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与謝野馨 - Wikipedia

与謝野馨

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

衆議院議員 与謝野 馨
生年月日 1938年8月22日(69歳)
出生地 東京都千代田区
出身校 東京大学法学部
学位・資格 法学士
前職 会社員
所属委員会
内閣役職
決算行政監視委員会委員
世襲
選出選挙区 東京都第1区
当選回数 9回
所属党派 自由民主党(無派閥)
党役職 国際競争力調査会最高顧問
税制調査会小委員長
財政改革研究会会長
会館部屋番号 衆・第一議員会館222号室
ウェブサイト 与謝野馨 Official Web Site

与謝野 馨よさの かおる1938年8月22日 - )は、日本政治家衆議院議員(9期)。

文部大臣(第117代)、通商産業大臣(第63代)、内閣官房長官(第74代)を歴任。

目次

[編集] 概要

[編集] 生い立ち

歌人与謝野鉄幹晶子夫妻の孫。特技は囲碁(アマチュア7段)。

1938年8月22日、東京都千代田区に与謝野秀(しげる)・道子の長男として生まれる。父の秀は鉄幹の次男で外交官であった。生まれてすぐに父が中国・北京に赴任したため、馨も0歳にして北京に移る。日本に帰って4歳の頃、祖母・与謝野晶子が亡くなっている。戦時中、父はベルリンの日本大使館に勤務していたが、日本に残された家族は戦時中は貧しく、母と共に無賃乗車で交番に連れて行かれたこともあったという。また、東京大空襲にも遭遇している。麻布中学校に通っていたが、ほとんど勉強をしない生徒であった。

父がエジプト勤務になったときは、カイロ郊外・ヘリオポリスのイングリッシュスクールに編入学している。このころ、自分は敗戦国の国民であることを強烈に感じ、日本の文化・経済を一流にしたいという想いが生まれたという。その後、イギリスのオックスフォード大学への進学を目指し、一次試験までパスするが、考えを変えて日本に帰国。麻布高校に編入学する。しかし、英語は身についたものの漢字もろくに書けず、一年の浪人を経て1963年東京大学法学部に入学。硬式野球部に所属し、マネージャーを務める。このときの2年後輩に新治伸治がいる。卒業後、母の知人・中曽根康弘の紹介で日本原子力発電に入社する。[1]

[編集] 政界へ

日本原子力発電では、後に外交官となる今井隆吉係長のもと、技術職につく。また、労組と繋がりのある民社党書記長佐々木良作と良好な関係を築いた。就職の斡旋以来、付き合いの続いていた中曽根の知人・渡邉恒雄の薦めで、1968年日本原子力発電を退職し、中曽根の秘書となる。

1972年12月の第33回衆議院議員総選挙東京都第1区(旧)から自由民主党公認で立候補するが落選。1976年12月の第34回衆議院議員総選挙に東京1区から立候補し初当選。中曽根派に所属する。同期当選者に同じ派閥の島村宜伸渡辺秀央鳩山邦夫、同じ東京1区では福田派大塚雄司等がいた。しかし、1979年第35回衆議院議員総選挙大平正芳が打ち出した一般消費税による逆風を受け落選する。同期当選の島村・鳩山も同様の結果であった。

7ヵ月後、1980年の衆参同日選挙では、日本社会党委員長の飛鳥田一雄を抜きトップ当選し返り咲く。以後、科学技術・通商産業関係を皮切りに、通商産業政務次官、自由民主党商工部会長、衆議院商工委員長などを歴任し、商工族、政策通として頭角を現す。中曽根派に所属しながらも、商工族の実力者であった、梶山静六の門下ともいうべき関係を形成。1994年、自由民主党が政権復帰した村山内閣文部大臣として初入閣した。

1996年第2次橋本内閣では、師事していた梶山が内閣官房長官を務めており、他派閥ながら内閣官房副長官(政務)として、橋本政権を支えた。 1998年小渕内閣通商産業大臣に就任。通商産業大臣でありながら、所轄外の(法務省管轄の)通信傍受法成立に力を注ぎ、『噂の眞相』などに「盗聴法成立の黒幕」と批判された。

[編集] 落選と小泉・安倍政権

2000年(平成12年)4月の第42回衆議院議員総選挙民主党海江田万里に敗れ、落選。自由民主党は民主党に都市部を中心に議席を奪われ、「1区現象」と呼ばれる事態に陥ったが、与謝野もこの落選により危機感を覚え、派閥を離脱する。これには、当時所属派閥であった志帥会における亀井静香との権力抗争での敗北と言う事情もあった。2003年第43回衆議院議員総選挙で選挙区で海江田に敗れたが、比例区復活当選を果たした。与謝野の落選について小泉純一郎は、「落選していなければ自分ではなく与謝野が総理になっていた」と述べている。

2004年自民党政調会長に就任して、小泉純一郎首相の進める郵政民営化に尽力する。翌年9月に行われた第44回衆議院議員総選挙では、海江田に対して比例区での復活を許さないほどの圧倒的な勝利を収めた。2005年発足の第3次小泉改造内閣では、内閣府特命担当大臣(金融・経済財政政策担当)に就任。

2006年9月26日に発足した安倍政権のもとで自由民主党税制調査会会長に就任するが、10月に口内に痛みを覚えるなどしたため入院し、11月には税制調査会会長を辞任。安倍晋三とは、通信傍受法の成立に当たって協力したほか、財界との勉強会である「四季の会」を通して親交がある。2007年1月初旬に退院した後は自宅療養を続け、同年4月13日の衆院本会議に出席し政治活動を再開した。同年6月8日に発売された『文藝春秋』7月号に寄せた随筆「告知」にて、喉頭癌による入院だったことを公表した。そして同年10月、再度自民党税制調査会の小委員長に就任。

2007年8月27日安倍改造内閣において内閣官房長官に就任した。与謝野は無派閥(元江藤・亀井派)であるため、内閣官房長官は前任の塩崎恭久(古賀派)と同じく、首相出身派閥(町村派)以外からの起用となった。2007年9月4日小林温参院議員が辞任した事に触れて、「意図せざるところで起きた事柄で、責任を取らなければならないのは一体どういうことか」と述べ、公選法の連座制緩和を検討すべきとの考えを示した。

2007年9月12日所信表明演説直後に突如安倍が辞任表明。安倍が入院しても首相臨時代理は置かれなかったが、官房長官である与謝野が官邸を事実上仕切り、「与謝野官邸」と呼ばれた。これにより、麻生クーデター説のまきぞえを食らうことになり、与謝野も批判の対象となる。同年9月26日福田康夫内閣発足に伴い内閣官房長官を退任した。

[編集] 福田政権以後

2007年10月の大連立構想においては、かつての中曽根・渡邉との関係から、ある程度の動きは掴んでいたようである。自身も大連立には肯定的な発言をしているが、特に具体的な行動は起こさなかった。福田・小沢会談の直前に小沢と囲碁で対決し、メディアから大連立に関する話し合いが行われたと報道されたが、与謝野本人は大連立とは全く関係が無いと主張している。

2008年2月20日、派閥横断型勉強会「正しいことを考え実行する会」(正しい議連)の活動を再開を機に、同会に参加する。

[編集] 政治家として

法務族
政界唯一の「法務族」議員である。薬害肝炎訴訟では、法務省との調整に与謝野があたり、2007年12月福田康夫首相が政治決断する環境を整えた。この他、経済政策・財政に精通しており、自民党屈指の政策通と言われるが、国対や議運の経験も長く、本人は調整型政治家としての自負を持っているという。
増税論者
かねてから経済成長(法人税の減税による国際間競争力の強化)だけでなく消費税増税による財政再建に言及しており、谷垣禎一柳澤伯夫同様、自民党内屈指の増税論者である。
中選挙区論者
小選挙区制廃止・中選挙区制復活論者でもある。
村上ファンドとの癒着
村上ファンドから2004年の政治資金収支報告書記載分として40万円の献金を受けていた。[2]

[編集] 道路関係団体から献金

道路特定財源を資金源とする道路運送経営研究会(道路特定財源の一般財源化に反対している)から献金を受けている。[3]

[編集] 人物

[編集] 信仰

敬虔なカトリック信徒である。ちなみに、選挙では宿敵同士となる海江田も、与謝野と同じくカトリック信徒である。同じく対立候補の又吉光雄は自身をイエスだと主張している。

[編集] 趣味

趣味はゴルフ、自作パソコン、囲碁、カメラ、天体観測、釣りなど多岐にわたっている。

囲碁
囲碁の腕前はアマ七段で、政界最強とも評されている。2007年10月に同じく囲碁の実力者、民主党の小沢一郎と勝負したが、敗北した。与謝野はアマ7段、小沢はアマ6段なので「政治的配慮ではないか」という憶測も流れたが、与謝野本人は「本当に負けた」と認めている。[4]
パソコン
Linuxオープンソースの動向など情報技術に造詣が深い。自作パソコンを毎年数台作っており、そのうちの一台ではMicrosoft Windows 2000Microsoft Windows XPTurbolinux等のOSを使い分けている。与謝野はパソコン自作のスキルについて「部品が梱包から解かれて机の上においてあると、1時間くらいで組み立てられちゃって、OSのインストールまで2時間くらいでできてしまう」[5]と語っている。

[編集] 文献

[編集] 著書

  • 与謝野晶子著『みだれ髪』(与謝野馨編、主婦の友社、1973年)
みだれ髪』(与謝野晶子著、伊藤文友館、1901年刊)の復刊
  • 『堂々たる政治』(新潮新書、2008年)
  • 「大塚論文"中曽根民活批判"を駁す」『中央公論』1987年2月号
  • 「国際競争力の回復と財政の健全化」『月刊自由民主』1996年8月号
  • 「これだけは言っておく! 自民党広報本部長(衆院議員)与謝野馨の激白!『社民は今,先祖返りしている』」『月刊官界』1997年12月号
  • 「4つの課題」『LA international』1999年2月号
  • 「これからの日本経済」『日経調資料』2001年7月号
  • 「この国を考える(46)いまこそ責任政党に恥じない政策選択を!」『月刊自由民主』2004年4月号
  • 「私の読書遍歴(28)与謝野馨 自民党下野時代に読み耽った二十冊の量子力学の本」『文學界』2005年10月号
  • 「ポスト小泉が直面する重要課題」『正論』2006年7月号
  • 「千鳥ヶ淵で全国戦没者追悼式を行おう」『中央公論』2006年8月号

[編集] 脚注

  1. ^ 『堂々たる政治』P84-
  2. ^ 毎日新聞 2006年6月6日
  3. ^ http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b169030.htm
  4. ^ 『堂々たる政治』p131-132
  5. ^ 高橋信頼「『Linuxの振興を支援する』---自民党政調会長衆議院議員与謝野馨氏」『「Linuxの振興を支援する」---自民党政調会長 衆議院議員 与謝野馨氏:ITpro日経BP社2005年3月8日

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


先代:
塩崎恭久
内閣官房長官
第74代: 2007
次代:
町村信孝
先代:
伊藤達也
特命担当大臣(金融)
2005 - 2006
次代:
山本有二
先代:
竹中平蔵
特命担当大臣(経済財政)
2005 - 2006
次代:
大田弘子
先代:
額賀福志郎
自民党政務調査会長
第46代: 2004 - 2005
次代:
中川秀直
先代:
堀内光雄
通商産業大臣
第63代: 1998 - 1999
次代:
深谷隆司
先代:
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文部大臣
第117代:1994 - 1995
次代:
島村宜伸
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