アンダーグラウンド (文学)
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『アンダーグラウンド』は、村上春樹のノンフィクション文学作品。
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[編集] 概要
1997年3月、講談社刊(書き下ろし、727ページ)。1999年、講談社文庫刊(777ページ)。2003年、『村上春樹全作品 1990~2000 第6巻 アンダーグラウンド』に所収(699ページ、著者による「解題」つき)。
1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件の被害者や、その関係者62名に、村上春樹自身がインタビューをし、それを中心にまとめた。取材期間は、事件後約9ヶ月後から1年9ヶ月。
後にオウム関係者のインタビューを中心にまとめた『約束された場所で』がある。
[編集] きっかけ
1995年、長い間外国で暮らしていた村上春樹は、久しぶりに日本に帰り生活をすることにした。きっかけは、海外生活の中で「日本」や「日本語」と言うものと向き合う必要を感じることが多かったためである。そんな中、3月20日地下鉄サリン事件が起きる。
オウム真理教関連でのマスコミの報道は、施設の検証、オウム内の生活、その中で起きたリンチ殺人事件、その他にも多くの殺人事件、行方不明者の安否確認等など多岐に渡ったが、その中で村上は、被害者に関する詳細な情報がほとんど流れなかったように感じた。
地下鉄サリン事件後も、被害者は様々なかたちで苦しんでいるはずなのに、マスコミの報道はただ「可哀相な被害者」で終わっている。マスコミの行動も含めて、日本がどうなっていて、どこに行くのかの鏡として、この事件を知ることが必要ではないか…と言う考えに村上はいたった。 そのほかにも、『ねじまき鳥クロニクル』などで「暴力」を題材として取り上げたり、エッセイや『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」において、営団(現・東京地下鉄)銀座線を登場させていたことも、インタビューのきっかけになった。
[編集] インタビュー
まず、サリンの置かれた5本の地下鉄、それぞれの被害者を一つの章の様にまとめている。 各章の最初には実行犯の概略と実行犯の取った行動、オウム内での地位や役割、性格などについてまとめられている。
そして、被害者のインタビューになる。1人ずつ面接方式で行なわれている。まず、村上春樹の感じた風貌や家族関係、職業、自宅の大まかな場所や生活がまとめられていて、その後に「インタビュー」となる。最初はいつもはどのような生活をしていたか、どのように事件現場に出会い、同様な風景を見てどのように行動したか、そして、今どうなっているかを被害者にインタビューしている。
被害者、被害者の親族、営団関係者、治療した医者、弁護士にインタビューをしている。しかし、その被害者の仕事も生活も誰一人として同じ状況では無い。そんな人達にインタビューすることによって地下鉄サリン事件の現場を知ってもらうこともこの本の意図でもある。また、できるだけインタビューを受けた人に綿密に連絡をとり、内容を確認しながらまとめている。
[編集] その他
2006年3月の東京大学文科一類入学試験(後期日程)の「論文II」(いわゆる小論文)において、『アンダーグラウンド』「はじめに」の数ページが問題文として用いられた(問題)。『読売新聞』は「犯罪被害者については昨年末、実名・匿名のどちらで発表するかの判断を、原則的に警察に委ねることが閣議決定され、論議を呼んでいる中での出題となった」とコメントしている。
[編集] 関連事項
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