鋼の錬金術師 (アニメ)
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鋼の錬金術師 | |
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ジャンル | アクション |
テレビアニメ | |
監督 | 水島精二 |
アニメーション制作 | ボンズ |
製作 | 毎日放送 アニプレックス ボンズ |
放送局 | 東京放送(TBS) アニマックス (Animax) |
放送期間 | 2003年10月4日 - 2004年10月2日 |
話数 | 全51話 |
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鋼の錬金術師 (アニメ)は、漫画「鋼の錬金術師」を原作としたファンタジー アニメーション。 2003年10月4日から2004年10月2日まで、TBS系列にて毎週土曜日18:00~18:30の時間帯に放送された。全51話。現在は、CS アニマックスで不定期に再放送されている[1] 。
目次 |
[編集] ストーリー
注意:以降の記述で鋼の錬金術師に関する核心部分が明かされています。 →[記述をスキップ]
物語の舞台は錬金術が科学として発達した世界にある軍事国家「アメストリス」。鋼の右腕と左脚を持つ天才錬金術師のエドワード・エルリック(以下エド)と、全身鎧を纏う弟のアルフォンス・エルリック(以下アル)は強大な力を持つという伝説の「賢者の石」を探して旅を続けていた…
幼い頃から共に卓越した錬金術の才能を持っていたエド(当時11歳)とアル(当時10歳)は、病気で亡くした母を、錬金術で最大の禁忌とされている人体錬成によって蘇らせようと試みるが失敗する。エドはその代償として自らの左脚を失い、そしてアルは自らの身体全てを失ってしまう。エドはとっさの判断で、自らの右腕を代償にアルの魂をその場にあった鎧に定着させ、なんとか弟を死の淵から救い出したが、2人が失ったものはあまりにも大きかった。
その後、国家錬金術師と呼ばれる国家資格を取れば、高額な研究費が支給され、特殊文献の閲覧、国の研究施設の利用が可能となり、失われた身体を取り戻す方法を見つけられるかもしれないという話を聞いたエドは、機械鎧技師であるピナコ・ロックベルとピナコの孫で幼なじみのウィンリィ・ロックベルに、オート メイルと呼ばれるの義手と義足を身に着けてもらうことを決意し、1年間のリハビリを終えた後、アルと共に国家錬金術師の試験を受けに行く。
人体錬成を行ったことにより、手のひらを合わせただけで練成を行えるという能力を得ていたエドは、史上最年少で国家錬金術師の資格を取得する。国家錬金術師としての二つ名「鋼」を与えられたエドは、故郷を捨て、アルと共に、身体を取り戻す方法を探すための長い旅へと出発した…
劇中で用いられている錬金術は等価交換の原則に従っており、何かを得るためにはそれと同等の代価を必要とされている。これは、1の質量のものからは1のものしか生み出せないという事であり、この思想は劇中の重要なテーマとなっている。
旅を続けていくうちに2人は、この等価交換の法則を無視し、わずかな代価で莫大な練成を行うことができるようになるという「賢者の石」の噂を聞く。2人は、この賢者の石を使って自分たちの本当の体を取り戻そうと研究を進めていくが、やがて、「賢者の石の精製には、大量の人間の命が必要」という驚くべき事実にたどり着く。
絶望にくれる2人であったが、エドは弟の体を取り戻すために、人間が人体錬成を行った時に作られる、不死の体を持ったホムンクルスと呼ばれる者たちに導かれ、人間の命を使って、賢者の石の精製を試みようとする。しかし、精製の直前で、やはり人間の命を使うことはできないと精製をあきらめる。
その後、人間の命を使わずに賢者の石を精製する方法を探すうちに、アルそのものが賢者の石として錬成され、また、軍からも追われる立場となってしまう。2人は、失った身体を取り戻す事が出来るのか…
尚、物語の結末近くで、等価交換の原則は明確に否定され、練成の過程で必要となる熱量や摩擦力等のエネルギーについては、並行世界で死んだ人間の生命エネルギーを利用して補われており、錬金術は、現実世界と並行世界の狭間で漂っている生命エネルギーを利用する術であることが明かされる。この「錬金術のエネルギー=命」は原作の「賢者の石の材料は生きた人間」という設定を踏まえたものである。
[編集] 主要登場人物
- エドワード・エルリック(声:朴璐美)
- アルフォンス・エルリック(声:釘宮理恵)
その他の登場人物および登場人物に関する詳細の説明に関しては、次の関連記事を参照のこと。
- 鋼の錬金術師の主要な登場人物 - ウィンリィ・ロックベルやイズミ・カーティスなどの主要人物およびそれらに関わる人物の解説。
- 鋼の錬金術師に登場するホムンクルス - 登場するホムンクルスおよびそれらに関わる人物の解説。
- 鋼の錬金術師の登場人物一覧 - 上記以外の人物の解説。
[編集] 原作との比較
原作とはストーリーや登場人物の設定などが異なる。これは、監督の水島精二よる「アニメ版は二次作品」[要出典]という発言や、原作者の荒川弘による「根っこの部分さえ取り違えなければ思い切りやっちゃってOK」、「原作と全く同じならアニメという別メディアに乗せる必要は無いと思うので」[2] 、「原作とアニメはすべてにおいて別物だと割り切っている」[要出典]などの発言からも裏付けられる。このため、原作を知る人にとっては、アニメ版に対する賛否両論がハッキリと分かれる[3] 。
[編集] ストーリー上の主な相違点
- 登場人物が練成を行うために必要な錬成陣やホムンクルスが持つウロボロスの紋章、国家錬金術師に与えられる銀時計のデザインなどが原作版の六芒星を基にしたものから変更されている。これは、六芒星がユダヤ人の象徴「ダビデの星」を意味するための宗教的配慮である[要出典]。
- エルリック兄弟の修行時代や国家錬金術師試験など、アニメの企画段階に原作でまだ描かれていなかった部分のストーリーについては、大きく異なるか、もしくは完全オリジナルとなっている。
- 原作では制約されているグロテスクな表現や、エロティックな表現がある。例えば、前者は劇中に登場するキメラの惨殺死体。後者は一部登場人物が性的暴行を受けたことを暗喩させる言動など。
- 荒川弘の希望によりキャラクターのセリフに「死ね」という言葉は使われていない[要出典]。
以上で鋼の錬金術師に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 評価
視聴率の高さや国内外における受賞の多さから、原作から独立したアニメとしては近年稀に見る高い人気を博した作品である。
[編集] 国内
通常放送中の前半7%前後、後半で5%、最高視聴率8.4%(ビデオリサーチ)と、近年アニメの視聴率が下がっている中で土曜6時としては高い視聴率を獲得した。更に歴代OP曲とED曲を網羅したアルバムが、第19回ゴールドディスク賞アニメーションオブ・ザ・イヤーを受賞。
- 平成16年度文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門 審査委員会推薦作品[4]
- 第9回アニメーション神戸 作品賞・テレビ部門[5]
- 2004年東京国際アニメフェア ノミネート部門 テレビ部門 優秀作品賞[6]
[編集] 海外
2004年10月よりアメリカ合衆国のCARTOON NETWORKにおいて『FULLMETAL ALCHEMIST』のタイトルで放送。2007年2月24日に日本のアニメだけを対象とした AMERICAN ANIME AWARDS にて、『ベスト長編シリーズ賞』『ベストDVDパッケージデザイン賞』『ベストキャスト賞』を受賞。また、エドワード・エルリック役の Vic Mignogna が『ベスト男性声優賞』を、ASIAN KUNG-FU GENERATION のリライトが『ベスト主題歌賞』をそれぞれ受賞し、米国においても高い評価を受けた。[7]
[編集] スタッフ
- 原作:荒川弘
- 企画:竹田菁滋(毎日放送)、田口浩司(スクウェア・エニックス)、勝股英夫(アニプレックス)、南雅彦(ボンズ)
- ストーリーエディター:會川昇
- 脚本:會川昇、高山カツヒコ、高橋ナツコ、大和屋暁、井上敏樹、石川学、吉永亜矢
- 音楽:大島ミチル
- キャラクターデザイン:伊藤嘉之
- メインアニメーター:杉浦幸次、富岡隆司
- プロダクションデザイン:荒牧伸志
- 美術デザイン:成田偉保(草薙)
- キメラデザイン:石垣純哉
- 美術監督:橋本和幸(草薙)
- 色彩設計:中山しほ子
- 撮影監督:福士享 (T2 Studio)
- 編集:板部浩章(ジェイ・フィルム)
- 音響監督:三間雅文
- 音響効果:倉橋静男(サウンドボックス)
- 音響制作:テクノサウンド
- レコーディングスタジオ:アオイスタジオ
- 音楽製作:アニプレックス
- プロデューサー:南雅彦(ボンズ)、丸山博雄(毎日放送)、大山良(アニプレックス)
- 監督:水島精二
- 製作:毎日放送、アニプレックス、ボンズ
- 著作権:(C)荒川弘/スクウェア・エニックス・毎日放送・アニプレックス・ボンズ・電通 2003
[編集] 主題歌
- オープニング テーマ曲
- 『メリッサ』/ポルノグラフィティ(第2~13話)
- 『READY STEADY GO』/L'Arc〜en〜Ciel(第14~25話)
- 『UNDO』/COOL JOKE(第26~41話)
- 『リライト』/ASIAN KUNG-FU GENERATION(第42~最終話)
- エンディング テーマ曲
- 『消せない罪』/北出菜奈(第2~13話)
- 『扉の向こうへ』/YeLLOW Generation(第14~25話)
- 『Motherland~マザーランド~』/Crystal Kay(第26~41話)
- 『I Will』/Sowelu(第42~最終話)
- 挿入曲
- 『別れの曲』/フレデリック・ショパン(最終話「ミュンヘン1921」のみ)
- 交響曲第5番『運命』より第1楽章/ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(第50話「死」のみ)
オープニングおよびエンディング テーマ曲は全て当時ソニー・ミュージックエンタテインメントに所属していたアーティストであり、オープニング テーマ曲に関しては『UNDO』を除き全曲オリコン トップ10入りを果たしている(『UNDO』は11位)。中でも『メリッサ』と『READY STEADY GO』はそれぞれ30万枚以上のセールスを記録し、前者はTVシリーズ放送期間中はほぼチャート インし続けるロング セールスを、後者はオリコン チャート初登場1位を獲得した。また、2004年9月にアニプレックスから発売された『鋼の錬金術師 COMPLETE BEST』はオリコン チャート アルバム部門で初登場で1位となった。これは、アニメCDのオリコン首位獲得は史上4作目の快挙である。
[編集] サブタイトル
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[編集] 放送当時のネット局
[編集] メディア展開
[編集] 映画
- 劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者
- TVシリーズ最終回後の続編。
[編集] DVD
- 鋼の錬金術師
- 全13巻。テレビ放送された全51話を収録。
- 鋼の錬金術師 PREMIUM COLLECTION
- USJで開催された「鋼の錬金術師 プレミア・ツアー」にて上映されたオリジナル・アニメーションに未公開シーンを加えた完全版と、ショートストーリー新作3本を含む4本立てDVD。
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- 七大ホムンクルスVS国家錬金術師軍団
- 新米の国家錬金術師という目線から、ホムンクルスと国家錬金術師との戦いを描いている。イベントのアトラクション ムービーという性質上、一種の「お祭りムービー」とも取れ、原作版、アニメ版いずれの時間軸上にも位置づけられない外伝的な内容となっている。
- SHORT COLLECTION
- 実写篇:鋼の錬金術師の実写版。エドワードを探す鎧アルフォンスが東京某所に迷い込んだという設定。
- 宴会篇:劇場版の収録後の宴会という設定。登場するキャラクターが全員2等身になっている。
- 子供篇:幼少期のエド、アル、ウィンリィを思わせる子供たちが、ある大事な人に会いに東京に来たという設定。
[編集] 脚注
- ^ "鋼の錬金術師 番組詳細 TOP" 株式会社アニマックスブロードキャスト・ジャパン: 2006-01-01. 2008-02-22閲覧.
- ^ アニメージュ2003年12月号のインタビュー記事にて
- ^ "『鋼の錬金術師』の水島精二監督のインタビュー(後編)" 株式会社ボンズ: 2004-09-30. 2008-02-22閲覧.
- ^ "審査委員会推薦作品 アニメーション部門 平成16年度(第8回)文化庁メディア芸術祭" 文化庁: 2004-03-01. 2008-02-21閲覧.
- ^ "第9回アニメーション神戸 アニメーション神戸賞" アニメーション神戸実行委員会: 2004-11-14. 2008-02-21閲覧.
- ^ "アニメアワード過去受賞作品一覧 ~ 東京国際アニメフェア2008" 東京国際アニメフェア実行委員会: 2004-11-14. 2008-02-21閲覧.
- ^ "FUNIMATION'S FULLMETAL ALCHEMIST WINS FIVE AWARDS AT THE INAUGURAL AMERICAN ANIME AWARDS" Square Enix North America: 2007-03-05. 2008-02-20閲覧.
- ^ オンエア当初、サブタイトルは無し。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- 鋼の錬金術師 公式サイト (Sony Music Online Web)
- 鋼の錬金術師 ハガレンWeb研究所(スクウェア・エニックス)
- バンダイ チャンネルによる作品解説
毎日放送 土曜18:00枠(通称“土6”) | ||
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