声優
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声優(せいゆう)またはヴォイスアクターとは、ラジオドラマ、テレビ、映画、アニメ、テレビゲーム、洋画の吹き替えなどに、主に声だけで出演する俳優のこと。ナレーターとは異なり、登場人物やキャラクターなどのセリフの吹き替えや声あてを行う。仕事の性質から俗に中の人とも呼ばれることがあり、声優が名前ではなく「○○(演じる役名)の中の人」と呼ばれることもある。古くは「アテ師」と呼ばれた。
なお、声優名の前にCVと付いている事が有るが、これは「キャラクターボイス(Character Voice)」の略で、そのキャラクターの声を担当する声優で有る事を表す。この言葉は1980年代後半にアニメ雑誌『アニメック』で初めて提唱された造語である。その後、『アニメック』のスタッフが角川書店に移籍して創刊した『月刊ニュータイプ』によってアニメファンの間に普及した。
英語で声優は「voice actor/actress」というが、日本製アニメ("anime")のファンの間では、日本の声優を指して「seiyū」と呼ぶことも多い。
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[編集] 業務内容
[編集] 声の吹き込み・吹き替え
声優という職業の根幹となる業務。自分の担当するセリフを喋り、それを録音する[1]。
声優は、身振り手振りの演技がなく声だけなので簡単ではないかと思われがちだが、身振り手振りや表情がない分声だけで補って演じなければならないので、声だけでの演技というものはとても難しいと言われている。
[編集] アニメ
アニメの場合は、画面を見ながらタイミングをはかり自分の担当するキャラクターのセリフをしゃべるアフレコと、事前にセリフを吹き込んでおくプレスコの2種類の方法があるが、日本ではアフレコが主流となっており、絵に描かれたキャラクターの演技に声を合わせることが一般的である。もっとも、実際の現場では制作スケジュールの逼迫により、作りかけの線画による静止画または完全に絵のない状態で声をあてなければならないことも多い。声をあてることから、アテレコとも言う。
出演料はランク制の適用を受ける。特に新作アニメにおいては予算が限られるためランクの高くない若手声優が主に起用されるが、オリジナルビデオアニメ(OVA)などマニア向け作品ではベテランの有名声優の声あてをセールスポイントにする作品もある。アニメは、実写に比べると映像が発する情報量が極端に少ない。そのために声優は、キャラクターの心情が視聴者にわかりやすく的確に伝わるように誇張した声の演技をすることが多い。これは、外国作品(実写)吹き替え時の声の演技とは異なるものである。
このことは、遠くから観劇されることを念頭に置いた舞台での役者の演技・演出手法と、テレビドラマでの役者の演技・演出手法が異なるものであるのと似ている。
[編集] 日本語吹き替え
海外のドラマ・映画・ニュース・ドキュメンタリーでは日本語版吹き替えの場合は、画面を見ると同時に耳で聞いた原語のセリフのタイミングとも合わせる。
基本的に原語の声は消されるが、原語も小さく残して日本語の音声をかぶせるボイスオーバーという方法もある。ボイスオーバーは、主にニュースや初期の海外ドラマなどで使われている手法である。アニメと同じくアフレコやアテレコと呼ばれる。ランク制の対象となる。オーディションはほとんど行われず、製作側からの指名でキャスティングされる。
[編集] ゲーム
ゲームの場合は、進行に応じて個々の音声データを選択して再生するという性質上アニメや吹き替えとは大きく異なり、かけ合いではなく一人ずつ個別に収録するのが普通で、自分のセリフだけが延々と羅列された台本を見ながら録音のタイミングに合わせてしゃべる。そのため、「共演者」であっても顔を合わせたことがないというケースも多い。
ゲームにもランク制があるが、クライアントからの指名によるキャスティングの場合は出演料の交渉が可能となっている。
CD-ROMの普及し始めた1980年代末から急激に増えた仕事である[2]。初期は据え置き型ゲームが中心だったが、近年では携帯型ゲームやアーケードゲームでの仕事も増えている。
[編集] 人形劇・着ぐるみショー
人形劇はキャラクターの演技とタイミングを合わせながらセリフを言う。着ぐるみショーでは生で声を合わせることもあるが、基本的には事前に声を収録してそれに合わせて着ぐるみの中の演者(スーツアクター)が演技を行なう。
特殊な例として、NHK教育番組にて長島雄一と神崎ちろはキャラクターの声だけでなく、本人が着ぐるみの操演も担当している。また『ウルトラマン』でザラブ星人を演じた青野武のように役に入りきるために自ら着ぐるみを着て演じた例もある。さらに一部の特撮番組では怪人や敵幹部の声を担当する声優が人間体を顔出しで自ら演じることもある。
[編集] ラジオドラマ・CDドラマ
吹き替えの原語版での俳優や、アニメで描かれたキャラクターの演技に合わせる必要がなく自由度が高い。そのため、声優自身の役柄への解釈や演技力が問われることになる。すなわち、如何にファンやリスナーのキャラに対するイメージに近づく事ができるかが問われるという事になる。
アニメや漫画をドラマ化したものはアニメ声優が配役されるが、そうでない文芸作品や創作ラジオドラマでは一般の俳優や若手俳優が出演する番組も少なくない。オーディションはほとんど行われず、製作側からの指名でキャスティングされる。なお、ドラマCD化された後にアニメ化される場合は声優が総入れ替えとなる場合も散見される。
声優が出演することのあるラジオドラマで全国ネットされているものに、NHK-FMの『青春アドベンチャー』『FMシアター』などがある。また、ラジオで放送されたものをインターネット配信しているものに『FMサウンドシネマ』『シアター130』『青山二丁目劇場』などがある。
[編集] ナレーション
CM・ラジオ番組・テレビ番組・PRビデオなどの原稿を読み、それを録音する。番組の解説として機能する。声優の得意分野の一つではあるが、俳優・タレント・アナウンサーが行うことも多い。
アニメ・ゲームのナレーションを除くとランクの対象外で、出演料は高めとなっておりアニメのアフレコの4~10倍以上もらえる。高い技量が必要なためキャリアを積んだベテラン声優が多く起用される。ボイスサンプルと呼ばれるデモンストレーション用の音声素材が起用に大きな役割を果たす。キャラクター・ナレーション、ストレート・ナレーションとある。
ちなみに、ナレーションをできる声優は数少ない。そして、ストレートになるとさらに数が限られる。
[編集] 舞台活動
新劇系や小劇場出身者が声優へ活動範囲を広げることがあり、声優と俳優の境界線上の活動ではある。しかし、声優養成所を経由して声優になったものの商業ベースに乗らずマスメディアからも注目されない小劇場での舞台活動を行なうことも少なくない。こうした活動はマネージメントが発生しない限り、声優プロダクションは関与しない。
[編集] 歌手活動
自らの名前で歌手のような活動をする声優(後述の「アイドル声優」参照)もいるが、厳密な意味では本来の声優の業務ではないとされている。
しかし、アニメにおいては主役又は主役級の配役をもらうと、そのアニメの主題歌を歌うことがある。また、ファンを対象にしたグッズの1つとして、アニメのキャラクターが歌っているという設定で、アニメのキャラクター名義のCD(キャラクターソング)を出すことも珍しくなくなっている。同じ歌手活動を行っている声優でも、自らの名義での曲と、演じるキャラで歌う曲とで曲調や歌い方が大きく異なる例も少なくなく、後者ではキャラの声で歌い切る技量も要求される。従って、特にアニメへの出演を中心に活躍する声優にとっては、基本的な業務の1つに数えてもいいだろう。変わったところでは、演じるキャラクターの設定が歌手であるという理由で歌を歌うこともある。
また、他のジャンルの歌手と比べるとレコード会社との専属契約の制約項目が緩い例が殆どで、所属する会社以外からもキャラクターソング名義でCDを出す例も少なくない。
[編集] ラジオパーソナリティ
ラジオ番組(アニラジ)を持ち、そのトークと進行を行う。古くは一部を除いて地方局での放送が主体であったが、1990年代に入ると文化放送など首都圏のラジオ局でも急増している。特定のアニメやゲームなどとのタイアップで1年程度で終了するものも多いが、人気があれば数年続くことも珍しくなく中には10年を超える長寿番組もいくつか存在する。
小森まなみ『mamiのRADIかるコミュニケーション』・林原めぐみ『ハートフルステーション』などが有名。役柄でない声優本人の姿に接することができるため、ファンにとっては欠かせない存在となっている。近年では、コストが安くリスナー数も接続数で直接分かるインターネットラジオへの進出も著しい。
[編集] その他
企業内の教育ビデオへの出演及びそのナレーション、イベント司会、番号案内の録音されたメッセージ、デパートでの録音案内、出演作品関連あるいは自らの名義での各種イベント出演、アニメ情報番組での顔出しの司会やインタビュアー、プロレスや格闘技のリングアナウンサーなどを務める事もある。また、駅、路線バスなど公共交通機関のアナウンス(自動放送)ではアナウンサーの声や合成音声がよく使われてきたが、最近では声優が吹き込んだものが使われることも多くなってきた。なおこれらの場合、声優の名前が公表されるか非公表となるかは企業の方針次第で異なってくる。
DTM製作用の音声合成エンジンのパソコンソフト『VOCALOID2』のキャラクター・ボーカル・シリーズでは、音楽関係者の起用がままならなかった事などから音声素材のサンプリングの人選に難航し、声優が起用されたものが結果的にヒット製品となった事から、これも現在では声優の仕事の領分として事実上認知されている面がある。
変わった所では、首都圏を中心とした公営競技場での選手紹介イベントやファンサービスイベントなどで、司会進行役として声優が起用される事が時折見られている。また、大井競馬場の『東京シティ競馬中継』では男性MC陣の一部として声優2名が長丁場の司会を務めている(レース実況は別に専門のアナウンサーが担当)。この公営競技関連の仕事は、場所が場所ゆえ、司会として名前が紹介される事があったとしても、声優として来場者やテレビ中継の視聴者から意識される事がほとんど無いという、声優にとってある意味では特異な仕事といえる。
[編集] プロダクションの役割と得意分野
プロダクション(事務所)は声優から事務手数料を徴収し、音響制作会社や放送局に対して、吹替、アニメ、CMなど得意分野ごとに配置されたマネージャーが営業活動や売り込みを行なう。音響製作会社からのオーディションの募集に応じて、適役と判断した自社の声優に連絡などもするのもマネージャーの役割である。プロデューサーや音響監督との繋がりで、マネージャーが作品の演技事務を任せられ、主要な役以外のキャスティングを担当し、声優のスケジュール調整などの事務作業を行なう場合もある。声優の仕事は所属するプロダクションの得意分野に左右されることが多く、例えば有名な声優で、アニメを得意分野とするプロダクションに所属していればアニメの仕事はよくくるが、洋画や海外ドラマの吹き替え、ナレーション・CMなどの得意分野以外の仕事はあまりこないというケースがよくある。
プロダクションの得意分野を挙げると、
- アニメはアーツビジョン、アイムエンタープライズ。
- 吹き替え・ボイスオーバーはぷろだくしょんバオバブ、マウスプロモーション、劇団(文学座、青年座、演劇集団「円」、劇団昴、テアトル・エコーなど)。
- ナレーション・CMは青二プロダクション、大沢事務所、シグマ・セブン。
- NHK製作番組(主にドキュメンタリー特集での外国人インタビューでの吹き替え)は81プロデュース。
- 駅アナウンスでは俳協。
- 特撮テレビドラマでの着ぐるみのキャラクターなどの吹き替えは青二プロダクション、81プロデュース、俳協、テアトル・エコー。
とされている。子役声優の場合、有名児童劇団からの起用が多く、特に劇団ひまわりから起用されることが比較的多い。
また、前述の81プロデュースとNHKのほかにも特定の製作会社とのコネクションを持ったプロダクションも少なくない。例を挙げると、青二プロダクションと東映アニメーション、ネルケプランニング(Y・M・O)と日本アドシステムズ(NAS)など。
[編集] 俳優と声優
声優とはもともとラジオドラマに出演する放送劇団に所属する者を指した言葉である。それがテレビ時代になって、新劇系の俳優がユニット出演という形で吹替の仕事をアルバイトでするようになったため、自らを役者だと自負している年配の新劇系出身者の中には声優という言葉で呼ばれることに不本意だとして嫌がる者もいる。例えば、ベテランの大塚周夫は、声優と俳優と区別して声優と呼ばれることに強い難色を示しており[3][4]、同様のことは納谷悟朗や井上真樹夫[5]、野沢那智、神谷明[6]らが述べている。
その一方で、ラジオの仕事からキャリアをスタートした放送劇団出身の中には高橋和枝のように声優と呼ばれることに抵抗がない者もおり[7]、若山弦蔵のように舞台に立ったことがなく、声の演技を専門にして来た者もいる。若山は、吹替時代になってから参入した新劇の俳優の多くが片手間で声の仕事をやっており、それが腹立たしかったと、声の仕事を本職としていた放送劇団出身者との意識の違いを語っている[8]。
日本で声優の専業化が進んだ理由は、第一にラジオドラマ全盛期にNHKと民放が自前の放送劇団(NHK東京放送劇団など)を組織して専門職を育成したこと、第二にテレビの普及期はソフト不足のため海外製映画、海外ドラマが大量に放送されて声優による吹替の需要が増大したこと、第三にアニメブームにより最初から声優専門の演技者を志望する者が増えたためだと考えられる。
海外では、日本のように専業の声優が確立している国は少なく、俳優が声を担当することがほとんどである。ちなみに専業の声優が確立している数少ない国の一つ韓国では、放送局が放送劇団を持っている。
日本における実態として、声優業を定期的に行ない、声優として認知されているのは、声優専門プロダクションと放送芸能部門を持つ新劇系の劇団に所属する者達である。「声優」という場合、彼らを指すのが一般的である。事務所の機能として音響制作会社と繋がりがあり、継続した営業活動を行なっている声優プロダクションに対して、一般の芸能事務所がマネジメントするタレントは、過去に声優としてのキャリアがある者を除き、継続的に声優の仕事をすることは無く、声優の仕事をするとしても単発的な声の出演となる場合がほとんどである。
[編集] 声優の歴史
[編集] ラジオドラマ時代
1925年、NHKの前身である社団法人東京放送局がラジオ放送を開始。同年に公募されたラジオドラマ研究生12名が、声だけで演技を行なう専門の俳優として、日本の声優第1号とみなされている。この当時は新聞では「ラジオ役者」と呼称していた。時代が下り、1941年、NHKはラジオドラマ専門に俳優を養成する「東京中央放送局専属劇団俳優養成所」の研究生を公募。翌、1942年に東京放送劇団の1期生がデビューを果たし、これが声優第2号とみなされ[9][10]、かつ「声優」という言葉が使われたのはこの頃からである[11]。「声優」の呼称は、読売新聞の芸能記者だった小林徳三郎によるものという説と、NHKの演芸番組担当プロデューサー大岡龍男が命名したという説がある[12]。声優は当初、ラジオドラマを専門に行なう東京放送劇団員やその他の放送局の劇団員を指し、テレビ時代になって吹替とアニメを行なう役者を指す用語として定着していった。
1951年に民間ラジオ局のラジオ東京(現:東京放送)が開局、専属の放送劇団(ラジオ東京放送劇団、後のTBS放送劇団)を設立して1957年に放送した連続ラジオドラマ『赤胴鈴之助』は当時の子供たちから絶大な支持を得た。テレビ放送がなく、ラジオがマスメディアで主要な地位を占めていたラジオドラマ時代の声優は決して日陰の存在ではなく、二枚目の主役を多く演じた名古屋章には月に何十通ものファンレターが届いたという[13]。ラジオドラマは全盛期を迎え、声優の紹介記事が新聞のラジオ欄に掲載されるようになると、声優へのファンレターと同時に声優に憧れ、声優志願者も急増した。1953年のNHK東京放送劇団の第5期生募集には合格者が10名程度のところへ6000名の応募が殺到したという。この時代を声優の勝田久は第1期声優黄金時代としている[14]。
アニメでは、1933年には日本初のトーキーの短編アニメーション映画『力と女の世の中』が公開。アニメキャラクターに声をあてたのは、喜劇役者の古川緑波をはじめとする映画俳優達だった。1942年には中国の長編アニメーション映画『西遊記・鉄扇姫の巻(鉄扇公主)』が日本で公開され、活動弁士出身の徳川夢声、山野一郎らが声をあてた。第二次世界大戦後に発足した東映動画により日本でもコンスタントにアニメ映画が製作されるようになると、映画俳優やコメディアン、放送劇団員が使われた。洋画の吹き替えが行なわれるようになるのはテレビ時代になってからである。
[編集] 第一次声優ブーム
民放テレビの草創期には、1961年の五社協定でテレビ局への日本映画の供給停止が決まったことなどによるソフト不足から、海外ドラマや洋画等のいわゆる外画の日本語吹替版が数多く放送された[15][16][17] 。これを背景として声優人気が高まっていった。当初、NHKは基本的に字幕スーパーで海外作品を放送していたため、日本語吹替版は民放が中心となっていた。以後、海外作品は1960年代前半をピークとして放送された。 ブームの中心人物はアラン・ドロンを持ち役とした野沢那智[18]。映画俳優は五社協定とギャラの問題で吹き替えをしなかったため、テレビでの吹き替えは草創期のテレビ俳優と同じく、ラジオ時代からの放送劇団出身者や新劇の舞台役者に多くを依存した。海外アニメにおいては、落語家や浅草出身のコメディアンなどもキャラクターの声をあてたという例がある。この時代にはまだ声優という言葉は一般には認知されておらず[19]、別称として、吹き替えを主にしたことから「吹き替えタレント」、声をあてることから「アテ師」[20][21]というものがあった。吹き替え全盛期に東京俳優生活協同組合(俳協)が誕生。後に俳協から分かれて多くの声優プロダクションが結成された。 テレビの吹替作品第1号はTBSの前身であるKRTテレビが1955年10月9日より放送開始したアメリカのアニメ『スーパーマン』であると言われる。実写では1956年にTBSの前身であるKRTテレビで放送された『カウボーイGメン』と記録されている。これらKRTテレビでの放送はいずれも生放送による吹替で、あらかじめ録音したアフレコによる作品第1号は、アニメでは1956年4月8日に日本テレビが、番町スタジオの安井治兵衛に依頼して放送した海外アニメ『テレビ坊やの冒険』である。
[編集] 第二次声優ブーム
1970年代末からのアニメブームと並行して起こったブーム。アニメの美男子キャラクターを持ち役とする声優が人気を集め、神谷明、古谷徹、古川登志夫らはスラップスティックというバンドを結成してライブ活動を行なった他[22]、多くの声優がレコードを出すなどした。当時万単位のレコードを売り上げる声優として、潘恵子、戸田恵子、神谷明、水島裕、スラップスティックの名が挙げられている[23]。1979年に放送開始した『アニメトピア』などアニメ声優がパーソナリティを務めるラジオ番組なども誕生。ラジオドラマでは声優人気を背景にした『夜のドラマハウス』があり、アマチュア声優コンテストも開催されていた[24]。この時代はアニメ雑誌が創刊され始めた時代であり、『アニメージュ』の創刊編集長である尾形英夫は、声優のアイドル化を編集方針の一つとして打ち出した[25]。『アニメージュ』以外の他のアニメ誌も同様に誌面に声優コーナーを設けて、定期的に声優の情報を発信して、アニメファンからは声優が憧れの職業の一つと見られる一因ともなった。人材の供給・育成面では、声優専門プロダクションが分裂することによって次第に数が増え始め、各プロダクションにより声優養成所が設けられた。これらにより、放送劇団出身者や舞台役者の俳優活動の一環や余技としての声優業ではなく、最初からアニメ声優を目指した声優が登場し始めた。このブームは、およそ1980年代前半までとされる。
この頃になって声優という言葉が広く一般に知られるようになる。それまで「声優」という言葉は定着しておらず、「声優をやっている」というと、同じ発音であるスーパーマーケットの西友に勤めていると思われたというエピソードを幾人もの声優が語っている。
[編集] 端境期
1980年代末のテレビアニメ『鎧伝サムライトルーパー』で声を担当した佐々木望、草尾毅ら5人の男性声優で1989年に結成した「NG5」が人気を集めた。毎日放送制作のドキュメンタリー番組の特集にもなるほどの異常人気だったが、人気は「NG5」に限定されて、声優界全体のブームと言えるほどの人気とまではいかなかった。この頃から、声優プロダクションの付属養成所以外に、アニメ系の専門学校に声優養成コースが設けられるようになったという。
[編集] 第三次声優ブーム
それまでのブームがテレビという大衆メディアを背景としていたのに対して、ラジオ番組(アニラジ)・OVA・テレビゲーム・イベント・インターネットと、よりパーソナルなメディアを背景として情報が発信されるようになった。この第三次声優ブームにあやかって、1994年には初の声優専門誌「声優グランプリ」「ボイスアニメージュ」が創刊され、そして声優専門のテレビ番組「Voice Actor 30」(関西テレビ)や「声・遊倶楽部」(テレビ東京系)などが誕生した。
このブームで人気となる声優の多くがラジオでの活動を通じてファンを獲得して、CDを売り上げ、大ホールでのコンサートを繰り広げた。1980年代の第二次ブームにも声優がラジオ番組でDJを務めることがあったが、このブームでは声優が専属契約するレコード会社がラジオ番組のスポンサーとなり、商業化が顕著となった。林原めぐみ、椎名へきる、國府田マリ子らが成功の先駆けとしてモデルケースとなった。同様の手法で声優事務所やレコード会社が若手声優の売り出しを図るようになった。これまでのブームと比較してさらに声優の露出が増加し、アイドル化、タレント化が進行したのが特徴。1993年頃より始まったと見られる。
ラジオ番組以外でも、CD-ROMの本格的な普及をきっかけとしたゲームソフトのデータ大容量化を背景に、テレビゲームに音声が付くようになり、声優の存在が大きくクローズアップされた。その結果、声優出演のテレビゲームのイベントが数多く催され、声優がパーソナリティを務めるテレビゲームのラジオ番組が数多く放送された。また、パソコンゲームでも、同じく大容量化により音声が付加されたものが現れ始め、こちらではアダルトゲーム専門として活躍する声優の他、アダルトゲームに比重を置くプロダクションも登場した。他方、アダルトアニメやアダルトゲームについては所属声優の出演を一貫して許可しないプロダクションも存在する。
この頃から、声優をアニメで知る以外にもラジオやゲームで知ってファンになるというケースが増え、声優ファン=アニメファンとは一概に括りきれない状況が出てきた。
1990年代中期から始まった声優ブームやアニメブーム、またアニメ制作プロダクションの増加により、首都圏で放送されるアニメの数が増加した(後に近畿圏などでの放送増加、BSデジタル放送やCS放送の普及などで地域格差は以前ほどではなくなった)。そして、誰もがインターネットに接続できるようになり、声優の情報も簡単に入手出来るようになり露出度も格段に増えた、また、声優がパーソナリティを務めるインターネットラジオ番組が増加した。 以上の点から、声優(特にアイドル声優と呼ばれる;後述)が急激に増加し、新人アイドルさながらにファン層の裾野も広がった。
2000年代に入ると、この1990年代中期に起こった第三次声優ブームほどのブームは影を潜めたものの、その頃の熱狂的ブームに影響を受けた声優が数多くデビューし、アニメや外画への出演など本格デビュー前の新人声優がインターネットラジオ番組やイベントで活躍する機会も増えた。 また、インターネットの普及によって、事務所所属をしておらず、自前でインターネットラジオやラジオドラマさらにはアニメを自主制作し、それらに出演するネット声優も出現した。いわゆるネットアイドルの声優版と考えて良い。
また、情報化社会の発展によって1990年代中頃と2000年代での声優をとりまく様相が異なり、前期に活躍した声優がそれまでの活動から一線を引き安定した活動に移っていたり、新たな声優がブームの中心として活躍しているため、2000年代に入って以降を第四次声優ブームと呼ぶ場合もある。この場合、第三次と第四次の間隔はほとんど(あるいは全く)無いと考えられる。
[編集] 声優の経歴
現在第一線で活躍している声優の経歴を見ると、以下のケースが存在する。
[編集] 放送劇団出身
NHKと民放が組織した劇団である。局のアナウンサーとは別個に、芸能を担当するために放送局で養成され、主にラジオドラマを担当した放送タレントである。彼らを指す言葉として「声優」が生まれた。芸能事務所などの台頭で現在では全て解散している。
NHKの東京放送劇団からは、巖金四郎、加藤道子、中村紀子子、黒沢良、山内雅人、勝田久、名古屋章、高橋和枝、里見京子、川久保潔、NHK札幌放送劇団出身の若山弦蔵、NHK九州放送劇団出身の内海賢二など多数。民放では後のTBSにあたるラジオ東京放送劇団からは大平透、中村正、滝口順平、田中信夫、朝戸鉄也、向井真理子など。地方局では、CBC中部日本放送劇団出身の中江真司、RKB毎日放送劇団出身の八奈見乗児などである。地方局で活動していたのはラジオドラマ時代までで、テレビ時代になると海外作品の吹替などの声優の仕事は東京に集中していった。
[編集] 子役出身
古谷徹、堀川りょう、鶴ひろみ、冨永みーな、飯塚雅弓、本名陽子、渡辺明乃、喜多村英梨のように小中学生の頃から児童劇団等に所属し、演技力を養い高校卒業と共に、あるいはそれと前後していきなり第一線で活躍するパターン。 最近は、浪川大輔、清水香里、入野自由、齋藤彩夏、平野綾など小中学生の内から声優として活動するケースが増え始めている。
[編集] 舞台役者出身
高校、専門学校、大学在籍・卒業後に劇団に入団し、舞台役者として活動中にアニメ関係者から見出され、声優として活動するパターン。
大別して、大手の新劇系の映画放送部に所属するケースと、小劇場で活躍中に音響スタッフや声優プロダクションのマネージャーにスカウトされるケースの2つがある。大手の新劇系の劇団としては、「文学座」「青年座」「俳優座」「劇団昴」「テアトル・エコー」「演劇集団 円」などである。その他には、野沢那智が主宰した「薔薇座」、肝付兼太が主宰する「劇団21世紀FOX」など声優が主宰する劇団に所属する俳優が声優業も始めるケースもある。
代表的な例としては富野由悠季に見出され、現在でも演劇集団 円で活躍する朴璐美、三宅裕司率いるスーパー・エキセントリック・シアター出身の折笠富美子、地元の短大在学中に所属していた劇団でたてかべ和也にスカウトされた矢島晶子、小林沙苗、その他小山力也、白鳥哲、青羽剛、村田秋乃、高橋理恵子などがいる。
この他、宝塚歌劇団からも退団後に声優へ転身する者があり、古くは太田淑子、最近でも葛城七穂、水城レナがいる。
また特殊な例として、声優の卵としてドリカンクラブに入ったものの、その時点ではまるで芽が出ず、その後しばらくの間は舞台役者活動を行い、またその後声優養成所に通い、ようやく声優デビューを果たして早々『まぶらほ』などで一気にブレイクした生天目仁美の例もある。
なお、舞台役者出身者と子役・アイドル出身者の中間的な例として、ジュニアミュージカルの出身者がある。高校生を中心に編成された舞台劇団「南青山少女歌劇団」出身である千葉紗子、南里侑香。また、中学生の時に舞台出演中にスカウトされた名塚佳織。他にも、樋口智恵子などがこの例として挙げられる。児童劇団等には所属せずに、一般オーディションで舞台出演していた例も少なくない。
[編集] 養成所出身
高校大学在学中や卒業後に、専門学校(声優科)、無認可校(声優科)、声優事務所直営の養成所などで1年~数年間勉強したのち、オーディションを受け声優事務所に所属する。中には、大学卒業後に就職を経て養成所に通い声優として活躍している者もいる。また、専門学校(声優科)あるいは無認可校(声優科)などを卒業の際に、声優事務所に所属するためのオーディションを受けた結果、その事務所直営の養成所に編入されるということもよくある。この場合、将来その事務所に所属できることを保証されてはいない。養成所を卒業後、新たに別の養成所に入り直すという例も多い。
養成所に通うことが最も手っ取り早い方法ではあるが、それだけに志半ばにして挫折する者も多い。毎年、養成所を卒業する者は二千人を優に越えるが、声優事務所に所属できる者はその1割にも遠く及ばないという狭き門なのである。
1980年代後半以降にデビューした声優の大部分が養成所出身である。したがって、成功した人をあげると枚挙に遑がないが、古くは林原めぐみ、山寺宏一、井上喜久子、三石琴乃、森川智之らがおり、最近では清水愛、能登麻美子、田中理恵、田村ゆかり、中原麻衣、鈴村健一などがいる。
作品や雑誌の企画による一般オーディションでチャンスを掴んだ者もいるが、その後は養成所で専門教育を受けて、一人前の声優になるのが通例である。浅野真澄、堀江由衣、沢城みゆき、野川さくら、小清水亜美、井上麻里奈などがコンテストを経ている。
[編集] 芸能界内異ジャンルからの転向
アイドルから転向した山本百合子、戸田恵子、佐久間レイ、日高のり子、櫻井智、岩男潤子、宍戸留美(いずれもアイドル時代は苦労人であった。日高に関しては子役経験も一応ある)、アニメソング歌手業の傍らで声優業も行うというキャリアを持つ堀江美都子(ささきいさおもこれに近い経歴を持つ)、ヌードもこなすグラビアアイドルから転向した大野まりな、柚木涼香、千葉千恵巳、レポーターだったかかずゆみ、コメディアンとして活動中に声優に抜擢された郷田ほづみ、人気バラエティアイドルであったが一旦引退した後に声優として復帰した斉藤祐子、声優活動を行う前に出演していたNHK教育テレビ『たんけんぼくのまち』のチョーさん役で知られるチョー(旧芸名は長島雄一)などが挙げられる。似たような例では、俳優と並行し声優業もこなしていたが両立が難しく声優に専念した中田譲治がおり、更には女子大生時代に篠山紀信撮影のヌードを男性誌で披露していた松井菜桜子がいる。
更に近年では芸人から声優に転向、或いは兼業する例が見られる。この場合後述するような、話題性を狙ったタイアップ的なものではないことが多い(実際、タイアップ的な出演と異なり、表立った宣伝は行われない)。清水宏やあさりどの川本成、あばれヌンチャクの斎藤恭央・竹内幸輔、アメリカザリガニの柳原哲也・平井善之がその一例である。但し斎藤恭央は、現在「桜塚やっくん」として人気を博し、再び芸人業へと舞い戻っている。なおこのタイプの場合、大抵の出演作にはネルケプランニングが関わっている。
また、1988年頃から1993年頃にかけての俗に言う「アイドル冬の時代(または「アイドル氷河期」)」以降からは、アイドルやもしくはそれに近いスタンスのタレントとして活動したものの、時勢的に活躍の場がなかなか得られなかった女性タレントが、20歳前などの比較的早い段階から芸域の拡大の一環、あるいは芸の世界で生き残るための声優転向の可能性などを模索して、アニメ・ゲームなどの声優のオーディションに挑戦してくるというケースが増えてきた。この例としては先述した櫻井智、岩男潤子、宍戸留美などが挙げられるものの、声優として成功し、これを本業や事実上の主業とするまでに至ったという者はあまり多くない。
[編集] 各種芸能人における仕事の一部として参加
最近は俳優・女優・アーティスト業の傍ら声優として活動するケースも少なくない。声優としての勉強などの経験が無い者も珍しくないため、演技力は玉石混交である。
特に著名人・若手アイドルが起用される場合には、作品の質よりも話題性を狙ってのケースが多い。この場合、ほとんどがその作品限りの単発の声あてであり、声優としての継続的な仕事は行わない場合が多い。一方、作品が長く続いた場合は役に馴染んでいくので、他の声優以上に初期と終盤の声の演技に大きな差が出る場合が多い(これは新人声優のそれと同様と言える)。
[編集] アーティスト関係
アニソン歌手以外のアーティストでも声優活動を行う例も増えている(その作品の主題歌を担当する事が多い)。主な例として山本正之(タイムボカンシリーズの音楽を担当)やChangin' My Lifeのmyco、元アイドルでもある宍戸留美などが、他にもいくつかの代表作すら持つ松崎しげるや、アニメファンとして知られる西川貴教などのような時々声優活動を行う例もある。
[編集] 俳優関係
舞台・テレビ放送などとは演技・収録環境が異なることもあり、名優とされる人物でも声優として声を演じると演技に違和感の出る場合がある(ディズニー・ピクサーといった海外アニメが多い。国内においてはスタジオジブリ作品に多い子役・俳優等)。また、声優独自の演じ方・発声の方法というものもあるようで、俳優としての演技力自体は申し分なくとも、本職声優に囲まれると声の演技が浮いて感じられることもある。
しかし、中には本職声優さながらの名演をする者もおり、『あしたのジョー』において矢吹丈の声を演じたあおい輝彦と丹下段平の声を演じた藤岡重慶は「彼ら以外には考えられない」と絶賛を受け、テレビ・劇場版の両アニメ及びCM・ゲームに至るまで、実写版映画と舞台を除くほぼ全てのバージョンにおいて不動のキャスティングとなった。また、映画『ストリートファイターII MOVIE』でケン・マスターズの声を演じたタレント羽賀研二(後に、テレビアニメ『ストリートファイターII V』やディズニー作品の『アラジン』にも声をあてた)や、フェイロンの声を演じたプロレスラーの船木誠勝は、「声優業でも通用する」と視聴者を唸らせた事は有名である(もっとも、この両者は声あてが決まった時、相当量の演技練習を積んだとも言われる)。船木は後にOVA作品に主演として声をあてている。最近では『天元突破グレンラガン』にて螺旋王ロージェノムの声を演じた池田成志とアンチ=スパイラルの声を演じた上川隆也、更には『闘牌伝説アカギ 〜闇に舞い降りた天才〜』のアカギと『逆境無頼カイジ』のカイジの声を演じた萩原聖人が高い評価を受けている。
女性では『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』において緋村剣心の声を演じた涼風真世と、『R.O.D -READ OR DIE-』及び『R.O.D -THE TV-』において読子・リードマンの声を演じた三浦理恵子が筆頭格と言える。両者とも前段階では起用に疑問を唱える原作ファンが少なからず存在したものの、最終的には大きな支持を獲得するに至った。
その他に高評価を得た例としては、『009-1』ミレーヌ・ホフマン・・釈由美子、『ブレイブ ストーリー』三谷亘・・松たか子、『キノの旅』キノ・・前田愛 (女優)、『BLOOD THE LAST VAMPIRE』音無小夜・・工藤夕貴、『鉄コン筋クリート』シロ・・蒼井優、『ストレンヂア 無皇刃譚』名無し(主人公)・・長瀬智也等がいる。
[編集] 現役のアイドル・タレント関係
現役アイドルとして人気を集めているタレント、あるいはファッションモデル出身の売り出し中の若手女性タレントなどが主に子供向けのアニメへ声優としてレギュラーで声をあてる事がある。
主な例として、『姫ちゃんのリボン』に声をあてた草彅剛、『赤ずきんチャチャ』に声をあてた香取慎吾、『鋼の錬金術師』にゲストとして声をあてた白石美帆が有名である。ファッションモデル出身者では、『Paradise Kiss』に山田優が、『ハチミツとクローバー』に工藤晴香が声をあてていた。
最近でも『アイシールド21』に中川翔子、『獣王星』に堂本光一と小栗旬、『きらりん☆レボリューション』にモーニング娘。の久住小春、『GetBackers-奪還屋-』に乙葉、『デジモンセイバーズ』に新垣結衣、『結界師』に和希沙也が声をあてているなど、人気アイドルの声優活動は子供向けアニメを中心に少なからず見られるものとなっている。
基本的にアイドル・タレントとして盛業である者の声あてについては、大半のケースで出版社や芸能事務所、番組スポンサーなどの関係による何らかのタイアップの要素が絡んでおり、その作品への声あて終了後も声優として活動を継続する者は珍しい。また、声あて終了後にはアニメへレギュラーで声をあてた経歴を「なかったこと」にしようとする例や、ゲストとしての声の出演などでは、ソフト化の際に別人が声をあてた新録版が収録される例などもある。
[編集] グラビアアイドル・タレント関係
この分野は山本梓や秋山莉奈、山崎真実等の例に見られるように、アニメよりも特撮番組への出演が目立つが、その中にあって特筆に価するのが福井裕佳梨の存在である。1998年に『彼氏彼女の事情』で声優デビューして以来、グラビアアイドルとしての仕事と並行して着実に実績を重ね、主役級キャラクターとして起用される事例も増えており、むしろ声優としての認知度の方が高い、と言っても過言ではない。
他には小向美奈子が『ホイッスル!』において主人公の声を演じた事例が目立つ程度であるが、1980年代に一世を風靡したOVAシリーズ『くりいむレモン』及びその派生作品『レモンエンジェル』が2006年に復活するにあたり、しほの涼が『くりいむレモン New Generation』、『LEMON ANGEL PROJECT』、『レモンエンジェル 実写版』の関連3作品で主人公を演じた(かつ、当時現役の中学生であった)事で話題となった。
[編集] ローカルタレント
札幌市に拠点を置くCREATIVE OFFICE CUEに所属するタレントの数名は、スタジオジブリの一部作品に何らかの形で声をあてているTEAM-NACS等の演劇関係者が多く所属していることもあり、声の演技力は高いと評されている。特に大泉洋はジブリ作品以外にも何本か声をあてている。
[編集] 特撮番組出演経験者
東映の変身ヒーロー作品は原則アフレコであったため(特に『スーパー戦隊シリーズ』は1997年まで、変身後のキャラだけでなく素顔の場面もオールアフレコだった)、声優としての演技経験を事実上しているとも言える。そのため俳優などでも活躍した後に声優に転向した者や、タレントや俳優業の傍ら声優業に進出している者も多くいる。
古くは『電子戦隊デンジマン』の内田直哉や『星雲仮面マシンマン』の佐久田修、『宇宙刑事シャリバン』・『時空戦士スピルバン』の渡洋史(声優篠原恵美は彼の夫人)、先に挙げた中田譲治らがおり、また近年では『忍者戦隊カクレンジャー』の小川輝晃・土田大や『激走戦隊カーレンジャー』の岸祐二、『電磁戦隊メガレンジャー』の松風雅也や『特捜戦隊デカレンジャー』の菊地美香が有名。
[編集] お笑い・落語・講談師関係
主な例として、九代目林家正蔵(旧:林家こぶ平)、栗田貫一、ラサール石井(テアトル・エコー在籍時代に声優の勉強を行っていた経験がある)、ぜんじろう、西川のりお、田村淳(ロンドンブーツ1号2号)が挙げられる。
なお、講談師の一龍斎貞友(旧名:鈴木みえ)や一龍斎春水(麻上洋子)はもともと声優として長いキャリアを積んだ後に講談師に転身し、その傍らで引き続き声優活動も行っているため、前記の各人とは意味合いが異なる。声優・舞台女優から活弁士になった山崎バニラの場合もこの事例にあてはまる。
[編集] ラジオパーソナリティ関係
主な例として、『こどものおもちゃ』等に声をあてていた小田静枝が有名である。また、元はラジオパーソナリティとしてデビューし、その後声優としても本格的に活動するようになった小森まなみのようなケースもある。
[編集] スポーツ関係
主な例として、『頭文字D』のレースシーン監修等も行った縁で声をあてた土屋圭市、『こてんこてんこ』の妖精アイちゃん役の福原愛など。『Di Gi Charat 星の旅』で王様(=でじこのパパ)役を務めた藤田和之は、IWGPヘビー級王者(当時)の声の出演として話題となった。
[編集] アナウンサー
アニメ制作に関係している各放送局(在京キー局・在阪局など)の局アナウンサーがTVアニメや劇場版アニメにゲストで声をあてることがある。
大抵はニュースキャスターやリポーターなど本職に近い役(または本人役)になるが、オリジナルキャラで登場することもある。主な例として『ドラえもん』出木杉英才役のテレビ朝日萩野志保子アナ(準レギュラー担当)、『犬夜叉』の日本テレビ大神いずみアナ(当時。現フリー。準レギュラー担当)、劇場版『ワンピース』のフジテレビ笠井信輔アナ、劇場版『それいけ!アンパンマン』の日本テレビ藤井恒久アナ、劇場版『ふたりはプリキュア』のABC(当時、現フリー)赤江珠緒アナなど多数。最近ではフジテレビで制作された単発アニメ「ミヨリの森」で複数のフジテレビアナウンサーが声優で登場している。
また、ラジオ局もいわゆる「アニラジ」番組のパーソナリティを担当しているアナウンサーが声優として登場することもある。こちらはコンビを組む声優繋がりが多いが、ゲスト繋がりやスポンサー繋がりという場合もある。代表例は文化放送の長谷川のび太アナウンサー(「犬夜叉」「いぬかみっ!」など)、ニッポン放送の吉田尚記アナウンサー(「機動戦士ガンダムSEED」「もやしもん」など)などが挙げられる。
その他、アナウンサーから声優に転じた河内孝博(元北陸放送)、逆に声優からアナウンサーに転じた藁谷麻美(テレビユー福島契約→テレビ大阪契約)の例もある。
[編集] 近年の声優の立場など
[編集] アイドル声優
最近では声優の仕事は多岐に渡り、声あて・吹き替えだけでなく、CDを発売したり写真集を出版したり、携帯電話の着声を提供する者もいる。また、自分がパーソナリティを務めるラジオ番組(アニラジ)を持つ場合も多い。このような幅広い活動を行う声優は俗にアイドル声優と呼ばれている。
ただしこれはあくまで俗称であるため、明確な定義はなく声優自身がアイドル声優を自称しているわけでもない。アイドル的な活動の度合いも人によってそれぞれ異なるため、アイドル声優とそうでない声優との境界はあいまいである(顔出しやラジオ番組への出演などは積極的に行っていても、歌手的な活動はあまり行っていないか、行っていてもキャラクターソング程度の声優もおり、明確に区別することは難しい)。このアイドル声優は『タッチ』や『らんま1/2』のヒロイン役を務めた日高のり子と、同じく『らんま1/2』に声をあてた林原めぐみが先駆けとなり、その他、國府田マリ子、椎名へきるなどの活躍で1990年代中期からブームに火がつき、現在に至る。なお、彼女たちに先んずる存在としては、まだアイドル声優という概念そのものが全く無かった時代ではあるが、現代のアイドル声優にも一部通じる形で人気を得た者として小山まみ(茉美)、潘恵子がおり、「こちらがアイドル声優の元祖なのではないか?」という意見もある。
ちなみに、女性声優がアイドル声優と称される例はよくあるが、男性声優がアイドル声優と称される例はほとんどない。
現代の声優には、演技力のほか、ルックスの良さや歌唱力、声優自身が独特のキャラクターを持つことなど、様々な能力が求められるようになっている。とりわけアイドル声優の場合は演技力よりもスタイル、ルックスの方を重視されることが多く、また最近は一部の事務所の養成所で「声優はエンタテインメント」と銘打って、アニメ関連メディアへの露出を積極的に行う例も出ている。野川さくらなどを擁する事務所であるラムズの社長が「アイドル声優にとって重要なのはルックス、そしてトークのうまさであり、演技だけうまくてもデビュー出来ない」とインタビューで述べたことがある[26]。
また、最近ではメディアミックス展開の一環としてアニメ番組関連のインターネットラジオなども多く制作され、聴取数アップのためにもアイドル声優は特に出演を多く求められるる傾向があることから、これら音声媒体向けのトーク術もアイドル声優として成功するために要求される重要なスキルの一つになっている。ただし、インターネットラジオのトーク中の出来事などが元で、アイドル声優としてのキャラクター性が変わってしまったり、個性派声優にも通じるタレント要素が付いてしまう者も見られている[27]。
アイドル声優には『夢の国の住人』『永遠のXX歳』などを自称し、生年を全く公表しない者も珍しくはない。雑誌などで広範に年齢を明らかにすることについては事実上のタブーとしているという者も多い[28]。ただし、これはアイドル声優に限ったことでなく、ベテラン声優の中にも声優がアニメなどを通じて「子供達に夢を与える仕事」であることを重視して、年齢の公表がキャラクターのイメージを壊すことを危惧する考え方が根強く、プロダクションサイドとしても顔出しをする仕事ではなく演じるのが声のみという利点が、年齢を公表することにより失われることもあり、声優業界全般に年齢を伏せたがる傾向がある。もっとも、最近の声優はアニメでの声だけではなく、アニメ関連のイベントのトークショーや、インターネットラジオなどへの出演も多いことから、その様な場で年齢を連想させる様な言葉[29]をうっかり漏らしてしまい、これにより年齢が明らかとなるケースも見られる。
当然ではあるが、アイドル声優としていつまでも活動出来る訳はなく、年齢を重ねればアイドル声優路線の脱却が必要になる。また、声優本人や所属事務所にとっても、アイドル路線から実力派路線へのイメージチェンジが重要な課題になることも多い。一般の芸能アイドルが20代に入ると古株と言われるのに対して、アイドル声優は30歳前後でもまだ通用する点などから前者よりは長いという説もあるが、養成所出身者の場合にはデビュー自体が20代に入ってからになってしまうので一概に長いとは言えないという反論もある。また、アイドル声優路線の脱却と実力派声優へのイメージ転換が順調にいかなかった場合、声優としての『商品価値』が中途半端なものになってしまうケースも見られ[30]、さらには、人材が次々に登場してくる新陳代謝の激しい業界であるため、アイドル声優として一時期は一世を風靡したものの、ほどなくして次の若い世代に取って代わられ仕事量が激減してしまったというケースも少なくない。
とりわけ、「20代後半に差し掛かった辺りで更なる成長を遂げられるか否か」「主役・準主役級の大きな役をどれだけ取れるか」「主役級キャラクターを担当する作品がヒットしたか」などといった要素が、アイドル声優と呼ばれる者たちのその後の命運を左右すると言っても過言ではなく、実際、過去にそれに成功した者の多くが中堅ないしベテランとして活躍を続けている。
こうしたアイドル声優がアニメイベントのメインゲストとして登場する場合は、参加客の多くが声優を目当てとするため、客寄せの目玉とされることが多い。アイドル声優の中には、後述の武道館コンサートを成功させるように、音楽活動で全国ツアーを組み、発売したCDをオリコン上位に食い込ませることもある。こうした現象は、CDの売り上げが減少する音楽業界にとって、マーケットの一例として認識され注目を集めている。また、声優のイベントやライブコンサートによく通うファン層のことを「声優イベンター」と称される。
ただ、こういった声優のアイドルタレント的活動に対して好感を持てないという者も少なくない。ベテランの声優や声優ファンの一部からは、こういうアイドル声優に対して「容姿は良いが、声優にとって重要であるはずの演技がうまくない」「露骨過ぎる」「アイドル声優が台頭してきたせいで、演技がうまく実力のある声優が過小評価されてしまうケースが出ている」などといった非難の声が出ている。
現在では、1990年代中期に起こったアイドル声優ブームの絶頂期は過ぎ去ったような感じになっているものの、アイドル声優自体は毎年新しい人物が登場している。
[編集] 声優による武道館コンサートの成功とその影響
日本武道館は、職業として音楽活動を行う者の多くが「ここで観客席を満員にしてコンサートを行う」ということを長期的な大目標にする、歌手たちにとってのある意味では聖地的な存在である。
日本武道館ほどの規模の施設でコンサートを成功させるには、単純な知名度、歌唱力のみならず、歌手・エンターテイナーとして総合的な高い能力が要求される[31]。そのため、長いキャリアを持ちビッグネームとして認知される一般芸能人や大手芸能事務所に所属するアイドルタレントでさえ、武道館公演を興行として成功させるのは容易なことではないとされる。よって、日本武道館でコンサートを何度も成功させることは、単純な収益以上に、集客力や興行力などの歌手としての能力が『本物』であることを芸能業界の内外に誇示する意味を現在でも持っている。
声優業界で最初に武道館コンサートを成功させたのは、1990年代のアイドル声優の代表的存在であった椎名へきるである(1997年)。上述した様な背景があるだけに、椎名の声優としての初の武道館コンサートの成功は、声優界・芸能界の両方に驚きと衝撃を与えた(2002年・2003年・2004年にも開催)。特に声優界では、この椎名へきるの成功もあってか歌唱力をセールスポイントとするアイドル声優が次々と登場し、中でも水樹奈々は、声優として2人目の武道館ライブを2005年・2006年の2年連続で実施し成功した。2008年3月には田村ゆかりが声優として3人目となる武道館単独公演を行い、これも成功した。
逆に芸能界では、日本武道館コンサートを成功させることは依然として難しく、歌手にとってはステータスシンボルともいえるイベントであり、場合によっては歌手自身のみならず所属する芸能事務所の後援会やファンクラブの動員力さえ必要とする状況である。この為、反応は様々に分かれ、声優業界の販売戦略を謙虚に学ぼうと言う人々から、「たかが声優、たかがアニメ音楽」と反発する人々[32]まで様々な意味で芸能界に衝撃を与えることになった。特に水樹は元々が演歌歌手志望であるだけに歌唱力にも定評があったが、それまで音楽業界全般に広範に知られた存在ではなかっただけに、「たかが若手声優のアニメ音楽」という気持ちで確認程度のつもりで水樹の歌を聞き、かえって衝撃を受けた人物もいるとされるなど、影響はアニメ業界のみならず各方面に及ぶことになった。現在では、業界紙で「TOP10入り常連の人気声優アーティスト」[33]、という紹介がなされるなど、歌手としての認知も進んでいる。
[編集] 声優の露出について
舞台公演等に行かなければ見ることが出来なかった素顔の声優たちも、近年はメディアの発達等により、ラジオ・テレビ・雑誌・インターネットなど比較的一般的なメディアにおいて生の演技やトーク等を見ることが多くなりつつある。
声優自身が作品の登場人物に扮して、舞台で公演した例としては、『水色時代』『サクラ大戦シリーズ』『HAPPY☆LESSON』『HUNTER×HUNTER』『スクールランブル(一部分)』『アニメ店長』が挙げられる。とくに『サクラ大戦』の場合、主要キャラクターが「帝国歌劇団」という劇団に所属しているという設定であり、原作の広井王子は、当初から現実の舞台公演も視野に入れてキャスティングした旨語っている。
しかしアニメファンや吹き替え作品のファンにとっては、本来「影の存在」だった声優が表舞台に姿を見せるようになったことに対して、キャラクターや作品のイメージが壊れると感じ、嫌悪感を持つファンも多い。特にアニメの場合は絵と人間との比較となるため、両者間のギャップが大きい場合がほとんどである。
ただし、当人が声優業をレパートリーの一つとしか考えておらず、実際は俳優や歌手として活動しているのに、単にアニメファンが声優活動しか知らないだけ、という事例もままあるので注意が必要である。特に、舞台俳優や歌手・タレント出身者は、声優としての知名度が出てきても、可能な限り元の活動を継続している者が大半である(例えば、アニメ声優・歌手の印象が強いベテランのささきいさおは、実際はオリジナルソングの歌手活動と舞台演劇が主体であり、また俳優および声優としては"佐々木功"、歌手としては"ささきいさお"の名義を近年まで使い分けていた)。
もっとも、近年の若手では声優自身が露出することを前提とした養成・キャスティングも広く行われており、本人の個性やルックス、キャラクターとの一体感も重視されていること、またキャラクターとの年齢差もそれほど大きくないことから、ベテランと言われる世代に比べればギャップは少なくなっている。役柄と本人のギャップも個性・魅力のうちであるという見方もある。
また、声優(特にアイドル声優)の登用に際して演技力が軽視されるようになってきているのではないかと危惧する向きも多い。
現在では従来のように舞台俳優をホームグラウンドとしながら声優も併せてこなす者に比べ、前述のようなアイドル化した声優や本当に声優活動に絞って仕事を行う者も増えてきている。しかし現況ではアニメファン・声優ファンという特定のファン層が確立しているため、若い声優たちはもっぱら彼らを対象とした活動を中心とする傾向にある。
テレビ出演に関しては歌手活動をしている声優が音楽番組にゲスト出演することがたまにあるが、1995年にテレビ東京が関東ローカルで、当時の声優ブームにあやかり、「声・遊倶楽部」という司会・ゲスト・アシスタント・レポーター等の出演者の全てが声優という声優専門のバラエティ番組を制作したり、2000年代にテレビ朝日が全国ネット単発特番枠で人気声優のランキング番組を何度か放送したりしている。しかし、近年ではローカル局の方が番組の幅が広いことや、BS・CSの普及もあり、声優がレギュラー出演する番組はローカル局やBS・CSの方が多くなってきている。一方で、報道関係番組のナレーションを受け持っている声優はテレビ出演は控える傾向になる。これは、報道番組のイメージを壊さないためであることが一番の理由である。
[編集] バーチャルアイドル
本来、声優の多くは裏方の形で、その姿を表に出さないものとされ、その関係もあって容姿はあまり考慮されないといった事情があった。しかしアイドル声優などのように、メディア露出が可能な声優が多く出る一方で、容姿には魅力的要素にかけるが、その喋り方や声楽の面で、多くのファンを獲得する声優も少なくない。
そのような事情もあり、アニメ作品(または近年のコンピュータゲーム)では架空のキャラクターがベテラン声優の声をあてられることで、愛好者筋に注目されるアイドルとして、実在のアイドルに匹敵する人気を博す場合もある。キャラクターグッズや関連商品の販売も含めて、そのような「声優込みで完成されたアイドル像」を形成している場合には、極めて高い商品価値を持つといえる。実際に、アニメソングやゲーム音楽の域を出ないながら、オリコンチャート入りを果たした声優の仕事も存在する。また、声優のおみむらまゆこは旧名の麻績村まゆ子時代に実体を持たないバーチャルアイドル声優として登場していたが途中から路線変更で普通のアイドル声優となった。
しかしアニメ作品が、マニアや一部愛好者、あるいはおたくの好むもの…という風潮も残っており、マイナーアイドルの域を脱せない部分があるのも事実である。そこで架空の、理想的な容姿を持つキャラクター像を3次元コンピュータグラフィックスなどで生成し、これにベテラン声優が声をあてて、理想的なアイドル像を合成しようという動きも見られる。ホリプロのような芸能事務所でも、1990年代中頃より、この方面を模索している。
これらはバーチャルアイドルと呼ばれ、現行ではビジュアル面に特化したグラビアアイドル的な活動を見せるキャラクターも少なくない一方、声優とセットでコンピューターゲームやテレビCMといった一連の映像作品に登場する動きも見られる。
この方向性はまだ技術進歩の余地があり、現状では未知数な部分もあるが、将来的にはSF作品の上では予測されているような、あるいは現行に於いてコンピュータアニメーション映画を更に進歩させた形で、実写映像と見紛うばかりのコンピュータ画面上で活躍する、歌手や俳優としてのキャラクターになることも期待されている。
この分野では、2007年8月31日にクリプトン・フューチャー・メディアからキャラクター・ボーカル・シリーズ01として発売された『初音ミク』が、現代用語の基礎知識に収録される[34]など、近年特に注目を集めている。
このソフトは、ヤマハの開発した音声合成エンジン『VOCALOID 2』を採用し、藤田咲が声を担当したバーチャルアイドルである初音ミクがユーザーの作成した歌を歌うというもので、自然な歌声を再現できることから人気を集め、DTMソフトとしては異例の販売数となっている[35]。
また、市販ソフトの歌手として単独でイメージソングを歌う[36]、シングル曲のコーラスとして起用される[37]など、実際の声優と同様の仕事を行うことも予定されている。
[編集] 声優と芸能界
アニメファン・声優ファンは、歌手やタレントのことを声優と区別して「芸能人」と呼ぶことが多い。声優も芸能人に含まれるのだが、声優は演劇から派生した職業であり、アニメ・映画の吹き替え中心で独自の発展を遂げたことが区別される理由だと考えられる。
歌手やタレントは知名度を期待されてアニメや吹き替えで重要な役の声優に起用されることがある(大抵はテレビ局や所属事務所の一方的な話題作りや宣伝行為で起用することが多い)が、演技がかみ合わないことが多いため、実際に声の出演の訓練を受けキャリアを積んだ俳優・声優が軽視されていると批判する意見が多い。特にスタジオジブリ制作のアニメ作品は日本映画トップクラスの観客動員数を誇るだけに、歌手やタレントの声優起用が毎回批判の的になることが多い[38]。
[編集] 芸能界での声優の地位
ラジオが主要なメディアだったラジオ全盛期の声優はマイナーな存在でなくスターとも言える地位を得ていた[39][40]。しかし、テレビ放送が始まると、一般からは、存在が縁遠く一般の芸能人と同様の認知を得られることは本質的に困難な現状にある。声優のマスメディアへの露出が、声のみという本質的な理由によるもので、これをもって顔出しの仕事と比較して一段劣るとして、芸能界の中で声優の仕事を見下す風潮は、吹き替えが始まった1960年代から存在することが当時から活動する声優により証言されている。
1980年代半ばには、アイドル歌手出身の日高のり子がテレビアニメ『タッチ』の浅倉南役の人気により芸能活動に再進出、1990年代初頭にテレビアニメ『ちびまる子ちゃん』の大ヒットによりTARAKOがバラエティ番組の司会を務めるなどマスメディアへ多く露出した。1990年代後半~2000年代にはテレビアニメ『ポケットモンスター』の大ヒットでサトシ役の松本梨香がバラエティ番組やテレビコマーシャルに出演、太田真一郎が『料理の鉄人』にレポータとして出演、古田信幸と小野坂昌也がプロレス・総合格闘技イベントのリングアナウンサーを担当、2000年代には、脚本家の三谷幸喜に見出された山寺宏一がテレビドラマやバラエティ番組に幅広く出演するなど、声優としての活動を背景に一般の芸能活動をした例があるが、一般の芸能人らと同様に仕事をこなす声優は極めて稀である。声のみで演技をするために声優を志し、声優の仕事を斡旋する声優プロダクションに所属している者がタレント活動をしないことを以て、声優業界に対して見下す風潮は続いているとする意見が、声優ファンでありながら声優に声優業以外の活動をも望むファンの間には根強い。
声の専門職であるはずの声優が一般の芸能活動をすることをファンが望む一方で、知名度のある芸能人が声優業を単発的に行なうケースは数多く、専門職としての声優の真価が問われることになっている。1990年代以降のスタジオジブリ作品など、大作アニメ映画(外国製含む)においては主要キャストの大半を俳優やタレントが占めたり、またテレビアニメの劇場版でもゲストキャラクターの声優に有名人が起用される(場合によってはテレビ版の配役から変更)ことが多い。
これにはアニメファン以外の一般客にもアピールするために、話題性を重視しての起用という側面も大きい。芸能人を起用することで、雑誌・テレビなどのメディアで取り上げられやすくするためである。その一方で、プロの声優にない要素や、作品にリアリティを持たせるためにあえて起用しているということもある。宮崎駿作品がそうした映画の筆頭と見られやすく[41]、細田守や原恵一も自身の監督作品で芸能人や劇団の子役・俳優を起用している[42]。 押井守監督は声で全ての演技を行う声優という職業を評価し『イノセンス』で『攻殻機動隊』から続けて登場するキャラクターの配役交代の話を退けたと言われている。しかし、その押井も自作『機動警察パトレイバー 2 the Movie』で俳優を起用したことがあり、存在感と新鮮さが声優に勝ることがあるとしている。[43] その後、押井は新作『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』でも俳優を起用している。 アニメを多く手がける脚本家の首藤剛志は存在感や個性については、マイクの前で声を出す声優よりも、声優としての技量が劣っても実際に観客の前で芝居をする俳優が買われているのではないかと述べた[44]。
歴史的に見ると、アニメ声優が確立されていなかった1950年代終盤から1960年代の東映動画の初期の長編作品には俳優がアニメキャラクターの声をあてたのを初めとして、1970年代から1980年代を中心に民放各局で知名度の高い芸能人を映画の吹き替えに起用するケースが多発した。特に日本テレビとフジテレビが話題性を重視してアイドルを多く起用し、1983年の日本テレビの『スター・ウォーズ』では声をあてた者の声の演技力の低さから視聴者の不興を得た[45]。1990年代になるとこうしたキャスティングは完全にはなくならないまでも沈静化して[46]、2007年現在ではフジテレビがたまに起用する程度ではあるが、劇場用のファミリーアニメにおいては、1990年代後半からは起用されることが増えて来ている。
また、声優は音楽活動をすることもあり(多くの場合は歌手として。ケースによっては演奏や作詞作曲も担当する者もいる)、一般の音楽番組で扱われることは稀であるが、1990年代に林原めぐみが日本テレビの『速報!歌の大辞テン』に、椎名へきるがテレビ朝日の『ミュージックステーション』に、桜井智が日本テレビの『THE夜もヒッパレ』に、國府田マリ子がUHF系ネットの『MUSIC B.B.』に、2000年代には水樹奈々(2回)や平野綾、堀江由衣がフジテレビの『HEY!HEY!HEY!MUSIC CHAMP』に、水樹奈々がテレビ東京の『音流〜On Ryu〜』に、南里侑香がFictionJunction YUUKA名義でNHKの『ポップジャム』に出演するというケースが表れている。1980年代には大山のぶ代が歌手として日本テレビの『ザ・トップテン』に出演したこともある。更に1990年代以降、声優の歌ったCDがオリコンランキング上位の常連となることも少なくなく、それがランキング形式の音楽番組にて大衆の目に触れることも少なくない。TBSの『COUNT DOWN TV』はその代表とも言える(1997年には「声優アーティスト特集」を放送、翌98年には「注目アーティスト」として坂本真綾を紹介している)。
テレビドラマや一般映画など、広義において実写と呼ばれる類いに属する作品のエンディングテロップでは、通常キャスト(またはCAST)という分類名称で表記され出演者を紹介するが、アニメーション業界(テレビアニメに限らず、劇場用アニメ映画も含む)やゲーム業界では声の出演という分類名称で表記されることが多い為、一部では「キャスト」ではなく「声の出演」という表記をすること自体がアニメ作品やゲーム作品、声優・ナレーターという仕事そのものを差別的に軽視しているとの意見もある(ただし、近年では「キャスト」や「CAST」と表記する作品も多くなっている)[要出典]。
[編集] 声優からテレビタレントへの進出
声優からテレビドラマ俳優やテレビタレント・司会者への進出は、愛川欽也・黒柳徹子・藤岡琢也・伊武雅刀など他業に進出した成功を収めた結果、2006年現在では声優として認知されていない成功者が何人かいる。劇団系の声優はあくまでも役者なので、テレビドラマへ役者として出演しても全く問題は無く、兼業する者も少なくない。しかし、声優専門プロダクションに所属する声のみで演じている専業声優がドラマで顔出しするケースは稀で、しかも成功した例は少ない。ただマイナーな作品(興行的に展開が小さい作品)ではそれなりの成功を収めた例はある。しかし、顔を知られていないので主演や助演などにすると新人起用同然の状況となってしまい、主にゲストとして出演するのが常である。
専業声優出身者としてドラマ出演でのほぼ唯一といっていい成功例が山寺宏一である。山寺の場合は、声優という閉鎖的な雰囲気を一切感じさせない明るいキャラクターが受けたといえる。ただし、これも『おはスタ』などで顔出しする司会者として名を馳せた事や、各種モノマネ番組に頻繁に出演実績があってこその俳優デビューであったと言え、愛川欽也のあり方に近いものである。山寺は専業声優歴が長く人気も高いので、俳優デビューは遅く、進出後も兼業で声優を続けている。
山田康雄・戸田恵子・津嘉山正種・中田浩二・石田太郎などは元々顔出しして演じている舞台役者(戸田はアイドル時代があるが)で、初めは俳優業としてドラマにも出ており、その後、声優兼業というパターンで俳優もこなしている。大山のぶ代はタレント・料理研究家としての顔を持ち、冨永みーなや飯塚雅弓、池田秀一、水島裕などは元来子役出身であり(冨永の場合はモノマネに秀でていた事から、山寺と同様にテレビのモノマネ番組に頻繁に出演していた時期があった)、また、日高のり子もアイドル時代に各種テレビ番組に出演していた経験が多数あり、いずれもその後声優に転身している。
これらの逆のパターン、すなわち最初に専業声優としてデビューした者がその後テレビドラマなどメディア上で顔出しの役者として主要な役を獲得するのは難しいのが実情である。前述の山寺宏一を除いては、声優ブーム最盛期に國府田マリ子が深夜ドラマ『せつない』にレギュラー出演していたことや宮村優子が映画『バトル・ロワイアル』やNHK朝の連続テレビ小説『ちゅらさん』に出演していた例くらいである。その為か、最近の声優業界では、テレビの特番企画などのゲスト出演や、最初から声優ファン向けのテレビ番組・映画・DVDに的を絞って顔出し出演するものとなっている。それは、ドラマのキャスティング権は大手芸能事務所が大きな力を持ち、声優業のマネージメントを主とする声優プロダクションは大手であってもテレビドラマに出演させる力がないからである。声優プロダクションが繋がりを持ち営業をかけるのは音声製作会社に対してである。そのため声優業のマネージメントは声優プロダクションに任せるが、その他のマネージメントは一般の芸能事務所に任せるというタレントも存在する。中堅から若手の声優の多くは、最初から声優を志して専業声優となったので、声優プロダクションに所属している。タレントとしての活動の幅を広げたくなった声優の中には声優プロダクションを離れて、一般の芸能事務所へ移籍する場合もある(前出の宮村優子など)。
[編集] 芸能人のファンと声優のファンの違い
芸能界では主に芸能人を「高嶺の花」とすることでファンを得てきたが、声優は芸能人以上に狭い部分をターゲットとするので、「身近な存在」とすることでファンを得てきた。しかし、それは熱烈なファンを大量に産むと言う手法として確立し、特にアイドル声優に直接関連する商品(直筆サイン等)は高騰した。またその熱烈なファンの結集が膨大なエネルギーとなり声優の成功へ導かせ、結果として芸能界でさえ難しいと言われた日本武道館コンサートで成功する声優を生み出した。 つまり、声優以外の芸能人の人気は浅く広くであり、声優はその範囲の狭さを深さでカバーしていると考えられる。
しかしながら、アイドル業界においては、1980年代のビッグアイドルたちの全盛期と比べると、1990年代後半のモーニング娘。以降は細分化・ニッチ化が著しく、逆に1990年代以降のアイドル声優にかつてのアイドル黄金期と共通するものを見いだす向きもある。
また、一部のファンの中には、アイドルファンも兼ねている場合がある。これは、TV出演などブレイクしていないアイドルが、ファンに親近感を持たせる活動をすることで、ファンの獲得を狙っていることが大きな理由と思われる。声優ファンの中には、吹き替えの仕事がメインとして活動する声優にとってはファンの獲得は仕事を得る上で必要ではあるものの、あくまでサブの要素が強く、反面アイドルについてはファンの獲得が仕事の獲得に深く結びつくため、ファンに対してより好意的な対応をするとの観点から、アイドルファンにシフトしていくものも増えている。 アニメやゲームなどに深くかかわる事から多くの声優イベントが組まれ、声優ファンの主要な活動地域でもあった秋葉原だが、近年時東ぁみ・AKB48など、その秋葉原を拠点として活動するアイドルが増えたことも、声優ファンのアイドルファンへのシフトを強めている。 こうしたシフト現象は、自宅で主にアニメやラジオなどの声優活動を通じて楽しむ、いわゆる「在宅」の声優ファンよりも、声優イベントに足繁く通う「現場」系の声優ファン(声優イベンター)に多く当てはまる。
[編集] 声優稼業の実態
[編集] 声優の仕事の取り方
所属事務所を通して配役をあてがわれることは、特に新人やキャリアの浅い者には、極めて稀である(音響制作会社から声優のマネージメントを声優事務所に任されていると、端役等が事務所マネージャーに一任される場合はある。「協力:○○プロダクション」などとクレジットされているときはそう考えてよい)。
「オーディションを受けて自分の手で仕事を獲ってくる」というシステムが主流であり、アニメなどでは「長年声優をやっているから」などと言う理由では採用されず、作品世界・登場人物のイメージに適合した声(声質)や演技力を持つ人物が採用される傾向が強く、大物声優でも選考オーディションを普通に受ける。
ただし、アイドル声優の場合は、比較的集中してキャスティングされることもある。これは特に人気アイドル声優を多く抱える大手レコード会社が制作する作品において顕著であり、レコード会社側が音楽CDなどの商品展開の際に重宝する者を多く起用する傾向にある。これによって作品の多さの割には代わり映えのしないキャスティングになることも少なくない。
アイドル声優として売り出される者は例外として、通常は各作品の制作プロダクションから声優の事務所庶務に、洋画ビデオ吹替やテナント等のナレーション、アニメーション等各作品の「オーディションのお知らせ」が通達されるのみで、声優はこれらに事務所を通じて応募してオーディションを受験し、合格を取るといった「自らの足で稼いで仕事を取ってくる」ことがほとんどである。過去にOVA「ファイアーエムブレム」において、主人公マルスの声優がファンからの人気投票で緑川光に決まったという例があるが、これは極めて異例のケースだと言える。
全ての声優がオーディションに参加する機会を得られるとは限らない。声をかけられた事務所のマネージャーは、役柄にあうと判断した所属声優をピックアップしてオーディションに挑ませるのが通例である。オーディションの手間をかけず、事務所単位で制作されているボイスサンプルを収録したCDなどを参考にキャスティングを済ますこともある。
従っていかに就労意欲があろうともオーディションで採用されなければ無収入のままであり、声優として稼業するということは、常にオーディションを受け続け、他の声優に勝ち続けていかなければ食べていくことができないという厳しい現実を繰り返すことなのである。
基本的な事情は以上だが、現実には映画での「○○組」と同じような現象がこの世界でもあり、各種原作者などの版権者や制作会社関係者、監督や音響監督との人間関係によってしばしば常連声優がいたり系列化されているのも事実である。
[編集] 経済環境
声優は、業界の待遇改善のために「声優は儲からず、それ以前に衣食住に窮することが多い」とよく宣伝されてきた。たしかに声優業で生計を立てていくということはとても大変である。声優プロダクション(事務所)に所属できたからといって、それで生活の保証があるわけではない。所属事務所からの基本給というものは存在せず(例外的に基本給が存在する事務所もあるが)、各人の仕事実績によるギャランティ(報酬金)が収入となる個人事業者である。所属事務所とは通常1年更新のマネジメント契約を締結し、売込みやマネジメントの対価として業界平均で出演料の20%を事務手数料として事務所へ支払う関係である。歌手や俳優など他の芸能の世界と何ら変わりない厳しい競争社会であり、経済的に自立できずに脱落していく者も多くいる。また、白石文子の様に、ある程度の知名度や声の出演があったにも関わらず経済的な理由で廃業した声優も少なくない。
吹き替えが始まった1960年代には、声の仕事は、実写出演の7割の出演料「顔出しの七掛け」とされ、低い位置にある仕事とみなされ、舞台俳優のアルバイトが多かった。ただし実写の仕事と比較して、吹き替えの仕事は拘束時間が少なく、何本も掛け持ち出演が可能だったため、一概に低収入と言えなかった。また声優への報酬は出演部分に対しての物だけであり演じているキャラクターの関連商品などのロイヤリティは声優には還元されないのが普通である。
声優の待遇改善については、声優の多くが日本俳優連合(日俳連)に所属しており、日俳連は音響制作会社の集合体である日本音声製作者連盟(音製連)、声優のマネージメントを行なう事業者で組織する日本芸能マネージメント事業者協会(マネ協)と「三団体実務小委員会」を設けて、出演ルールの改定や待遇の改善を申し入れて来た。ときにはストライキ(1973年8月8日)や街頭デモ活動を行うなどして、1973年には報酬の314%アップ、1980年には再放送での利用料の認定、1991年には170%アップするなどの成果を勝ち取って来た。業界に対してのみならず、1973年と2001年にはデモ行進、1988年には永井一郎が『オール讀物』(文藝春秋)において『磯野波平ただいま年収164万円』と題してアニメ出演料の安さを訴える記事を寄せて、世間一般への理解を求める行動を起こしている。
日俳連・マネ協・音声連による協議の結果、「外画動画出演規定」「新人登録制度」「CS番組に関する特別規定」「ゲーム出演規定」などを締結。アニメでは、放送局と、アニメ制作会社で組織される「日本動画製作者連盟」も加わって、団体協約が締結されている。これにより、仕事1作品あたりの報酬は作品のジャンルや放送時間帯、放送回数、ソフト化等による二次利用、そして経験実績等の条件によって受け取る額が算出される方法を取られており、音響制作会社の一方的な言い値で手取りを決定されるということはない(一概には言えないが、日俳連は基本的に土日祝日のゴールデンタイムに放送される番組に最も高いクラスの報酬を設定している)。
以上の事情はアニメと外画吹替における日俳連と音製連とマネ協による協定に基づくものであり、声優、マネジメント事業者、音声製作事業者がそれぞれの団体に所属しなければ、この規定に縛られることはない。例えば、石原裕次郎は映画『わが青春のアルカディア』の出演料が1000万円だったと言われている。そのため組織率を高めるために、音製連が製作する作品に出演する人数について「日俳連に属さない出演者の数は全体の20%以内」とし、日俳連に属さない出演者については加盟を推奨することが音製連には課せられている。逆にマネ協・日俳連側は、音製連に入ってない製作会社へ音声連への加盟を奨めることとなっている。
これらの協定を嫌う日本アドシステムズなどの製作者側もあり、日俳連に所属しない声優を起用するケースが1990年代半ばより増えて来ており、日俳連の組織率は以前と比べると低下している。この所属外起用によって、若手をステップアップし育てるべく存在していたランク制が事実上崩壊し、若手やジュニア層がランクアップすると仕事が来なくなって困窮する、等の深刻な現象が起こっている。このようなルールの抜け道を利用した起用のあり方に対して、日俳連は現在対策を思案中。音製連に属していない事業者としては、神南スタジオや脱退した音響映像システム(現・サンオンキョー)、マネ協に属していない事業者としては、ネルケプランニング、東映アカデミー、ラムズなどがある。
[編集] ランク制
ランク制とは日俳連に所属する声優がアニメと吹替作品に声をあてる際の出演料の規定である。この制度の下では、主役・端役に関わらず、台詞の数が一言だろうと関係なく、「外画動画出演規定」に定められた「ランク」と呼ばれる出演料に従って、報酬が支払われることになっている。アニメと吹替作品の他にCESAに加盟するゲーム会社との間にも同様のランクが設けられている。ランクの設定は毎年4月に更新され、人気が上がったりキャリアを重ねると、マネ協や音製連との協議の上、ランクが上がっていく。例外として、60歳以上の者はランクを上げることは出来ても、下げることは出来ない。1991年に出演料が170%アップする改定をしたこともあり、予算の限られたアニメや吹替には、ランクの高い出演料の上がったベテラン声優が起用されなくなる弊害が生じるようになった。それにより、2001年から2年の期間限定でランク下げを認める特例期間が設けられた。
30分作品の最低ランクは1万5千円、最高は4万5千円で、その上に上限なしのノーランクが設定されている。これが基本出演料になり、放送時間が60分や120分の場合はさらに「時間割増」、アニメは「目的使用料」として基本出演料の80%、吹替には70%、予告編の台詞についてもそれぞれ基本出演料のランクを基にした出演料が支払われ、これらの合計が声優の総出演料となる。
アニメ、外画、ゲーム以外は、このランク制の適用を受けない。
[編集] 新人声優の待遇
新人声優はこのランク制の下でプロの声優と競わせると不利になるということで、日俳連とマネ協の協議により、1994年より「新人登録制度」が設けられた。マネ協に所属する新人で、新人名簿に載せられた者が2年間の間、一定の起用率でランク制の枠外で出演できるというもので、期間が終了した後は日俳連へ所属してランク制の枠内で活動することを推奨される。
新人声優は2本のレギュラー番組を持てるようになれれば、それ以外にもCMなどの仕事も入り、声優として生計を立てられるようになると言われている[47][48]。
[編集] アダルト(18禁)作品関連の場合
ゲームソフト会社は音製連に属していなかったため、この協定よりも遥かに高額な報酬を声優に支払っていた時期がある。しかしこれも、1998年に日俳連と社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)の間で協議が持たれ、アニメや外画に準ずる形になったという。ただし、CESAは家庭用ゲームソフトメーカーで組織されており、この協定は一般ゲームが対象になっている。
一方、アダルトゲームなどでは、未だにアニメのアフレコ1本分の数倍の報酬が出演料として支払われるとされている。こういう作品に声をあてる場合、特に女性声優は事務所の方針などから、声優名を非公表とするか、またはアダルト用の別の芸名(「裏名」、もしくは「源氏名」などとも)を使って活動するというケースが多い。別の芸名を使う場合、一貫して特定のアダルト用の別名義(別の芸名)を使う者、作品ごとに複数のアダルト用の別名義を使い分ける者など、人によってさまざまである。栗林みな実、榊原ゆいはアダルトゲームに出る場合に名前を変えない(別の芸名を使わない)稀な例である(もっとも、栗林についてはマネジメント会社がアダルトゲーム関連の企業と同一の法人である)。
この方面でも役を取るためには地道な営業活動が必要であり、アトリエピーチなどのアダルト関係を中心に扱う事務所の声優、各アダルトPCゲーム会社との関係が深いフリー声優との熾烈な競争がある。また、新人声優の通り道としてこれらの仕事を回す声優事務所も存在するといわれている。その一方で、一部にはアダルトゲーム・アダルトアニメへの声あてを許可しない方針を取っている声優事務所も存在する。声優としての活動はアダルト専門の声優と他の声優とは、交流・活動において隔たりがある場合が多く、アダルトNGの声優事務所・業界関係者、声優自身やそのファンからの偏見や抵抗も少なからずある。その垣根を越えて活動している声優も多く存在する。無論、アダルトゲームに声をあてていることを公言していなかったり、また周囲に(この場合ファンを指す)気づかれていなかったり、人知れず活躍する声優も存在すると思われる。
彼女ら、アダルトゲーム(=俗称「エロゲー」)を中心に活躍する女性声優を「エロゲ声優」と呼ぶことがある。エロゲ声優の多くは、人気の高いアイドル声優とは異なり、イベントや雑誌などのいわゆる顔出しの仕事をせずに声の演技一本で活躍する事が多い。人気が出た例もあり、北都南や一色ヒカルなどは年間出演作品数が50本を超えた事がある。
なお、過去のアダルトゲームのアニメ化は18禁となるのが常だったため、ゲーム版の声優がそのまま声を担当することが多かったが、最近はコンシューマー移植による一般作品化やメディアミックスなどにより一般アニメ化されるケースが増えてきており、そういう作品にはアニメで活躍している声優に入れ替えられて、その声優が声を担当するということが多い。しかし、現在でもアダルトゲーム版の声優が一般アニメ化したアニメでもそのまま声を担当するということがある。その場合、同一人物であるにも関わらず、声優名表記が異なるというケースが多い。それは前述のとおり、アダルトゲームでは通常の声優名は使わず、アダルト用の別の芸名を使っているためである。
逆に男性声優の場合、ボーイズラブ(BL)もしくは女性向け18禁ゲームなどの仕事が入ると、うまくいけば女性人気を得ることができると言われている。女性声優に比べ男性声優は、性的メディアに声をあてることへの抵抗感が少ないことから、多くの男性有名声優がアダルトソフトやボーイズラブの仕事を受けている。むしろ、声をあてていない男性声優の方が少数派ではないかとの見方もある(成人向け作品への声あてを認めていない事務所に所属する声優は別だが)。こういった作品への声あてには、女性声優と同様に声優名を非公表とするか、または別名(別の芸名)を使うという場合もあるが、一般と同じ名義や、別名であっても一般の名義をもじった名義等でクレジットされる場合が比較的多いことが、女性声優との大きな相違である。
[編集] ベテラン声優の収入源
ベテランになり日俳連のランクが高くなると、予算の関係からアニメや吹替・ゲームの仕事が少なくなってくる。
それを補うのが、CMやナレーションの仕事である。こちらの方面は日俳連の協定によるランクの縛りがなく、クライアントとの交渉次第で報酬が決定しアニメや吹替よりも遥かに高額とされる。キャリアを積んで一定の評価を得たベテランとなるとこちらの依頼が増えるようになって、CMやナレーションに仕事の比重が移っていく。アニメの仕事をやっていても、ナレーションの仕事を担当することが多くなる傾向にある。
特に番組ナレーションに強いとされる青二プロダクション所属の中堅やベテランクラスの者にその傾向が強く見られる(青二プロダクションの真地勇志はナレーションを中心としているが、同事務所でもトップクラスの高額報酬を得ている)。
他にも企業向けPRビデオのナレーションの仕事はファンへの露出は少なく目立たない仕事ではあるが、声優にとっては貴重な収入源となっている。
中にはデビュー後ナレーション中心に仕事が広がり、数年経ってからアニメに進出する者も存在する。その一人である諏訪部順一は外車を数台所有する事でも知られている(『テニスの王子様』の跡部景吾役で女性ファンの人気を集めた事も相まっている)。
ベテラン声優の中には本業の傍ら、副業を行う者もいる。音響監督には声優事務所の主宰、声優の養成所や専門学校の講師など、声優業と関わりのある仕事がほとんどである。またベテラン格になると、経済的にはこちらが本業という状態の者も珍しくはない。これらは収入の少なさや、業界に貢献したいからという理由が考えられる。
雑誌『アニメージュ』は毎年大きな人気投票を行うため、アニメに出演した声優をリストアップするが(本業は歌手やテレビ等をメインにする俳優なども交ざる)そこで示される声優の総数はおよそ1500人弱にのぼる。
[編集] 声優のメリット
厳しい実態がある声優業界だが、メリットもある。
まず、儲からないと言われる声優だが舞台俳優よりは報酬が恵まれているという点。これは舞台そのものの需要が少なく、また公演回数も限られるため、どうしても儲かる人物がごく少数になってしまうところにある。
また、ロケーションで遠出をしたり長期の稽古や地方公演が行われる、実写の映像作品や舞台での活動に対して、声優の仕事は拘束時間が短く収録時間も明確になっている、また収録スタジオの多くが東京とその近隣地域に集中しているという点。このため、何本も仕事を掛け持ちすることが可能となり売れっ子となれば高額の所得を得られる。また女性が結婚・出産して自由になる時間が少なくなっても、家事や育児と両立させながら仕事を続けられることが挙げられる。それまで実写作品に出演していた池田昌子、小原乃梨子などが声優の仕事のみを続けたのは、そのためである[49]。
次に、いわゆる「顔出し」の仕事をしなくても済むこと。これにより本人のルックスや年齢(または性別)にとらわれることなく、幅広い役柄の声を演じることが可能になる。そして、テレビ等に頻繁に登場する芸能人と比べると、世間一般に対する露出頻度が非常に低いことで、基本的にはプライバシーが保たれるという点が挙げられる。写真週刊誌やワイドショーが取りあげることはほとんどない(ただし、ごく稀に人気が高い声優同士または他方面で活躍している有名人との結婚または離婚した場合において、スポーツ紙に取り上げられ一部ワイドショーで紹介されることもあるが)。実際、過去にスキャンダルとして報道された例は極めて少なく、マスコミに取り囲まれてしつこくプライベートの質問をされることもないので、その分、精神的には非常に楽と言える。ただし、プライバシーが守られているということは裏を返せば近況が掴みづらいということである。これは移籍中やフリーなど、プロダクションに属していない声優の場合、表舞台の活躍(主にテレビ出演)が長期に途絶えると、それらの声優のファンにとっては心配の種となり、様々な憶測を呼んでしまうというデメリットもある(稀には、いわゆる死亡説が流れることもある)。近年ではブログや、サイトを開設する声優が多く、各々のファンにとっては近況をつかめるようになってきている。また、インターネットで声優のニュースが流れることもあるが、事実かどうか定かではなく単なる噂も多い。
[編集] 声優の移籍や独立
芸能人のほとんどは、一般的に所属事務所を通した活動を行い、そのギャランティからのマネジメント仲介料が事務所の収入となっているので、所属事務所にとっては所属芸能人そのものが商品なのである。それにより、芸能人の移籍・独立については、これを安易に容認すれば大手プロダクションの経営基盤に影響を及ぼす可能性があることを警戒しているためか、事務所移籍・独立には莫大な違約金を科すなどの厳しい制約項目を所属芸能人との契約書に明記させることが多い。例として吉本興業所属の芸人や、爆笑問題や鈴木亜美のように独立あるいは事務所と軋轢を深めることによって、それまでの「大手事務所経由による仕事の契約」というルートが寸断されてしまい、その後の活動に影響が顕著に現れた芸能人も少なくない(特に吉本関係では一度は辞めた人間が、容赦ない干されように耐えかねて、後に吉本側に対して土下座してまで復縁して、やっと表舞台に復帰できたという例が多いことで有名である)。
しかし、声優業界では他の芸能界とは違って、前述のような事務所移籍・独立には莫大な違約金を科すなどの厳しい制約項目を契約書に明記させるというようなことはあまりない。声優の移籍の過程においては、元の事務所を退社後1 - 2か月程度の間を置いて新しい事務所に正式に所属するパターンが主流となっている。この場合、元の事務所から戦力構想外と見なされた者に対し、別の事務所が引き取り手として名乗りを挙げて、両事務所間の協議の結果、円満移籍が実現する例も多い。特にアイドルタレントやモデルなど異分野出身の声優が声優への本格転向を志してプロダクション間を移籍する場合などに見られるが、とりわけ円満に移籍が進んだ場合には、前の事務所も様々な情報の引き継ぎを行い新天地に送り出す形で移籍を支援し、前事務所の契約終了と同時に新事務所の所属となるケースも見られる。また、例えばナレーションの仕事へと比重を移したい声優が、ナレーションに強い事務所へ移籍するというケースなどもある。
以上のことなどから、声優業界においては、独立や移籍という面に関しては他の芸能界よりかは比較的寛容であると言える。
しかし、実際のところは完全に寛容という訳でもなく、事務所との軋轢などが原因で辞めた声優が、その後めっきり仕事量が減ってしまった例もある。また、声優の仕事は完全にオーディションというわけではなく、事務所の得意分野やアニメ・映画の制作会社とのコネクションなどの関係から仕事が来ることも多く、在籍していた事務所を辞めてフリーになった途端に、その辞めた事務所が得意とする仕事が急減したということもある。
人気声優の中には独立して活動している者も少なくないが、一度はフリーランスになり、そんな中でも安定した仕事量があった人気声優の中にも、マネジメント業務の煩雑さなどから、再び事務所所属になったり、特定の分野の仕事のみマネージメントを委託する例も少なくない。他の芸能人と比較して単体での営業活動基盤が脆弱な声優業界においては、フリーランスでの活動はごく一部の成功者のみ許される選択肢でもある。
[編集] 養成所・専門学校
現在、声優になることを目指す場合、声優養成所やアニメーション・マルチメディア・音響関係の専門学校に併設された声優学科に通うのが一般的である。養成所や専門学校での養成期間はおおむね2年から3年であるが、ここでは声優としての訓練だけでなく、通常の俳優としての基礎演技も学ぶ。講師には、プロ声優出身の者もいる。
卒業時、声優プロダクション主催のオーディションに合格するとプロダクションに所属できる。この時点では各所属において「新人」「ジュニア」「仮所属」と呼ばれる見習い期間となる。そして見習い期間中や期間後に、どれだけの仕事をオーディションで取ることができたか、どれほどの仕事をすることができたかが、準所属や正所属といわれる段階に進めるか否かの判断材料となる。これが順調に進められた者はそのプロダクションの正所属となり、声優として認められるようになる。
ちなみに、声優プロダクションの付属ではない養成所・専門学校を卒業しただけでは声優になることはできず、声優プロダクションの付属養成所にまた通うことになる。プロダクションの付属ではない養成所・専門学校を卒業後すぐにどこかのプロダクションの正所属(または仮所属)になれたというケースはほとんどない。プロダクションの付属ではない養成所・専門学校の卒業生で有名声優になれたという者も、卒業してすぐどこかのプロダクションの所属となって活躍できたというわけではなく、そのプロダクションの養成所にまた通った後正所属になったということなのである。
養成所や専門学校に入学してから卒業(声優になる)までにかかる費用は、養成所・専門学校によってバラバラ(在籍期間などによっても)ではあるが、どんなに安くすんだとしても入学金や月謝(レッスン料)などで大体100万円くらいはかかる。ちなみに養成所や専門学校にとっては、受講生からの受講費(入学金やレッスン料などの)が大きな収入源となっている。
[編集] とても厳しい声優業
毎年2000人以上いると言われる声優の訓練生なのだが、その中からデビューができて声優プロダクションの正所属になれるという者はほんのわずかであり、全体の1割にも満たない。残りの9割以上はデビューできずに途中で脱落してしまうのである(ただし、デビューできなかった際に、別の養成所に入り直してデビューを目指すという者もいる)。
デビューできてプロダクションの正所属になれたとしても、最初の頃、ほとんどの新人声優は長期間の低収入の下積み生活を覚悟しなくてはならない。それゆえに声優としての稼ぎだけでは到底生計を立てていかれず、実家からの仕送りに頼る、またはアルバイトなどの副業をしながら声優業をするという新人声優がほとんどである。しかもその中からのちに声優として第一線で活躍できるという者もほんのわずかだという狭き門であり、オーディションで他の声優との競争に勝てずに仕事がもらえず無名のまま脱落し、経済的に自立できずにわずかな期間で辞めてしまう、またはプロダクションから「今後、第一線級の声優として売れる見込みがない」と判断されて解雇を通告される新人声優も多い。
また、もし一時期声優としてメジャーになれたとしても、「その後ずっと声優業をやっていける」「声優としてずっとメジャーであり続けられる」「声優業でずっと生計を立てていける」という保証はない。
これらのことから、声優業はとても大変であるということが分かる[50]。
[編集] 出典・脚注
- ^ アニメのアフレコや洋画の吹き替えなどで、女性声優が男性役(特に小さい男の子役)の声を担当するというケースはよくあるが、その逆の男性声優が女性役の声を担当するというケースはほとんどない。また男性声優については、女性声優以上に声質によって声優としての活動路線が大きく左右されるという(特にアニメ・ゲーム関連で)。
- ^ NECホームエレクトロニクスの発売した家庭用ゲーム機PCエンジンのCD-ROMドライブの発売は1988年12月。
- ^ 『ロマンアルバム ガンバの冒険』徳間書店店、1979年。
- ^ 阿部邦雄編著『TV洋画の人気者 声のスターのすべて』近代映画社、1979年、119頁。
- ^ 「座談会 ルパン三世、夢の風景」『声優グランプリ』1996年8月号、主婦の友社。
- ^ 高田城、千葉節子『声優になるには』ぺりかん社、1983年初版、1994年改定版、13頁、22頁。
- ^ 「声優マジカル通信 VOL.14番外編い・た・だ・き・ま・す・!座談会 小原乃梨子さん、高橋和枝さん、野沢雅子さん」『月刊OUT』1986年7月号、みのり書房。
- ^ とりみき『映画秘宝Vol.3 とり・みきの映画吹替王』洋泉社、2004年、274頁。
- ^ 西澤實『ラジオドラマの黄金時代』河出書房新社、2002年、18-19頁。
- ^ 1期生の加藤道子が死去した際、読売新聞は「声優の草分け」と紹介(女性声優の草分け、女優の加藤道子さんが死去 読売新聞 2004年2月1日)。
- ^ 浦崎浩實「映画人、逝く 七尾伶子」『キネマ旬報』2006年10月上旬号、キネマ旬報社。
- ^ 勝田久「声優の歴史」『声優名鑑 アニメーションから洋画まで…』ジ・アニメ特別編集、近代映画社、1985年、174頁。
- ^ 能村庸一『実録テレビ時代劇史 ちゃんばらクロニクル1953-1998』東京新聞出版局、1999年、20-21頁
- ^ 勝田久「声優の歴史」『声優名鑑 アニメーションから洋画まで…』ジ・アニメ特別編集、近代映画社、1985年、175頁。
- ^ 乾直明『外国テレビフィルム盛衰史』晶文社、1990年、60頁、118頁、557頁。
- ^ 串間努『少年ブーム 昭和レトロの流行もの』晶文社、2003年、41頁。
- ^ 引田惣彌『全記録テレビ視聴率50年戦争 そのとき一億人が感動した』講談社、2004年、38頁。
- ^ ハイパーボイス監修『すごい!アニメの音づくりの現場』雷鳥社、2007年、79頁。音響スタッフだった田中英行の証言。
- ^ 高田城、千葉節子『声優になるには』ぺりかん社、1983年初版、1994年改定版、47頁。
- ^ 松田咲實『声優白書』2000年、オークラ出版、43頁。
- ^ 『テレビ黄金時代の立役者12人の告白 あの日、夢の箱を開けた!』小学館、2003年、190頁。
- ^ ドン上野『ミスター・ラジオが通る』実業之日本社、1986年、152頁。
- ^ 『ジ・アニメ』1982年3月号、108頁。
- ^ 藤井青銅『ラジオな日々 80's RADIO DAYS』小学館、2007年、24頁。
- ^ 尾形英夫『あの旗を撃て! 「アニメージュ」血風録』オークラ出版、2004年、60頁、120頁。
- ^ ただしアイドル声優は別として、声優になるということであれば、ルックスはさほど重視されず、重要視されるのは演技力だという。
- ^ アイドル声優に非アイドル的なタレント要素が付いてしまった典型的な例としては、小林ゆうの『画伯』が挙げられる。
- ^ タレント名鑑などを調べれば大抵は確認出来るが、30~40代どころか近年は10代~20代の若手声優にすら生年を非公表としている者が見られる。
- ^ たとえば、「中学X年生の時にXXXX事件が起きた」など。この様な場合、その出来事の発生年月日を調べれば、発言者のおよその年齢が特定できることもある。
- ^ この場合、アイドル声優としての実績がかえって仇となって、最悪の場合、ランク制など業界のシステム的な事情もあって「コストパフォーマンスの悪い声優」などといったネガティブなイメージがついてしまうこともある。
- ^ 具体的に求められる能力としては、知名度、歌唱力、パフォーマンス技術、人物的魅力、ファンからの熱烈で安定的な支持などが挙げられる。この他、歌手にもよるが場合によってはファンの購買力、ファンクラブや後援会の動員力すらをも必要とする場合がある。すなわち、『エンターテイナーとしての真の実力を試される会場』といえる。
- ^ 音楽業界や音楽マスコミの中には、アニソンを『子供向け音楽』『ヒットチャートを混乱させる』などと決め付けて、アニメ関連楽曲をオリコンチャートなどの音楽ランキングから除外せよという趣旨の主張をしている人物もいる。具体的に知られる所では森山直太朗が2005年、自身のラジオ番組内で、アニメ『魔法先生ネギま!』のオープニングテーマ『ハッピー☆マテリアル』を流して、この様な趣旨に取れる発言をしたことがある。
- ^ ORICONSTYLE (2007年7月23日). "水樹奈々、緊急決定ライブで新曲初披露! 年末年始ツアーも発表" 2007年11月18日閲覧.
- ^ ITmedia News (2007年11月14日). "「アサヒる」「初音ミク」「ローゼン麻生」、現代用語の基礎知識に" 2007年11月18日閲覧.
- ^ ITmedia News (2007年10月10日). "異例の売れ行き「初音ミク」 「ニコ動」で広がる音楽作りのすそ野" 2007年11月18日閲覧.
- ^ CNET Japan (2007年11月17日). "日本一ソフトウェア、PS2用ソフト「トリノホシ」のイメージソングに、初音ミクを起用" 2007年11月18日閲覧.
- ^ bounce.com (2007年11月16日). "Saori@destiny、12月5日に“My Boy”でデビュー。同時収録曲に初音ミクも参加" 2007年11月18日閲覧.
- ^ 岡田斗司夫、田中公平、山本弘「宮崎アニメ徹底大研究」『史上最強のオタク座談会 封印』音楽専科社、1999年、198頁。
- ^ 清水勲『「漫画少年」と赤本マンガ ――戦後マンガの誕生――』ゾーオン社、1989年、144頁。
- ^ 能村庸一『実録テレビ時代劇史 ちゃんばらクロニクル1953-1998』東京新聞出版局、1999年、20-21頁
- ^ ただ、岡村明美や入野自由など宮崎作品が声優としてのデビュー作・出世作となった例もある。
- ^ 「原恵一監督が語る新作映画のキャスティング!」『サイゾー』インフォバーン、2007年8月号。
- ^ 押井守『すべての映画はアニメになる』徳間書店、2004年、307-309頁。
- ^ 首藤剛志「シナリオえーだば創作術 第39回 『戦国魔神ゴーショーグン』予告のわけ……」『WEBアニメスタイル』2006年3月1日。
- ^ 武田英明「日本一詳しい『スター・ウォーズ』EPISODE全部/吹替の逆襲」『別冊映画秘宝 吹替洋画劇場』洋泉社、2003年。
- ^ とり・みき&吹替愛好会『吹替映画大事典』三一書房、1995年、149-153頁。
- ^ 神谷明『神谷明の声優ワンダーランド』学習研究社、2001年、21頁。
- ^ 松田咲實『声優白書』2000年、オークラ出版、73頁。
- ^ 『演声人語 ベテラン声優が語る役者人生』ソニー・マガジンズ、2000年、33頁、67頁。
- ^ 声優業界に限らず、他の芸能界にも同じようなことが言えるのだが。
[編集] 参考文献
- 山口且訓、渡辺泰『日本アニメーション映画史』(有文社、1977年)
- 近代映画社ジ・アニメ編『声優名鑑 -アニメーションから洋画まで』(近代映画社、1985年) - 勝田久『声優の歴史』
- 乾直明『外国テレビフィルム盛衰史』(晶文社、1990年)
- とり・みき&吹替愛好会『吹替映画大事典』(三一書房、1995年)
- 荒俣宏『TV博物誌』(小学館、1997年)
- 松田咲實『声優白書』(オークラ出版、2000年)
- 『演声人語 -ベテラン声優が語る役者人生』(ソニー・マガジンズ、2000年)
- 西沢実『ラジオドラマの黄金時代』(河出書房新社、2002年)
[編集] 関連項目
- 日本の声優一覧
- 声優アワード
- 声優ユニット
- ナレーター
- アフレコ
- ラジオ
- テレビ
- 映画
- アニメ
- アニメイト
- アニラジ
- コンピュータゲーム(ゲームソフト)
- アニメソング
- オタク系バンド
- サブカルチャー
- ヲタ芸
- オタク
- 代々木アニメーション学院
- アミューズメントメディア総合学院
- ボイスオーバー
[編集] 外部リンク
- 協同組合日本俳優連合 - 声優の多くが加盟。
- 日本芸能マネジメント事業者協会 - 声優のマネージメントを行なうプロダクションなど事業者が加盟する。
- 日本声優事業社協議会 - 声優事業社で組織
- 有限責任中間法人 日本音声製作者連盟 - アニメの音響製作、外国作品の日本語版製作を行なう音響製作会社で組織。
- 日本アニメーション・音響映像システム二次使用料未払い訴訟関係資料 - 原告の日本俳優連合側がまとめた資料。
- THE AQUARIUS STUDIO(安達成彦のHP) - 『真剣な声優志望者のための辛口ガイド』等。
- こえ部 - みんなの声で遊ぶコミュニティ
[編集] アニメ出演作品検索
[編集] 吹替出演作品検索
[編集] ニュースサイト
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