京急600形電車 (3代)
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京急600形電車 (3代) | |
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京急600形 |
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編成 | 4・8両 |
起動加速度 | (1~3次車)3.5km/h/s (4次車)3.3km/h/s |
営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 130km/h |
減速度 | 4.0km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常) |
車両定員 | 128(先頭車118)人 座席定員 64(先頭車54)人 |
全長 | 18,000mm |
全幅 | 2,830mm |
全高 | 4,020mm パンタグラフ搭載車は4,050mmmm |
車両重量 | (1~3次車)M1c 33.5t、M1’車33t、M1車32.5t M2c車33t、 M2’ 車、M2車32t Tu車 24.5t、Ts車 25.5t (4次車)先頭車34t、Mu車31.5t、Ms車32t、Tp車25.5t、T車23.5t |
軌間 | 1,435(標準軌)mm |
電気方式 | 直流1,500V (架空電車線方式) |
モーター出力 | (1~3次車)120kWx4、(4次車)180kWx4 |
主電動機 | かご形三相誘導電動機 |
歯車比 | 83:14(5.93) |
駆動装置 | たわみ板式継手 |
制御装置 | VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 新遅込制御付回生制動併用電気指令式電磁直通空気制動(応荷重装置付) |
保安装置 | 1号型ATS |
製造メーカー | 東急車輛製造 川崎重工業 |
備考 | 新製時のデータ |
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京急600形電車(けいきゅう600がたでんしゃ)は、1994年(平成6年)4月に登場した京浜急行電鉄の電車。
目次 |
[編集] 概要
1500形に次いで、旧1000形の老朽取り替えを目的として導入された。 日本の地下鉄対応車両としては珍しく全座席クロスシート車両として製造された。他の大手私鉄やJRは朝夕の混雑時における乗降円滑化のため多扉車や大型扉車の導入を図っていた時期であったが、京急はオールクロスシート車を導入して「個の尊重」を打ち出し、利用者の快適性を優先する姿勢を表した。
[編集] 外観
登場時の2000形と同様に、赤い車体に窓回りを白く塗装している。前面形状は大きな3次元曲面で構成され、助手席側に移動したスイング式のプラグドア、上部に移った前照灯、下部に埋めこれまれた尾灯、標識灯、アンチクライマ廃止など新しいスタイルとなった。このデザインは後に2100形や新1000形にも引き継がれている。ワイパーカバーにワイパーを収納、当初は「イロンデルグレー(Hirondelle Grey)」に塗装されていたが、視認性向上のため1995年にアイボリーに変更されている。窓高さを1500形に対し20mm拡大、車体屋根高さを同40mm拡大したため、断面形状が変更されている。800形805編成以降の京急各形式では側面種別・行先を別々の小窓に表示、一体のケースに収めていたが、本形式では1枚のガラスに納められた。尾灯・戸閉灯には LED灯具を使用するが、経年変化で照度が低下しやすいため、次形式の2100形から電球に戻された。
[編集] 内装
都営地下鉄浅草線や京成電鉄・北総鉄道にも乗り入れる一般通勤車両ではあるが、3扉オールクロスシートで登場した。1~3次車は運転室後部を除いてボックスシートが並ぶが、4次車ではドア間の座席はボックス席と2人掛け固定座席を1つずつ組み合わせた配置となっており、座席数が少ない。ともにドア付近には補助席が設置されているが、混雑時には施錠され使用できない。シートピッチを広めにとっているため、補助席を使用しない場合は同じドア数のロングシート車より座席定員が少なくなる。内装は寒色系で、天井、壁面は白と薄灰色、床はグレー系、座席は薄青色。京急の3扉車としてはじめて扉内側に化粧板が貼られた。1500形VVVF車同様駆動装置点検用点検蓋のみが床に設けられた。
[編集] ツイングルシート
1~3次車では、ラッシュ時に立席収容力を確保するため、一部座席に2人掛けと1人掛けが可変な「ツイングルシート」を採用していた。運転室からの操作により可動式座席が転換する。「ツイングル」とは「ツイン」と「シングル」をかけた造語である。
可動式座席には通路側の座席を窓側の座席にかぶせるように収納するものと座面を跳ね上げて背もたれに密着させるものがあり、それぞれ肘掛の位置が異なることから見分けられる。補助席と合わせ、1両あたり最大32人座席定員を変えることができるが、機構が複雑でコストが高く、収納時の座席数が少ない上座面のクッションが薄く硬かったため乗客からの評判は芳しくなかった。地下鉄線内の運用でも補助席の鎖錠のみで混雑時間帯の営業をほぼ問題なく行えると判断されたことから他社局への乗り入れ時は可動式全座席の展開が義務付けられた。京急線内でも可動式座席の収納は登場直後を除きほとんど行われなかったため、可動式の特徴が活かせなくなり、4次車では通常の固定座席が採用された。
神奈川新町駅構内(新町検車区)の京急の育成センター内にある600形シミュレータ客室内にはツイングルシートがあり、本形式のロングシート化改造が進む中登場時の姿をとどめている。
[編集] 主要機器
- 主制御器
- 1~3次車:東洋製ATR-H8120-RG-627Bまたは三菱製MAP-128-15V31 、GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御。8M/1C。
- 4次車:東洋製ATR-H4180-RG-656Aまたは三菱製MAP-184-15V61 、逆導通GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御。4M/1C。
- 主電動機
- 1~3次車:KHM-1700(東洋TDK6160A1または三菱MB-5043A、出力120kW、端子電圧1,100V、電流84A、周波数50Hz、定格回転数1,455rpm)
- 4次車:KHM-600(東洋TDK6161Aまたは三菱MB-5070A、出力180kW、端子電圧1,100V、電流121A、周波数60Hz、定格回転数1,755rpm)
- 補助電源装置
- 空調装置(製造時)
- 集電装置
- 1~3次車:菱形パンタグラフ(東洋製PT-4323S-A-M、M1c・M1に各1基、M1'に2基搭載)
- 4次車:シングルアーム式パンタグラフ(東洋製PT-7117-A、Tpに2基搭載)
- 台車
- TH-600M、T(空気ばね車体直結軸梁支持)
[編集] バリエーション
この書体はロングシート改造車、青字は東急車輛製、橙字は川崎重工製。「電装品」は主電動機、主制御器、SIVの製造者を示す。以下各製造時で同じ。
[編集] 1次車
M1c | M2 | Tu | Ts | M1' | M2' | M1 | M2c | 電装品 | 冷房機 | 製造年月 |
601-1 | 601-2 | 601-3 | 601-4 | 601-5 | 601-6 | 601-7 | 601-8 | 東洋 | 三菱 | 1994年3月 |
602-1 | 602-2 | 602-3 | 602-4 | 602-5 | 602-6 | 602-7 | 602-8 | 三菱 | 三菱 | 1994年3月 |
600形として最初に登場したグループ。登場からしばらくはツイングルシートをPRするヘッドマークをつけて運転された。
[編集] 2次車
M1c | M2 | Tu | Ts | M1' | M2' | M1 | M2c | 電装品 | 冷房機 | 製造年月 |
603-1 | 603-2 | 603-3 | 603-4 | 603-5 | 603-6 | 603-7 | (603-8) | 東洋 | 東芝・(三菱) | 1995年3月 |
604-1 | 604-2 | 604-3 | 604-4 | 604-5 | 604-6 | 604-7 | 604-8 | 三菱 | 三菱 | 1995年3月 |
605-1 | 605-2 | 605-3 | 605-4 | 605-5 | 605-6 | 605-7 | 605-8 | 混載 | 三菱 | 1995年3月 |
1次車の使用実績をもとに設計変更が行われ、吊手の増設など立ち客に配慮した。 1次車の製造当初は、日中の快特使用時に中間の客用扉を締め切り扱いにして2扉として運用することが考えられていたため、中間の客用扉上部には締め切りであることを表示する装置を装備していたが、乗客に不評だったため日中の2扉扱いは中止され、2次車から本装置は装備されていない。その他、ワイパーが中央から両側に開く動作から2本が並行に動作するものに変更されている。(のちに1次車も改造)603編成は600形では初の東芝製冷房車となった。605編成の主制御器は三菱電機製、主電動機は東洋電機製。
[編集] 3次車
M1c | M2 | Tu | Ts | M1' | M2' | M1 | M2c | 電装品 | 冷房機 | 製造年月 |
606-1 | 606-2 | 606-3 | 606-4 | 606-5 | 606-6 | 606-7 | 606-8 | 東洋 | 東芝 | 1995年6月 |
607-1 | 607-2 | 607-3 | 607-4 | 607-5 | 607-6 | 607-7 | 607-8 | 三菱 | 三菱 | 1995年6月 |
2次車に続いて製造された。2次車から設計変更はない。
[編集] 4次車
Muc | T | Tp1 | Mu | Ms | T | Tp1 | Msc | 電装品 | 冷房機 | 製造年月 |
608-1 | (608-2) | 608-3 | 608-4 | 608-5 | 608-6 | 608-7 | 608-8 | 混載 | 東芝・(三菱) | 1996年2月 |
Muc | T | Tp2 | Msc | 電装品 | 冷房機 | 製造年月 |
651-1 | 651-2 | 651-3 | 651-4 | 三菱 | 三菱 | 1996年3月 |
652-1 | 652-2 | 652-3 | 652-4 | 混載 | 三菱 | 1996年3月 |
653-1 | 653-2 | 653-3 | 653-4 | 三菱 | 三菱 | 1996年3月 |
654-1 | 654-2 | 654-3 | 654-4 | 混載 | 三菱 | 1996年4月 |
655-1 | 655-2 | 655-3 | 655-4 | 東洋 | 東芝 | 1996年5月 |
656-1 | 656-2 | 656-3 | 656-4 | 東洋 | 東芝 | 1996年5月 |
4両、6両、8両編成に設計変更を行わずに対応できるよう機器構成が大幅に変更された。608編成の浦賀寄4両、652・654編成は東洋製主制御器と三菱製主電動機の組み合わせ。608編成の浦賀寄4両と652編成のSIVは東洋電機製、654・656編成のSIVは三菱電機製、608編成の品川寄4両は総ての電装品が三菱電機製。
- 8M/1Cから4M/1C、MT比を3:1から1:1に、主電動機出力を120kWから180kWに変更。
- パンタグラフをシングルアーム形に変更し、Tp車に2台搭載とした。
- 補助電源装置を75kVA/2両から150kVA/4両に変更し、Tp車に搭載した。4両編成のSIVは冗長性確保のため75kVA2個の回路構成とした。
- 車内座席配置を変更、本形式の特徴だったツイングルシートをやめ、扉間は2人掛シートのみとされ、2組を向き合わせの4人席と単独の2人席となった。中央扉部分にも折りたたみ式補助椅子が設置された。
- 座席配置変更に伴い窓配置も変更された。
- 車端ダンパを準備工事のみとした。
- 608編成は「メディアルトラン」と称する液晶ディスプレイを装備していたが1999年(平成11年)4月に撤去された。
[編集] 改造工事
登場後各種の改造工事が施されている。
[編集] ワイパーカバー塗装変更
1~3次車は前面のワイパーカバー塗装色がイロンデルグレーだったが、視認性向上のため1995年に上縁を黒、それ以外をアイボリーに変更した。4次車は登場時からこの塗装である。
[編集] 試作座席試用
608-1で1996年12月から1998年3月まで試作座席が試用された。海側の座席2脚が固定式と転換式の転換式クロスシートに交換され、座り心地、シートの痛みなどの確認が行われた。
[編集] 車端ダンパ撤去
1~3次車の車端ダンパを1998年6月に撤去した。準備工事だった4次車の関連部品も同年7月に撤去された。
[編集] 架線観測装置搭載改造
605-1に1500形のデハ1601から移設した架線観測装置を装備する改造が施され、営業運転中に観測を行っている。
[編集] ツイングルシート固定化改造
座席表地の傷みが著しくなってきたため2002年から順次モケットの張り替えを行い、ツイングルシートは形態には手を付けずそのまま固定化した。また翌年の施行車以降はヘッドレスト部分の色と材質を変更した。2005年度以降は扉間のロングシート化改造を開始したため打ち切られている。
[編集] ロングシート化改造
2005年から混雑緩和のため扉間の座席をロングシート化するなどの改造が実施された。オールロングシートとはせず、車端部の座席はクロスシートのまま残された。詳細は以下の通り。
- 扉間座席をロングシートに改造。ロングシートは片持ち式で、モケットの模様は新1000形や1500形更新車などと同じである。
- 袖仕切りは新1000形と同じタイプだが、立席ポスト部に仕切り板は設置していない。
- 車端部と運転室後部のクロスシートおよび車端部の補助いすはモケットの張り替えのみが施された。張り替え後のモケットの模様は第3編成目以降の座席張り替え車と同じである。
- ドア上部にLED式の車内案内表示器を設置。筐体は内装の色合いに合わせ、白色である。
- 1500形更新車や新1000形と同様のドアチャイムを設置。
- 転落防止幌の設置。
各車両の車両番号表記は、シールに変更されず、プレート板のままである。8両編成の601・603・604・606・607・608編成が施工済。2008年2月には651編成が4両編成では初めて改造を受けた。今後他の編成にも同様の改造を実施する予定である。
[編集] 運用
8両編成は快特・エアポート快特や特急を中心に運用される。都営浅草線、京成線、北総線へも入線し、印旛日本医大駅・京成佐倉駅まで乗り入れる。1998年~2002年は上野、2006年までは成田空港駅、2007年までは京成成田駅へ入線する運用も存在した。宗吾参道車庫における休憩運用は現在も存在する。ロングシート車に比べ立席スペースが狭いことから朝ラッシュ時には混雑時間帯の上り列車を避けて運用してきたが、運用の弾力性を増すために2005年(平成17年)よりドア間ロングシート化改造を開始し、改造を受けた編成は同時間帯の上り列車にも使用されるようになった。
4両編成は優等列車の増結車両や空港線の特急、自社線内の普通列車を中心に運用される。行先表示器の地色は全編成が黒から白に変更されている。
4両編成は大晦日から元日にかけての終夜運転の際に通常入線しない路線で運用されるケースがある。1998年~1999年には都営浅草線・京成押上線・金町線に、2002年~2003年には「だるまエクスプレス」として大師線に入線した。
[編集] 特殊塗装など
606編成はロングシート化改造と同時に車体全体を青く塗装し、2005年3月14日より「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」として運転を開始した。また2005年11月1日から約1ヶ月間は京急羽田空港駅開業7周年記念イベント「京急虹計画」の一環として側面に虹のラッピング、前面の白い帯の下に虹のグラデーションが貼り付けられ、2100形「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」とともに「レインボートレイン」として運行された。車内には浦賀寄りから総合、富山、石川、広島、香川、長崎、鹿児島、沖縄と車両ごとに7県のPR広告が掲載された。その後606編成は2007年3月16日から5月上旬まで、2010年に中華人民共和国・上海で開催される上海国際博覧会(上海万博)の宣伝車両とされた。車内には、上海の建物や公園の写真が飾られていた。
[編集] 関連商品
- グリーンマックスからNゲージ塗装済組立てキットが製品化されている。京急1500形をもとに前面と妻面を作り直したものであり、扉の位置が実物と異なるため「タイプ」という文字が後付けされている。
- クロスポイントから「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」(606編成)のキットが製品化されている。グリーンマックスの製品と同じく、扉の位置が実物と異なる。
- タカラトミーから限定品プラレールが発売されており、京急の駅などで販売している。
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現用車両 | 営業用 : 新1000形 - 2100形 - 600形III - 1500形 - 2000形 - 800形 - 1000形 事業用 : デト11・12形 - デチ15・16形 - デト17・18形 - クト1・2形 |
過去の車両 | 営業用:120形 - 140形 - 230形 - 400形 - 500形 - 600形II - 700形 事業用 :デト20形 - デト30形 - デワ40形 - ホ50形- チ60形- ト70形 |