マスメディア
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マスメディアは、新聞社、出版社、放送局など、特定少数の発信者から不特定多数の受け手へ向けての情報伝達手段となる新聞、雑誌、ラジオ、テレビ等のメディア(媒体)を指す。
マスメディアにより実現される情報の伝達をマスコミュニケーション(マスコミ)と言う。報道(ジャーナリズム)と混同される事が多い。
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[編集] 概説
- マス(mass)は大衆の意味だとされることが多いが、社会集団や大衆、大量などの意もある。世論を形成する。
- 高い公共性が要求される。マスメディア業界(特に大手新聞社・テレビ局)は多くの国民に迅速かつ正確な情報を伝える性格を持つからである。また大手マスメディアはその公共性ゆえ、博物館におけるイベントやスポーツ大会の主催者、又は協賛者になっている。
[編集] 主なマスメディア
広い意味のマスメディアには映画や音楽、出版全体を含むこともある。
[編集] 新しいマスメディア
1990年代後半から普及したウェブサイトが既存のマスメディアと肩を並べる影響力を持ちつつある。しかし従来のマスメディアと呼ばれる概念に含めてよいかどうか議論が分かれるところである。
取材には資金と組織力が必要なこと、検証可能性の高さなどからインターネット時代においても新聞社などマスコミ企業の優位性は変わらないという意見がある。また、マスコミ企業は取材中心の通信社的な役割に縮小し、評論や世論形成はブログなど個人のウェブサイトが中心になるという見方もある。インターネット上の市民ジャーナリズムに期待する向きもある。これは一般市民が記者となって取材活動を行うものでマスコミ企業の欠点の克服・補完を目指している。
この他に個人とマスコミ企業の中間形態としてミドルメディアも伸びてきている。
ウェブサイトは、僅かの資金で開設でき、政治的に中立性が高い場合も多くあり、運営に多額の広告料を受け取る必要がある大手メディアは会社の構造上、中立性・透明性確保が難しいため、大手メディアとウェブサイトの記事差別化が進み、急速に読者を増やしているウェブサイトもある。一方中小ウェブサイトは組織力の弱さから記事の正確性や、他社のコピー記事使用の疑問が出されることも多い。
[編集] 旧来のマスメディア
[編集] 有用性
- 社会への影響力が強いため社会の発展に寄与している。男女共同参画社会(女性専用車両)など。
- マスメディアは検証可能性が高い。個人のウェブサイトは情報の裏付けが十分でなく記事が削除される恐れがあるが、マスメディアは企業のため責任の所在がはっきりしていること、情報の裏付けを取った上で報道していること、記事の保存が行われている。そのため、ウィキペディアやインターネットの掲示板ではマスメディアのソースを提示することが推奨されている。
- 新聞離れやテレビ離れは軽微である。
[編集] 問題点
- マスメディアの報道には中立性や正確性、過剰性の点で問題がある。
- 日本の報道機関は閉鎖的である。記者クラブへの新規加盟を中々認めない。
- エンターテイメント性への偏重は問題である。一部のバラエティ番組に代表されるような低俗番組や有害番組、お色気番組の他、擬似科学(占い、健康関連情報など)が挙げられる。
- 商業主義への傾倒も問題である。『発掘!あるある大事典』のような例まで出てきている。
[編集] マスメディア規制
マスメディアは多くの問題点を抱えているためマスコミ不信に陥る人も多い。
政府は放送法などによりマスメディアを規制している。この中にはマスメディア集中排除原則などがある。メディア規制三法などより強い規制も検討されている。新聞業界は日本新聞協会などが倫理規定を策定している。テレビ業界は放送倫理・番組向上機構(BPO)を作っている。
情報の受け手もより正確な情報を手に入れると共に、一方的な情報に踊らされないためにもメディア・リテラシーを身につけマスメディアから配信される情報を鵜呑みにしない事が望ましい。
[編集] 関連項目
- 報道被害
- 企業の社会的責任
- コンプライアンス
- イエロー・ジャーナリズム
- 記者発表(プレスリリース)
- マスメディアと芸能
- 広告代理店
- 風評被害
- 内部告発
- 大本営発表
- Japanese media(英語版)
- マスメディアの戦争責任
- 第四権力
- 自己検閲
- 日本における検閲
- 医療崩壊:マスメディアによる、何の落ち度もない医師を悪者にした恣意的報道が日本の医療崩壊に拍車をかけている。
- C. Wright Mills, The Mass Society, Chapter in the Power Elite,1956