Wikipedia:出典を明記する
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ここでは、出典を明記することの必要性と参考文献の書き方について説明します。
執筆する際に、書籍や外部サイトを参照することがあるでしょう。そのときは、情報源を明記してください。つまり、参考文献(書籍や論文、ウェブページなど)の一覧を用意してください。
これにはいくつか理由があります。
- 著作権(およびその隣接権)の遵守 - 著作権法上、引用元は明示しなければなりません。なお、日本語版を取り巻く状況により、あるいは様々な意見があって、現在のところ日本語版ウィキペディアでの引用は勧められません。詳細は、Wikipedia:著作権やWikipedia:引用のガイドラインを参照してください。
- 内容に問題がないか確認できる - 検証の可能性の面や、中立的な観点の面などで、問題がないかどうかの確認が容易になります。南京大虐殺のように意見が分かれる項目には、参考文献は必要になります。
- 読者がさらに調べるときの参考になる - 読者がその情報について、もっと知りたいと思ったときに、文献リストがあればそこから調査できます。
参考文献のスタイルもWikipedia:スタイルマニュアルの一環です。ウィキペディア全体で統一した形式になるようにしてください。もちろん、スタイルから外れていれば、誰かが修正してくれるでしょう。大事なのは情報を漏らさず記入することです。
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[編集] 出典を明記する
参考文献がまったく挙げられていなかったり、出典の明らかでない評価などの記述があったりしたら、記事や節の冒頭に {{出典の明記}}テンプレートを置いておくのも良いでしょう。どの記述に出典が求められるかについて、ノート欄で指摘し、執筆者に出典を求めることで、すぐに解決するかもしれません。もしもあなたが良い出典をお持ちでしたら、ぜひご提示ください。
編集者の間で真偽を巡り対立が生じると思われる記述を見つけた時には、ノート欄で指摘し、話し合ってみてください。執筆者が参加しない場合や、議論の参加者の間では出典を示すことが困難であれば、このような記述を含む記事や節の冒頭に {{出典の明記}}テンプレートを置き、出典を探していることを周知させてください。
また、既に内容に疑いがあったり、閲覧者が信じることが望ましくない場合には、{{未検証}}テンプレートを使うことも検討してください。自分で編集することが可能ならば、もちろん編集しても構いません。Wikipedia:検証可能性も参照してください。
いずれの場合にも、どの記述について出典を求めているかを特定することが、すみやかな問題解決のために望ましいことです。ノート欄での指摘のほかに、要出典部分を特定するために、{{要出典}}テンプレート(このようなものです[要出典]。出典が求められる記述の後に挿入します)が用意されています。
[編集] 出典の示し方
[編集] 本文中
- 文の直後に(----参考。)、(----参照。)、(----を見よ。)、(----から引用)と続ける。必要があればページ数も記す。脚注機能を使用することもできる。脚注機能を使わないと本文のどの部分が情報源なのか不明なため、なるべく脚注機能を使用することが推奨される。
- 参考文献の節に掲載している文献の場合、「村上(1982)」などとどの文献であるかのみ指示すればよい。
- 例:「何を叱られたんだか、あんまり要領を得ない。然し御父さんの国家社会の為に尽すには驚ろいた。何でも十八の年から今日までのべつに尽してるんだってね」(夏目漱石『それから』新潮文庫、1985年改版、40頁より引用)
[編集] ページの末尾
- == 参考文献 == 見出しの下に、参考文献を箇条書き (*) で記す。
- 並べる順序は、著者名別の五十音順ないしはアルファベット順で統一する。姓を先行させ、姓が同じ場合は名前で順序をつける。同一著者は年代順にする。
- ページ数は不要。
- ISBNをつけるかどうかは任意。なお、ISBNは規格が変更され現在では13桁になっています。これはTemplate:13桁ISBNを使用することで10桁のものを13桁に変換できますが、ISBNの有無同様、必ずしも13桁で記入する必要はありません。
- ウィキペディア上にその本についてのページがある場合、本のタイトルをリンクする。その場合も、文献情報は完全に書くこと。
- 論文など記事がネット上にある場合、タイトルをオンライン版にリンクする。
- 著者の名前が、本文中でリンクされていない場合には、(もしあれば)その著者に関するウィキペディアのページにリンクすると、情報源の背景やその著者の他の作品がわかるのでよい。
[編集] 書誌情報の書き方(和書)
[編集] 項目の並び順
- 著者名、著書(論文)名、雑誌名、巻数、発行所名、叢書名、刊行年、参照ページの順で記す。後述の実例を参照し、それに倣うとよい。テンプレートTemplate:Cite bookの活用も可能である。
[編集] 項目間の区切り
- 項目間には原則として読点(、)を用い、全項目の末尾には句点(。)を記す。
- かぎかっこの前後では読点を用いず、全角空白( )を用いる[2]。
- 書名の二重かぎかっこの後に巻数を記す場合と、論文名の一重かぎかっこと所収書名の二重かぎかっこを連記する場合は、半角空白を入れずにつなげて書く。
- 叢書名の全角山括弧は、発行所名につなげて書く。
[編集] 著者名
- 敬称は付けてはならない。
- 共著の場合は3名以下の場合は全員書くこと。4名以上の場合は最初の1名を書いて残りは「--ほか」とする。
- 複数の著者が執筆している編纂物(アンソロジー)の場合は、「--編」と書き共同執筆者名は要らない。
- 編者が執筆者をかねている場合は「--編著」と記す。
- 監修者がいる場合は「--監修 --著」又は「--監修 --編」と記す。
[編集] 書名
- 単行本は二重かぎかっこ(『 』)で囲む。
- 雑誌論文名は一重かぎかっこ(「 」)で囲む。
- 論文が所収されている雑誌や書籍は、二重かぎかっこ(『 』)とする。
- 副題は、ダッシュ(-)かコロン(:)で本題とつなげてかっこの中に書く[3]。
[編集] 発行所名
- 叢書として出版された本の場合、叢書名は全角山括弧(〈 〉)で囲み、発行所名に続けて記す。
- 発行元が販売元(出版社)と同一でない場合もあるので注意すること。
- 日本では欧米のように発行所の前に刊行地をあげる必要はない。
[編集] 刊行年
- 刊行年は西暦を用いる。元号を使う場合は西暦を併記する。
- 引用出典を明示する場合は、「典拠した版」を表記すること。
[編集] ウェブサイト
- 年月日は、その文書が作成された、もしくは最後に更新された年月日を記載する。年月日がわからない場合は省略[4]。
- 同一内容で書籍も出ている場合には、その書籍も書く。(ウェブサイトは長期間残っていることが少ないため)
[編集] 書誌情報の実例(和書)
[編集] 著者が一人の例
- 村上春樹 『ノルウェイの森(上)』 講談社〈講談社文庫〉、1991年、200頁。
[編集] 共著の例
[編集] 編著の例
[編集] 翻訳書の例
- J・D・サリンジャー 『ライ麦畑でつかまえて』 野崎孝訳、白水社〈白水Uブックス〉、1984年、180頁。
[編集] 雑誌論文の例
- 内田貴 「現代契約法の新たな展開と一般条項(1)」『NBL』514号、商事法務、1993年。
- 福見秀雄 「感染論から見た化学療法論」『科学』24号、175-179頁、1954年。
[編集] 書籍中の論文の例
- 星野英一 「編纂過程から見た民法拾遺」『民法論集』第一巻、星野英一、有斐閣、1970年。
[編集] ウェブサイトの例
- 村上春樹 「共生を求める人々、求めない人々-映画『A2』をめぐって」 共同通信社、2002年3月22日。
[編集] 書誌情報の書き方(外国語文献)
出典表記方法は国や分野によってしばしば異なり、国際的基準は存在しない上、本文中の注と巻末の文献表では表記が異なります。欧米文献に関する注については、アメリカ合衆国や日本では「米国現代語学文学協会方式(MLA)」、「アメリカ心理学会方式(APA)」、「ハーバード方式」、「シカゴ・マニュアル・オブ・スタイル方式」の注表記方法が多く利用されています。ウィキペディア日本語版では外国語文献の書誌情報表記スタイルにまだ明確なガイドラインはありませんが、{{Citation}}や{{Cite book}}などのテンプレートを使用することである程度スタイルを統一することができるようになっています。このページの各国語版も参照してください。
[編集] 著者名
- 文献表の場合、ファミリーネームを先に書く。
- 複数の著者の間はコンマ(,)か、「and」でつなぐ。
- 執筆者が多いときは、「et al.」で省略する。
- 編者は「ed.」と記す。
[編集] 書名
- 書名はイタリックで書く。
- 論文名はダブルクォーテーションマーク(“ ”)でくくる。
- 雑誌名はイタリックで書く。
- サブタイトルは、ダッシュ(-)かコロン(:)でメインタイトルとつなげて書く。
- 巻数は「Vol. 1」、号数は「No. 1」などとする。シリーズの巻数を示す時は「21 vols.」などとする。
[編集] 刊行地・発行所
- 複数の都市で同時に刊行されている場合は、スラッシュ(/)でつなげるか、最初の都市以外は省略する。
- 刊行地の後に出版社名をコロン(:)でつないで記す。
[編集] 刊行年
- パーレン(( ))で括ってもよい。
[編集] 頁数
- 単独では「p. 12」、連続頁では「pp. 12-25.」などと記す。
- 独立して複数の場合は「pp. 12, 25.」と記す。
- ある頁とその次の頁の場合は「pp. 12 f.」、ある頁とそれ以降の数頁の場合は「pp. 12 ff.」と記す。
[編集] 書誌情報の実例(外国語文献)
以下、英文の本文中の注の書き方の一例を記します。
[編集] 単行本の例
著者名, 書名, 刊行地:発行所名, 刊行年, 引用ページ. の順で記す。
- Joseph Needham, Science and Civilisation in China, Vol. 1, Cambridge: Cambridge UP, 1954, p. 33.
{{cite book}} を使った場合
- Needham, Joseph (1954). Science and Civilisation in China 1. Cambridge: Cambridge UP, p. 33.
[編集] 論文の例
執筆者名, “論文名,” 雑誌(書)名, 編者名, 巻・号数, 刊行地, 刊行年, 引用ページ.の順で記す。
- Max Black, “More about Metaphor,” Metaphor and Thought, Andrew Ortony (ed.), Cambridge: Cambridge UP, 1979, pp. 55-66, 77.
{{cite journal}} を使った場合
- Black, Max (1979). “More about Metaphor”. Metaphor and Thought 77: 55–66.
[編集] 書誌情報の書き方(新聞)
新聞を出典とする場合、書籍や雑誌とは異なる新聞独自の事情を考慮する必要がある。
同じ日付の同じ新聞であっても、
- 朝刊と夕刊がある。
- 通常版に加えて土曜版、日曜版、正月版、号外などがある。
- 一部の地域にしか配信されない記事がある。
- 版が異なれば、記事が差し替えられていたり、ある記事が別の日、面(ページ)に掲載されていることがある。
では、出典に関する情報をどの程度記すべきであろうか。詳細に書けば、出典を確認したり、そこから更なる情報を得ようとする者にとっては検索の手間が省けて便利であるが、書き手にとっては煩わしく感じられるかもしれない。
検索の手間にはあまり影響しないものの、出典の記載方法について、他にも、意見が分かれそうなものがある。
- 新聞名はどのようにくくるか(例えば『』なのか「」なのか)。
- 記事の見出しをどのように記述すべきか。
- 記者の署名入りの記事を出典とする場合に、記者名を入れるかどうか。
この節を書くにあたっては、以下の4種類の文献を使用した。
- 中村健一 『論文執筆ルールブック』 日本エディタースクール出版部、1988年。……以下、この書籍を(A)とする。
- 櫻井雅夫 『レポート・論文の書き方 上級 改訂版』 慶應義塾大学出版会、2003年(1998年初版)。……(B)
- 井出翕・藤田節子 『レポート作成法-インターネット時代の情報の探し方』 日外アソシエーツ、2003年。……(C)
- 宮澤淳一編 「文献・(資料)の書き方」『音楽の文章術-レポートの作成から表現の技法まで』リチャード J.ウィンジェル著、宮澤淳一・小倉眞理訳、春秋社、1994年。……(D)
これらは、新聞の書式をどのようにするかについて、それぞれ異なる見解を示している。すなわち、統一的な基準が存在していないということである。そのため、この項においては当面、複数の表記法を示し、議論にゆだねることにする。なお、ここでは日本語の新聞について扱う。
最初に、2007年3月16日付毎日新聞朝刊(14版)のトップ記事を出典として使用する場合の書き方を提示する。この記事は次のような見出しであった。
- 「志賀原発1号機 想定外の臨界事故 保安院 停止・点検を支持」(全角スペースごとに文字サイズの大きさが異なる。太字が最も大きく、以下、斜体、下線部、通常と続く)
最も簡単に記す方法は、(B)の128頁にあるように、新聞名と日付のみを記すことである。
- 『毎日新聞』2007年3月16日。[5]
ここで新聞名をくくるのに二重鉤括弧を用いた。この方式は(A)(B)(D)が採用している。(C)では鉤括弧が用いられていないが、新聞名の右にピリオドが置かれている(126頁)。また、「#書誌情報の書き方(和書)」にあるルール「かぎかっこの前後では読点を用いず、全角スペース( )を用いる」を踏襲していないが、それは4冊のいずれもこのようなやり方を採用していないからである。
次に、詳細に記す方法を示す。まず見出しをどう記すか。(A)や(D)では、大きい順に2つを記すとされている。また、(A)では題名どうしを全角ダッシュ(1字分)やナカグロで結ぶのに対し、(D)では全角ダッシュ2字でつなげている。ナカグロは「停止・点検を支持」ですでに使われているため、ここではダッシュを採用する(ただし、ウィキペディア日本語版ではダッシュは基本的に使用しないことになっている。Wikipedia:表記ガイド#ダッシュ参照)。
下は(D)の方法に従った場合の表記例である。
- 想定外の臨界事故――停止・点検を支持
この記事の場合、上の方法で見出しの一部を省略すると、「停止・点検を支持」の主体がわからなくなるのが問題点として残る。
最も簡単に記す方法で示した、新聞名と日付に加え、見出し、記者名(この記事は署名入り)、および朝刊や版、面の表示を行うと、次のようになる。
- 高木昭午「想定外の臨界事故――停止・点検を支持」『毎日新聞』2007年3月16日付朝刊、第14版、第1面。[6]
著名人や文化人の寄稿を、出典として使用する場合の書き方を2つだけ示す。
- 村千鶴子「だまされない!!」二次被害(2) 『毎日新聞』2007年3月16日。[7]
- 村千鶴子「だまされない!!」二次被害(2) 『毎日新聞』2007年3月16日付朝刊、14版、13面、暮らし豊かに 役立つページ。
書評やインタビュー記事については、現段階では例を示さない。
[編集] 引用のガイドライン
詳細についてはWikipedia:引用のガイドラインをご参照下さい。
[編集] 脚注
- ^ たとえばこの項目において、日本語文献のページを表す際にどれも漢字(「頁」)が用いられているが、下の参考文献には、「漢字で書くのが決まりだ」というルールは存在しない。河野、澤田、中村ともに、片仮名表記(「ページ」)を許容している。またWikipedia日本語版において、漢字にすべきだとの合意ができているというわけでもない。詳細はノートを参照。
- ^ この方式(全角空白を置く方式)は河野による。澤田、中村はかぎかっこの前後を空けていない。
- ^ この方法は河野によるが、原著では、ダッシュやコロンは半角ではなく全角で表されている。なお、中村は「二倍ダッシュ」としている。
- ^ 河野は『レポート・論文の書き方入門 第3版』(2002年)において、「アクセス日」を記述するとしている(107-109頁)。Wikipedia日本語版のTemplate:Cite webでは、閲覧年、閲覧月日を必須としており、この項目の方針と異なる。
- ^ 最後の句点は、(B)では終止符。
- ^ 版、面の前の「第」は(A)では省略され、(D)では付されている。
- ^ 「二次被害」の右にある「(2)」は、実際には丸数字。Wikipedia:表記ガイドにより、丸数字は括弧つき数字で代用する。
[編集] 関連項目
- Category:出典テンプレート - 出典表記支援の各種テンプレート
- Wikipedia:ウィキペディアを引用する
- Wikipedia:原典のコピーはしない
- Help:脚注
- 資料
- Template:要出典
- Template:要出典範囲
[編集] 参考文献
「書誌情報の書き方(新聞)」の節以外の箇所については、次のとおり。
- 河野哲也 『レポート・論文の書き方入門-改訂版』 慶應義塾大学出版会、1998年。
- 澤田昭夫 『論文の書き方』 講談社〈講談社学術文庫〉、1977年。
- 中村健一 『論文執筆ルールブック』 日本エディタースクール出版部、1988年。