トリニティ・ブラッド
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『トリニティ・ブラッド』は、吉田直の小説。イラストはTHORES柴本。略称は「トリブラ」。
目次 |
[編集] 概要
連載短編『トリニティ・ブラッド R.A.M.』と書き下ろし長編『トリニティ・ブラッド R.O.M.』の2つのシリーズからなる。角川スニーカー文庫より計12冊刊行され、トータルで100万部を超える大ヒット作となったが、作者急逝のため未完のまま終わる。
漫画化もされていて、絵:九条キヨ、原作:吉田直、キャラクター原案:THORES柴本として現在月刊Asukaで連載中。2007年5月現在では9巻まで発売中。 「ザ・スニーカー」1999年12月号にパイロット版が掲載された後、2000年4月号より連載が始まる。
また、アニメ化以前にfmosakaの『カドカワ・サウンドシネマ』内でラジオドラマが放送されていた。 これは原作R.A.M.1〜3をドラマ化したもので、アニメ版とはキャストが異なり、バップより各3枚、計9枚発売されている。
[編集] ストーリー
世界すべてを巻き込み核兵器、細菌兵器などが飛び交った大災厄(アルマゲドン)の後、人類の文明はほぼ破壊され、人類の生存圏はヨーロッパ周辺にまで狭められ、文化・生活水準は中世まで後退した。更に追い討ちを掛けるように現れた吸血鬼(ヴァンパイア)との戦いに人類は教皇庁を中心として辛うじて勝利した。しかし、彼らを完全に滅ぼした訳ではなく、ヴァンパイア達は真人類帝国を築き小競り合いを続けていた。そして長い時の後、教皇庁と帝国の境、イシュトヴァーンに一人の巡回神父が降り立った時、時流は再び流れ出した。人類の遥か未来を描く遠未来黙示録。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 登場人物
註:「(ドラマCD)」はアニメ化以前の「Trinity Blood Rage Against the Moons」での配役。「Trinity Blood File」及び「トリニティ・ブラッド センチメンタル・アドベンチャー」はアニメ版と同じキャスト。
[編集] 教皇庁国務聖省特務分室(AX)
- アベル・ナイトロード 声:東地宏樹(少年時代:日野聡)(ドラマCD:一条和矢)
- 本作品の主人公。
- 教皇庁国務聖省特務分室(通称Ax)の派遣執行官。コードネームは「クルースニク」。(「十字架を背負うもの」の意)
- 190センチを超える長身に、長い銀髪、冬の湖のような碧眼を備え、黙っていればそれなりに端正な容姿であるが、給料が入ると手当たり次第に寄付してしまうため、常に貧乏(大抵は4ディナールほどしかサイフに入っていない)、ドジでのほほんとした性格のためしばしば「ダメ神父」と呼ばれることがある。紅茶が好物で、よく砂糖を13杯入れて飢えをしのいでいる。
- ピンチに陥った時は「主よ、私の人生がなんか~です」と自分の不幸を嘆いて愚痴ることが多い。
- 体の裡に、「ナノマシンクルースニク02」という謎の存在が潜んでいる。これを限定起動させてクルースニク化すると、「吸血鬼の血を吸う吸血鬼」となり、凄まじい戦闘力を発揮する。この時は瞳が鮮やかな真紅に染まり、体内から巨大な鎌を生み出したり、背中から漆黒の翼を生やすなど怪物じみた姿を呈する。この姿をアベルは「自分の罪の刻印」と言っている。
- また、体内や空気中の電子に干渉する“生体発電誘導”能力を有する。
- ノーマル時にはパーカッション・リボルバー式拳銃「ピースキーパー」を武器として使用している。本人は「腕に覚えがない」と言うが実際は射撃能力も高い。
- 十年前の「事件」で(義理の)家族を失ったカテリーナを助けた。以後、カテリーナの部下となる。
- クルースニクの起動率は大抵は40パーセントだが、強敵に遭遇した時は80パーセントまで上げることもある。起動率が高いほど戦闘力や生命力も高くなる反面性格が攻撃的になり、時には「クルースニク自体の自我」に主導権を奪われる状態になることもあるため極力使いたがらない(この「自分を失ってゆく恐怖感」は、命にかかわる持病を抱えていた作者自身の心境が反映されている)。
- 素性や経歴などは一切不明。「国連航空宇宙軍中佐・レッドマーズ計画管理部保安課責任者」というIDで「大災厄」以前の遺失技術の中枢にアクセスできる、「大災厄」や「暗黒時代」当時の人物や出来事をまるで直接見知っているかのような言動を取る、作中での回想や夢など、「大災厄」や「暗黒時代」、あるいはそれ以前から生き続けていると思しき描写が見られ、またその正体が吸血鬼たちにとっては伝説的な存在であること、800年以上生きているといわれる真人類帝国皇帝と兄弟関係にあることなどが本作中で明かされている。
- 現在の一人称は「私」だが、以前は「俺」だった。
- 名前は旧約聖書「創世記」に登場するアダムとイヴの次男アベル(הֶבֶל)に由来している。
- 漫画版での特徴
- エステル・ブランシェ 声:能登麻美子
- 本作品のヒロイン(原作では「R.O.M」のみ登場)。
- 紅茶のような色合いの赤毛と、青金石色の瞳をしたシスターの少女。
- 赤ん坊の頃、イシュトヴァーンの教会に預けられ、見習いシスターとして育てられる。17歳の時、派遣されてきたアベルと出会う。イシュトヴァーンを恐怖で支配する吸血鬼ハンガリア侯ジュラ・カダールに、母親代わりの司教を殺され復讐の念に駆られるが、ハンガリア侯の過去(妻を人間に殺された)を知り、吸血鬼(=長生種)と人間(=短生種)の対立に疑問を抱く。
- その後、ローマに転属し教皇庁国務聖省調査部に配属され、しばしばアベルのサポートを行う。
- 武装として切詰式散弾銃(ソウドオフ・ショットガン)を携帯している。いつもは銃身と銃床を切断し、太ももほどの長さに切り詰めて縮小したものをスカートの下に吊っている。
- 愛らしい容姿に反して気が強く、まっすぐでしっかりした性格で時々アベルの世話に手を焼いている。
- 原作「R.O.M」「薔薇の玉座」「茨の宝冠」において、アルビオン王国(現在のイギリス)の女王ブリジットII世の孫娘であると発覚、後に還俗しアルビオン女王に即位する(ブリジットII世の息子ギルバート王太子と正妻ヴィクトリア妃の間に生まれた皇女。王太子は病死、ヴィクトリアは先に生まれていた自分の娘を王位に就けようと画策したギルバートの愛人ハリエットの刺客により殺害されるが、その計画に勘付いていたヴィクトリアがエドワード・ホワイト卿に依頼し、自身の娘とエドワードの死産だった子どもを入れ替えた)、なお、アニメ版では王太子が「騎士団」に暗殺された際行方不明になったという設定(死産とされていた原作と違い公式に存在しているため、王位継承者としてヴァージルやメアリが極秘に探していた)。
- 車の運転が非常に荒い。(同乗していたアベルやイオンがたじたじとなるほど)
- 名前は「星」という意味だが、旧約聖書「エステル記」の主人公も由来と見られる。
- 漫画版での特徴
- 「嘆きの星」編でアベルのクルースニク化(40パーセント起動)を見ていないため、アベルの普段の様子を「手抜き」ではなく「つかみどころがない」と感じている。また「熱砂の天使」編での暴走(80パーセント起動)を目撃した際の拒絶反応も激しくなっている。
- ツッコミ役という役割が強調されているため、いわゆるキレキャラとなっている。そのため原作どおりの言葉遣いにできなくなっている。
- トレス・イクス 声:中井和哉(ドラマCD:緑川光)
- Axの派遣執行官。コードネームは「ガンスリンガー」(拳銃使いの意)。
- 外見は短く刈った褐色の髪、人形めいた端正な容貌を備えた小柄な青年。
- 銃火器に通じ、二挺の大型戦闘拳銃をはじめ、全身に武器を隠し持ち、脳の一部以外を機械化された機械化歩兵。主であるカテリーナには絶対の忠誠を誓い冷徹に任務を遂行する。目的のためには手段を選ばず、そのためアベルと衝突し、彼を任務遂行の障害として排除しようとしたこともある。すべてを機械的に処理しようとするため、受け答えには「肯定(ポジティヴ)」「否定(ネガティヴ)」を使い分ける。自らを「人(マン)ではなく機械(マシーン)」と言い切っているが、時折同僚のアベルやエステルなどに対し、不器用ないたわりや気遣いを見せることもある。
- 「トレス・イクス」は名前ではなく、製造ナンバー「HC-ⅢⅩ(ラテン語読みでハーケー・トレス・イクス)」。人間としての元の名はない。
- 元々は教皇庁軍の機械化部隊「聖堂騎士団」の次世代モデルとして開発されたHC(ホモ・カエデリウス、ラテン語で「殺すための人間」という意味)シリーズの試作型三号機。「人間の体を改造」するのではなく「機械の体に人間の脳を搭載」するという画期的なアイディア(脳は専用のクローン人間のものを使用、また感情などは機械的な制御がかけられる)に基づくが、試作ロット十体のみが作られた段階で人道的見地から開発は中止された。それを不服とした開発者に他の9体ともども反乱の道具として用いられ、大破した際にAx(カテリーナ)によって回収され派遣執行官となる。
- 漫画版での特徴
- デフォルメではもろにロボットな姿になる。また、一度だけ作者の近所の野球少年役として、巻末の四コマ漫画に出たことがある。
- カテリーナ・スフォルツァ 声:本田貴子(少女時代:川澄綾子)(ドラマCD:深見梨加)
- 教皇庁国務聖省長官を務める、黄金色の巻き毛と剃刀色(灰色)の瞳をした美貌の枢機卿。アベル達Axの上司。
- 10年前の「事件」で義理の両親を「騎士団」に殺害され、自身も殺されそうになったところをアベルに助けられる。
- ミラノの領主でもあり、「ミラノ公」と呼ばれる。先代教皇グレゴリオ三十世がミラノ公夫人ルクレツィアに生ませた隠し子であり、現教皇の姉でもある。「薔薇十字騎士団」の存在を知る数少ない一人で、自身の復讐と世界を破滅させるため人類と吸血鬼(長生種)との間の争いを激化させようとする野望の阻止のためにAxを結成。また和平工作のため「帝国」上層部との接触を試みる。
- その冷徹な手腕から「鉄の女」「ミラノの雌狐」と内外に恐れられている。
- 原作ROM編および漫画版では表面上は優しく接しつつもアベルと接近してゆくエステルに対する嫉妬心を募らせ、苦悩する様子が見られた。また、原作では膠原病を患っており体は丈夫ではないという設定も存在するが、漫画、アニメではそうした描写は見られない。
- 名前はルネサンス期スフォルツァ家のカテリーナ・スフォルツァに由来している。
- 漫画版での特徴
- 巻末の四コマ漫画では、九条氏の編集者の代理として登場する。性格はキツめ。
- ウィリアム・ウォルター・ワーズワース 声:大川透(ドラマCD:石井康嗣)
- Axの派遣執行官。コードネームは「プロフェッサー」。
- 黒褐色の髪、碧眼、やや面長の顔が特徴。アルビオン出身の貴族。
- 現職のローマ大学教授でもあり(そのためアベルやケイトからは教授と呼ばれている)、他のメンバーのような特殊能力はないが技術者や参謀としての役割を果たす。
- 派遣執行官のコードネームは彼が考えている。
- 一見、頭脳派のようだがユーグの師だけあって剣の実力も高い。
- 風変わりな発明家でもある。いつも作っているものはアベル曰く「わけわかんないガラクタ」らしい。常時携帯している自身の発明品のステッキには火炎放射器が仕込まれている。
- いつもパイプをくわえているが、使い出したのはAxに入ってからである。
- 名前はウィリアム・ワーズワースに由来している。
- 漫画版での特徴
- 原作「R.O.M」には「薔薇の玉座」編で初登場だが、オリジナルエピソードで登場。
- 巻末の四コマ漫画では、九条氏の父親の代理として登場。
- ケイト・スコット 声:生天目仁美(ドラマCD:久川綾)
- Axの派遣執行官。コードネームは「アイアンメイデン」(鉄の処女の意)。
- ワーズワースと同じくアルビオン出身のシスター。
- 長い金髪、目じりが垂れ気味の眼、泣き黒子が特徴の、たおやかで楚々とした風情の美女。空中戦艦「アイアンメイデン」(「R.O.M」ではアイアンメイデンII)号の艦長であり、ホログラム映像で他のメンバーと会話する。
- 他の派遣執行官達のサポートを行うことが多く、またカテリーナの秘書的な役割も兼ねる有能な女性。
- 普段はおっとりした性格だが、同僚のアベルの尻拭い役を押し付けられたり、レオンのふしだらな行為に頭を痛めることが多いため、時折キレたりもする。
- Axでは数少ない常識人のため、常に気苦労が絶えない。しかし、それだけに同僚達のことをよく気遣っている。(声優の生天目氏曰く「メンバー達のお母さん的な存在」)
- 紅茶を淹れるのが非常に上手く、よく上司のカテリーナや同僚達に特製のブレンドティーを振る舞っている。
- また優秀なハッカーとして働くことも出来る。
- レオン・ガルシア・デ・アストゥリアス 声:小山剛志(ドラマCD:大塚明夫)
- Axの派遣執行官。コードネームは「ダンディライオン」(「ライオンの牙」の意)。
- 様々な理由により刑務所で服役しながら、減刑と娘の治療を条件に派遣執行官として働いている南方出身の巨漢。
- アベルのことは「へっぽこ」トレスのことは「拳銃屋」ユーグのことは「サムライ」と呼んでいる。
- 元々はヒスパニア王国軍の大尉で、アフリカ方面軍所属第22強襲偵察中隊「レオンコート」と呼ばれる特殊部隊の隊長だったため破壊工作やゲリラ戦が得意。また、その時代からブラザー・マタイとは因縁の関係に当たる。普段は腕輪に偽装したチャクラムを愛用するが、場合によっては爆発物や火器も使用する。また、人脈も広く高い物資調達能力を持つ。粗野で女好きだが実は娘思い。
- 外見のモデルはアントニオ・バンデラス。
- 漫画版での特徴
- 原作「R.O.M」には未登場だが、オリジナルエピソードで登場。原作では未完の「R.A.M」最終話でゲルマニクス国王ルートヴィヒ二世から直属部隊にスカウトされることになっていたが、この設定は完全に消滅したといえる。
- ユーグ・ド・ヴァトー 声:北出真也
- Axの派遣執行官。コードネームは「ソードダンサー」。
- 長く色の薄い金髪に、翡翠色の瞳をした美丈夫。ネーデルラントのブリュージュ(現ベルギー)出身。
- 四都市同盟警視総監職を代々勤める傭兵貴族の出。かつて吸血鬼に家族を殺され、自身も両腕を失う重症を追うもワーズワースによって機械の義手を与えられる(ワーズワースのことは「師匠(マスター)」と呼んでいる。)。動作の「無駄」を極限まで排除することで、速度の上では吸血鬼をも上回る超人的な剣術を使うが、時に義手が拒絶反応を起こす。
- 寡黙なため、冷静に見えるが実は直情型の性格で、吸血鬼への復讐心が強いためしばしば命令違反、独断行動も多い。
- 決め台詞は「剣によりて生くる者は、剣によりて滅びぬ…エィメン」。
- 漫画版での特徴
- ヴァーツラフ・ハヴェル 声:立木文彦(ドラマCD:中田譲治)
- Axの派遣執行官。コードネームは「ノーフェイス」(「顔なし」と「信仰を知る者」のダブルミーニング)。
- 短くそった髭に痩せた顔、緑の瞳をした物静かな雰囲気の男性。
- 透明化する不可視化迷彩を操る元異端審問官で、Ax最古参メンバーの一人。信仰心厚く温厚な性格だがそれゆえ原作では教皇庁の現状や政争に明け暮れるカテリーナに反発、Axを脱退し新教皇庁軍に参加、最終的に命を落とす(アニメ版ではその設定はなくなり、最後まで生存)。ボヘミア公国ブルノ(現チェコ)出身。
- 名前は旧チェコスロバキアの民主運動家・チェコ初代大統領ヴァーツラフ・ハヴェルに由来、外見のモデルは元サッカーアルゼンチン代表ガブリエル・バティストゥータ。
- モニカ・アルジェント
- Axの派遣執行官。コードネームは「ブラックウィドウ」(クロゴケグモの意)。
- 短く刈った黒髪と、雌豹のような碧の瞳が特徴。
- 物質透過能力を持つ魔女であり元はシチリアのマフィア出身の殺し屋だった。カテリーナをの暗殺に失敗、逆に捕らえられカテリーナによって薔薇の模様をかたどったチョーカーをつけられ派遣執行官となる。今なおカテリーナに殺意を抱いている。女性だが神父の僧衣を着用している。
- 武器はチンクエデアを使うが、透過能力を駆使して刃物を使わず相手の心臓を抜き取ることもできる。
- 殺戮そのものを楽しむような残忍な性格ゆえに、同僚のトレスからも危険人物とみなされている。
- カーヤ・ショーカ
- Axの派遣執行官。コードネームは「ジプシークイーン」(ジプシーの女王の意)。
- 浅黒い肌と、彫りの深い顔、大きな瞳が特徴。
- ロマ族の少女で最年少の派遣執行官。子供ならではの無邪気な残酷さを持つ。
- 武装として大型の扇子を携帯し、童謡の様な歌を歌いながら踊るように襲い掛かる。
- ノエル・ボウ 声:大原さやか(ドラマCD:三石琴乃)。
- Axの派遣執行官。コードネームは「ミストレス」(女主人の意)
- 生物の思考や感情を「視る」特殊能力を持つ長い黒髪の妖艶な美女。アベルに思いを寄せているがその能力ゆえ彼の抱える闇を垣間見てもいた。故郷カタロニア公国で起こった「沈黙の声」事件で死亡。
- 原作ではすでにAxを退職しているが、アニメでは現役。
[編集] 教理聖省異端審問局
- フランチェスコ・ディ・メディチ 声:小杉十郎太(ドラマCD:長克巳)
- 教皇庁教理聖省長官。枢機卿にしてフィレンツェ公。
- 教皇庁の内政、信仰、軍事を事実上取り仕切っている人物で、カテリーナとアレッサンドロの兄に当たる。教皇庁の権威の失墜を憂い、各国に対し覇権主義を振りかざしている。また真人類帝国との戦争を画策し噴進爆弾や毒ガス兵器などを開発させている。徹底したマキャべリストであり、理想主義であるがゆえに危うい人物といえる。
- 名字はメディチ家に由来している。
- ブラザー・ペテロ 声:稲田徹
- 異端審問局局長。
- 2メートル超の巨漢の美丈夫。猪突猛進な武人気質で真正面からの戦いを好む。高周波ホイール内蔵の鎚矛「叫喚者(スクリーマー)」と背中にある油圧式稼動の四つの盾を用いた高い戦闘能力の持ち主だが、戦闘時に友軍の被害も省みないので最強最悪の「壊滅騎士(イル・ルイナンテ)」として恐れられている。
- フランチェスコの懐刀であり、それゆえAxや吸血鬼に敵対心を抱いているが、基本的には正義感や義侠心に溢れる善人であり共闘することもある。また自分が指揮官向きでないことも自覚している。
- 名前は使徒の一人ぺテロに由来。外見のモデルは「重戦機エルガイム」のギャブレット・ギャブレー。
- 漫画版での特徴
- シスター・パウラ 声:甲斐田裕子(ドラマCD:田中敦子)
- 異端審問局副局長。
- 実務能力に乏しいペテロに代わり異端審問局を実質的に指揮する図書館司書のような物静かな雰囲気の才女。また、格闘技や暗器の扱いに長けた暗殺者でもあり原作ではハヴェル、アニメではラドゥを圧倒した。
- 宗教を社会を動かすためのシステムと割り切っており、それを脅かすものを躊躇いなく殺せる冷酷さを持つためその戦闘力とあわせて「死の淑女」と恐れられている。その一方でペテロの人望は評価している。
- ペットはハムスター。
- 名前は使徒パウロに由来する。
- ブラザー・マタイ
- 異端審問官。動甲冑を駆る。
- 温厚そうな外見に反して、元傭兵で戦略家として凄まじい知略の持ち主。現在はかつて大量虐殺を引き起こし「モロッコの悪魔」の悪名を持っていたほどの傭兵時代からの残虐性に異端審問官としての狂信が加わった危険な価値観を持つ。
- 名前は使徒マタイに由来する。
- ブラザー・フィリポ 声:(ドラマCD:龍田直樹)
- 異端審問官。電気を操る能力を持つ。
- 鯰ヒゲをはやした肥満の小男で、どことなくウナギを思わせる。レオン評「ダルマウナギ」。性格は小ずるい。
- 頭が悪いようにしか見えないが、古典文学の博士号を持っている。また、彼に限らず異端審問官は全員、何らかの博士号を取得している。
- 名前は使徒フィリポに由来する。
- ブラザー・アンデレ 声:(ドラマCD:福山潤)
- 異端審問官。
- 異端審問局の最年少で、自尊心が高いが子供っぽい一面もある。
- 名前は使徒アンデレに由来。
- ブラザー・バルトロマイ(ドゥオ・イクス) 声:かわのをとや
- 異端審問官。機械化歩兵。
- トレスの同型機、「HC-II X(ハーケー・ドゥオ・イクス)」。部品や装備は最新鋭のものを使用しており性能自体はトレスよりも上だが実戦経験の少なさから戦術面で劣っている。
- 名前は使徒バルトロマイに由来する。
[編集] 真人類帝国
- セス・ナイトロード 声:松岡由貴(ドラマCD:能登麻美子)
- アベルの妹。癖のある黒髪に、翡翠色の瞳をした自称「通りすがりの美少女」。「クルースニク03」を宿している。
- 一人称は僕。ボーイッシュでさばさばした性格をしている。
- 真人類帝国皇帝アウグスタ・ヴラディカの真の姿。アベル達が帝国に赴いたときに起こった反乱事件のときには、自ら事件解決に一役買っていた。(「アウグスタ」とはアウグストゥス(尊厳者)の女性形。)
- クルースニクを起動させるとアベル同様、凄まじい戦闘力を発揮する。二本の巨大な音叉を武器とし、この音叉から放つ焦点式の高エネルギー超音波(音の炎)で狙った部位だけを骨まで焼き尽くすことができる。
- アニメでは原作よりもやや幼い外見になっている。
- 名前はアダムとイヴの三男セスに由来している。
- 漫画版での特徴
- 白いリスを飼っており、「アベル」と名前をつけて可愛がっている。
- アスタローシェ・アスラン 声:根谷美智子(ドラマCD:浅川悠)
- 真人類帝国直轄監察官、オデッサ子爵→キエフ侯爵。脱色した長髪(額にかかる一房は赤く染めている)と琥珀色の瞳を持つ美女で短期直情型の性格。アベルからは「アスト」という通称で呼ばれている。
- 大量殺人犯の帝国貴族を追って外(アウター=人類圏)に赴き、補佐としてAxが派遣したアベルと出会う。犯人が相棒の仇であったため暴走し大きな被害を出すも、アベルの協力によって逮捕に成功、その後は短命種やアウターに理解を示すように。その後使者として帝国に赴いたアベルとエステルをサポートする。
- 武器はレーザーの刃を持つ「ゲイ・ボルグの槍」。
- アニメ終盤ではイオンとともに教皇庁との和平の使者としてローマに赴く。
- 漫画版での特徴
- 屋敷の庭にトラを放し飼いにしていたりするなど、全体的にかなり豪快になっている。また、ディートリッヒに操られたラドゥとの戦いで髪が燃えて短くなった。
- イオン・フォルトゥナ 声:皆川純子
- 真人類帝国帝剣護持官、モルドヴァ公子メンフィス伯爵。皇帝アウグスタ・ヴラディカの勅使としてカテリーナと接触を図るが、相棒ラドゥの裏切りに逢う。
- 当初は人間(テラン)を野蛮人とさげすんでいたが、アベルやエステルに助けられたことで考えを改める。また、エステルに対して好意を抱くようになる。
- 外見年齢は13,4歳程で、中性的な風貌の美少年。また、実年齢も吸血鬼としては若い部類に入る(ラドゥにも子供扱いされるなど精神的な未熟さもある)と見られる。
- 未発表に終わった「R.O.MⅦ 極光の牙」において再び人類圏に赴き、以降エステルに変わるアベルの相棒として企画されていた。その名残でアニメ版最終回では外交任務中に出奔し、カインと決着をつけるためAxを離脱したアベルとともに旅立つ。
- 漫画版での特徴
- 女性陣が全体的にパワフルであるため、作画者らから半ばヒロイン扱いされている。また、幼少期のラドゥとの思い出をたびたび回想したり、彼がディートリッヒに操られていることに気がつくなど、ラドゥとの友情が強調されている。
- ラドゥ・バルフォン 声:小西克幸
- 真人類帝国直轄監察官、ルクソール男爵。イオンの幼馴染にして親友だったが、教皇庁との和平に反対する強硬派の一員で苦渋の末イオンを陥れようとする。
- 「薔薇十字騎士団」のメンバーでもあり、炎を操る能力から「炎の剣(フランベルク)」と呼ばれていた。
- イオンとは外見年齢が異なるが同年代(吸血鬼としての覚醒時期が異なるため)。なお原作ではイオンよりも外の言葉(おそらくローマ公用語)を使い慣れている(「騎士団」と接触した経緯も含めて、おそらくアスト同様過去に国外での任務に従事していたと推察される)。
- 漫画版での特徴
- 巻末のおまけ漫画ではアシスタント(ツッコミ担当)の代理として登場。
- ミルカ・フォルトゥナ 声:天野由梨
- 帝国の宰相にあたる真人類帝国首席枢密司を勤めるイオンの祖母。モルドヴァ公爵。
- 皇帝の側近であり、彼女の素顔を知る数少ない一人。そのため「スレイマンの乱」の際自身は暗殺されたように装い、事件解決のためお忍びでビザンチウムの街に出ていた皇帝(セス)の影武者を務めていた(アニメ版では「皇帝」としてのみ登場の回もEDクレジットでは「ミルカ・フォルトゥナ」となっていたので完全なネタバレだった)。
- 外見年齢は十代半ば(アニメ版では20代)ほど。そのためイオンとは一見姉弟のようにも見える。
- ティグリス公スレイマン 声:竹若拓磨
- 真人類帝国次席枢密司。ミルカと違い軍人や行政官として地方での任務が長かった。
- 短生種にも好意的で教皇庁との全面戦争を危惧していたが、実は教皇庁との共存を唱える皇帝に不信感を抱いて暗殺をもくろむ(「スレイマンの乱」)強硬派の中心人物。
- 武器は極小の磁場で対象を破壊する「ソロモンの指輪」。名前はスレイマン1世に由来するが、「ソロモン」のトルコ語読みでもある。
- ハルツーム男爵バイバルス 声:長克巳
- 真人類帝国の近衛兵「禁軍兵団(イェニチェリ)」の隊長。大柄な黒人。
- イオンをミルカ殺害と国家反逆罪で捕らえようとした。そのため強硬派の一味とも思われたが実はセスとミルカの強硬派あぶり出し計画のマッチポンプで動いていた。
- 武器は真空の刃を発生させる七支刀「脊髄を砕く者(ズー・アル・フィカール)」。
[編集] 薔薇十字騎士団
- カイン・ナイトロード 声:諏訪部順一(少年時代:野島裕史)
- アベルの双子の兄。金髪の温厚そうな青年だが、彼こそがアベル達と敵対する組織「薔薇十字騎士団(ローゼンクロイツ・オルデン)」で「我が君(マイン・ヘル)」「あの方」などと呼ばれている首領にして「クルースニク01」。アベルやセスと異なり完全に融合している(精神面を含めて)。
- 過去にアベルによって「生身で大気圏外から地上に落とされ、その後数百年かけて再生した」という。体の修復が完全ではないらしく、長時間活動していると人の形を保てないらしい。その温厚な笑顔や言動とは裏腹に、内には自分達の出生理由によりすべて人間、生き物を憎悪し、狂気を秘めている。戦闘時は白い翼と諸刃の槍が出現する。
- 自らを「何も必要とせず、それゆえにすべてを必要としている者」と称している。
- 名前はアダムとイヴの長男カイン(קַיִן)に由来している。
- イザーク・フェルナンド・フォン・ケンプファー 声:藤原啓治(ドラマCD:速水奨)
- 「薔薇十字騎士団」の最高幹部。長い黒髪、黒い瞳、怜悧そうな容貌が特徴。原作では著名人の格言や古典文学からの引用を好む。カインの執事的な役割も担っている。
- 電磁防壁(アスモダイの盾)や粒子加速砲(ベリアルの矢)などのオーバーテクノロジーを魔法のように使うことから「機械仕掛けの魔道士(パンツァー・マギエル)」あるいは「魔術師」と呼ばれている。本作中最年長であるという発言をした(本作から1000年以上前から、カリオストロ、サンジェルマン伯爵、パラケルススなど様々な名前で存在していた)ある意味謎の多い男。作者もその正体についてはあえて設定せず、謎のままで残そうとしていた。またしばしば「アイザック・バトラー」という偽名を使用している。
- 漫画版での特徴
- 巻末の四コマ漫画では、九条氏の友人役として頻繁に登場する。キャラ設定と一致するのは喫煙者であることぐらいの様だ。
- ディートリッヒ・フォン・ローエングリューン 声:鈴村健一(ドラマCD:結城比呂)
- 鳶色の髪と鳶色の瞳、端正な美貌を備えたゲルマニクス王国(現在のドイツ)出身の青年。クラッキングや遺失技術の復元に長けた天才電脳調律師。
- 初登場時はエステルとともにイシュトヴァーンでレジスタンス活動を行っていたが、その正体は「薔薇十字騎士団」の一員で、エステルとジュラを利用して教皇庁と新人類帝国との戦争を引き起こそうとしていた。
- エステルのことを「綺麗事が好きな愚かな小娘」と呼び、強い関心を見せている、またアベルに対しても関心を寄せている(カインから何か聞いているらしく「アベルの素性や彼も世界の敵だったことを知っている」という意味の言葉を発している)。
- 特殊な生体繊維の「糸」を用いて他人の体を支配する能力を持ち、また言葉巧みに相手を誘導する狡猾さから「人形使い(マリオネッテンシュピーラー)」と呼ばれる。本作でもっとも酷薄な人物といえる。
- ヘルガ・フォン・フォーデルワイデ
- 冷凍光線を放つ「マクスウェルの魔杖」や過冷却水をマイクロマシンで操る「冬の乙女」などの能力を使用することから「氷の魔女」(アイス・へクセ)の異名を持つ。カインの側近であるケンプファーの存在を苦々しく思っており、AXを上手く利用して彼を排除しようと目論む。
- 表の顔は旧オストマルク公国の伯爵夫人であり、ヴィエナ上空に成層圏プラットフォームを改造した「魔女の塔」という拠点を構えている。
- バルタザール・フォン・ノイマン
- 「薔薇十字騎士団」に所属する吸血鬼で、ヘルガの側近「ノイマン3兄弟」の長男。
- 手から石化毒(蛋白質結晶化酵素)を分泌するため「毒竜の王」(バズイリスク)と呼ばれるが、戦闘よりも戦略立案や指揮を執るのに長ける頭脳派。
- 三兄弟の名前は新約聖書キリストの降誕の「東方の三博士」に由来している。
- メルキオール・フォン・ノイマン
- 「ノイマン3兄弟」の次男。眼鏡をかけ、屈折した性格の持ち主。
- 自作のメイド型自動人形を操ることから「傀儡の王」(ピグマリオン)の異名を持つ。
- またすべての機械センサーを欺く特殊能力を有するグレムリンでもある。
- カスパール・フォン・ノイマン
- 「ノイマン3兄弟」の三男。スキンヘッドの筋肉質な巨漢だが、オネエ言葉のハードゲイ。
- 外見を他人そっくりに変化させることができる能力から、「百貌の王」(フンゲルトゲシュヒト)と呼ばれている。
- アルフォンソ・デステ暗殺の際に、“教授”と交戦。“教授”に重傷を負わすが駆けつけたユーグによって撃退される。その後、顔を傷つけられたとして入院中の“教授”を狙ってローマに現れ、“教授”とカテリーナを殺害しようとするが、カテリーナの護衛として居合わせたカーヤによって“処理”された。
[編集] アルビオン
- メアリ・スペンサー 声:山田美穂
- アルビオン軍大佐、カルスレー子爵。アルビオンを訪問したエステルとアレッサンドロの護衛兼世話係を務める。
- 原作では「ブラッディ・メアリ」と呼ばれ冷酷な軍人とされている。ギルバート王太子の愛人ハリエットが産んだ庶子(エステルとは異母姉妹)で、それゆえアルビオンを支配する「二十六公家」から汚れ仕事や過酷な任務を押し付けられていた。王位につくため女王の危篤に際し教皇庁との密約や「二十六公家」抹殺などの陰謀をめぐらせていたが失敗、さらには「騎士団」に付け込まれ「霧の夜」事件を引き起こし、最期はエステルをかばってカインに殺される。
- アニメ版では王太子の庶子という設定がカットされるなど大幅に変更され、バッキンガム宮殿の警備や「隔離地区」の管理なども担当している。ヴァネッサらの武装蜂起や「騎士団」のロンディニウム襲撃に対処し、その後女王に即位したエステルの側近となる。
- 名前の由来はイングランド女王メアリ1世から。彼女の異母妹がエリザベス1世である。
- ヴァージル・ウォルシュ 声:松本保典
- 地下都市「隔離地区」に隠れ住む吸血鬼たちの代表。マンチェスター伯。
- ヴァネッサ・ウォルシュ 声:木村亜希子
- ヴァージルの妹。独立を唱える過激派のリーダー格。
- 原作ではケンプファーに唆され、エクスカリバーを復活させてメアリの隔離地区殲滅に対抗しようとしていた。
[編集] その他の登場人物
- アレッサンドロ18世 声:藤田圭宣(ドラマCD:浅野まゆみ)
- 第399代ローマ教皇。
- コンクラーベでカテリーナとフランチェスコに擁立されたお飾りで、人類圏の最高権力者という立場にありながら本人は気弱な少年。しかしながら、Axやエステルとの交流や人間と長生種の対立の現状を知ったことで少しずつ変わりつつある。
- 原作では驚くような「ある」才能を秘めていたことがわかった。また、それにより脳に何らかの機能障害を負っていることが示唆されている。
- アルフォンソ・デステ 声:谷口節(ドラマCD:広瀬正志)
- ケルン大司教→新教皇庁「教皇」
- 前教皇の実弟で側近でもあったが、後継者争いでアレッサンドロ(を擁立した異母兄弟たち)に破れ、左遷されていた。現教皇庁上層部を一掃しようと薔薇十字騎士団の支援を受け「沈黙の声」事件を引き起こす。その後自らを「教皇」(いわゆる対立教皇)とする「新教皇庁」(ノイエ・ヴァチカーン)を旗揚げするも蜂起に失敗、逃亡の末捕らえられる。
- アニメ版では「沈黙の声」事件で(原作では部下になったハヴェルに)逮捕されている。
- アントニオ・ボルジア 声:(ドラマCD:千葉進歩)
- 「R.O.M」では教皇庁広報聖省長官。「R.A.M」初登場時は大学生だったがわずか2,3年で枢機卿に上り詰める。
- 長髪で軽薄そうな外見や言動とは裏腹に、天才的な頭脳としたたかさをあわせもつ策士。ヒスパニア王国の名門貴族出身という出自と自身の才能、新教皇庁事件解決での功績を生かして教皇庁内で地位を築いている。政治的にはフランチェスコと近い位置にいる一方カテリーナにも求愛するなど、ここでも抜け目なさを発揮している。
- ジュラ・カダール 声:乃村健次
- 自由都市イシュトヴァーンを実質的に支配するハンガリア侯爵。
- 市民を迫害し、衛星兵器「嘆きの星」を用いて教皇庁を滅ぼそうとした。かつては人類と共存しイシュトヴァーンの発展に尽くしていたが、教皇庁に扇動された市民に妻を殺害されたことで人類と教皇庁を憎み、その復讐心を「騎士団」に利用された。
- 最期は敵であるはずのエステルをかばい(アニメでは自殺)、彼女に看取られ死亡。
- ローラ・ヴィテーズ 声:湯屋敦子
- 聖マーチャーシュ教会司教。
- エステルの育ての親だったが、教皇庁に対する見せしめとしてジュラの部下に惨殺される。
- なお、原作ではエステルのテロ行為を口実に教会が襲われたが、アニメ版では彼女の死をきっかけにエステルがレジスタンス活動を始めたと取れる構成。
- リリス・サール 声:小林美佐
- 紅茶色の髪に、褐色の肌、黄金色に輝く瞳を備えたインド系の美女。
- アベルの夢や回想に登場する女性。カインに殺害されたらしい。
- カルタゴにあった兵器「イブリース」のコンピュータにアベルに向けてビデオファイルを設置し、かつて彼が世界を敵に回してしまったことについて「この世界はあなたの敵じゃない、いつでもやり直せる」と優しいメッセージを残している。(アニメではこのシーンはカットされている)
- 名前の由来は「夜の魔女」リリスから。
[編集] 世界観
本策の舞台は世界の大半を壊滅させ、文明を崩壊させた熱核戦争「大災厄(アルマゲドン)」と、その後出現した異種知性体「吸血鬼」と人類との生存競争を繰り広げた「暗黒時代(ダークエイジ)」を経た遠未来のヨーロッパ。
文化、技術力、価値観などの文明レベルは「大災厄」や「暗黒時代」で中世程度の水準まで落ちている。「大災厄」前の遺失技術の復元や独自の開発により電動知性や石油エネルギー、電気、航空技術など現代と同レベル、あるいは自動人形やサイボーグなどの現在以上の技術が実用化されている。それらは軍事用や支配階級のみに限られているとはいえ、作中の描写を見る限り大国や都市部では近代(産業革命以降)の風俗と現代文明が混在している社会が形成され、市場経済やマスメディアもそれなりに発達している一方、辺境や農村ではいまだ中世レベルとなっている。
「真人類帝国」など吸血鬼(長命種)の間では人類社会よりも高い科学技術が用いられ、また「遺産」と呼ばれるオーバーテクノロジーも少なからず存在している。また、人類よりも長寿であるにもかかわらず何故か「大災厄」や「暗黒時代」の頃の詳細は伝えられていない。
[編集] 教皇庁(ヴァチカン)
- ローマ教皇庁の流れを汲む汎人類機関。暗黒時代の吸血鬼に対し唯一組織だって抵抗したことから「人類の守護者」と位置づけられ、その後出現した「黒い聖女」などの聖人たちの力を借りて吸血鬼たちを東欧地域に追いやることに成功し、その後は人類社会の旗手として超大国的な存在となる。
- しかし近年では吸血鬼の脅威が薄れ、また世俗諸侯と呼ばれる各国も国力をつけているためその影響力は薄れつつあり、また内部でも腐敗や旧弊の硬直化が進んでいる。そのため若手聖職者の間では急進的な方針を叫ぶものも多い。
- 教会としての側面も色濃く残るものの行政機関的な性質が強く、また教皇や枢機卿など高位聖職者の位置づけは僧侶というよりは政治家のそれである。なお、作中ではカトリックのみが正当な宗教として人類圏全体で信仰されており、イスラム教、ユダヤ教はもとより、プロテスタントなどキリスト教の諸派も異端とみなされている。
- なお原作では、サン・ピエトロ大聖堂やサンタンジェロ城といった実在の建造物を施設として利用している。
[編集] 教皇庁領
- 本作中の教皇庁は超国家的な組織である一方で「聖都」と呼ばれる本拠地ローマを中心とした広大な地域を支配する国家という性質も有している。教皇庁が直接統治している地域は現在のイタリアと、スイス、スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナに相当。「ROMI」でのイシュトヴァーン出兵において併合された旧ハンガリア侯爵領が属領に加えられたが、そのため覇権主義拡大を恐れる世俗諸侯の不信を招き、また教皇庁と領土を隣接することとなった「帝国」との間にも緊張状態が生じることとなる。
[編集] 国務聖省
[編集] 教理聖省
- 実在の教理省に教皇庁領の内政を担う内務省としての機能が備わり、さらに軍事院、異端審問局、特務警察などを傘下においている。教皇庁の「超国家機関」としての側面を代表しており、国務聖省とは伝統的に仲が悪い。
[編集] 広報聖省
[編集] 聖宝認定局
- 本来は聖遺物の鑑定を行う礼部省の一部署だが、本作中では遺失技術の発掘復元を行う最先端の技術研究所となっている。
[編集] 教会軍
- 教皇庁が保有する独自の軍事力。暗黒時代に各地の義勇兵や有力聖職者の私設軍などを編成したのが由来で、現在では人類圏では最大規模の兵力と最新鋭の装備を保有する軍隊。過去にたびたび対「帝国」の「十字軍」を起こし、また教皇庁に反抗的な世俗諸侯や自由都市に「強制審問」の名の下宣戦布告することもある。現在の総司令官は教理聖省長官のフランチェスコ。
[編集] 薔薇十字騎士団(ローゼンクロイツ・オルデン)
- 通称「世界の敵(コントラ・ムンディ)」と呼ばれる秘密結社。ラテン語で「我ら、炎によりて世界を更新せん(イグネ・ナチュラ・レノヴァトール・インテグラ)(Igne natura renovatur integra)」(直訳は「炎によりて全き世界は更新される」という意)というスローガンの下に、各地でテロ行為を行う。
- もとはゲルマニクスの小さな異端結社だったが、カインとケンプファーによって乗っ取られて以降急速にテロ組織として急成長した。しかし、犯罪ネットワークの管理者という活動が主であまり表舞台に出ることがなく、また騎士団として動く際も「世界に不満を持つ者に技術や人員を提供する」という形をとるため、その存在を知る者は少ない。
- 名前の由来は薔薇十字団(ローゼンクロイツ)。団員の制服はナチス親衛隊を連想させるデザイン。また、団員の称号はすべてドイツ語である。
[編集] 真人類帝国(ツァラ・メトセルート)
- アウグスタ・ヴラディカと呼ばれる指導者に率いられた吸血鬼(長生種)によって東欧、中東に建国された本作中唯一の非人類国家。作中の地図では国土は現在のトルコを中心にギリシャ、ブルガリア、ルーマニア、モルドバ、ウクライナ、キプロス、シリア、レバノン、イスラエルに相当するが、アジア、アフリカ部分に関してはもっと広範囲である模様(作中ではエジプトやメソポタミアも帝国領とされているほか、貴族の爵号は現在のイランやスーダンの地名も含まれている。尤も、後者に関してはザグレブやマケドニアなど人類圏の地名も含まれているので「=帝国領」とは言い切れない)。
- 吸血鬼(長生種)が貴族として平民である人類(短命種)を支配しているが、数は全人口の一割にも満たない。作中の説明によれば、皇帝の絶対的な権威のもと二つの種族が共存する社会ということになっている(帝国臣民の短命種は皇帝に従属しており、その臣下である長生種とは本質的に平等とされる)。基本的には能力主義であり、短命種も本人の能力と努力しだいで「士民」として取り立てているためその点では封建的価値観や金権体質がはびこる人類圏よりも近代的といえる。ただし、絶対的権威である皇帝の存在抜きには成り立たないシステムであり、またあくまで長生種のほうが優れた種であるという前提にたっているため人類圏の標準的価値観からは到底受け入れられないものである。
- 教皇庁とは不倶戴天の間柄であり(アニメ版では冷戦期の米ソのような「敵国」という雰囲気)、約800年前の建国以来たびたび教皇庁の「十字軍」と交戦、これを退けているが、作中年代までの100年ほどは対外的に沈黙を保っている。
- 本作中で帝政を敷いている唯一の国家であり、作中での「帝国」はこれをさす。また、言語は人類圏とはまったく体系が異なる「帝国語」が用いられている(原型はルーマニア語の古文)。文化や作中での位置づけはオスマン帝国を彷彿とさせる国家だが、社会構造や政治システムは征服王朝のものを下敷きにしている。
- ビザンチウム
- 真人類帝国の首都で、現在のイスタンブル。太陽光中の紫外線を反射、除去するドーム状のフィルター「瑠璃壁」で覆われ日中は常に夕焼けに近い状態であることから「黄昏の都」とも呼ばれる。
- ボスポラス海峡をはさんでヨーロッパ側の金角湾南岸部(イスタンブール歴史地域)が星皇宮(サライ)と呼ばれる王宮(宮殿のみならず御前会議場や官庁など国政の主要施設も含む)、北岸部が帝国貴族(ボイエール)=長生種(吸血鬼)、アジア側が短生種(人間)のそれぞれ居住区画となっている。
- 愛児たちの島
[編集] 世俗諸侯・自由都市
[編集] アルビオン王国
- 現在のイギリスに位置する北の島国で、教皇庁の支援なしで復興を遂げた歴史や地政学的条件などから教皇庁や他国に対し独立志向が強い。政体や文化、生活水準はヴィクトリア朝期の大英帝国を彷彿とさせる。
- 高い技術力と産業基盤を持つ重商主義国家だが、現女王が後継者亡きまま危篤状態であるため情勢は不安定になっていた。また、その技術力の背景には首都ロンディニウム地下の「隔離地区」に吸血鬼たちを匿い、その見返りに技術提供を受けてきたという知られざる一面がある。
- なお、「アルビオン」とは狭義では現在のイングランド地域を指し、属国に近いエリン(旧アイルランド)のみならずスコットランドやウェールズも厳密には属領ということになる模様。
- 隔離地区(ゲットー)
- ロンドン地下区画跡に吸血鬼たちが住み着いた地下都市。居住区画や遺失技術を駆使した工場区画のほか、最深部には旧時代の研究所跡もある。
- エリン(アイルランド)
- 作中年代より約100年前アルビオンの領邦となった隣国。現在でも高度な自治権を持つ半独立国。アニメ版ではいまだ独立国であるらしい。
- 「エリン」とは吉田のデビュー作『ジェノサイド・エンジェル』に登場する超古代文明の名前である。
- アルビオン北部の島。医学者バレー教授が孤児院を開いていたが、子供を吸血鬼に「転向」させる人体実験を行っていた。
[編集] ゲルマニクス王国
- 現在のドイツに位置する新興の軍事国家。近年急速に工業化と軍備増強を推し進め、隣国オストマルクを侵略するなど領土拡張路線を見せていることから各国に警戒されている。首都はユーバーベルリン。
- 「騎士団」発祥の地で、その勢力が国家の中枢に入り込んでおり国王さえ手が出せない。モデルはドイツ帝国ならびにナチス・ドイツと思われる。
- オストマルク公国
- 現在のオーストリアに位置する国家だが、作中年代より十数年前にゲルマニクスに併合された。
[編集] ヒスパニア王国
- カタロニア公国
[編集] フランク王国
[編集] ボヘミア公国
- ボヘミア戦役
- フス派に率いられた反乱軍との間に起こった内戦。教皇庁軍が介入して鎮圧された。
- 第二次ボヘミア戦役
- 新教皇庁と、それに賛同した聖職者・豪族や農民がブルノを拠点に起こした武装蜂起。
[編集] 自由都市イシュトヴァーン
- 現在のブダペストに位置しハンガリー地方を治める独立都市国家。表向きは市議会が政治を行っているが実際は吸血鬼であるハンガリア侯ジュラ・カダールの支配下に置かれ(ハンガリア侯爵領)、市警軍など各機関もその配下となっていた。地政学的に教皇庁領と真人類帝国との境に位置し、人類圏にありながら吸血鬼が支配するという二重性から両者の緩衝帯となっており、教皇庁も見過ごすしかなかった。
- ドナウ川をはさんで、西街区がジュラの領地、東街区が人間たちの居住エリアとなっていた。名称はイシュトヴァーン1世に由来すると思われるが、作中では暗黒時代にこの町を復興させた聖人の名とされている(おそらくジュラの先祖)。
- 血の丘(ヴェーレ・へジェン)
- ジュラの屋敷が存在する西街区の地名で市民にとっては圧政の象徴となっている。現在の「王宮の丘」(w:en:Gellért Hill)。
- イシュトヴァーン市警軍
- イシュトヴァーン市の警察組織で、軍隊の役割もかねている。実態はジュラの支配の尖兵で、市民に横暴の限りを尽くしてきた。
- エステルが預けられ、育った教会。実在のものとは異なり東街区に立っている。
[編集] 自由都市カルタゴ
- 現在のチュニジアに位置する独立都市国家。作中の世界観からイスラム教が衰退しキリスト教社会に組み込まれているものの、アラブ民族やベドウィンの文化が色濃く残っている。地中海貿易の要衝であり、「帝国」と人類圏の三角貿易の拠点ともなっている。
- 聖エリッサ
- 「暗黒時代」のカルタゴの女王で聖人の一人。吸血鬼から街を守って死んだ跡、砂漠の天使(イブリース)になぞらえるようになる。
[編集] 四都市同盟
- ネーデルラント(現ベネルクス3国)に位置する独立都市国家。ブリュッセル、アムステルダム、アントワープ、ブリュージュを中心とする商業都市の連合体であり、4都市の都市貴族で構成された政府とそれを支える世襲官僚や傭兵貴族によって運営されている。
- 警察組織を束ねていた傭兵貴族ヴァトー家が滅ぼされて以降は、暗黒街を支配する吸血鬼氏族4伯爵(カウント・フォー)が表の政治にも強い影響力を持つようになっていた(アニメ版では完全に実効支配されている)。
*この他、ヤゲロー大公国、マケドニア公国、バルト三国、北部諸侯国群が存在。
[編集] 用語
- 国務聖省特務分室(Arcanum cella ex dono dei)(通称Ax)
- 表向きは「派遣執行官」というエージェントにより対外トラブルの処理や外交工作を行う教皇庁国務聖省の特務機関で、また異端審問局の職域に触れない範囲で吸血鬼犯罪や反教皇庁勢力(異端派)の取り締まりも行っている。しかしその実態はカテリーナが「騎士団」を倒すために結成した組織で、アベル、ケイト、ワーズワース、ハヴェルといった国務聖省長官就任以前から行動をともにしてきた「騎士」たちが中核を担っている。
- 教理聖省異端審問局
- 異端審問官と呼ばれる13人のエージェントと、下部組織の特務警察局からなる教理聖省の実戦部隊。元々は対吸血鬼戦のエキスパートとして設立されたが現在は教皇庁領内の治安維持や異端派の粛清が主な任務で、教皇庁の専横の象徴として恐れられている。
- なお、現在は局長職に異端審問官がついているが、本来は枢機卿や大司教クラスの高官が配置されるのが慣例であり、フランチェスコの私兵化しつつあることが伺える。
- 吸血鬼(ヴァンパイア)
- 本作では「大災厄」後に突如出現したとされる異種知性体をさす。高度な文明を持ち、優れた身体能力と不老長寿を誇るが、「渇き」と呼ばれる強い吸血衝動を有し、太陽光(紫外線)や銀に弱いことから人類からは吸血鬼として恐れられている
- その能力は体内に共生する「バチルス・クドラク」の作用でもたらされるもの。寿命は約300歳ほどで、誕生時はまだバチルスが覚醒していないため人間(短生種)とまったく変わらない状態で、その後「覚醒」まで成長する(外見年齢は覚醒時の姿であり、実年齢を知る指標とはならない)。基本的に夜行性。個体によっては発火能力を持つ「火炎魔人」、背中の羽で飛行する「妖精」、毛髪を操る「鬼女」、外見を自在に変化させる「二重影」など特殊能力を持つ者もいる。(漫画版では「木霊」や「人魚」などもある。)吸血衝動はバチルスの影響で強い貧血症状を催すためで、「人間の血を吸う」こと自体はあくまで鉄分などを補給する手段に過ぎない。そのため本作中の年代では「命の水」という血液製剤を服用する方法が一般化しており、特に「帝国」では吸血は野蛮な行為とされている(もっとも、血液製剤の原料として人間の血液を集める必要はある)。
- 作者が「人間小説」と語っているように、本作の「吸血鬼」とは決して人外の怪物ではなくあくまで「人間の突然変異種」という位置づけである(むしろ、学術的にそのことがわかっていてなお「化け物」と見なしているところが二種族の対立の深刻な点といえる)。また、西洋キリスト教社会が「異教徒」として敵対・差別してきたイスラム世界やユダヤ人のメタファーでもある。
-
- バチルス・クドラク(溶血性棹状球菌)
- 吸血鬼(長生種)の体内に生息する細菌。宿主に高い身体機能と生命力、牙の形成等の肉体変化といった能力を与える一方血液中の赤血球を破壊し貧血と吸血衝動をもたらす。また、紫外線を浴びると異常増殖して宿主の体を破壊する(傍目には「日光で焼け死ぬ」ように見える)、銀分子を取り込むとその活動を停止する(「銀の聖なる力で弱まる」ようにみえる)などの特徴も持ち、まさしく本作中の吸血鬼(長生種)を吸血鬼たらしめている存在。
- 十字架やニンニクなどの弱点はない。また、バチルスが人体と適合するかどうかは個人差があるため血を吸われた人間が転向(吸血鬼化)することはまずなく、また吸血鬼の胎児も適合しない場合死産となるため出生率は恐ろしく低い。
- 「クドラク」とはスラブ神話に登場する吸血鬼で、その宿敵がクルースニク。
- 長生種(メトセラ)
- 吸血鬼たちが自分たちの種を表す呼び名。作中で「吸血鬼」とはあくまで人類側からの蔑称なので、自分たちこそが優れた新人類と捉えている彼ら自身が名乗る場合は(人類圏の犯罪者が人間を威圧する場合などを除いて)ほとんどない。
- 「新(真)人類」という意味合いも持ち、また暗黒時代期には「帰還者」とも呼ばれている。メトセラとは聖書に登場する「最も長生きした人間」の名。
- 短生種(テラン)
- 吸血鬼(長生種)たちが、人類を指して用いる呼び名。自分たちより短命、非力、無知な存在と見なし「蛮族」、「劣等種」という蔑みがこめられている場合が多い。
- 「テラン」を直訳すると「地球人」という意味になり、また暗黒時代期には「残留者」という語にそのルビが振られていた。
- クルースニク
- 「吸血鬼を吸う吸血鬼」と呼ばれる存在。吸血鬼すら凌ぐ不死身の生命力と戦闘力を持つ。本作中に登場しているのはアベル、セス、カインの三名。
- 絶滅時代(ダークランド)
- 「大災厄」で生物の存在に適さなくなった地域。本作における地球上の大半を占める。
- 二つ目の月
- 「大災厄」後に出現した新たな衛星。眼のようないびつな形(アニメ版では丸い)をしており、また常に南天の同じ位置に存在している。人類圏では「吸血鬼の月」と呼ばれ忌み嫌われているが、「帝国」では国章に取り入れられるなど神聖視されている。
- その正体は静止軌道上に浮かんでいる巨大宇宙船「方舟」。アニメ版でのデザインは「帝国」のメカや建造物と似ている。
- 機械化歩兵(マシナリー)
- 本作では吸血鬼に対抗するという軍事的目的で機械的なサイボーグ手術を施された人間(短生種)を指す。トレスやハヴェルなどがこれに当たる。
- 技術的には死体の脳に改造を施して操ることも可能で、「騎士団」が吸血鬼の死体を改造した「自動猟兵(アォト・イェガー)」を開発している。
- 強化人間(チューンド)
- 強化兵ともいう。本作では薬物投与などで肉体を強化した場合に限定される。ペテロなどがこれに当たる。
- 魔女(妖術使い)
- 本作では「大厄災」以前の遺伝子操作や「暗黒時代」での突然変異といった要因により超能力が遺伝的に備わっている人を指す。その能力ゆえに迫害されることが多い。ノエルやモニカがこれにあたる。
- また、細胞構造を変化させることで獣や半獣の姿に変身できる「獣人」も存在する。
- 嘆きの星
- ハンガリア侯爵家に伝わる遺失技術。本来は月面の太陽光発電設備からレーザーで送られてきた電気を中継して地上に照射する電力供給用人工衛星だったが、ジュラとディートリッヒによって地上を大出力のレーザーで攻撃する軍事衛星へと転用される。
- 砂漠の天使(イブリース)
- 自由都市カルタゴの「女王の墓所」地下に設置されていた、巨大な砂嵐を発生させる気象兵器。本来は暗黒時代にカルタゴの女王エリッサがカルタゴ陥落時に吸血鬼を街ごと殲滅するため設けたものだが、「騎士団」がイオンとカテリーナの接触を阻止するための保険として復旧させた。
- 湖の剣(エクスカリバー)システム
- 霧状のフィールドを発生させ、その内部をマイクロ波で焼き尽くす都市破壊兵器。原作では「隔離地区」最深部の研究所跡で発見されたものをケンプファーが復元し、それを貸与されたメアリによって「霧の夜」事件が引き起こされロンディニウムに甚大な被害を与えた。アニメ版ではケンプファーの空中戦艦に搭載されている。
- 沈黙の声(サイレント・ノイズ)
- 「騎士団」が開発した、鐘の音と建物との共振を起こし崩壊させる低周波兵器。サグラダ・ファミリアに設置された試作機によってバルセロナが壊滅、またバチカン壊滅を目論むデステによってローマのオベリスクに仕掛けられたが、これはAxが破壊し未遂に終わる。
- 世界の敵(コントラ・ムンディ)
- ラテン語で「contra mundi」と記す。
- 本来は聖書や神話に登場する「世界破壊者」を意味する言葉。作中では「騎士団」の「世界の滅亡を図る」というスタンスを指して用いられるが、ディートリッヒやケンプファーによるとかつてはアベルもこの名で呼ばれていたという。また、エステルはカインの力や価値観を「この世界の全ての存在と決して相容れない世界の敵」と直感している。
[編集] 作品リスト
[編集] トリニティ・ブラッド R.A.M.
- トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 1「フロム・ジ・エンパイア」ISBN 4044184046
- トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 2「サイレント・ノイズ 」ISBN 4044184062
- トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 3「ノウ・フェイス」 ISBN 4044184089
- トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 4「ジャッジメント・デイ」 ISBN 4044184100
- トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 5「バード・ケージ」 ISBN 4044184135
- トリニティ・ブラッド Rage Against the Moons 6「アポカリプス・ナウ」(未完) ISBN 4044184151
[編集] トリニティ・ブラッド R.O.M.
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 1「嘆きの星」 ISBN 4044184038
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 2「熱砂の天使」 ISBN 4-04-418405-4
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 3「夜の女皇」 ISBN 4-04-418407-0
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 4「聖女の烙印」ISBN 4-04-418409-7
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 5「薔薇の玉座」ISBN 4-04-418411-9
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 6「茨の宝冠」ISBN 4044184127
- トリニティ・ブラッド Reborn on the Mars 7「極光の牙」(未完)
[編集] 読本
- トリニティ・ブラッド Canon 神学大全 ISBN 4-04-418416-X
[編集] アニメ版
2005年4月28日よりWOWOWノンスクランブル放送にて放送開始(全24話)。原作とは時系列が異なり、間に3年の開きがある「R.O.M」と「R.A.M」を同じ時間軸に再構成しているため原作では「R.O.M」編、「R.A.M」編の片方にしか登場しないがアニメでは両方のエピソードに登場している人物もいる。また原作で死亡する登場人物が最後まで生存している例やその逆の例もある。
[編集] スタッフ
- 企画:安田猛、石川真一郎、酒勾暢彦
- プロデューサー:安田猛、永井理、武智恒雄
- エグゼクティブプロデューサー:梶田浩司
- 監督:平田智浩
- シリーズ構成:平田智浩、冨岡淳広、角川スニーカー文庫編集部
- キャラクターデザイン:中嶋敦子
- メカニック/プロップデザイン:鈴木信吾
- プロダクションデザイン:小林誠
- 美術監督:徳田俊之
- 色彩設定:内林裕美、長坂恵
- 撮影監督:林コージロー
- 編集:廣瀬清志
- CGディレクター:鈴木雅也
- 音楽:江口貴勅
- 音響監督:明田川仁(マジックカプセル)
- 音響制作:マジックカプセル(濱野高年)
- 音楽ディレクター:桜井裕子(ビクターエンタテインメント)
- 音楽制作:ビクターエンタテインメント
- アニメーション制作:GONZO
- 制作協力:WOWOW
- 製作:トリニティ・ブラッド製作委員会
[編集] 主題歌
- オープニングテーマ「ドレス(BLOODY TRINITY MIX)」
- エンディングテーマ「Broken Wings」
- (歌:種ともこ、作詞:種ともこ、作曲・編曲:江口貴勅)
[編集] ラジオ番組
[編集] 前後番組
WOWOWノンスクランブル 木曜24:00枠 | ||
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前番組 | 番組名 | 次番組 |
(不明)
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トリニティ・ブラッド
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AT-X 日曜12:30/20:30、土曜8:30枠(30分1話) | ||
トリニティ・ブラッド
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[編集] 関連項目
- 菊地秀行『吸血鬼ハンター"D"』シリーズ(「文明滅亡後の未来を舞台にした吸血鬼もの」という点での先行作品であり、本作への影響を指摘されることがある)
- 平野耕太『HELLSING』(主人公が「自身も吸血鬼(の上位種)でありながら人類に組し、女主人に仕えるバンパイアハンター」という設定や能力・敵がナチスドイツ風など共通点が多い)
- 内藤泰弘『トライガン』(主人公と敵指導者が『兄弟』でほぼ同格の絶大な力を持つ・敵組織の異能者たちが、組織そっちのけでわざわざ主人公に勝負を仕掛けてくるなど、共通点が多い)