九州
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九州地方のデータ | ||
本島7県(除南西諸島)の合計 | ||
面積 | 39,809.25km² | |
総人口 | 13,231,995人 (2006年3月31日) |
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人口密度 | 332.38人/km² (2006年3月31日) |
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位置 | ||
九州 | |
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面積 | 36,737.73km² |
最高標高 | 1791m |
所属国・地域 | 日本 |
九州(きゅうしゅう)は、日本の南西部に位置する島である。日本で3番目に大きい島で、世界の島の中では第36位の大きさ。
また、九州とその周辺諸島からなる地方を、九州地方(きゅうしゅうちほう)という。人口は1323万1995人(2006年)で、面積は3万9906.73km²である。人口密度は370.34人/km²。
九州本島の最高地点は大分県の九重連山中岳の1,791m。ただし、九州地方としての最高地点は、九州本島ではなく屋久島にある宮之浦岳の1,936mである。
日本の地理#九州も参照のこと。
目次 |
[編集] 地理
詳しくは、九州とその周辺については「日本の地理#九州」を、南西諸島については「日本の地理#南西諸島」を参照すること。
中央に九州山地が形成されている。その中核をなす阿蘇山は東西18km、南北25kmにも及ぶ世界最大級のカルデラを持つ。九州の地形は大きく3つに分けることができ、北部は比較的なだらかな山地、南部は白亜紀から第三紀にかけて生成された付加体であるため北部とは全く異なった地質であり、比較的険阻な山地になっている。また、中部は数十万年前まで瀬戸内海の延長の海で分かれており、それが阿蘇山の数回にわたる噴火によって溶岩で埋まり、一つの島になった。
[編集] 周辺
周辺は、日本海、東シナ海、太平洋(フィリピン海)に囲まれている。また、瀬戸内海にも面している。
[編集] 気候
九州地方は、日本の地域の中では小笠原諸島に次いで温暖な地域である。奄美諸島以南の地域と、トカラ列島以北の地域では気候が大きく違う。
トカラ列島以北の地域は、夏は暖かく降水量が多く、冬は寒く降水量が少ない、という気候が見られる。域内の南北で大きな気温の差は1~2℃ほどと少ししかない。ただし、阿蘇山・祖母山などの九州山地の高地や山頂では気温は低く、真冬日が続き積雪も多い。特に、山頂では稀に-20℃前後まで下がることがあり路面凍結などが多発する。
南部の太平洋沿岸に当たる宮崎県・鹿児島県は、夏に降水量が多い太平洋側気候で、台風の襲来も多く、鹿児島県は1951年以降の台風上陸数が日本一である。夏から秋にかけて台風の影響を受けるため「台風銀座」と呼ばれる。
中西部の有明海沿岸や北東部の瀬戸内海沿岸(大分県・福岡県旧豊前国)は瀬戸内海式気候で、一年中降水量が少ない(熊本市の年間降水量:約2,000mm)。
北部の福岡市など玄界灘沿岸は日本海側気候で、冬は降水量が比較的多いが、年間降水量が少なく、曇天が多いなど山陰地方と似た気候が現れる。しかし、積雪は山陰地方と比べて少なく、わずか5cm程度でも大雪とみなされ交通機関が麻痺する。
奄美諸島を含む奄美諸島以南の地域は南西諸島気候で、大東諸島を除き、どの島でも年間降水量は2,000mm以上と多い。年間の気温の差が小さく、1年を通して気温が高い。また1日の気温の差も小さい。台風の襲来が多く、時々強い台風が襲来して被害をもたらす。
[編集] 「九州」の由来
「九州」とは、本来は、西海道のうち筑前国・筑後国・肥前国・肥後国・豊前国・豊後国・日向国・大隅国・薩摩国の9国の総称。九国(きゅうこく、くこく)とも呼んだ。したがって、九州に対馬国・壱岐国・奄美諸島・琉球諸島は含まない。ただし、奄美は明治になって大隅国に編入されたため、九州に含むとも言える。上記9国とともに対馬、壱岐を含む西海道(後に琉球も含んだ)は、九国二島、九州二島とも呼んだ。また、西海道の別名として鎮西とも呼ばれていた。陰徳(太平)記序には山陰山陽四国九州と記載されている。
廃藩置県・府県合併以降は、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県の7県を指して九州地方とされ、対馬・壱岐・奄美諸島を含む。
沖縄県は基本的には九州地方に含まれないが、これも含んで九州地方とする場合や、あるいは合わせて「九州・沖縄地方」と呼ぶ場合もある。また、本州に位置する山口県は基本的には中国地方に区分されるが、九州本土に近く歴史的な縁の深いこともあり、山口県を含んで九州地方とする場合や、合わせて「九州・山口地方」と表現する場合もある。
九州を大きく二つに分けると、北部九州と南九州に分ける場合と、東九州(日豊)と西九州(筑肥)に分ける場合がある。また、北部九州と南九州の中間となる地域を中九州ということもある。ただし、これらの地域区分は使用される側によって大きく変化する。中世には少弐氏、大友氏、島津氏の守護任国に応じて三前(豊前・筑前・肥前)、三後(豊後・筑後・肥後)、三奥(日向・大隅・薩摩)という区分もあった。 詳細は各項目を参照。
[編集] 歴史
[編集] 古代
古代では、九州本島は筑紫島と呼ばれていた。古代の行政区画で西海道にあたり、はじめは筑紫・豊国・肥国・熊曾国と呼ばれたが、その後都からの遠近で前後に分ける必要が生じてさらに筑紫は筑前国・筑後国、豊国は豊前国・豊後国、肥国は肥前国・肥後国に分割され日向国の7国と島嶼部の壱岐国・対馬国の2国が成立。824年以後は大隅国・薩摩国を加えた本土9国島嶼部2国となった。また、現在の太宰府市には対外的な窓口と大陸からの防衛任務を兼ね、西海道の統轄として大宰府が設置された。
[編集] 中世
中世には、博多が中世都市として栄える。摂津国の渡辺氏の分流の松浦氏の一族や、藤原純友の乱において勲功のあった大蔵春実、橘公頼などの子孫が土着し、在地の豪族となる。
平家の勢力圏であり、九州の武家は平家方に属したが、源平合戦の趨勢から菊池氏や松浦氏をはじめ諸氏は源氏方に寝返り、鎌倉幕府の鎮西御家人となり地頭に補任される。
しかし、九州の武家は親平家方であったため、源頼朝は「戦後処理」として、九州の在地武家を抑えこむため、新しく東国御家人の少弐氏や島津氏、大友氏を守護として九州に送り、これらの「下り衆」が勢力を強め、菊池氏や松浦氏、秋月氏などの在地の武家を抑え、その後の九州の武家の中枢となる。
鎌倉時代には2度に渡る元寇があり、少弐氏など北九州の武士を中心に撃退した後に鎮西探題が設置される。
1333年に京都において後醍醐天皇が元弘の変で蜂起すると、少弐氏や大友氏などが鎮西探題の北条英時を攻撃する。鎌倉幕府が滅亡後に後醍醐天皇の建武の新政が成立し、後に足利尊氏は新政から離反し、尊氏は京都での戦いに敗れて九州へ逃れる。少弐氏らは尊氏を迎え、宮方の菊池武敏らを多々良浜の戦いで破る。尊氏は九州で体勢を整えた後に一色範氏・仁木義長らを足利勢力として残し、京都に上り、室町幕府を開く。
後醍醐天皇は吉野(奈良県)に逃れて南朝を開き、宮方の武将に自身の皇子を奉じさせて各地で南朝勢力の集結を呼びかけ、九州には懐良親王が宇都宮貞泰に守られて派遣され、菊池氏に奉じられる。懐良親王は明から倭寇鎮圧の要請のために派遣された使者を迎え、「日本国王」として冊封されて明の権威を背景に勢力を広める。また、足利家では観応の擾乱と呼ばれる内紛が発生し、尊氏の側室の子である足利直冬が九州で尊氏と敵対して戦う。
中央では南朝勢力は衰微し、幼い3代将軍足利義満を補佐した細川頼之が今川貞世を九州の南朝勢力討伐のために派遣すると懐良親王も博多、大宰府を追われ、貞世の働きで九州の南朝勢力は鎮圧される。貞世は九州で独自の勢力を築いたため義満に排除され、その後は大内氏が台頭する。
応仁の乱以後は少弐氏は衰退し、戦国時代には大友氏、大内氏、島津氏などが戦国大名に成長する。
主要な戦国大名
- 宗像氏(筑前国)
- 宗氏(対馬国)
- 城井氏(豊前国)
- 大友氏(豊後国)
- 秋月氏(筑前国)
- 少弐氏(筑前国)
- 菊池氏(肥後国)
- 龍造寺氏(肥前国)
- 蒲池氏(筑後国)
- 有馬氏(肥前国)
- 松浦氏(肥前国)
- 阿蘇氏(肥後国)
- 相良氏(肥後国)
- 伊東氏(日向国)
- 島津氏(薩摩国)
- 肝付氏(大隅国)
- 大村氏(肥前国)
- 立花氏(筑前国、筑後国)
[編集] 近世
[編集] 近代
[編集] 年表
「九州」という呼び名・範囲に関連したもののみ
- 702年 - 唱更国(のちの薩摩国)が日向国から分離。
- 702年 - 種子島・屋久島に多褹国が置かれた。
- 713年 - 大隅国が日向国から分離。「九州」の語源となる9国がそろった。
- 824年 - 多褹国を大隅国に合併。この時点の国境が明治まで続く。
- 1609年 - 薩摩藩が琉球王国を占領。
- 1613年 - 奄美が薩摩藩に併合。
- 1871年 - 廃藩置県。
- 1872年 - 琉球王国を廃し、琉球藩を置いた。
- 1879年 - 奄美が大隅国に編入、大島郡となる。9国全てが現在の範囲となった。
- 1879年 - 琉球藩を鹿児島県に編入、さらに沖縄県に分離。
- 1883年 - 佐賀県が長崎県より、宮崎県が鹿児島県より分離。現在の8県がそろった。
- 1945年 - 太平洋戦争終戦。沖縄は日本から分離され、奄美もアメリカ統治下におかれた。
- 1946年 - 奄美が公式に日本から分離された。
- 1952年 - サンフランシスコ講和条約。日本は奄美・沖縄の領有権を放棄。
- 1953年 - 奄美返還。鹿児島県の範囲が本来に戻った。
- 1972年 - 沖縄返還。
[編集] 経済
九州には、大きく分けて南北に2つの経済圏がある。
- 第一次産業では、野菜、花卉類、果実類、畜産が特に盛んで出荷額が多い(南九州)。
- 第二次産業では、1960年代までは鉱業(石炭採掘)が盛んであったが、炭鉱の閉山後は代わって電子、鉄鋼、化学工業などが盛んである(北九州)。交通や輸送の要所に沿って、効果的に工業地域が並んでいる。また、北部の主要都市沿岸では造船が盛ん。
位置的に朝鮮半島や中国、東南アジアなどに近く、特にアジアとの貿易や輸送が盛んである。実際に、関門地方や福岡市からでは、東京都よりもソウル(韓国)の方が近い。
九州の名目域内総生産は、78兆6915億円(2000年)で、1995年比伸び率1.2%。この数値はドル換算で約6700億ドルで、これは台湾やオーストラリアを上回る。
[編集] 人口
都道府県番号 | 都道府県名 | 順位 | 人口 | 割合 |
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JP-40 | 福岡県 | 9 | 5,051,762 | 4.00% |
JP-41 | 佐賀県 | 42 | 871,908 | 0.70% |
JP-42 | 長崎県 | 26 | 1,500,156 | 1.20% |
JP-43 | 熊本県 | 23 | 1,854,792 | 1.50% |
JP-44 | 大分県 | 34 | 1,216,735 | 1.00% |
JP-45 | 宮崎県 | 37 | 1,163,083 | 0.90% |
JP-46 | 鹿児島県 | 24 | 1,773,959 | 1.40% |
JP-47 | 沖縄県 | 32 | 1,347,304 | 1.10% |
合計 | 14,779,699 | 11.80% |
※順位・人口・割合は2003年10月1日のデータによる。
[編集] 年齢構成
年齢5歳階級別人口
2004年10月1日現在推計人口
総計 [単位 千人]
年齢5歳階級別人口
2004年10月1日現在推計人口
男女別 [単位 千人]
- データ出典:第10表/都道府県, 年齢(5歳階級), 男女別人口-総人口
(総務省統計局)
[編集] 市町村
[編集] 主要都市
九州七県の主要都市を掲載する。
[編集] 教育
[編集] 国立大学
[編集] 公立大学
- 福岡県
- 長崎県
- 熊本県
- 宮崎県
- 大分県
[編集] 私立大学
- 福岡県
- 佐賀県
- 長崎県
- 大分県
- 日本文理大学
- 別府大学
- 立命館アジア太平洋大学(APU)
- 熊本県
- 宮崎県
- 鹿児島県
[編集] 文化
[編集] 名所・史跡・観光
[編集] 国立施設
[編集] 野球場
[編集] サッカー場(陸上競技場)
- 鳥栖スタジアム
- 東平尾公園博多の森球技場
- 大分スポーツ公園総合競技場(ビッグアイ)
- 熊本県民総合運動公園陸上競技場(KKWING)
[編集] 遊園地等
[編集] 地域文化
[編集] 交通
[編集] 鉄道(ケーブルカーを除く)
- JR九州
- JR西日本(山陽新幹線・博多南線)
- 西日本鉄道
- 福岡市営地下鉄
- 北九州モノレール
- 筑豊電気鉄道
- 平成筑豊鉄道
- 甘木鉄道
- 長崎電気軌道
- 松浦鉄道
- 島原鉄道
- 熊本市交通局
- 熊本電気鉄道
- 肥薩おれんじ鉄道
- 南阿蘇鉄道
- くま川鉄道
- 高千穂鉄道
- 鹿児島市交通局
[編集] 主なバス会社
- ジェイアール九州バス
- 西鉄バス・西鉄バスグループ各社
- 北九州市交通局
- 堀川バス
- 佐賀市交通局
- 昭和自動車
- 祐徳自動車
- 西肥自動車
- 長崎県交通局
- 佐世保市交通局
- 長崎自動車
- 壱岐交通
- 対馬交通
- 九州産交バス・産交バス
- 熊本バス
- 大分交通
- 大分バス
- 亀の井バス
- 日田バス
- 竹田交通
- 宮崎交通
- 三州自動車
- 鹿児島交通
- 南国交通
- いわさきバスネットワーク
- 大隅交通ネットワーク
- 鹿児島市交通局
- 種子島・屋久島交通
- 大和バス
- 道の島交通
- 奄美交通
- 加計呂麻バス
- マルエーフェリー
- 徳之島総合陸運
- 沖永良部バス企業団
- 南陸運
[編集] 道路
[編集] スポーツ
[編集] 本拠地を置くチーム・団体
- 野球:福岡ソフトバンクホークス(日本プロ野球パシフィック・リーグ)、福岡レッドワーブラーズ、長崎セインツ(四国・九州アイランドリーグ)
- サッカー:大分トリニータ、ロアッソ熊本、アビスパ福岡、サガン鳥栖(日本プロサッカーリーグ)、ニューウェーブ北九州、FC琉球(JFL)、鹿児島鴨池フットボールクラブアサヒナ、ルネサンス熊本フットボールクラブ、福岡J・アンクラス(なでしこリーグ2部)
- ラグビー:福岡サニックスブルース、コカ・コーラウエストレッドスパークス、九州電力キューデンヴォルテクス(ジャパンラグビートップリーグ)
- バレーボール:大分三好ヴァイセアドラー(プレミアリーグ男子)、久光製薬スプリングス(プレミアリーグ女子)
- バスケットボール:ライジング福岡、大分ヒートデビルズ、琉球ゴールデンキングス(bjリーグ)
- ハンドボール:トヨタ紡織九州レッド・トルネード(日本ハンドボールリーグ男子)、オムロンピンディーズ、ソニーセミコンダクタ九州BLUE SAKUYA(日本ハンドボールリーグ女子)
- フットサル:バサジィ大分(日本フットサルリーグ)
- プロレス:プロレスリング華☆激、大分AMWプロレス
- ソフトボール:西日本シロアリ、Neo長崎、ダイワアクト、オール北九州、旭化成(男子西日本リーグ)
[編集] 定期開催される大会
- 大相撲:九州場所
- 陸上競技:別府大分毎日マラソン、福岡国際マラソン、九州一周駅伝、大分国際車いすマラソン
- 柔道:福岡国際女子柔道選手権大会、金鷲旗全国高等学校柔道大会
- 剣道:玉竜旗全国高等学校剣道大会
- テニス:全国選抜高等学校テニス大会
- 熱気球:佐賀インターナショナルバルーンフェスタ
- 吹奏楽:九州吹奏楽コンクール
[編集] 開催された世界大会
- バレーボールアジア女子選手権(1983年、福岡県)
- アジアラグビーフットボール大会(1984年、福岡県)
- 熱気球世界選手権(1989年、1997年、佐賀県)
- スポーツカー世界選手権(1991年、大分県)
- 夏季ユニバーシアード(1995年、福岡県)
- 世界男子ハンドボール選手権(1997年、熊本県)
- パンパシフィック水泳選手権(1997年、福岡県)
- バスケットボールアジア選手権(1999年、福岡県)
- 世界水泳選手権(2001年、福岡県)
- 世界クロスカントリー選手権(2006年、福岡県)
[編集] その他
- 財務省地方財務局の管轄
- コカ・コーラのボトラーエリア
- コカ・コーラウエストジャパン※:福岡県 - 佐賀県 - 長崎県 -(山口県 - 広島県 - 岡山県 - 島根県 - 鳥取県)
- 南九州コカ・コーラボトリング:熊本県 - 大分県 - 宮崎県 - 鹿児島県
- ※コカ・コーラウエストジャパンはコカ・コーラウエストホールディングスの傘下。
[編集] 関連項目
[編集] その他日本の主な島
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北日本 |
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東日本 (狭義) |
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中日本 |
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西日本 (狭義) |
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南日本 |
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