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仁志敏久 - Wikipedia

仁志敏久

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

仁志 敏久
横浜ベイスターズ No.7
基本情報
国籍 日本
出身地 茨城県古河市
生年月日 1971年10月4日(36歳)
身長
体重
171cm
81kg
選手情報
投球・打席 右投右打
守備位置 二塁手遊撃手三塁手
プロ入り 1995年 2位(逆指名)
初出場 1996年4月5日
年俸 1億円(2008年)
経歴
Template  ウィキプロジェクト 野球選手

仁志 敏久(にし としひさ、1971年10月4日 - )は、横浜ベイスターズに所属するプロ野球選手内野手)。

目次

[編集] 来歴・人物

[編集] プロ入り前

  • 常総学院高等学校では1年生からレギュラーを務め、エースの島田直也とともに大活躍した。夏の甲子園に準優勝を1回含め3年連続で出場。高校通算28本塁打。
  • 早稲田大学人間科学部に進学してからは主将としてチームを引っ張り、主に遊撃手として活躍。4年の春季リーグではシーズン6本塁打をマークするなど活躍。ベストナインを3回獲得し、早慶戦史上初のサヨナラ満塁本塁打を放つなど大舞台で類い希な勝負強さを発揮した。4年の秋季リーグでは石井連藏監督の起用方針に反発して選手たちでオーダーを作り、チームを優勝に導いた。自身は前年秋の早慶戦で優勝を逃すサヨナラエラーを犯している(併殺を焦ってゴロをファンブル)。当たり出すと猛打賞だがノーヒットも多かった。
  • その後、社会人野球の日本生命を経て、1995年ドラフトで2位指名(逆指名)を受けて巨人に入団し、前年長年主砲として活躍し引退した原辰徳の背番号8を与えられ、大いに期待された。

[編集] 巨人時代

  • ルーキーイヤーの1996年シーズンに三塁手として打率.270、7本塁打、24打点を挙げ、セ・リーグ新人王を受賞。翌年二塁手に転向(二塁手の元木大介は三塁手へ)。二塁手としての評価を伸ばす一方、小柄な体格にもかかわらず思い切りの良い大きなスイングで長嶋巨人の核弾頭として活躍する。2000年の日本シリーズでは日本一を巨人に呼び込む好守を見せ、シリーズ優秀選手賞も受賞。大胆かつ緻密なポジショニングと派手さはないが、柔軟なグラブ捌きをも併せ持つ日本トップクラスの二塁手に成長。また2000年2001年にはシーズン20本塁打を記録、この頃から走塁技術も格段に進歩している。
  • 2002年長嶋監督に代わり原辰徳ヘッドコーチが監督就任。投手の左右を問わず安定した出塁数を叩き出す清水隆行を1番打者に任命。原監督は仁志を大型2番で起用する構想を打ち出す。1番打者が2人居るような打線を組もうとする構想だった。しかし仁志は2番に戸惑ったのか不振に陥った挙げ句に故障してしまい、2番打者は二岡智宏が担当する(なお、この構想自体は清水が最多安打、低迷していた二岡が40本の二塁打を記録し復活するなど大成功を収める)。故障から復帰後7・8番打者に定着。規定打席にはわずかに及ばなかったものの、得点圏打率は3割2分台と要所では活躍。22盗塁(リーグ2位)で盗塁死は0の盗塁成功率100%を記録(盗塁数20以上での成功率100%はセ・リーグ初)し、日本シリーズでは2000年同様流れを巨人に呼び込む好守(初戦の初回であった)を見せ、日本一に貢献した(当時『日本シリーズの影のMVP』と推す評論家も多数であった)。
  • 2003年も一時は首位打者になるなど順調なスタートを切ったものの、東京ドームジョージ・アリアス阪神)のファールフライを捕った一塁手の元木に激突し、シーズン早々に故障と2002年と同じ道を辿る(ちなみにこの時ライトはペタジーニで2人とも無理をして打球を追ったと思われる)。この年の故障は打撃・守備・走塁に後を引いてしまい、欠場中や後半戦には俊足の鈴木尚広が起用されることも多かった。
  • 原が辞任し監督が堀内恒夫に交代した2004年、仁志は再び巨人の1番打者を任され、28本塁打を記録(106得点はリーグ1位)。一方で盗塁3、盗塁死10と脚力は回復できず、オフにFA宣言を行いメジャーリーグ移籍を視野に入れていることを表明したが(同時にメジャー挑戦を表明した井口資仁に注目が集まったためか)、手を挙げる球団がなく結局残留。
  • 2005年も1番打者としてスタートしたものの、4月の不振から交流戦直前に9番仁志、1番清水に配置転換を迫られる。その交流戦こそ12球団選手中打率4位の成績を残すものの、セ・リーグ投手陣相手には苦しみ、後半戦には若手の台頭で6・7番を担当。仁志自身にしては物足りない成績でシーズンを終える。
  • シーズンオフにはロッテから球界有数の守備で知られる小坂誠が加入し、さらに原が監督復帰、2006年シーズンも2002年の清水・仁志の「ダブル1番構想」にこだわりをみせる。しかし仁志はプロ入り始まって以来の絶不調に陥り、プロ入り11年目にして小坂に開幕スタメンを奪われる。仁志と小坂は同様に1割台後半の不調に陥り、小坂が2番打者として優先的に使われ、仁志起用時は7番・8番打者として使われることが多くなる。さらに中盤に故障し離脱すると以降は1軍に上がることもなく、1軍ではルーキー脇谷亮太が台頭。さらにシーズン終盤には手首も骨折、64試合出場、打率.185、1本塁打、7打点、1盗塁と過去最低のシーズンとなってしまう。自らトレードを志願。監督構想から外れ、球団もそれを受け入れる。

[編集] 横浜時代

  • 11月6日小田嶋正邦(+金銭)とのトレードが成立し、横浜ベイスターズへの移籍が決まる。横浜での背番号は日本生命時代に着けていた「7」に決まった。
  • 横浜移籍1年目の2007年は、開幕から28試合連続出塁記録を樹立するなど、序盤は常に打率3割近くをマークし、序盤の横浜首位の原動力のひとつとなったものの、後半失速。シーズン後半まで1番に座っていたものの、本来1番打者に求められる盗塁四死球が共に少なく、1番打者としての活躍には疑問が残った。
  • 2008年3月25日祥伝社より「プロフェッショナル」というタイトルで自伝を出版した。原稿は仁志が原稿用紙に直筆で綴ったものである。

[編集] エピソード

  • 新人時代から『ビックマウス』と言われ、入団直後の野球雑誌のインタビューで「毎日試合に出て3割打てないなら野球をやっている意味がない」「リッキー・ヘンダーソンが目標」「(一時首位打者にランクされるなど打撃開眼しかかった時期に故障し)消えた感覚はもう元に戻らない」など数々の大口を叩いているため、不動の1番バッターだった長嶋巨人時代はマスコミから叩かかれていた。本人曰く「思ったことをそのまま言っているだけで、自分をそのまま出しているだけ」だそうだ。
  • プロ入り前から大の巨人ファンで、社会人時代にもう1年待てば五輪に出れるチャンスがあったのに、プロ入りを決めたのは、今じゃないと巨人に入団できないかもしれないと思い、巨人以外ならプロになるつもりはなかったと言う。ちなみに2006年に巨人を退団するときは、「10年前と今とは全然違うでしょ、今は巨人=プロとかそういう時代じゃない」と語っている。
  • 21世紀に入り、プロ野球界の人気衰退が徐々に噂されてきた頃から「ファン重視」の提言を続けている。ファンサービスやファン層拡大の構想を雑誌などに掲載するなど球界改革にも力を入れている一人である。週刊ベースボールでコラムを執筆していた2001年当時、一時の人気衰退から地域密着型の方針を打ち出したことで徐々に人気を回復していたJリーグとの共存を考え、サッカー選手との交流やファンからのアンケート葉書を募るアイデアを提唱するなど、「選手の立場から」具体的な提案を打ち出している。このように、良くも悪くも遠慮なく思ったことを言う性格故その発言が度々物議を醸している。しかし、同じように球団に遠慮をすることなく問題提起を心掛けていた川相昌弘中日に移籍する際、「後は頼んだぞ」と言ったのは仁志であり、「球団合併騒動」の12球団共同署名活動では高橋由伸上原浩治とともに多大な貢献をした一人である。
  • 2006年レギュラー落ちを経験した時、同じように二軍降格中の桑田真澄と今後について相談し、励ましあっていた。
  • 好きな曲はヒップホップ全般を好んでいて2005年はJay-Z、2006年にはSOUL'd OUTの曲を打席のBGMに選んでいる。この影響で、一時期チームメイトだった小久保裕紀もヒップホップを聞くようになったとたまたま共演したラジオ放送で語ったが、その際に本人の前で「なに言ってんだ、今はジャズに目覚めたんだよ!」と言った。
  • 巨人時代から大変なプロレスファンとして知られる(巨人は元々、放映権を持つテレビ局が日本テレビだという縁で全日本プロレス、現在はプロレスリング・ノアと交流が深く、原辰徳らプロレスファンが多い球団として知られている)。週刊プロレスを毎週購入しているとノア所属の秋山準が明かしており、当時巨人に所属していた河原純一が試合で使うテーマ曲について悩んでいたところを、「俺が聴きたいから」という理由だけで小橋建太の入場曲「GRAND SWORD」にさせてしまう(打者はネクストバッターズサークルから打席に入るまでしか曲が流れないが、投手は入場・捕手との打ち合わせ・投球練習までずっと流されるため、投手の方が長く曲を聴けることから)など、ノアファンとして知られている。2006年12月10日ノアの日本武道館大会でサプライズゲストとして、第1試合からメインまでの殆どの試合を観戦。その解説ぶりは非常に好評を得た。この日の第4試合に秋山が入場の際に移籍が決まったばかりの横浜ベイスターズのTシャツを着て入場している。2007年12月2日、再び放送席に登場。小橋建太の復帰戦のゲスト解説を務めた。
  • シーズンオフのテレビ番組出演依頼が来た時は積極的に参加する事もあり芸能界との交流も深く、2003年の1月21日の笑っていいとも!テレフォンショッキングに、寺脇康文からの紹介で出演したこともある。現役アスリートが出演するのは異例である。
  • 1988年第70回全国高等学校野球選手権大会では開会式後の第一試合で、徳仁親王(現・皇太子)の始球式で常総学院の1番打者として打席に立った。
  • 巨人時代の打席に登場時のテーマ曲は、前述の趣味であるプロレスリング・ノアの主力選手である丸藤正道の入場テーマ曲であるHYSTERICを使用。2008年からは交友関係のある小橋建太の入場曲を打席テーマ曲に使用するようになった。
  • 有名人にも仁志を愛する人間は多く、浜田雅功ジャンクスポーツ内で仁志好きを公言した。また、仁志を放出した巨人の姿勢に疑問を投げかけ『今まで、ここに仁志在りって言う試合がどれだけあった事か』『僕の持ってる野球ゲームで仁志を即刻巨人に戻した』と発言した。
  • 全身、筋肉質な体をしており日本人には珍しい体質と評論家に褒められた事がある。
  • 球団主催の少年野球教室や、プロ野球シンポジウムでの解りやすく奥の深い指導には他の現役選手OBからも高い定評があり、張本勲からは「選手やめてもコーチで飯食える」と評価されている。
  • プロ野球選手をデフォルメ化した漫画では、プロ野球選手としては小柄な体格と、童顔の為か、他の選手よりもとりわけ可愛らしく描かれてしまう傾向がある。特にマツイ日記は知っている!ではさらにピカチュウの耳と尾が加えられた「ぴかちるさん」として描かれ、この漫画を代表するキャラクターとなった。
  • ズームイン!!サタデーのスポーツコーナーではジャイアンツ時代から政治や他のスポーツでの深い話を語る「雑学キャラ」となっている。ベイスターズ移籍後もこの番組にはよく出演しており(この為、コーナー担当の宮本和知は仁志の移籍後はジャイアンツ対ベイスターズ戦が行われる日に取材を優先する傾向がある)、2007年11月10日放送分ではスポーツコーナーを完全に独占してしまった。
  • 巨人時代は背番号は「8」を付けていたが、この背番号は高田繁原辰徳と受け継がれてきた。前々任と前任の二人は新人王のタイトルを獲得しており、自身も獲得したことで「3代続いて新人王を獲得した」画期的な背番号となった。

[編集] 年度別成績

[編集] 打撃成績

年度 球団



























1996年 巨人 8 114 453 403 70 109 15 2 7 149 24 17 5 9 2 37 2 58 2 .270 .333
1997年 119 461 414 52 100 19 0 10 149 39 10 6 9 2 34 2 62 17 .242 .301
1998年 106 479 424 76 116 15 1 11 166 33 17 10 6 2 45 2 65 6 .274 .345
1999年 127 560 510 79 152 28 4 9 215 42 18 8 9 2 39 0 72 6 .298 .347
2000年 135 611 560 81 167 30 1 20 259 58 11 19 4 3 41 3 89 6 .298 .348
2001年 140 652 597 88 163 29 1 20 254 59 20 3 10 4 36 5 92 15 .273 .318
2002年 103 399 369 47 90 19 2 8 137 42 22 0 6 2 20 2 60 8 .244 .285
2003年 105 305 281 31 69 7 0 8 100 34 7 2 3 2 17 2 42 8 .246 .291
2004年 137 648 608 106 176 27 1 28 289 60 3 10 3 1 35 1 93 9 .289 .329
2005年 128 522 484 50 130 13 0 11 176 45 5 7 7 3 27 1 70 11 .269 .307
2006年 64 137 119 13 22 4 1 1 31 7 1 1 4 1 12 1 21 4 .185 .263
2007年 横浜 7 137 606 556 68 150 27 2 10 211 45 3 2 10 4 36 0 63 14 .270 .312
通算成績 1415 5833 5325 761 1444 233 15 143 2136 488 134 73 80 28 379 21 787 106 .271 .321

[編集] 守備成績

位置 1996 1997 1998
試合 刺殺 補殺 失策 併殺 守備率 試合 刺殺 補殺 失策 併殺 守備率 試合 刺殺 補殺 失策 併殺 守備率
26 37 67 2 4 .981 107 226 305 9 61 .983 85 193 229 7 54 .984
91 56 124 9 11 .952 2 0 0 0 0 27 28 45 1 4 .986
2 3 3 0 0 1.000 1 1 3 0 1 1.000
1 2 0 0 0 1.000
位置 1999 2000 2001
試合 刺殺 補殺 失策 併殺 守備率 試合 刺殺 補殺 失策 併殺 守備率 試合 刺殺 補殺 失策 併殺 守備率
120 267 393 8 70 .988 133 290 367 4 65 .994 140 343 399 8 66 .989
2002 2003 2004
103 210 304 8 46 .985 101 149 217 8 35 .979 137 281 383 5 75 .993
2005 2006 2007
128 295 409 5 73 .993 50 61 88 2 16 .987 136 305 402 10 72 .986

[編集] タイトル・表彰・記録

  • 新人王(1996年)
  • ゴールデングラブ賞:4回(1999年 - 2002年)
  • 日本シリーズ敢闘賞:1回(1996年)
  • 日本シリーズ優秀選手賞:1回(2000年)
  • サイクルヒット:1回(1999年6月25日)
  • 通算初回先頭打者本塁打:24本(表9本、裏15本)※歴代7位。
  • シーズン初回先頭打者本塁打:7本(2004年)※歴代7位タイ。
  • シーズン盗塁成功率100%(2002年)※20盗塁以上でのシーズン盗塁成功率100%は、セ・リーグでは史上初。
  • オールスター出場:5回(1998年、2000年、2001年、2004年、2007年)
  • オールスター優秀選手賞:1回(1998年第2戦)

[編集] 関連項目

先代:
山内泰幸
セ・リーグ新人王
1996
次代:
澤崎俊和
読売ジャイアンツ
1995年ドラフト指名選手
1位:原俊介 / 2位:仁志敏久 / 3位:清水隆行 / 4位:大場豊千 / 5位:大野倫 / 6位:小林聡


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