京急ウィング号
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京急ウィング号(けいきゅううぃんぐごう)とは、京浜急行電鉄が運転する座席定員制(品川乗車時のみ)優等列車の名称である。
平日夜間帯に下り列車のみ、品川駅~京急久里浜駅・三崎口駅間を京急本線・久里浜線経由で運転される。座席定員数の着席整理券(乗車整理券)を発行することにより、品川駅からの長距離旅客に対し着席を保障した列車である。1992年4月16日に運行を開始した。
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[編集] 運行概要
「京急電車時刻表 2007年12月2日ダイヤ修正号」では種別欄に「快特」と表記される。
平日夕ラッシュ時、最も利用の多い時間帯を過ぎた後、品川駅18:45発の1号から22:05発の11号まで20分間隔で運転される。3号までは京急久里浜行、4号からは三崎口行となる。京急久里浜行は終点で三崎口行の特急に連絡する。品川駅では他の列車の運行に支障しないよう全列車が行き止まり式の3番線発となっており、在線時間を長く確保している。車両は横浜・横須賀方面から回送され、そのまま3番線に入線する。
料金不要列車の最上位種別である快特より停車駅が少なく、混雑の激しい横浜駅などを通過する。上大岡より先の停車駅は快特と同様である。ただし過密ダイヤにより所要時間は同一時間帯の快特と同等で、先行列車に接近して運転する時間が長い。最高速度は横浜以北でも110km/hに抑えられており、遅延回復時以外120km/h運転は行わない。
方向幕では、本来種別で使う部分に行先を表示し、横幅の広い行先で使う部分に「Wing」と表示している。列車種別表示灯の表示は、品川ではWが、上大岡以南の停車駅は快特と同様になるため快が、通過駅では他種別と同様に通過列車を意味する通がそれぞれ表示される。
事故や災害などで大幅な遅延が発生している場合は運転を取りやめ、ウィング号用の車両を青物横丁および平和島に臨時停車する快特列車として運転することがある。
[編集] 着席整理券
品川駅から乗車する場合は、乗車券の他に着席整理券(200円、大人・小児共通)が必要となる。上大岡駅以南は乗車券のみで乗車できる。
整理券確認のため、品川駅では1編成のうち2つのドアのみ非常コックを使用して手動で開閉している。着席整理券には乗車位置として「前4両」もしくは「後4両」が記載され、前者の場合は前から4両目、後者の場合は最後尾の車両後方のドアから着席整理券を係員に渡して乗車する。なお、4両目と5両目との間は品川駅発車直前まで通り抜けができない。
着席整理券の自動券売機は「前4両」が品川駅1番線の中央と横浜寄り階段上、「後4両」が高輪口改札と3番線のホームにある。満席などの場合を除き、券売機に近い位置で乗車するためのものが販売される。当初この券売機は現金のみ対応で、パスネット・PASMO・Suicaなどでは購入できず、1000円札以外の紙幣が使用できなかったが、2007年12月3日より新型の券売機が使用開始となり、PASMO・Suicaや1000円札以外の紙幣が使用可能となった。なお、品川駅の発車標の備考欄には、着席整理券について“空席あり”・“残りわずか”・“満席”の表示が出る。
当初は京急線各駅で1週間前から購入できたが、現在は品川駅のみで当日分を午前6時から発車5分前まで販売している。また、京急カード会員は携帯電話による着席整理券購入システム「京急ケータイdeクィックサービス」が利用可能で、電話機画面に表示された着席整理券を係員に提示するだけで乗車できる。
[編集] 車両
運行開始当初は2000形(当時は集団見合式クロスシート)が使われていたが、1998年3月28日より転換クロスシートの2100形車両の使用が始まり、翌1999年より全列車が2100形で運行している。ただし、2000年まではダイヤの都合により2000形で運行されることもあった。
片側2ドアのクロスシート車両である2100形は混雑時の運用に適さないため、夕ラッシュ時には他の列車に使用されない。