放送禁止用語
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放送禁止用語(ほうそうきんしようご)は、テレビ局やラジオ局といったマスメディアにおいて、公序良俗に反するとして使用を自主規制する言葉の事。放送コードに引っかかる言葉ともいう。
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[編集] 概要
ある言葉が差別的あるいは侮蔑的・卑猥な内容を含む、または含む恐れがあると放送局が判断した場合に、電波法や放送法などに基づき、その言葉を放送する事を放送局が自ら規制して健全で中立的な放送を維持する。公序良俗に反するものなら言葉に限らず、歌や映像も自主規制の対象になる。なお以前は要注意歌謡曲制度が存在したが、廃止になっている。ただし、電波法に抵触する放送事故を招く内容を含むものについては今でも放送されないか、該当部分をカットして放送される。ただし、これは自主規制であり、特に規定された放送禁止用語リストというものがあるわけではなく、テレビ・ラジオ業界ともに、それぞれの放送倫理規定により、「使わない」から「使うのに注意を要する」の段階分けしたリストを作って判断している場合が多い。特に「使うのに注意を要する」の用語、あるいは表現については、時間帯・番組ジャンルなどによって視聴者、聴取者の年齢層などが異なることを考慮し、例えばゴールデンタイムではNGでも深夜帯では許されるものがある。
第三者によって「禁止」されているわけではなく、放送局及び制作担当者の現場判断で使うことを「自粛」するか否かを決めていくため「放送禁止用語」ではなく「放送自粛用語」などと言われる場合もある。
近年では圧力団体等の過敏な反応を恐れたり、部落問題等のデリケートな話題に触れることを嫌ったりして、先例に倣った自主規制が増えている一方で、後述のラジオ番組のように以前は使わなかった言葉を放送の趣旨や文脈の上から必要だと判断し、大胆に使うケースもみられる。
[編集] 具体的取り扱い
[編集] テレビ・ラジオ
番組収録中に該当する言葉が出演者から発せられた時は、編集でカットするか無音もしくは「ピー音」に換えて放送する。喘ぎ声や銃声、サイレンなどといったパターンもある。番組にもよるが、いわゆる口パクではなく口元にテロップ処理する場合もある。ただし、生放送では不適切な発言がそのまま放送される。その後、局のアナウンサーによりお詫びのコメントが読まれる事で、事態は収束される。場合によっては出演者が降板したり番組が打ち切りになることもある。これを防ぐため、アメリカなどでは生放送でも数秒~10秒の時差をつけていわゆるディレイ(en:Broadcast delay)で放送し、突発的な発言やパフォーマンスが出た時には、音声または映像をその場でカットするシステムが出来上がっている。日本でもショップチャンネルなど一部のチャンネルで同様のシステムが採用されている。また、例外として過去の『さんま&SMAP!美女と野獣のクリスマススペシャル』や『ムハハnoたかじん』などに司会者などがピー音で発言を隠す番組があった。
[編集] 映画や古典落語
編集によって作品性・芸術性が大きく損なわれるコンテンツでは、その前後に「一部不適切な表現があるが、言葉に配慮の無かった時代に製作されたため、また、作品の芸術性を尊重し発表時のまま放送する」などの断り書きを表示ないし告知した上で修正せず放送する事がある。また、時代背景を表す上でその表現が不可避であると認められる場合も同様の措置が取られる事がある。
[編集] アニメーション
1970年代までに製作された古いアニメーションなどの再放送では、突如として会話が途切れることがある。具体的には、『巨人の星』における「俺の父ちゃんは日本一の日雇い人夫だ!」という星飛雄馬の台詞や『空手バカ一代』における「アボリジニの土人の酋長ウポルさん」という飛鳥拳の台詞などがある。
これは、制作された当時はそれほど問題にされなかった表現が、現在では使用を自粛すべきと判断され、そのシーンの音声を消して放送しているためである。前出の『巨人の星』と同じ梶原一騎原作(別名高森朝雄名義)で同時期に制作・放映された『あしたのジョー』についての扱いも、リクエストが大変多く、CS放送やスカイパーフェクTV!で幾度となく再放送されているが、フジテレビ721(通称"1")・アニマックス("2")で放映した際に「めっかち」・「脳タリン」・「きちがい」など放送コードに触れる表現をことごとくカットした結果、逆に放送として成立しないとの批判があり、カートゥーンネットワークでは「原作者のオリジナリティを尊重し…」の注釈を入れた上で該当語句をノーカットで放映した。これは著作権の一種でもある著作者人格権との関連でもある。
また、近年製作されたアニメーションでも一部のローカル局において、放送するのには問題があると判断し、音声を消して放送するケースも見られる。(九州朝日放送でのBLACK LAGOON、テレビ和歌山での魔法少女リリカルなのはStrikerS(第22話)など)[要出典]
[編集] 表現の自由との関わり
表現の自由も参照
差別糾弾を表面的に回避する手段の一つとして、商業メディアでは差別用語の言い換えが行われており、主にアメリカで行われているそれをポリティカル・コレクトネス(政治的な正しさ)と呼ぶ。日本では、差別用語の一部もしくは全部の言い換えに反対する立場からこの差別用語の言い換えを言葉狩りとして批判する向きもある。
差別に反対する側からも「単なる言い換えでは現実を覆い隠すのみだ」とする批判もある。同様の批判は、英語圏でもポリティカル・コレクトネスに対して行われている。また、当然ながら単なる言い換えで意味するところは同じであるため、時期を経て言い換えた用語そのものが差別用語とされるようになることが多い。
[編集] 過剰反応
前述のように『放送禁止用語はこの言葉とこの言葉…』等と規定されたものはなく、あくまでも放送局の判断によりコントロールがなされているのが現状であるが、1980年代後半から1990年代初期にかけてが、この放送禁止用語が最も過剰に扱われた時期と言われている。
この時期を象徴するような自粛例としては、「奴隷」、「下人」、「百姓」等の史実語を自粛したり、「狂った」という言葉に過剰反応して「時計が狂っていた」という台詞を消音、いわゆる「四つ(指)」とは全く無関係なちあきなおみの『四つのお願い』の放送自粛、さらには洋画の戦争ドラマの再放送では、敵が使った閃光弾について「目眩ましを使ってきた」という台詞を、「めくらまし」→「メクラまし」→メクラ=盲目と語呂があうので消音措置、といった病的とも言える過剰反応が繰り返される有様だった。素人出演の生番組で、ゲストが職業を聞かれて「百姓です」と答えたところ、リポーターが焦って「ちょっと不適切な表現があった」と釈明する光景もあった。また、景山民夫の回想では、「屯田兵」も一時自粛対象になっていた時期もあった。
また、製作当時のまま特に改変する事なく収録・発売する事が普通だったビデオソフトについても、問題になりそうな台詞部分を消音・音声処理した上で発売したケースが増えた。
このような過剰反応は次第に沈静化したが、そのためにはかなりの時間を要し、ようやく常識の範囲に戻ったのは90年代中期頃だった。
[編集] 例外的に禁止用語の発言をすることにした番組
TBSラジオ『BATTLE TALK RADIO アクセス』の2002年2月5日放送のテーマだった「井伏鱒二氏翻訳の『ドリトル先生』に差別表現で訂正要求。過去に書かれた名作での差別表現は変更したほうが良いと思いますか?」という内容のトーク内で、この発言で嫌な思いをしましたなどと説明するため、例外的に禁止用語を発言しても良いとして発言したことがある。なお、途中で何度も「今日の放送では、説明をするのに必要な場合に、通常では禁止用語になることを言いますが、誰かを差別しようという意図はありません」と説明がなされた。
フジテレビ系列でかつて放送された番組『北野ファンクラブ』のお下劣バンド亀有ブラザーズの替え歌は深夜放送ということもあり編集なしでそのまま毎週放送された。しかしTBS系列の昼2時からのワイドショーで北野武の特集で亀有ブラザーズに関して取り上げた際には、替え歌の不適切な部分はすべてピー音で編集された状態で放送された。
[編集] 放送禁止用語として主に扱われる言葉
- あいのこ
- 人間の場合は、最近では「ハーフ」とも呼ばれる。物の場合は、「ミックス」・あるいは「ハイブリッド」(トヨタ・プリウスに代表される、ガソリンエンジンと電気モーターという異なる種類の力で走る自動車を、「ハイブリッドカー」と呼称する)という単語が使われる事が、近年では多い。
- アカ
- 日本共産党党員および信奉者、さらに旧日本社会党とその流れをくむ社会民主党支持者・関係者を侮蔑する意味で使われる。保守論客は抗議を嫌い使用しないことが多い。
- あばずれ
- インチキ
- 特定の商品や人物、団体等を名指しにして使用する場合に限り、放送禁止扱いとなる場合がある。
- インディアン
- クリーブランド・インディアンスなどスポーツチームとしては問題にされないが、それ以外ではネイティブ・アメリカンと言わなければならない。「インド人」「インドの」を意味する英語表記と混同するため。
- 裏日本
- 元々は地理用語だが、侮蔑的な意味合いで使用されていたため放送では使用禁止となり、現在は年配者やインターネット上のコミュニティ以外は使わない死語となっている。
- 売れ残り
- 30代後半以上の年齢で結婚歴のない人に対する差別用語とされているが、店頭で売れ残った商品についてはこの限りではない。
- エジプト人
- エジプト・アラブ共和国の民族に対する侮辱あるいは差別と誤解されることから使用禁止となる。呼称はコプト人、アラブ人に言い換えられる。ただし古代エジプトの民族に関連する場合は問題ない。
- エスキモー
- 北極圏に住む先住民族の呼称。森永乳業がアイスクリームのブランドとして使用している。かつてはCMの最後に「by エスキモー」というフレーズを流していたが、殆ど使われていない時期があった。しかし、最近になって「エスキモー」という単語をCMなどで使うようになり、森永乳業の公式ホームページでは、「エスキモータウン」や eskimo.jp などのように使用されている。イヌイットまたはイヌイトと言い替えられていた事があるが、特定の部族を指す事などから現在では推奨されない。
- えた・非人
- 江戸時代、士農工商の下に置かれた身分。その部落差別問題は今でも深刻なため、放送禁止用語になっている。
- 唖(おし)
- 聴覚障害者に対する侮辱用語のため放送禁止用語となっている。ゴルゴ13の劇中の台詞が差し替えられているのはこういう事情から。
- おまわり
- 警察官の侮蔑となるため。ただし「おまわりさん」をつけるのは問題ない。ただし、一部の映像作品で使用している例がある(アニメ『AKIRA』など)。
- 外人
- 外国人の略称として個人的な会話では日常茶飯事使われているが、公の場では「グループ外、縁もゆかりも無い人」が原義とされている。その代わりに、「外国人」や「(国家)人」を使っている。
- 片手落ち
- 本来は「片-手落ち」(片方のみ裁断される不当な手落ち)なのだが、「片手-落ち」と強引に曲解され、“身体障害者差別だ”と槍玉に挙げられる事が多い(但し、政治家が傷痍軍人の論敵に対し「肉体の片手落ちは、精神の片手落ち」と攻撃して、名誉毀損に問われた例がある)。NHK大河ドラマ『元禄繚乱』で「片落ち」と言い替えられた事から「言葉狩りだ」と非難の声もあった。
- かたわ
- 身体障害者に対する侮辱用語とされている。
- かったい
- ハンセン病のらい腫(結節)が現れている人。地方では1950年代まで用いられていた。
- 気違い
- 精神障害者が回復期に「きちがい(気違い)」という語句をテレビなどで耳にすることにより、その回復が遅れる恐れが指摘されているため、放送禁止用語とされている。また米軍基地などの敷地外を意味する「基地外」が「気違い」に通じることから「基地の外」と言い換えられることが多い。
- ぎっちょ
- 左利きの人に対する差別用語であることから禁止されている。ただし1990年代初め頃まではカットされずにそのまま放送されていたケースもあり、放送禁止扱いとなった時期は他の差別用語よりも比較的後発だったと考えられる。
- キムチ
- 朝鮮民族に対する罵倒に限り放送禁止となる。「キムチ臭い」など。ダチョウ倶楽部は以前多人数のコント集団「キムチ倶楽部」として活動していたが、ソウルオリンピックなどの当時の社会情勢を考慮して現在のグループ名に改名した[1]。
- 匈奴
- 組
- 暴力団関係の用語であるため。ただし土建など企業名としての「○○組」や幕末の新撰組、学校のクラスの「1組2組」や「○年A組」ならば問題ない。
- 黒ん坊
- 黒人、または「夏に日焼けした肌の子」。かつては海水浴場などで「黒ん坊大会」などと銘打ったイベントが開かれていた事もあったが、現在では単語そのものが使われていない。
- 毛唐
- 白人。西洋人。「毛」(頭髪)が「唐」(中国の王朝としての「唐」ではなく、東アジア以外のという意味合い)、つまり金髪・赤毛・栗毛の意味。
- 乞食
- 「現在の日本においては、生活保護が行き届いているために物乞いで生計を立てる人は理論的に存在しない。よってこれは死語であり、存在しないものを指す言葉は放送に用いるべきではない」という理論に基づく[2]。ただし『王子とこじき』という作品であれば問題なく、また軽犯罪法第1条22項でも「こじきをし、又はこじきをさせた者」と記載されているため、法令の条文や法律用語で使うのであれば問題はない。
- 小人(こびと)
- 背が低い人に対する侮辱用語であるため禁止されている。「チビ」も同様。
- サツカン
- 警察官に対する侮辱用語の為、使用しない。同様の例に「ポリ公」や「マッポ」があるが、一部の漫画・アニメやドラマでは使用されていた(加瀬あつしの漫画「ポリ公マン」など)。また、雑誌Optionでは「K察」、「オマーリ」等の表現を使用していた時期がある。
- ジプシー
- 移動型民族を指すが、エジプト人に対する侮辱あるいは差別と誤解されることから使用禁止となる。近年『DQ4』(スクウェア・エニックスのロールプレイングゲーム)がPS・DSでリメイクされた際、「ジプシーの姉妹」という台詞が「踊り子の姉妹」に変更されたのはそのため。太陽にほえろ!で三田村邦彦がその呼び名で呼ばれているが、その当時は差別用語ではなかった。現在地上波ではジプシー刑事のシーンはカットされている。(ただし、CS放送では放送している。)
- ジャップ・ニップ
- 自国日本人に対しての差別用語であるため使用禁止。ただし、映画の性質上、演出での効果を求めたり宣伝として映画の内容を伝えるためにあえて使用するケースもあり、この場合においては例外となる。北野武監督作品「BROTHERの名シーン「ファッキンジャップくらいわかるよバカヤロウ」のセリフの部分がこれに当たる。
- ジャパニーズアーミー
- 海外において自衛隊に対して使う。憲法上使われることが少ない。
- ジュー
- ユダヤ人に対する別称であり、同民族への侮蔑、ナチス・ヒトラー礼賛につながり、また、サイモン・ウィーゼンタール・センターからの強硬な抗議を受けることもあるため、ヨーロッパ等を中心に国際的な放送禁止用語とされている。
- 酋長
- ○○障害を持つ
- NHKのみ「○○障害がある」に言い換える。
- 本来の意味で使われる場合は放送禁止用語には当たらない。
- スチュワーデス
- 客室乗務員の女性を指すが、アメリカでの言い換えの風潮や、女性差別であると強硬に抗議を行う団体があるため使用禁止となった。フライトアテンダントと言い換えることが多い。「看護婦→看護師」「保母→保育士」に言い換えられたのと同様の問題。
- 正室・側室
- 皇室の制度上は現在も存在するが、男尊女卑の肯定が憚られる現在では事実上の放送禁止用語となっている。寛仁親王の側室発言は皇族という身分から社会的非難には至らなかったが、かわりに評判を落とすという代償を払っている。またある人[要出典]がデヴィ・スカルノに対して使用したためグラスを投げつけられるという事件にまで展開したため、国際的な放送禁止用語とされている。
- 精神分裂病
- かつては精神病患者の病名だったが、精神障害者対する侮辱あるいは差別と誤解されることから、現在では統合失調症と呼称しなければならない。しかしまれに該当病名を使用した本が発売されていることがある。
- 贅六
- 「丁稚」を意味する「才六」の江戸訛りで、上方出身者に対する侮蔑語。現代でも愛知県以西(特に関西地方)の人間を侮辱する発言となるため事実上の禁止用語となっている。
- せむし
- この規制は世界的名作であるユーゴー『ノートルダム・ド・パリ』の別の邦訳『ノートルダムのせむし男』の題名が使用できない、などといった問題をかかえる。ディズニー映画は邦題を『ノートルダムの鐘』とした。また、日本国内向けに表示される英題も『The Hunchback of Notre Dame』から『The Bells of Notre Dame』と変更されている。
- 台湾政府
- 1972年日中国交樹立以後、日本政府は台湾政府を認めていないため使用しない。また、代替語「台湾当局」と紛らわしくなるため使用しない。呼称は「台湾当局」で統一されている。
- ダッチ
- オランダの英称だが「ダッチマン」・「ダッチワイフ」など卑猥な意味で使用されていたという事情から放送禁止用語となる。近年レミー・ボンヤスキー(オランダのK-1選手)のリング・フレーズ「フライング・ダッチマン」が使用できなくなったのはこういう事情から。ただしダッチロールやダッチオーブンは問題ない。
- 知恵遅れ
- 学力の低い人などに対する侮辱であるため。『落ちこぼれ』も同様。
- チョン
- 朝鮮人の蔑称として使用する場合。
- チャンコロ
- 中国人の蔑称であるため。
- 朝鮮
- 冷戦後の韓国に関連する場合に限る。日本統治時代の過去や北朝鮮が朝鮮を正式名称にしており、混同される可能性もあるため。「南朝鮮」・「南鮮」・「朝鮮民族」・「朝鮮語」など。ただし朝鮮日報や朝鮮ホテルなど固有名詞及び文化に関する記述であれば問題ない。
- ちんば
- 通信制高校または定時制高校
- 「通信制高校に通う」のように使用。「通信制・定時制であること」をわざわざ伝える必要があるのか論議あり。
- 聾(つんぼ)
- 聾学校は2007年度より、盲学校・養護学校とあわせ特別支援学校。
- つんぼ桟敷
- 出稼ぎ
- 関東もしくは関西方面在住の東北出身者及び在日の日系外国人に対する差別用語とされている。
- 鉄砲撃ち
- 特殊部落
- 場合によっては「川向こう」も部落を連想させるため禁止となる場合がある。
- 土方(どかた)
- 土木・建築に従事する作業員等に対する差別用語として禁止されているが、姓としての土方(ひじかた)は問題ない。
- ただし、現在はガテン系という言い回しがあるので、放送禁止に当たらないという場合もある。
- 床屋
- 江戸時代、売春を副業としていた店があったという俗説があるため。しかし内容によってはそのまま放送される場合も多い。
- 土人
- かつてアイヌ民族、熱帯地区都市における地域住民に対して侮蔑する意味で使用されたため放送禁止用語となる。
- 原住民
- 台湾原住民は問題ない。
- どもり
- 2005年放送の『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』のトークで浜田雅功が発言。生放送ではなかったため音声は編集されていた。
- トルコ
- 「トルコ風呂」・「トルコ街」・「トルコ密集地」など、性産業に関連する場合に限り放送禁止になる。『戦国自衛隊』(秋田書店プレイコミック)が世界文化社によってリメイクされた際、劇中の台詞「川崎堀の内のトルコよく通ったもんだが」という台詞が「川崎堀の内のソープランドよく通ったもんだが」に変更されたのはそのため。もっとも、この作品が最初に発表された時代には「ソープランド」という言葉が存在していないが、そういった面での違和感はまったく考慮しないようである。現在法律上性風俗で「トルコ」とは用いられない。『嫌われ松子の一生』など、昭和後期の時代背景を重視した作品でまれに劇中で使われることがある。
- 屯田兵
- 歴史関係の番組で単純な歴史用語(差別の意図はない使い方)として使われる事はまれにある。
- 日共
- かつて日本共産党の略称だったが、現在は同党を侮辱する意味になってしまうため使用しない。略称は共産党・共産と呼称する。同種の語に中共(中国共産党)。なお、“ソ共”(ソビエト連邦共産党)は存在しない語句である。
- バカチョン
- バカでもチョンと押せば使えるという意味だったが、バカでもチョンでも使えるという意味となったという説による。本来はこのチョンは朝鮮民族を示していたものではない[要出典]。60年代から70年代に自動露出カメラが「バカチョン」または「バカチョン・カメラ」と呼ばれた。コンパクトカメラの頁も参照。
- 白痴(はくち)
- かつては使用されていたが、精神障害者を侮辱した用語であるため現在は放送禁止用語である。大宅壮一がテレビジョン批判として使用し流行らせた一億総白痴化はテレビ業界を侮辱した意味合いが強くテレビ業界においては「最放送禁止用語」されている。田原総一朗が菅直人にテレビ番組で発言されて不快感を示したのが代表例。しかしまれにドストエフスキーや坂口安吾の作品のタイトルに使われることがある。
- 番太
- パンパン
- 性風俗関係者を侮辱する用語のため、使用しない。
- 非国民
- 戦中、戦争に反対する人を“政府に逆らう者”として罵る意味で使われた。ただし戦前の背景を重視した作品であれば問題ない。
- びっこ
- 身体障害者に対する侮辱であるため。
- 部
- 中国語や朝鮮語[3]では、中央政府の行政機関として使う場合、省を意味する語だが日本語では中央省庁の組織の一部門を意味する表現で使用されているため。
- 新聞やNHKのニュース番組などでは部→省に言い換えられる(例:国防省、公安省など)。
- 浮浪者
- 北鮮
- かつては(主に冷戦期)北朝鮮を示す地理用語だが、侮蔑的な意味合いで使用されていたため放送では使用禁止となり、死語となっている。
- ポコペン
- 『ケロロ軍曹』がテレビアニメ化された際、地球の事を「ペコポン」と変更したのはこういう指摘を受けたため。
- 「まんこ」など女性器の俗称
- 女性の性器。一般的に放送禁止用語の代名詞に近いほど広く知れ渡っている。成年コミックやアダルトゲームでも、大抵「お○○こ」といった伏字にされている。松本明子が生放送で叫び、謹慎処分となる。(四文字言葉事件)
- AVやアダルトゲームでは製造元により聞こえないように編集するメーカーと、しないメーカーがいる。
- 同じ音である沖縄本島にある漫湖についてはイントネーションを変えたりテロップで表記することで対処しており、糸満港を「いとまんぎょこう(糸満漁港)」と言い換えられた例もある。
- 九州地方の方言である「ぼぼ」については、猿の赤ちゃんを意味する飛騨地方の観光客のお土産のひとつ「さるぼぼ」もあるということからか、放送されることも多い。
- ○万個は数量を表現することであるためか、禁止はされていなく、そのままの言い方をされている。
- ロシアのヤキマンコ通りは禁止されておらず、そのままの言い方をされている。
- あのねのねの『つくばねの歌』のサビはレコード版では暈しつつも○ンコという歌詞があるため放送禁止の歌と言われた。
- その他、例外として放送されたものとしては、「北野ファンクラブ」の替え歌コーナー「亀有ブラザーズ」などで、西城秀樹「YOUNG MAN」の替え歌「コーマン」など業界用語風にひっくり返した呼称がカットされずに流された、「きらきらアフロ」で松嶋尚美が「万古焼」という漢字が読めずに「まんこやき」と連呼した、などのケースはあった。ただしDVD版では当該発言箇所にピー音が被せられている。
- めっかち
- めくら・盲目
- 視覚障害者への差別助長につながるとして。
- しかし、「盲判(めくらばん)」などといった言葉は国会中継などで放送されてしまうケースもある。
- 盲縞
- モーテル
- 自動車で旅行する人が泊まるホテルだが、日本では、ラブホテルを指す卑猥な意味合いで使用されていたため、最近では使われていない用語となっている。
- ○○屋
- 商店やサービス業などの日銭が入る職業を軽蔑する者が使用していたため。問題視されるとは限らず、そのまま放送されることも多い。また「○○屋さん」をつければ問題にはならない。
- 四つ(四つ指)
- 部落関連+極道関係の用語であるため、動物としてのヨツユビリクガメは問題ない。
- ルンペン
- 住所不定無職という(やや広義の)語を使用する。過去の一部のドラマ(『裸の大将放浪記』など)があまり再放送されないのはこのセリフが頻発するため。
- ロンパリ
[編集] 英語での放送禁止用語
- shit(=糞)
- 海外での放送禁止用語の代名詞的存在であり、俗に「Sワード」とも呼ばれる。
- piss(=小便)
- fuck(=性交、馬鹿)
- 「shit」同様有名な放送禁止用語で、俗に「Fワード」とも呼ばれる。
- cunt、pussy(=女性性器)
- cocksucker(=フェラチオ、ホモセクシュアル、気違い)
- motherfucker(=間抜け、見下げ果てた野郎)
- tits(=女の乳房)
- Laputa(=売春婦)
- アメリカのみでヒスパニックが住んでいるため、不適切な用語だから。『天空の城ラピュタ』のアメリカ版の英題が『Castle in the Sky』になっているのはこういう事情から。
※以上は「The Seven Dirty Words」とも呼ばれている。
- なおアメリカ合衆国においては、楽曲においてこれらの用語が使用されている場合、放送の際にその部分のボーカル音をカット編集したり「ピー音」を入れたりする事が多い(特にクリア・チャンネル・コミュニケーションズ傘下のラジオ局においてこの傾向が強い。英語版ウィキペディア『en:KIIS-FM』にある「Editing」も参照のこと)。
[編集] 過去に放送禁止用語として扱われていた言葉
- うんこなど大便関連
- これは時と場合により禁止にされない場合もあるが、禁止されない場合でも、伏せ字にされたり「食事中の方々に迷惑を掛けた」という趣旨のお詫びが行われることが殆どである。
- キンタマ(金玉) - 睾丸
- 放送時間帯などによって扱いは異なる。かつては青少年が視聴することの多いゴールデンタイムに禁じられていたが、1990年代以降は特に自主規制はなくなった。しかし、NHKでは「放送問題用語」の1つであり、また男性器そのものは現在も放送が禁止されている。放送すると電波法・放送法に違反するため(ジャッカスの劇場版が放送できないのはこのため)。
- ただし2007年12月31日に放送された第58回NHK紅白歌合戦では、紅組司会・中居正広と白組司会の笑福亭鶴瓶がショートコントをしていた冒頭場面において、笑福亭鶴瓶がSMAPが歌う曲の「弾丸ファイター」を「睾丸ファイター」と言い放った事例もある。ビートたけしはラジオ番組「ビートたけしのオールナイトニッポン」中では放送禁止用語を避けるために、業界用語風に逆から呼んで「タマキン」「コーマン」等を良く用いた。
- (時計、コンピュータ等に対し)狂っている
- ただし精神障害者に対して使うのは現在も放送禁止用語。
- 在所
- 関西で部落の意味。被差別部落の意味合いも含む地域もあったが、実際は、一般的な部落、集落の意味合いでしかない。1969年にフォークソンググループ・赤い鳥が発売した『竹田の子守唄』の歌詞の中に含まれていたが、これが一部で被差別部落のことを歌った曲と見られ、長い間自粛された。1990年代以降は自粛はされなくなった。
- 将棋倒し
- 日本将棋連盟からの意見で、現在では使われることが少ない。
- 支那
- 英語の「CHINA」同様、秦を語源とする言葉。放送禁止でなくなった今、中国に批判的な人が使用することが多い。
- セックス
- かつては厳しく規制されていたが、バブル期以降はそのまま放送されることが常態化した。常態化したのは、明石家さんまが、『H(えっち)』という言葉に言い換えたことによるところが大きい。NHKでは「放送問題用語」の1つに数えられるが、性教育や性関連の相談等、どうしても使わなければならない場合は枠を外される。
- オナニー
- 自主規制用語ではないが、大便関連同様『オ○ニー』のように伏字にされる。NHKでは「放送問題用語」であり、使うと永久出入り禁止となると言われる。
- ちんちんなど男性器の俗称
- 女性器と違い、しばしばそのまま放送されている。ただしメディアではあまり使わないようにしており、中には修正を加えているものもある。特にNHKでは「放送問題用語」の1つに数えられておりその傾向が著しい。主に市内を走る路面電車のちんちん電車は枠を外される。
- ドヤ
- 「いわゆるドヤ」という形で最近用いられることがある。
- 百姓
- 百の姓という意味で、何ら差別的な意味合いはない。国民(人民)が本来の意味。北宋時代の書物に『百家姓』というものがある。当時の中国における代表的な姓を集めたもので、宋の始祖である太祖・趙匡胤の姓で宋朝の国姓である趙が最初に挙げられている。農家の人が自らこう呼ぶこともよくある。むしろ他人が呼び捨てにするのが“失礼”にあたる、というのが現在の見解で、「お百姓さん」と呼べば問題ない。「お巡りさん」も同様。
[編集] 脚注
- ^ テレ朝チャンネルダチョ・リブレ第49回放送時にメンバーの上島竜兵が発言。
- ^ 景山民夫 『極楽TV』 新潮社、1990年6月。ISBN 978-4101102139
- ^ かつては北朝鮮でも使用していたが、1998年の社会主義憲法により部(부)から省(성)に変更された。
[編集] 関連項目
- 放送禁止
- 表現の自主規制・自己検閲
- 菊タブー
- 差別用語
- 報道におけるタブー
- 自主規制
- 放送倫理・番組向上機構
- レイティング
- 森達也
- 放送事故
- つボイノリオ
- やしきたかじん
- 明石家さんま
- 茶目子の一日
- 蔑称
- 桂萬光
- 紅萬子
- 政見放送削除事件
- 日本における検閲