京急2100形電車
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京急2100形電車 | |
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新馬場 - 北品川間を走行する2100形2125編成 (2007年7月26日) |
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編成 | 8両 |
起動加速度 | 3.5km/h/s |
営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 130km/h |
減速度 | 4.0km/h/s(常用最大) 4.5km/h/s(非常) |
編成定員 | 942人 座席定員 556人 |
車両定員 | 120人(先頭車111人) 座席定員 72人(先頭車62人) |
全長 | 18,000(先頭車 18,170)mm |
全幅 | 2,830mm |
全高 | 4,026.5mm パンタグラフ搭載車は4,050mm |
編成重量 | 229t |
車両重量 | Muc、Msc車 33t Mu、Ms車 30.5t、 T車 24.5t、Tp車 26.5t |
軌間 | 1,435(標準軌)mm |
電気方式 | 直流1,500V (架空電車線方式) |
モーター出力 | 190kW |
主電動機 | 1TB2010-0GC02形かご形三相誘導電動機 |
編成出力 | 190kW×16=3,040kW |
歯車比 | 83:14 (5.93) |
駆動装置 | たわみ板式継手 |
制御装置 | VVVFインバータ制御(GTO素子) |
ブレーキ方式 | 回生制動併用電気指令式電磁直通空気制動(応荷重装置、増圧ブレーキ付) |
保安装置 | 1号型ATS・C-ATS |
製造メーカー | 東急車輛製造 川崎重工業 |
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京急2100形電車(けいきゅう2100がたでんしゃ)は、1998年(平成10年)3月28日に営業運転を開始した京浜急行電鉄の電車。
目次 |
[編集] 概要
京急本線・久里浜線を運行する快特で使用されていた2000形の後継車として製造され、8両編成10本(80両)が在籍する。京浜急行電鉄の創立100周年を記念し、21世紀へ向かう車両として「2100」の形式称号が与えられた。
主として京急線内の快特に使用され、特急形車両に分類される場合もある。車体はアルミニウム合金製で全長約18m、片側2扉構造である。
[編集] 外観
車体外板は赤、窓回りをアイボリーに塗装している。先頭車の前面形状は600形がベースになっている。2157編成は600形606編成と同様に車体の塗装を青に変更し「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」第2編成として2005年6月11日に営業運転開始した。[1]
先頭車正面窓下アイボリー塗装のワイパーカバーには形式名 (2100) がスリット状の打ち抜き文字で表現されている。これは分割併合時にスリットを通して連結器を見通せるようにしたためである。当初はワイパーカバーに車両番号が表示されていたが、1998年秋に全編成とも形式名『2100』に表示を統一した。[2]各先頭車正面の車両番号表示は1999年まで非常扉側尾灯ケース上に銀色シールで4桁とも表示(書体は旧1000形に近い)していたが、2000年登場の3次車からは非常扉側窓下に黒色で下2桁を表記し[3]、全編成がこの仕様で統一された。書体はワイパーカバーの形式名表示に合わせている。
600形で採用したLEDは経年変化による照度低下が激しく、また電球の寿命も延びたことから尾灯、急行灯および戸閉灯が2灯の電球となった。尾灯と急行灯の位置は4次車で逆転し、それ以前の編成も変更した。行先表示器は字幕式で地色は当初黒であったが、その後全車ローマ字表記を入れた白地に変更した。2101・2109編成は白幕が細字になっている。
[編集] 内装
料金不要の特急車両として上質なサービスを提供している。室内はオールクロスシートで、ドア間は京急で初採用となる転換クロスシート、車端部は4人掛けボックスシートである。空港連絡列車に使用することを考慮し、ボックスシートは座面を上げて荷物置場にできる構造となっている。ドア間の座席はノルウェー・エクネス社製[4]、座席表地はスウェーデン・ボーゲサンズ社製である。
転換クロスシート部は座席を向かい合わせで用いないことを前提に間隔を詰めており、シートピッチは850mmである。営業運転中は一方に向きが固定され、乗客による座席の転換はできない。座席の転換は空気圧による一括転換式を採用しており、始発駅で車掌のスイッチ操作により進行方向へ座席の向きを合わせる。終着駅に到着した際は、到着ホームでそのまま折り返す場合も降車扱いの後ドアを閉め、座席転換後に乗車扱いをする措置がとられている。導入直後、座席の向きを無理やり変えようとした乗客が座席を破損させる事例が生じたため、その後座席の枕カバーに「イスの向きは変えられません」と表示されるようになった。
転換クロスシートは関東の大手私鉄では唯一のもので、着席客からは好評を得ている。しかし、座席に掴み手がつけられているもののつり革はドア周辺のみの設置で、通路も狭いため立ち客からの評判はよくない。なお肘掛と掴み手の形状は2次車増備時に改良され、その後1次車も仕様を統一した。
2109編成と2133編成では無線LAN による車内映像配信実験が行われており、天井部分に1両あたり2基(4面)の液晶ディスプレイ「トレビジョン」が設置されている。放送内容はNHKニュース(録画)や京急沿線情報など。音声は FM波 (88.0MHz) で車内に送信されており、携帯ラジオで聞くことができる。なお、この液晶ディスプレイを装備する編成の運行予定は京急の公式サイトに掲載されている。
座席モケットの傷みが著しくなってきたため、2007年2月に2101編成でモケット交換が施工された。座席の柄は従来と同様で、同時に補助椅子使用不可ランプが2173編成と同じタイプに交換された。その後、検査に合わせて2109・2117・2125編成にも同様の工事が施された。
[編集] 運用
原則的に、自社線内折り返しの快特として泉岳寺・品川~京急久里浜・三崎口間を運転、平日夜間は「京急ウィング号」として運用される。また朝は特急にも使用されるほか、早朝に1往復のみ羽田空港駅への乗り入れならびに急行としての運用[5]がある。立席定員が少なく乗降に時間が掛かるため、女性専用車両が設定される朝ラッシュ時最混雑時間帯の上り列車には使用されない。
当初はエアポート快特へ投入する計画があったため先頭車は地下鉄線乗り入れに必要な非常用貫通扉を装備するが、2扉クロスシートという構造から東京都交通局が都営浅草線への乗り入れを拒否しており、現在に至るまで自社線内のみで運転されている。このため、8両編成12本96両の製造計画に対して10本80両が落成したところで、車両の増備は新1000形に変更され、2100形の製造は2000年に終了した。しかし、600形からの歴代快特専用車で初めて非常用貫通扉が装備されたことで、2000形までは不可能だった快特専用車の泉岳寺駅乗り入れを実現し、都営浅草線列車との接続改善に繋がった。ただし、10本しかないことから、車両の定期点検時には、運用可能な編成が足りなくなる場合があり、その場合は3扉の1500形・600形・新1000形が代走する[6]。この際、停車駅で該当列車が到着する際は案内放送で「本日に限りまして3扉車での運転となります」と補足される場合がある。
[編集] 性能
- 設計最高速度:130km/h(営業運転時120km/h)。
- 起動加速度:3.5km/h/s
- 定加速度領域が広く、当形式のみ、もしくは新1000形との編成では起動から1分以下で120km/hまで加速する。
- 減速度:常用 4.0km/h/s、非常時 4.5km/h/s
- 主電動機:1TB2010-0GC02形かご形三相誘導電動機(出力190kW、端子電圧1,050V、電流133A、周波数61Hz、連続定格回転数1,800rpm)
- 1:1というMT比で高速性能と高加速度を両立するため、高出力のかご形三相誘導電動機が用いられている。
[編集] 電装品
制御方式はドイツ・シーメンス社製の GTO素子「SIBAS32(シーバス32)」による VVVFインバータ制御を採用した。このため車内の製造ステッカーには製造会社の下に「Powered by SIEMENS」の表記がある。これは東日本旅客鉄道(JR東日本)E501系やE2系の一部にも採用されている。発車時の電動機およびインバータ装置から発する磁励音が音階に聞こえることが特徴[7]だが、回生ブレーキの失効速度が8 - 6km/h前後と高く、同5 - 3km/h前後であるE501系と異なり停車時には音階は聞こえない。
電動空気圧縮機にはドイツ・クノールブレムゼ社製のスクリュー式(SL-22形)が採用され、新1000形(5次車まで)にも採用された。
[編集] バリエーション
1998年から2000年にかけ、4次にわたって製造された。すべて4M4Tの8両編成で、4両 (2M2T) で1ユニットを組む。制御装置は電動車に各1台、パンタグラフはシングルアーム式(PT7117-A形)のものが付随車 (Tp) に各2基搭載。補助電源装置(三菱製NC-WAT150C形静止形インバータ)は Tp車に、空気圧縮機は制御電動車 (Muc, Msc) にそれぞれ搭載されている。
号車は浦賀寄り先頭車が1号車、品川寄り先頭車が8号車である。車両番号は浦賀寄りから 2101 - 2102 - … 2108 とされ、第2編成は 2109 - 2116、第3編成は 2117 - 2124 と編成を通した連番としている。また、それぞれの編成は浦賀寄り先頭車の車両番号を用いて「2101編成」などと呼ぶ。車種は浦賀寄りから Muc - T - Tp - Mu - Ms - T - Tp - Msc である。
- 2次車
- 1998年10 - 11月に落成。ワイパーカバーに表記される数字は落成当初から「2100」とした。
- 2117, 2125, 2133編成
- 3次車
- 1999年4 - 5月に落成。非常扉側の車両番号の表記を落成当初から現行表記とした。
- 2141, 2149, 2157編成
- 4次車
- 2000年10 - 11月に落成。急行灯を落成当初から車両の外側とした。2173編成は補助椅子使用不可ランプの形状が変更されている。
- 2165, 2173編成
[編集] イベント列車
本形式はイベント列車としての使用が多い。これまでに運行されたものは以下の通りである。
- 2001年7月20日 横須賀市にある「hide MUSEUM」(すでに閉館)の開業1周年を記念して、品川から汐入まで「hideミュージアム号」を運行。
- 2001年7月28日 同年7月20日 - 9月2日に開催した「デジモンスタンプラリー」に合わせて「京急親子デジモントレイン」という貸切列車を運行。
- 2001年9月22日 - 10月31日 ソニー・コンピュータエンタテインメント制作のゲームソフト『トロと休日』とのタイアップ企画「みさき一日フリーきっぷキャンペーン」の実施に合わせて「トロ号」を運行。
- 2004年7月17日 - 8月31日、ウォルト・ディズニー・カンパニーのアニメーション映画『ファインディング・ニモ』とのタイアップ企画として、「ファインディング・ニモラッピング電車」を運行。ラッピングはDVD・ビデオソフト発売のPRで、1号車から8号車へ向かい『ファインディング・ニモ』の物語として読める仕掛けとなっていた。また、3・5号車ではPR映像も放送した。
- 2005年6月下旬 - 7月14日 「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」にて事前に募集した新1000形「羽田第2ターミナルPR電車」と600形「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」の写真や絵画を車内で展示。
- 2005年11月下旬 - 2006年1月 「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」は600形と同様虹のラッピングを貼付し『レインボートレイン』として運行。詳細は600形を参照。
- 2006年7月17日 - 8月20日頃 日産自動車、横浜F・マリノスとタイアップし、「BLUE SKY TRAIN NISSAN/F・MARINOS号」を運行。車体に日産の社名ロゴや横浜F・マリノス所属選手の写真などがラッピングされた。「京急線横浜駅新ホーム完成」「2009年日産本社のみなとみらい地区への移転を中心とする日産神奈川プロジェクト」「Jリーグでの横浜F・マリノスの活躍の祈念」など、横浜市のPRを目的としていた。
- 2006年12月8日頃 - 2007年1月中旬 2109編成は2006年12月16日 - 2007年1月14日(元日は除く)に開催された「たまごっちスタンプラリー」に合わせ側面に『たまごっち』のキャラクターが描かれたラッピング電車として運行。
- 2007年4月9日 - 2133編成が横須賀市市制100周年記念ラッピング電車となっている。側面中央の窓下には『横須賀が好き!』と大書され、客用ドア横には横須賀市の名所をイメージしたラッピングが貼付されている。
[編集] 関連商品
- グリーンマックスがNゲージ鉄道模型完成品を製品化している。また、同社から「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」(2157編成)も完成品で製品化されている(限定品)。
- バンダイ「Bトレインショーティー」でも製品化され、京急の売店などで発売されている。
- インバータおよびモーターの磁励音がくるりの楽曲『赤い電車』、『ガロン』[8]、『ガロン〈ガロ~ンmix〉』[9]や SUPER BELL"Z の楽曲『MOTOR MAN 京浜急行VVVF』[10]などで効果音として使われている。
[編集] 脚注
- ^ なお4次車は前面デザインの大幅な変更が行われる計画があったが、さまざまな事情から断念した。
- ^ ただし2172号が事故でワイパーカバーを破損した際、2101号が『2100』のカバーを貸与し、その後しばらくは落成時の『2101』表示で運用していた。
- ^ 国内航空会社の航空機の前脚の蓋に機体番号の下2 - 3桁が記入されているのと同様である。
- ^ 車端部ボックスシートと補助座席は日本製である。
- ^ 三浦海岸発の快特が羽田空港駅に到着した後に急行品川行で折り返す。
- ^ かつては2000形による代走も見られたが、その後日中の京急線内快特が泉岳寺発着になったため、原則として1500形・600形・新1000形に変更された。
- ^ 鉄道ファンの間では「ドレミファインバータ」、「歌う電車」と呼ぶ者もいる。「鉄道車両・船舶の俗称」も参照。
- ^ シングル『青い空』に収録。
- ^ アルバム『図鑑』に収録。
- ^ シングル『MOT(e)R MAN vol.3』に収録。
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