島田裕巳
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島田 裕巳(しまだ ひろみ、1953年11月8日 - )は、東京都出身の宗教学者・作家・劇作家。
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[編集] 人物
宗教学を専門とする研究者。他に小説・戯曲も手がける[1]。 東京都立西高等学校を経て、1976年東京大学文学部宗教学科卒業。同大学大学院人文科学研究科修士課程修了。1984年、同博士課程満期退学(宗教学専攻)。自らヤマギシ会に所属していた経験(1975年頃)が、宗教学を本格的に志す契機となった。放送教育開発センター助教授、日本女子大学助教授を経て、1995年に教授に昇格するも、同年7月に退職。2005年10月~2008年3月31日まで東京大学先端科学技術研究センター特任研究員(政治学・御厨貴研究室所属)。2006年4月より中央大学法学部兼任講師。2008年4月より東京大学先端科学技術センター客員研究員。
[編集] オウム事件との関わり
宗教学界にあって、一種のタブーであった宗教評論を行なったことが毀誉褒貶を招き、オウム真理教 (現アーレフ) を擁護しているとみなされて批判を受けた。松本サリン事件がオウム真理教によるとの疑惑が報道され始めた1995年1月25日、第7サティアンを単独取材し、同施設が「神聖な宗教施設」とする内容を発表[2]。発表からまもなく地下鉄サリン事件が発生。その後の強制捜査で同施設にサリン製造プラントの存在が明らかになる。
弁護士の滝本太郎は島田に対して「宗教学者を辞めろ」と発言。『日刊スポーツ』紙上に同教団から幹部用の教団名ホーリー・ネームを授かっている、学生をオウムの信者に勧誘したとなどと一面で報じられると[3]、大学から休職処分を受け、最終的に大学教授の辞職へと追い込まれた。その後、島田は『日刊スポーツ』を名誉毀損で民事提訴。公判の過程で記事は一切裏づけを取っておらず、虚偽の内容であることが明らかにされ、新聞社側の賠償金支払いと謝罪広告の掲載が命じられ、全面勝訴した。その後は東京大学先端科学技術センター特任研究員として研究の一線に復帰(2008年4月より同センター客員研究員)となり、著作活動を中心に活躍している。
[編集] 註
[編集] 著作
- 私というメディア パーソナルメディア, 1989
- フィールドとしての宗教体験 法藏館, 1989
- いま宗教に何が起こっているのか 講談社, 1991
- 戒名 なぜ死後に名前を変えるのか 法藏館, 1991
- 異文化とコミュニケーション オタク国家・日本の危機 日本評論社, 1991
- 信じやすい心 若者が新々宗教に走る理由 PHP研究所, 1992
- 仏教は何をしてくれるのか 講談社, 1992
- 神サマのつごう 終末のフィールドワーク 法藏館, 1992
- イニシエーションとしての宗教学 筑摩書房(ちくまライブラリー), 1993
- 父殺しの精神史 法藏館, 1993
- 日本という妄想 日本評論社, 1994
- 宗教家になるには ぺりかん社, 1994
- ローマで王女が知ったこと 映画が描く通過儀礼 筑摩書房, 1995
- 神と空 海鳴社, 1997
- 宗教の時代とは何だったのか 講談社, 1997
- 個室 引きこもりの時代 日本評論社, 1997
- 戒名無用 メディアワークス, 1999
- 『オウム―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか』トランスビュー、2001年、ISBN 4901510002
- カルロス・カスタネダ 筑摩書房(ちくま学芸文庫), 2002
- 日本人の神はどこにいるか 筑摩書房(ちくま新書), 2002
- 相性が悪い! 新潮新書, 2003
- 創価学会 新潮新書, 2004
- 人を信じるということ 晶文社, 2004
- 女はすべからく結婚すべし 中公新書ラクレ, 2004
- 「厄年」はある! 乗り越え方と運を掴むヒント 三五館, 2005
- 不安を生きる 筑摩書房(ちくま新書), 2005
- 会議はモメたほうがいい 中公新書ラクレ, 2005
- 宗教常識の嘘 朝日新聞社, 2005
- 宗教としてのバブル ソフトバンク新書, 2006
- 『オウムと9.11 日本と世界を変えたテロの悲劇 』メディア・ポート、2006年、ISBN 4-901611-20-8
- 創価学会の実力 朝日新聞社, 2006
- 『中沢新一批判、あるいは宗教的テロリズムについて』亜紀書房、2007年、 ISBN 978-4-7505-0708-8
- 『公明党vs.創価学会』朝日新書、2007年、 ISBN 9784022731531
- 『慶應三田会―組織とその全貌』三修社、2007年
- 『日本の10大新宗教』幻冬舎新書、2007年、 ISBN 9784344980600
[編集] 共著
- 洗脳体験 二沢雅喜 JICC出版局 1991
- 大川隆法の霊言 神理百問百答 米本和広 JICC出版局 1992
- 女子大学の御利益 賢い女性は女子大へ行こう! 赤塚行雄 ベストセラーズ 1994
- 日本人は宗教と戦争をどう考えるか 橋爪大三郎 朝日新聞社 2002
[編集] 翻訳
- トラロクの影のもとに メキシコの村の人生 G.G.レック 野草社,1981
- 世界宗教史 2 ミルチャ・エリアーデ 柴田史子と共訳 筑摩書房、1991
- 『世界宗教史3』ミルチア・エリアーデ 筑摩書房、2000年、ISBN 4-480-08563-7(いずれものちにちくま学芸文庫)
- 『エリアーデ・オカルト事典』(ミルチャ・エリアーデ主編、ローレンス・E.サリヴァン編、鶴岡賀雄・奥山倫明と共訳)法藏館、2002年、ISBN 4-8318-7031-5
- 虚無の信仰 西欧はなぜ仏教を怖れたか ロジェ=ポル・ドロワ 田桐正彦共訳 トランスビュー 2002
[編集] 主な戯曲
- 「五人の帰れない男たち」
- 「水の味」
[編集] 関連書籍
- 浅見定雄 『新宗教と日本人』晩聲社、ISBN 4-89188-240-9
[編集] 外部リンク
- 島田裕巳 official blog(公式ブログ)
- 島田裕巳の「経堂日記」
- (書評)ロジェ=ポル・ドロワ著、島田裕巳・田桐正彦 訳『虚無の信仰』トランスビュー、2002(松岡正剛の千夜千冊)