快速特急
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快速特急(かいそくとっきゅう)、快特(かいとく)とは、列車種別の一つである。どちらも特急より停車駅が少ない列車として運行されている。なお、通例では快特は快速特急の通称・略称として説明されていたが、2007年現在では運行会社により性格が大いに異なる。
そのため、本稿では各社の運行開始順に記述する。
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[編集] 京浜急行電鉄「快特」
快特(かいとく)は、京浜急行電鉄の列車種別の一つ。「特急より停車駅が少なく目的地に速達出来る列車」として京浜急行電鉄では広告している。現行の名称は1999年より使用しているが、従前では快速特急を称していた。
なお、京急では快特・エアポート快特(後述)・特急ともに英語表記には "Limited Express" が用いられているが、女性専用車の試験導入告知では種別表示の色から快特は "Green Limited Express"、特急は "Red Limited Express" が用いられている。京急と直通運行する都営浅草線内の駅ホーム発車案内では "Rapid Express" が用いられている。
「快速特急」という種別は、後述の各社で設定されるまで、長らく京急のみで設定されていた。
[編集] 派生種別
なお、この列車種別を元にした列車種別として以下のものある。
- 通勤快特
- 平日朝ラッシュ時上りのみ設定。1981年~1999年間に運行された(下記も参照のこと)。
- 京急ウィング号
- 1992年運行開始。平日夕方ラッシュ時品川駅発のみの運行で、品川駅~上大岡駅間は無停車、上大岡駅以南では快特停車駅に停車する。いわゆるホームライナーの一種で、品川駅から乗車する際は乗車整理券を要するが、他の駅からは運賃のみで乗車できる。
- エアポート快特
- 1998年運行開始。羽田空港駅~泉岳寺駅~京成高砂駅・成田空港駅間で昼間時のみ運行。浅草線内での独自の設定もある。
[編集] 歴史
- 1968年6月15日 従前運行されていた「週末特急」を定期化する形で快速特急運転開始。
- 1978年 運転時間帯が夕時間帯へ拡大、通勤輸送主体へと変化していく。
- 1981年6月22日 平日朝ラッシュ時の上り輸送改善策として、横浜駅以南は特急停車駅、横浜駅以北で快特停車駅に停車し、金沢文庫駅~品川駅間12両編成の通勤快特を運転開始。
- 通勤「快速特急」ではなく通勤「快特」が正式名称であった。
- 1986年 夕時間帯以降、快速特急の12両運転が開始される。
- 1992年4月16日 京急ウィング号運行開始。
- 1995年7月24日 京急蒲田駅が通勤快特の停車駅となる。
- 1996年7月20日 京急久里浜駅~三崎口駅間各駅停車となる。
- 1998年11月18日 羽田空港駅開業に伴い、空港線乗り入れ、エアポート快特運転開始。京急蒲田駅が終日停車駅となる。
- 1999年7月31日 ダイヤグラムの白紙改正を行い、略称として定着していた快特を正式名称とした。
- 2002年10月12日 京急川崎駅・金沢文庫駅で増解結を行う羽田空港駅~新逗子駅・浦賀駅間の快特も設定される。この列車は、羽田空港駅~京急川崎駅間は特急、金沢文庫駅~新逗子駅・浦賀駅間は普通として運転される。また、昼間時の品川駅発着快特を泉岳寺駅発着に変更、浅草線に連絡する。
[編集] 運行概況
基本的に、日中の久里浜線直通系統は京急線内折返し列車と都営浅草線直通列車が、空港線直通系統は快特とエアポート快特がそれぞれ交互に運行される。京急川崎駅以南の本線・久里浜線では日中は快特と普通のみのダイヤとなっており、快速と勘違いをする人が少なくない。また、関東以外から発信されている鉄道系個人サイトの一部では「快速」の他に「特急列車」と誤植されていることがある。なお、京急線には「特急」も一部時間帯に限って存在するが、「快速」は過去も含めて2008年3月現在存在していない。なお、停車駅等詳細は京急本線#快特を参照。
久里浜・三崎口発着の列車は自社の車両を中心に運行を行なうが、空港線直通列車は東京都交通局所属車両(5300形)京成と北総所属車両など乗り入れ各社(局)が中心で運行されている。朝ラッシュ時には一部上り快特(金沢文庫まで特急の「B快特」、品川まで12両編成)の品川方先頭車が女性専用車となっている。
[編集] 歴代の専用車両
専用車両は代々クロスシート車両が使用されている。運用の都合などでロングシート車両の1000形が使用されることもあったが、2000形の増備が完了すると日中の快特はクロスシート車両で統一された。ただし、浅草線直通列車は快特格上げ後も主にロングシート(車端部のみ固定クロスシートの車両も含む)の車両を使用しており、現在全座席クロスシート車両を使用している快特は日中でも全体の半数ほどである。また、現専用車両である2100形はすべて8両編成なので、12両で運転される場合は他形式の車両を併結する。ラッシュ時には800形以外の全形式が使用される。
[編集] 阪急電鉄「快速特急」
阪急電鉄が2001年3月から2007年3月16日まで京都本線で運行している列車の種別に快速特急があった。これの英語表記は"Limited Exp."であった。
[編集] 運行概況
西日本旅客鉄道東海道本線(JR京都線)新快速への対抗措置により京都本線で昼間時の特急停車駅を増加させたため、それまで運行されていた「快速急行」の種別名を快速特急に変更した。そのため、停車駅や所要時間は快速急行時代と変わらない。
朝夕のラッシュ時のみの運転。なお、平日の朝ラッシュ時にはより停車駅が少ない「通勤特急」が運行される。停車駅等は、阪急京都線停車駅一覧を参照のこと。
2007年3月17日のダイヤ改正により、「通勤特急」と統合され運行休止となった。
[編集] 名古屋鉄道「快速特急」
名古屋鉄道では、2005年1月29日より快速特急の運転を開始した。日本語の正式名称は「快速特別急行列車」。英語表記は正式とLCD行先表示器が "Rapid Limited Express",方向幕が"Rapid Ltd Exp.",名鉄名古屋駅のモニタが"Rpd Ltd Exp."。
これは中部国際空港へのアクセスの速達化を図るために、空港線開業と共にそれまで運行されていた名古屋本線・常滑線の「特急」を「快速特急」と「特急」に分割したものである。なお、常滑線から犬山線や広見線へ特急列車が運行されることから同線にも新設されるが、名古屋本線の神宮前以北や犬山線・広見線内での停車駅は「特急」と同じである。
なお、1969年より1970年まで、名古屋本線で運転される特急のうち知立駅を通過する列車を特に快速特急と称していた。そのため、この種別の使用は35年ぶりである。「名鉄特急#自動車との競争のなかで」も参照のこと。
[編集] 運行概況
名古屋本線では、従来の「特急」の標準停車駅のみに停車する列車を「快速特急」とし、加えて新安城駅と国府駅にも停車する列車を「特急」とした。ただし、国府駅や伊奈駅、笠松駅に特別停車する列車も設定されている。なお、名古屋本線の名鉄岐阜駅~豊橋駅間を走る快速特急は、特別車両券「μチケット」を必要とする「特別車」と必要としない「一般車」が併結された,「一部特別車」である。
名古屋本線では、快速特急と「快速急行」がともに一日中運転されていて、さらに駅や列車の案内板では「快特」「快急」と表示されるため、誤乗車する人が少なくない。
常滑線と新規に開業する空港線では、中部国際空港のアクセス特急として神宮前駅~中部国際空港駅間をノンストップで結ぶ列車を「快速特急」とし、途中の太田川駅、尾張横須賀駅、朝倉駅、新舞子駅、常滑駅に停車する列車を「特急」とした。
空港線直通快速特急の車両は、空港線開業とともに新造した全車特別車である2000系電車「ミュースカイ (μ-SKY)」が使用される。
- 名鉄特急も参照のこと。
[編集] 京成電鉄「快特(快速特急)」
京成電鉄の快特は2006年12月10日から従来の特急を「快特」と名称変更する形で運行が開始された(特急は快特の停車駅に加え新たに本線京成佐倉駅以東が各駅停車となった)。英語表記は京浜急行電鉄と同じく "Limited Express"が用いられている。
相互直通運転を行っている京浜急行電鉄の種別に合わせたため「快速特急」ではなく「快特」(かいとく)が正式名称とされている。しかし京成には快特と発音が極めて近い「快速」(かいそく。こちらが特急に対する急行同等。なお「急行」が運行されるのは押上線及び直通運転の北総線区間のみ)も存在するため、誤乗の懸念があった。利用者からの改善要請もあり、2007年8月16日より、駅構内および車内においては、「快速特急」とアナウンスすることとなった。ただし、正式な種別は「快特」のまま変更はなく、電光掲示板や種別表示器等の掲示は引き続き「快特」が使用される。
朝の上り列車と夜間の下り列車に設定(一部例外あり)。都営浅草線乗り入れ運用と、上野発着運用の2系統がある。なお新高速線で運行を行うかは未発表である。