉄道では、2002年3月28日よりIC定期券を発売していた。そのため、各駅の自動改札機にはIC定期券をかざすためのカードリーダ/ライタ (R/W) が取り付けられていた。システムはJR東日本のSuicaと同様、FeliCaを採用した交通サイバネ規格に準じたものであり、改札機のR/WもSuicaと同仕様のものが設置されていた。カード裏面のID番号の頭2文字のアルファベットはSR。これは同社の利用活性化運動の一環として、また2002年には浦和美園駅が最寄りの埼玉スタジアム2002が開催会場の一つとなったFIFAワールドカップの観客輸送のため、東川口駅でのJR武蔵野線との乗り換えの利便を図る目的でSuicaとの相互乗り入れを目論んで導入された。しかしJR東日本側に時期尚早と判断[要出典]され、PASMOとSuicaの相互利用開始までの5年間はまったく互換性のない鉄道IC定期券として運用されていた。またその間のIC定期券は東京メトロ南北線など他の鉄道事業者との連絡定期券としての利用もできないため、連絡定期券を利用する場合は磁気定期券を利用せざるを得ないという制限を強いられていた。このほか、ストアードフェア(チャージ)の機能も有していなかったため、乗り越しの際の自動精算や、定期券以外のプリペイド式ICカードの発売も行われなかった。
このIC定期券は、2007年3月18日に運用が開始されたPASMO導入準備のため、2006年9月10日で新規の定期券の発売を終了した。さらに、2006年11月20日以降は自動改札機での使用、自動発売機での継続定期券の発売が停止されたが、有人通路での使用は引き続き可能としていたほか、窓口で申し込みをすれば継続定期券の発行も可能であった。しかし、PASMO導入後は、PASMO用に新たに設置し直された自動改札機のR/Wでの使用はできず、利用者は一旦IC定期券を返却(または磁気定期券に交換)したうえ、新たにPASMO定期券を購入する必要が生じた。
[編集] SR東京メトロパス
2008年4月1日からSR東京メトロパスの発売を開始した。埼玉高速鉄道の各駅から赤羽岩淵駅までの片道普通運賃を2割引きし2倍した額に、東京地下鉄の一日乗車券運賃(大人600 円、小児300 円)を合算した額とされている。
私鉄+東京メトロの組み合わせでのメトロパスの発売は小田急電鉄、東武鉄道、東京急行電鉄に続き4社目(東葉高速鉄道も同日に東葉東京メトロパスを発売開始)。
[編集] パーク&ライド社会実験
2006年9月19日から11月30日にかけての平日に、国土交通省関東地方整備局などが埼玉高速鉄道の4駅(浦和美園駅・戸塚安行駅・鳩ヶ谷駅・川口元郷駅)周辺の商業施設の駐車場を活用したパーク&ライドの社会実験が実施された。インターネットを使って携帯電話やカーナビゲーションなどに駐車場の空車情報や都心への道路の混雑状況などの情報を送り、実験参加者に駐車場に車を停めて電車を利用するかどうかを判断してもらい、自家用車と電車の利用状況の関係を検証する目的のものであった。
[編集] 杉野の功罪
埼玉県の上田清司知事が自ら招聘し、2004年7月1日に代表取締役社長に就任した杉野正は、「信濃のカルロス・ゴーン」とも呼ばれたほどコスト削減の手腕に評価が高く、その実力に期待が集まった。杉野はさっそく、契約関係の見直しなどによって3割のコスト削減を目指し、実現した場合にはそのうち1割分を社員に還元するなどの独特の案を発表した。
収入増にも力を入れ、それまで在籍していた旅行代理店エイチ・アイ・エス(HIS)とのパイプを活かして旅行業に進出したり、ギフト販売を行うなど副業に乗り出した。また、浦和美園駅から埼玉スタジアム2002へ向かう同社所有の歩行者専用道路で飲食物を販売したり、駅構内の空きスペースに喫茶店や健康施設などをテナントとして誘致するなど、資産の有効活用などで成果をあげた。車内および駅構内への液晶テレビ(一部はプロジェクター)設置による動画広告も、しなの鉄道時代に杉野が発案し成功したものの流用である。
一方で、自社線内の減便を中心とするダイヤ改正を、就任わずか3ヶ月後の2004年10月1日に行うと発表(その後撤回)したり、営団地下鉄(当時)からの出向社員に対する大幅な給与削減案で営団側を刺激するなどの、過激とも無謀とも取れる手法は営団側の態度を硬化させ、両者の関係を悪化させる事態となった。この給与削減案は、該当する社員らの強い反発で白紙撤回、杉野が謝罪するという異例の事態で収束をみた。このような展開となった理由は、当該社員らが運行の中枢を担う職務を行っており、案に反発した複数の社員が辞職を申し出たことで、列車の運行が不可能になる可能性があったためである。この結果、杉野は若手を育成する方針に転換した。
最終的に杉野は、2006年の神奈川県知事選挙に出馬するため、上田知事が慰留するも、7月の再任からわずか4ヶ月後の11月に退任した。杉野の退任後、旅行業については漸次縮小され、ギフト販売は2007年1月に終了している。
[編集] その他
パスネットの符丁はSRだった。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
- 東京地下鉄
- 国際興業
- 東武鉄道
- 西武鉄道
- りそなホールディングス(りそなHD)
[編集] 外部リンク
|
|
---|---|
大手私鉄・準大手私鉄 | 小田急電鉄・京王電鉄・京浜急行電鉄・京成電鉄・相模鉄道・新京成電鉄・西武鉄道・東京急行電鉄・東京地下鉄・東武鉄道 |
中小私鉄・第三セクター等 | 埼玉高速鉄道・首都圏新都市鉄道・東京臨海高速鉄道・東葉高速鉄道・箱根登山鉄道・北総鉄道・横浜高速鉄道 |
公営地下鉄 | 東京都交通局(都営地下鉄)・横浜市交通局(横浜市営地下鉄) |
モノレール・新交通システム | 多摩都市モノレール・舞浜リゾートライン・ゆりかもめ |
|
|
---|---|
大手私鉄・準大手私鉄 | 小田急電鉄・京王電鉄・京浜急行電鉄・京成電鉄・相模鉄道・新京成電鉄・西武鉄道・東京急行電鉄・東京地下鉄・東武鉄道 |
中小私鉄・第三セクター等 | 伊豆箱根鉄道・江ノ島電鉄・関東鉄道・北総鉄道・埼玉高速鉄道・首都圏新都市鉄道・東葉高速鉄道・箱根登山鉄道・横浜高速鉄道 |
公営事業者 | 川崎市交通局・東京都交通局・横浜市交通局 |
モノレール・新交通システム | 多摩都市モノレール・千葉都市モノレール・舞浜リゾートライン(導入予定)・ゆりかもめ・横浜新都市交通 |
バス(幹事事業者のみ) | 伊豆箱根バス・江ノ島電鉄・小田急バス・神奈川中央交通・川崎鶴見臨港バス・関東バス・京王電鉄バス・京成バス・京浜急行バス・国際興業バス・相模鉄道・西武バス・立川バス・千葉交通・東急バス・東武バスグループ・西東京バス・箱根登山バス・日立自動車交通・富士急行・船橋新京成バス・平和交通・山梨交通 |
相互利用 | Suica(ジェイアールバス関東・埼玉新都市交通・仙台空港鉄道・東京モノレール・東京臨海高速鉄道・東日本旅客鉄道) |
関連項目 | 首都圏ICカード相互利用サービス |