埼玉高速鉄道線
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埼玉高速鉄道線(さいたまこうそくてつどうせん)は、東京都北区の赤羽岩淵駅から埼玉県さいたま市緑区の浦和美園駅までを結ぶ埼玉高速鉄道の鉄道路線。
路線の愛称は「彩の国スタジアム線」である。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):14.6km
- 軌間:1067mm
- 駅数:8駅(起・終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式)
- 閉塞方式:車内信号式
- 車両基地:浦和美園車両基地 - 場所は浦和美園駅北側
- 最高速度:100km/h
[編集] 概要
元々、この区間は東京地下鉄南北線の延伸扱いとして計画されたが、後に第三セクター方式で建設・営業されることとなった。
南北線を埼玉県に延長する形で地下を進み、終点・浦和美園駅の手前で地上に出る路線である。JR京浜東北線と東武伊勢崎線・日暮里・舎人ライナーに挟まれた地域と都心を結ぶ路線としての役割を担っている。特に、本路線の開業まで鉄道が通っていなかった鳩ヶ谷市は沿線開発が進んだ。また、2002 FIFAワールドカップ開催の際には、試合会場の一つである埼玉スタジアム2002への主要な交通手段として利用された。
検討段階だが、浦和美園駅からさらに北進し、東武野田線の岩槻駅を経てJR宇都宮線(東北本線)の蓮田駅に至る路線延伸も計画されている(延伸計画の項参照)。
また、本路線のトンネルの下部には、環境用水の導水管が荒川北岸(川口元郷駅付近)から12kmにわたって併設されており、水質の悪い綾瀬川や芝川など4つの河川に荒川の水を引き込み水質改善の試みが行われている。
路線愛称の「彩の国スタジアム線」は車内の案内放送では呼称されていない上に利用客にも定着しておらず、埼玉高速鉄道側からも「埼玉高速鉄道線」での案内となっている。なお、直通先の南北線や東急目黒線などからは同じ東京地下鉄の路線である東西線の直通先である東葉高速線のように一部「埼玉高速線」と案内および表示されることもある。その例として、南北線からの連絡乗車券では「埼玉高速線」と表示されている。
東京地下鉄管理の赤羽岩淵駅を除き、各駅にレインボーカラーを使用したステーションカラーを採用し、それをホームドアなどに配色している。また、ベンチにも工夫を凝らしている。
[編集] 運行形態
全線でATOによる自動運転およびワンマン運転を実施している。埼玉スタジアム2002での試合開催日には臨時ダイヤが組まれ、列車が増発される。また試合終了後には浦和美園方面からは普段は存在しない鳩ヶ谷行や市ケ谷行など通常ダイヤでは運行されない行先の臨時列車も運行される。
臨時列車を除き全列車が赤羽岩淵駅から東京地下鉄南北線に直通しているが、約半数の列車はさらに同線を経由して東急目黒線とも相互乗り入れを行う。また、臨時列車「みなとみらい号」が武蔵小杉駅から先の東急東横線を介して横浜高速鉄道みなとみらい線の元町・中華街駅まで直通運転を行っている。
なお、2006年(平成18年)9月25日より東急目黒線直通列車の一部が同線内にて急行として運転されるようになったが、それ以後も本路線内では南北線区間も含めて各駅に停車する。そのため、埼玉高速鉄道線内の駅の接近放送では「急行」の案内を省略しているが、駅掲示の時刻表では発車時刻の上に「東急線内急行」の印を付けている。
なお、利用者の利便性向上などの理由で、同線内でも急行運転を実施するかどうかを「埼玉高速鉄道延伸検討委員会」などにおいて検討中である[1]。 また、新線を建設する予定の相模鉄道との東急を介した相互直通運転も2019年度を目途に予定されている。
[編集] 車両
[編集] 自社車両
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 駅一覧
駅名 | 駅間 キロ |
営業 キロ |
接続路線 | 所在地 | |
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東京地下鉄南北線経由東京急行電鉄目黒線武蔵小杉駅まで直通運転 | |||||
赤羽岩淵駅 | - | 0.0 | 東京地下鉄:○南北線(N-19)(直通運転) | 東京都北区 | |
川口元郷駅 | 2.4 | 2.4 | 埼玉県 | 川口市 | |
南鳩ヶ谷駅 | 1.9 | 4.3 | 鳩ヶ谷市 | ||
鳩ヶ谷駅 | 1.6 | 5.9 | |||
新井宿駅 | 1.6 | 7.5 | 川口市 | ||
戸塚安行駅 | 2.5 | 10.0 | |||
東川口駅 | 2.2 | 12.2 | 東日本旅客鉄道:武蔵野線 | ||
浦和美園駅 | 2.4 | 14.6 | さいたま市緑区 |
[編集] ICカードについて
埼玉高速鉄道#IC定期券を参照
[編集] 延伸計画
2000年(平成12年)の運輸政策審議会答申第18号において、「2015年までの開業が適当な路線」として浦和美園~岩槻~蓮田が延伸すべき路線として挙げられている。このルートはかつて運行されていた武州鉄道のルートとほぼ一致する。
この審議会の答申は中央政界や官公庁に大きな影響力を有していた当時の土屋義彦埼玉県知事の手腕が発揮されたとされる。しかし、決定直後に延伸先の蓮田市にて開かれた「(知事後援会の会合)延伸感謝の会」に200人しか集まらないことに知事が激怒、後に別の会合にて「蓮田市は知事のありがたみが分かっていない。蓮田に持っていかずに(岩槻で)止めてもいい」と本音を吐露し、埼玉新聞などに掲載される騒ぎとなった。こうした背景から、蓮田市への延伸は事実上あり得ないものとされ、2003年(平成15年)に知事が辞職した以降も延伸計画に暗い影を落とすこととなった。
また、2005年9月には「埼玉高速鉄道延伸検討委員会」が岩槻駅で東武野田線への直通運転を検討することとなり、大宮ルートと春日部ルートの2方向の案が検討されることとなった。
上田知事が埼玉県議会の答弁において、2008年6月頃に延伸に関して一定の方向性を示せるだろうと発言している。
[編集] 脚注
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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公営 | 札幌市 - 仙台市 - 東京都 - 川崎市(計画中) - 横浜市 - 名古屋市 - 京都市 - 大阪市 - 神戸市 - 福岡市 |
民営 | 埼玉高速鉄道 - 東京メトロ - 東京臨海高速鉄道 - 横浜高速鉄道 - 神戸高速鉄道 |