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京急大師線 - Wikipedia

京急大師線

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

正月三が日の京急大師線(京急川崎駅にて)
正月三が日の京急大師線(京急川崎駅にて)

大師線(だいしせん)は、京急川崎駅小島新田駅を結ぶ、京浜急行電鉄が運営する鉄道路線である。全線が神奈川県川崎市川崎区に属する。

目次

[編集] 路線データ

[編集] 運行形態

普通列車のみ運行されている。全列車が起終点間を往復する運用で、他路線との直通や途中駅での折り返しはない。大晦日から元日にかけては川崎大師への多くの参拝客に対応するため列車が増発され、終夜運転が行われる。2005年までは本線からの直通列車(「だるまエクスプレス」)が運転されていた。

現在車両は旧1000形(2000年~)、1500形(主に鋼製車、2005年~)が4両編成で運用されている。基本的に平日ラッシュ時5分毎、日中は10分毎の運転となっているが、港町駅近隣にある川崎競馬場でのレース開催時などには増発される。ワンマン運転も検討されていたが、設備改良が困難だったことから見送られた。

2008年の1月には新1000形が大師線に乗り入れた。

[編集] 歴史

京浜急行発祥の地記念碑(川崎大師駅)
京浜急行発祥の地記念碑(川崎大師駅)

大師線は京浜急行電鉄のルーツである。当初は川崎大師への参詣路線として建設され、1899年に開業した。営業運転を行う鉄道としては日本で初めて標準軌を採用し、また電車による運行は関東で初めてのものである。人力車組合の反対で遅れていた川崎駅(現在の京急川崎駅)乗り入れも3年後の1902年に果たした。なお、大師駅から先、総持寺駅(京急本線京急鶴見駅花月園前駅間にあった駅)まで当初京浜電気鉄道(当時)自ら建設する予定であったが、別会社で建設される事になり、子会社の海岸電気軌道の手で1926年10月16日に大師~総持寺間が全通した。海岸電気軌道は鶴見臨港鉄道(現・JR鶴見線)に買収された上に1937年12月1日に廃止となった。海岸電気軌道線の大師~大師河原間は現在の川崎大師駅産業道路駅間とほぼ一致しているが、産業道路駅からは産業道路に並行して総持寺へ向かっていた。同駅の手前から産業道路横浜方面へ伸びる細い道が海岸電気軌道線の跡である。

太平洋戦争中は陸上交通事業調整法により東京急行電鉄の運営となり、防諜上の理由により一部駅名を変更した。また、工業地帯への通勤輸送を担うため、海岸電気軌道の廃線跡を一部活用して桜本駅まで延伸された。戦後、京浜急行電鉄として独立後の1952年に塩浜駅~桜本駅間を川崎市交通局(当時は交通部)に譲渡し、1964年には国鉄塩浜操車場駅(現在の川崎貨物駅)建設のため小島新田駅~塩浜駅が休止され、1970年に正式に廃止、現在の路線が確定した。

1949年より鈴木町駅~桜本駅間(さらに線路の続いていた川崎市電日本鋼管前駅まで)で下り線が1067mm軌間との三線軌条となり、沿線の日本鋼管(現JFEホールディングスJFEスチール)と味の素川崎工場から国鉄の貨物線への貨物輸送が行われた。その後、上記の線路変更の結果、1964年以降は塩浜操車場駅から大師駅先にある味の素川崎工場までに短縮され、大師線の旅客列車終車後に味の素へ出入りする貨物列車が運転されていた(運行は神奈川臨海鉄道が請け負っていた模様)。1960年代の最盛期には1日2便運行されたが、トラック輸送およびコンテナへの移行により貨物列車の運行が減り(末期は不定期に週2日程度)、1997年に貨物輸送が廃止されたため、現在は通常の二線軌条となっている。

[編集] 年表

  • 1899年(明治32年)1月21日 大師電気鉄道が六郷橋駅~大師駅(現・川崎大師駅)間 (2.0 km) 開業。
  • 1899年(明治32年)4月 京浜電気鉄道に社名変更。
  • 1899年(明治32年)11月29日 全線複線化。
  • 1902年(明治35年)9月1日 川崎駅(現・京急川崎駅)~六郷橋駅間開業。
  • 1904年(明治37年)3月1日 全線を1372mmに改軌。
  • 1925年(大正14年)11月1日 川崎駅を京浜川崎駅に改称。
  • 1929年(昭和4年)1月 現在の線路に付け替え。
  • 1929年(昭和4年)12月10日 味の素前駅開業。
  • 1932年(昭和7年)3月21日 コロムビア前駅開業。
  • 1933年(昭和8年)4月1日 全線を1435mmに再改軌。
  • 1942年(昭和17年)5月1日 京浜電気鉄道は東京横浜電鉄に合併し、東京急行電鉄となる。
  • 1944年(昭和19年)2月1日 コロムビア前駅を港町駅に改称。
  • 1944年(昭和19年)6月1日 東京急行電鉄の手により川崎大師駅~産業道路駅間開通。
  • 1944年(昭和19年)10月1日 産業道路駅~入江崎駅間開通。
  • 1944年(昭和19年)10月20日 味の素前駅を鈴木町駅に改称。
  • 1945年(昭和20年)1月7日 入江崎駅~桜本駅間開通。大師線全通。
  • 1948年(昭和23年)6月1日 東京急行電鉄から京浜急行電鉄が分離発足。
  • 1949年(昭和24年)6月30日 京浜川崎駅~港町駅間の六郷橋駅廃止。
  • 1951年(昭和26年)3月 塩浜駅~桜本駅間休止。
  • 1951年(昭和26年)3月16日 京浜川崎駅~塩浜駅間の架線電圧が1500 V に昇圧され、休止区間を除き京浜急行電鉄全線で架線電圧が統一された。
  • 1952年(昭和27年)1月1日 塩浜駅~桜本駅間を川崎市交通局へ譲渡し、川崎市電路線の一部となる。
  • 1956年(昭和31年)10月11日 列車集中制御装置 (CTC) を新設。
  • 1956年(昭和31年)10月18日 港町駅を現在地に移転。
  • 1964年(昭和39年)3月25日 小島新田駅~塩浜駅間が塩浜操駅(現・川崎貨物駅)建設のため休止。小島新田駅は京浜川崎駅寄りに300 m 移転。
  • 1970年(昭和45年)11月12日 空港線とともにATS地上装置の使用を開始。京浜急行電鉄全線のATS化が完了。
  • 1970年(昭和45年)11月20日 小島新田駅~塩浜駅間を正式に廃止。現在の路線が確定。
  • 1987年(昭和62年)6月1日 京浜川崎駅を京急川崎駅に改称。
  • 2005年(平成17年)11月28日 700形が引退。

[編集] 駅一覧及び停車駅

全駅が神奈川県川崎市川崎区に所在する。ホーム有効長は4両編成分となっている。

駅名 駅間営業キロ 通算営業キロ 2006年度乗降人員 接続路線
京急川崎駅 - 0.0 111,983 京浜急行電鉄:本線
東日本旅客鉄道:東海道線京浜東北線南武線川崎駅※)
港町駅 1.2 1.2 4,215  
鈴木町駅 0.8 2.0 7,911  
川崎大師駅 0.5 2.5 16,849  
東門前駅 0.7 3.2 6,895  
産業道路駅 0.6 3.8 8,816  
小島新田駅 0.7 4.5 20,567  
  • 乗降人員の京急川崎駅の数値は本線の旅客を含む。
  • ※京急川崎駅と川崎駅との間の連絡運輸はなし。

[編集] 廃止・譲渡区間

小島新田駅 - 塩浜駅 - 入江崎駅 - 桜本駅

  • 塩浜駅-桜本駅間 : 架線電圧600Vのまま存置され、大師線の1500V昇圧時に川崎市に譲渡された。
  • 小島新田駅-塩浜駅間 : 国鉄塩浜操車場の建設に伴い、1964年(昭和39年)に休止、1970年(昭和45年)正式に廃止となった。同時期に川崎市電の塩浜駅-池上新田駅間も廃止となっている。

[編集] 地下化計画

川崎市は、大師線と交差する国道や産業道路を始めとする道路における踏切の解消や混雑緩和を図るため、京浜急行電鉄と大師線のルート変更及び地下化計画を協議してきた。一部区間は既に着工している。

実質的には新線建設に近いが、連続立体交差事業を適用し川崎市が工費の大部分を負担する。全15ヶ所の踏切のうち14ヶ所が撤去される予定。特に交通渋滞の要因となっている産業道路と交差する踏切を中心とした3ヶ所を優先的に撤去するため、2006年8月には東門前~小島新田間の一部区間 (980 m) が先行着工された。全体の完成予定は2015年春となっているが、予定通りの完成は困難という見通しが出ている。京急川崎駅で建設予定の川崎縦貫高速鉄道と接続し、相互直通運転を行う構想もある。しかし川崎縦貫高速鉄道は武蔵小杉駅以南の整備計画が決定しておらず、実現するかどうか不透明な状況である。

[編集] 新ルート

京急川崎~川崎大師間は南側の地下に移設され、延長は現行の大師線よりも0.5 km 長くなる。ルートは京急川崎駅から南東の方角へ向かい、国道132号直下へ出て宮前町交差点(国道15号との交点)付近に宮前駅(仮称)を新設、そこから川崎競馬場の下を抜ける。港町駅付近からは大師みち(国道409号)に並行し、川崎大師駅からは現在の路線とほぼ同様の経路を辿る。京急川崎駅付近では既に川崎DICEの地下を通過する部分ではビルと一体的にトンネルが建築されている。

京急川崎駅は大師線のホームのみ地下化して川崎DICE南側付近に移設、小島新田駅は現状のままとなるが、他の駅はすべて地下駅となる。ルート変更に伴い、港町駅と鈴木町駅については大師みち(国道409号)の南方に移設される。

[編集] その他

羽田空港まで路線を延長して空港アクセス路線とする構想もあったが中止となった。しかし、中止後に持ち上がった神奈川口構想(首都圏第3空港構想)では川崎市川崎区の殿町付近(小島新田駅北西)に何らかの空港施設建設を計画しており、延伸構想が再燃する可能性もある。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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