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スティーヴン・キング - Wikipedia

スティーヴン・キング

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

文学
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スティーヴン・エドウィン・キングStephen Edwin King, 1947年9月21日 - )は、アメリカのモダンホラー小説家。作品は世界各国で翻訳され読まれている。

目次

[編集] 概要

1974年に長編『キャリー』でデビュー。ジャンルはホラーであるにもかかわらず、作品には必ず人間味を感じさせる要素を織り込んでいる。ホラーばかりではなく、『ショーシャンクの空に(原題:「刑務所のリタ・ヘイワース)』や『グリーンマイル』など、映画化された話題作でも有名である。日常の中に潜む「ちょっとした不思議」を題材にした作品も目立つ。著作の多くが映画化またはドラマ化されている。世界幻想文学大賞、O・ヘンリー賞、ブラム・ストーカー賞、ヒューゴー賞など、数々の文学賞を受賞している。

[編集] 略歴

スティーヴン・キング
スティーヴン・キング

スティーヴン・E・キング(以下キングと呼ぶ)は、1947年米国メイン州ポートランドで、スコットランドアイルランド人の祖先を持つ、父ドナルドと母ネリー・ルース・ピルズベリーの間の第2子として生まれる。子供を身ごもることすらできないと医者に言われた父母は、兄デイヴィッドを養子に迎えるが、その後、キングを身ごもり出産。父ドナルドは掃除機のセールスマンとして働いていたが、キング二歳の時に蒸発。その後キングの母は祖父母の面倒を見ながら朝から深夜まで働き、兄デイヴィッドとキングの2人を育てあげた。父ドナルドの消息は不明のまま。「薮蛇になりそうだから、父親の消息は調べない」とキングはさまざまなインタビューで語っている。

10歳のころより、『ファンタスティック』などのSF専門誌に投稿する。少年時代から殺人事件の新聞のスクラップを集めていた。家に風呂がなかったので、凍えるような寒い日でも、親戚の風呂を借りにかなりの距離を歩いていたにもかかわらず、肥満児だった。1966年に高校を卒業後、オロノにあるメイン大学(University of Maine)に入学し、1970年に卒業する。20歳のときに投稿した小説「鏡の床」が、『スタートリング・ミステリー・ストーリーズ』誌に掲載された。大学2年から学内新聞の『ザ・メイン・キャンパス』のコラムを毎週書くようになる。

キングはタビサ・スプルース (Tabitha Spruce) と、大学時代図書館でのアルバイト中に知り合い、1971年の1月に結婚する。結婚してまもない頃、キングは男性雑誌に小説を売り続け、この時代に書かれた短編は、『深夜勤務(Night Shift)』にその他の作品と一緒にまとめられている。

同年の秋、キングはメイン州の公立高校ハンプデン・アカデミーで英語のクラスを教え始め、深夜はクリーニング屋でアルバイト。妻はダンキンドーナツで働いて家計を助ける。この間、小説は夜間や週末に執筆することで、創作活動を続けていった。トレーラーハウスでの極貧生活、次々と生まれる子供たちに反してこれという作品が書けず、アルコールにおぼれていた日々もあった。

1973年の春に、米国大手出版会社のダブルデイ社が小説『キャリー(Carry)』の出版を引き受けたことで、キングは教職を離れ、小説家として一本立ちする決心をする。一度はごみ箱に捨てた作品だが、タビサ夫人が拾い上げて執筆を強く勧めた。母親ネリーは出版直前に癌で死亡。

『キャリー』は、1974年の春に出版され、その後映画化されてヒットする。同年の秋キングはメインを離れ、コロラド州ボルダーに移り住み、1年弱の滞在の間、コロラドを舞台とした『シャイニング(Shining)』を書く。 1975年の夏メイン州に戻り居を構えて、ボルダーを舞台とした『ザ・スタンド(The Stand)』を書き上げる。『デッド・ゾーン(The Dead Zone)』もこの時期に書かれる。

精神が安定しない時期があり、薬箱に入っている薬なら何でも飲んでしまうという、軽い薬物中毒の時期もあったが克服した。

熱狂的なファンが邸宅に侵入した事件が起こった。

キングとタビサの間には3人の子供がいる。名前はナオミ・レイチェル、ジョセフ・ヒルストロム(ジョー・ヒル)、オーウェン・フィリップといい、また現在3人の孫がいる。タビサ、ジョー・ヒル、オーウェン・フィリップは作家として活動している。

[編集] 映像化作品について

キングの作品の映像化については、デビュー作『キャリー』映画化がヒットして以降、原作が映画化されたが、興行成績がふるわないものが多くなり、次々に映像化されるものの、ホラーではない『スタンド・バイ・ミー』以外は評価も興行成績も高くないという状況が10年以上続いた。『ミザリー』の高評価で一時見直されたが、やはり当たりはずれがあり、以後映像化された作品については、どちらかというと『ショーシャンクの空に』や『グリーンマイル』など非ホラー作品に高評価のものが多い。

スタンリー・キューブリック監督が映画化した『シャイニング』が気に入らず、自らテレビドラマ『シャイニング (テレビシリーズ)』(1997年)を監修した。キューブリック監督の映画を「空っぽのキャデラック」と酷評している。 テレビドラマ化される作品も多く、『ローズ・レッド』(Rose Red) などがヒット作として知られている。

そのほかキングが製作総指揮をとった映像作品としては、ラース・フォン・トリアー原作のテレビドラマをリメイクした『キングダム・ホスピタル』(Kingdom Hospital)がある。原作の舞台をアメリカ合衆国に移し、キングによる脚本をもとにリメイク作品が製作されたもので、原作に比べ大幅に改変が加えられた作品となっている。

最新作は、短編小説『霧』(『骸骨乗組員』所収)を実写化した「ミスト」。キャストにはキング作品の『ドリームキャッチャー』にも出演したトーマス・ジェーンが参加している。

[編集] 作品同士のリンク

キングの作品は「ダーク・タワー」シリ-ズを中心に多くの作品がリンクしている。さらに、「ダークタワー」シリーズとは別にキャッスルロックデリー(ともにメイン州の架空の街)等を繋がりにリンクする作品も多く、細かいリンクを辿るとほぼ全ての作品が繋がっている。

また、『レギュレイターズ』と『デスペレーション』では、全く同じ題材を全く違う視点、展開、タッチで描くという試みも行っている。

[編集] リチャード・バックマン

別ペンネームリチャード・バックマン名義で、『死のロングウォーク』、『バトルランナー』、『痩せゆく男』、『レギュレイターズ』などを発表した。『死のロングウォーク』は、キングの事実上の処女長編小説である。

キングが別ペンネームのリチャード・バックマンを使った理由は、キングが小説家としてのキャリアをスタートさせた当時、米国出版業界では1人の作家は1年に1冊だけ出版する、という風潮があった。そのころ多作型の作家は、別ペンネームを使うことで年に複数冊の作品を出版していたので、それにのっとりキングもリチャード・バックマン名義を別に使うことで、年に2冊みずからの作品を出版しようとした経緯がある。

その他の意図としては、同じ作家が別ペンネームで書いた本がどれだけ売れるかキングが試してみようとした、とも言われている。

なお、この試みはディーン・R・クーンツピーター・ストラウブもかつてしていたとキングは述べている。

[編集] 主な作品

[編集] 長編

[編集] 短編集

邦訳版では深夜勤務、トウモロコシ畑の子供たちの二冊に分冊。

邦訳版では骸骨乗組員神々のワードプロセッサミルクマンの三冊に分冊。

  • Nightmares & Dreamscapes (1993, EN)

邦訳版は、ハードカバーでいかしたバンドのいる街で、ヘッド・ダウンの二冊に、 文庫本でドランのキャデラック、いかしたバンドのいる街で、メイプル・ストリートの家、ブルックリンの八月の四冊にそれぞれ分冊。

邦訳版では第四解剖室、幸福の25セント硬貨、ライディング・ザ・ブレットの三冊に分冊。

[編集] 中編集

邦訳版ではゴールデン・ボーイ(春夏編)、スタンド・バイ・ミー(秋冬編)の二冊に分冊。

邦訳版ではランゴリアーズ、図書館警察の二冊に分冊。

[編集] ノンフィクション

[編集] 映画・テレビオリジナル脚本

[編集] その他

  • 宮部みゆきはスティーヴン・キングのファンであり、ファンタジー小説『ブレイブ・ストーリー』はキングの『タリスマン』に影響を受けている。また小野不由美のホラー小説『屍鬼』もキングの『呪われた町』へのオマージュである。
  • 『死のロングウォーク』は『バトル・ロワイアル』の元ネタになっている。
  • ホラー映画『クリープショー』(監督:ジョージ・A・ロメロ)の脚本を担当し、第2話「ジョーディ・ヴェレルの孤独な死」に主演。
  • MLBボストン・レッドソックスの熱狂的なファンであり、レッドソックスの本拠地フェンウェイパークの試合に時々観戦に訪れ、テレビカメラにその姿を見つけ出されている。また、『IT』や『ドリームキャッチャー』などで少年の服装にレッドソックスのシャツやジャンパーを着せている他、『トム・ゴードンに恋した少女』でレッドソックスの投手に憧れる少女を主人公として登場させている。
  • 熱狂的なロックファンで地元のロック専門ラジオ局のオーナーでもある。その為か彼の作品を原作とする映画のサウンドトラックには大物ロックバンドが楽曲を提供する事が多い。また作家仲間とロックバンドを組んでおり、そのバンドのモットーは「メタリカが小説を書くのと同じくらい上手く演奏する」である。
  • X-FILE♯510・ドールの脚本を担当したが第一稿では主人公であるモルダーとスカリーを登場させ忘れた。
  • 緑内障を患っている。かなり深刻な状況で近い将来失明の恐れがあるという。
  • 蜘蛛が何よりの苦手。

[編集] 参考文献

  • 風間賢二『スティーヴン・キング-恐怖の愉しみ』、筑摩書房、1996年11月 ISBN 4-480-83702-7

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク


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