霧
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
霧 (きり、英:Fog) とは、水蒸気を含んだ大気の温度が何らかの理由で下がり露点温度に達した際に、含まれていた水蒸気が小さな水粒となって空中に浮かんだ状態。
目次 |
[編集] 霧と雲
水粒は雨粒に比べて非常に小さいが、通常、根本的な霧の発生の原因は大気中の水分が飽和状態に達したものなので雲と同じであると考えてよい。
雲と霧の一番大きな違いは水滴の大きさなどではなく、両者の定義の違いである。すなわち、大気中に浮かんでいて、地面に接していないものを雲と定義し、それが地面に接しているものを霧と定義する。例えば、山に雲がかかっているとき、地上にいる人からはそれは雲だが、実際雲がかかっている部分にいる人からは霧なのである。なお、山の地面に接する霧または雲のことをガスと呼ぶことがある。
[編集] 霧と靄(もや)
霧が発生した状態では水滴が光を散乱するため、視程(見通すことのできる水平距離)が小さくなる。気象観測においては視程が1 km未満のものを霧といい、1km以上10km未満のものは靄(もや)と呼んで区別する。一般的に単位体積当たりの水分量が多いほど視程は小さくなるが、同じ水分量でも小さい水粒が多く存在する時の方が視程が小さい。
[編集] いろいろな霧
霧は、そのでき方によって放射霧、移流霧、蒸気霧、前線霧、上昇霧などに分けられる。
- 放射霧
- 晴れた冬の日などには、地表面から熱が放射され地面が冷える。そうして冷えた地面が、地面に接している 水蒸気を多く含んだ空気を冷やすことで発生するもの。
- 移流霧
- 暖かく湿った空気が水温の低い海上や陸地に移動し、下から冷やされて霧を発生させるもの。移流とは大気が水平方向に移動することを指す気象用語である。暖流上の空気が移動して、夏の三陸沖から北海道の東海岸などに発生させる海霧などがその代表的なもので、非常に長続きする霧で厚さが600m程度に達することもある。
- 蒸気霧
- 暖かく湿った空気が冷たい空気と混ざって発生する霧。冬に息が白くなるのと原理は同じ。暖かい水面上に冷たい空気が入り、水面から蒸発がおき、その水蒸気が冷たい空気に冷やされて発生するもので、実際は冷たい空気が暖かい川や湖の上に移動した際にみられる。風呂の湯気も原理は同じで、北海道などの川霧が代表的なもの。
- 前線霧
- 温暖前線付近で雨が降り湿度が上がったところに温度の比較的高い雨が落ちてくると、雨粒から蒸発した水蒸気で飽和状態となり、余分な水蒸気が水粒となって発生する。
- 上昇霧
- 山の谷に沿って湿った空気が上昇し、露点に達したところで発生する霧。遠くから見ると山に雲が張り付いて見えるが、その中では濃い霧となっている。動かないように見えても実際は空気が下から次々と上昇している。
[編集] 日本式天気記号と気象通報
日本式の気象通報においては、「微小な浮遊水滴により視程が1km未満の状態」を「霧」と定義している。また、陸上において視程が約100m未満、海上において視程が500m未満のときは「濃霧」ともいう。
[編集] 注意報
濃霧注意報は、濃霧によって交通機関への障害が出ることが予測されるときに地元気象台から発令される。大体の地方では、視程が陸上で100m、海上で500mを下回る場合に出されるが、地域によってはこれよりも厳しい基準のところもある。例えば、釧路地方気象台をはじめとする北海道では、陸上での視程が200mで濃霧注意報が発令される。
[編集] 霧で有名な都市
[編集] 霧に関連した事象・作品
- フォグランプ
- 映画「ミスト」(スティーヴン・キング原作)
- 映画「ザ・フォッグ(1980年版)」
- 映画「ザ・フォッグ(2005年版)」
- ゲームソフト「サイレントヒル」
- ゲームソフト「レガイア伝説」
- 2005年の日本シリーズ
- ゲームソフト「FINAL FANTASY 9」
[編集] 関連項目
|
---|
快晴 - 晴れ - くもり - ちり煙霧 - 煙霧 - 砂じんあらし - 地ふぶき |
霧 - キ 霧雨 - 雨 - ツ 雨強し - ニ にわか雨 - みぞれ - 雪 |
ツ 雪強し - ニ にわか雪 - 霰 - ひょう - 雷 - ツ 雷強し - 不明 |