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格差社会 - Wikipedia

格差社会

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

格差社会(かくさしゃかい)とは、ある基準をもって人間社会の構成員を階層化した際に、階層間格差が大きく、階層間の遷移が不能もしくは困難である(つまり社会的地位の変化が困難、社会移動が少なく閉鎖性が強い)状態が存在する社会であり、社会問題の一つとして考えられている。

学問的には、社会学における社会階層研究や、教育社会学における不平等や地位達成研究(進学実績、教育志望、職業志望研究)、経済学における所得資産の再分配研究と関連している。

目次

[編集] 世界的傾向

国際通貨基金(IMF)の報告書『World Economic Outlook Oct.2007』(世界経済概要2007年10月版)では、過去20年間の傾向として、ほとんどの国や地域で所得の国内格差が拡大しているという[1]

主因としては「技術革新」と「金融のグローバル化」[1]を指摘している。一方で、よくいわれる「(貿易自由化といった)経済のグローバル化」[2]については、「格差拡大と有意ではない」として疑問視している[3]

[編集] 主要国の状況

経済協力開発機構2000年の統計

貧困率(全体の中央値の半分以下の所得を得ている者の割合)及び順位は以下のとおり。日本は、加盟国の中ではアメリカに次いで二位となっている。

順位 国名 貧困率
1位 アメリカ 13.7
2位 日本 13.5
3位 アイルランド 11.9
8位 イギリス 8.7


国際通貨基金(IMF)報告『World Economic Outlook Oct.2007』

ある国における最高所得層と最低所得層との比(最高所得層が、最低所得層の何倍いるか)は以下のとおり。ちなみに日本は、報告書の対象としている国の中で、一番低い値(格差が小さい)となっている[3]

国名 比率 対象年
アメリカ 8.63 2000
イギリス 6.67 1999
フランス 4.11 2001
日本 2.28 2004
ロシア 7.65 2002
ブラジル 23.45 2003
中国 12.20 2004
インド 5.51 2003
メキシコ 11.25 2004

資料出所:IMF『World Economic Outlook Oct.2007』

総務省の発表によれば、2004年の日本のジニ係数は0.278で、1999年より0.005上昇したとされる(しかし逆に家計調査では1999年より0.018減少している)。これは比較可能なOECD加盟国24か国の中で上から12位に位置し、国際的に中位に位置すると同省は評価している。

経団連の発表によれば、2000年の成人一人当たり純資産のジニ係数は、G7中最も低い0.547であり、日本はG7中最も保有資産の格差が少ない国となっている。[4]

[編集] 日本

現代日本の社会で「格差」を言う場合、主に経済的要素、それも税制や社会保障による再分配前の所得格差を指していることが多い。ここでは経済的要素 に関する格差社会および格差拡大について詳説する。

1998年頃に中流崩壊が話題となり、格差社会論争が注目されるようになった。主として社会的地位教育経済の3分野の格差が議論となっている。2006年新語・流行語大賞の上位にランクインしている。日本社会が平等かつ均質で、一億総中流と言われていた時期(高度成長期からその後の安定成長期頃まで)においては、所得面での格差社会が問題になることはなかった(ただし、諸外国と比較すると1980年代の日本の収入格差は大きかったという指摘がある[5])。バブル期には、主に株価や地価の上昇(資産インフレ)を背景として「持てる者」と「持たざる者」との資産面での格差が拡大し、勤労という個人の努力とは無関係に格差が拡大したとして[6]、当時問題視されることが多かったが、その後のバブル崩壊による資産デフレの進行とともに資産面での格差は縮小した。

2000年代に格差社会がテーマとして取り上げられている際は、一定の景気回復を前提とした上で、企業利益・賃金の増加のアンバランス、ないしは、その陰で進行している不具合という視点が取られることが多い。マスコミや野党などは、当初、単に格差社会を指摘するものであったが、次第に格差の拡大、世襲化という点を強調する傾向が強まっている。格差社会を指摘する場合は、他国との比較において日本の格差社会は顕著なものかどうかという視点が取られることが多いが、格差拡大を指摘する場合は、過去の格差状況との比較が中心的な視点となる。

小泉政権期のあいだに一種のブームとして種々のメディアを賑わせたこの言葉は、それになぞらえる概念、例として恋愛格差などの様々な概念の生みの親ともなった。

ただし、小泉政権以前から存在していた以上の格差が存在するようになったのか、格差が拡大しているのか、については争いがある(例えば、小泉内閣2001年4月26日2006年9月26日)において、非正規雇用者の増加が進んだと言われることがあるが、統計では小泉内閣以前から増加している)。総務省の全国消費実態調査では、高齢者層における格差の縮小と、30歳未満の若年層における拡大傾向が見られる。

また、格差の実態を調査するため、様々な主体によって様々な統計が取られている。しかし、格差が存在するか否か、現在どの程度の格差が存在するか、ということはある程度分かりやすいものの、その格差が問題のあるものか否か、階層間の遷移が不能もしくは困難となっているか否か、というような評価については論者によっても異なり、明確なものではない。

なお、諸外国との比較では、日本の格差は非常に小さいという(『World Economic Outlook Oct.2007』)[1]

過去の日本の格差社会については#過去の日本の格差社会を参照のこと。

[編集] 注目の契機

正社員の減少、非正社員の増加により、就職難にあえぐ若年層の中から登場した、安定した職に就けないフリーターや職自体に就こうとしないニートといった存在が注目されるようになったこと、ジニ係数の拡大や、ヒルズ族などセレブブームに見られる富裕層の豪奢な生活振りが盛んに報じられるようになったことなどを契機として、日本における格差社会・格差拡大が主張されるようになった。

[編集] 地域による格差

県民経済計算を使用してジニ係数を作成すると、県民所得は1990年から2004年にかけてジニ係数は縮小しており、格差の縮小を示している。県内総生産でも1990年から2004年にかけてジニ係数は縮小しており、格差の縮小を示している[7]

ただし、地域格差については「東京都はにぎわっているが、地方は停滞している(実際には、東京都の中でもさらに自治体によって格差がある)」「名古屋は、日本で一番栄えているデンソーアイシン精機など多数の自動車関連工場があるにも関わらず、シャッター通り等、地方も真っ青の駅前の寂れっぷりを誇る刈谷市や、一人当たりの所得は高いはずなのに、床面積当たりの売上が低迷している名古屋市など、必ずしも好況とは言い難い)」など、実態と乖離したイメージで語られることが非常に多い[8]

もともと、地方によって産業構造、人口分布が異なっていることから、地方によって財政状況に差があるのは当然である。このため、従来から公共事業や補助金によって、再配分が行われてきた[9]。しかし近年、公共事業や補助金は世論の求めや財政赤字の拡大の中で削減されており、これまで国が地方へ回していた予算や地方交付税が大幅に減らされたため、積み重ねられた地方債などの借金の負担と相まって、財政状況が苦しくなる地方自治体が相次いでいる。

2006年には北海道夕張市財政再建団体(事実上の自治体の“倒産”)に転落し、深刻な地方自治体の財政状況が明らかになった。自民党内部には「夕張市の破綻は自己責任」とする主張も根強いが、中央集権の行財政システムを背景とする中央政府の責任転嫁ではないかとの指摘も出されている。なお、その後夕張市以外にも日本各地に複数の“転落予備軍”の自治体が確認されており、「第2の夕張」の懸念がなされている。

もっとも、地方自治体については「自治体や住民に経営センスが無く、怠慢・無為無策であることが、地域経済を停滞させている」と藻谷浩介日本政策投資銀行地域振興部参事役)は指摘している[8]

  • 刈谷市を例に挙げれば、多数の工場があり、労働者が駅を利用するにもかかわらず、全然繁栄していない。駅前の土地は、農民が所有しており、農民は土地の値上がりを期待して、土地を全然売らない。その為、商業施設も出来ない状況である。駅前の土地の値段は格段に向上し、近郊の土地も農民が農地を売らない為、名古屋市よりも、田舎の刈谷の土地の値段が上がった。土地を買えるのは、トヨタ系の役職者のみで、トヨタ系一般従業員(トヨタ下請け・派遣・期間工)などは、絶対購入不可能である。
  • 夕張市を例に挙げれば、夕張メロンという特産品があるにも関わらず、関連商品(例えば夕張メロンゼリーで有名な株式会社ホリ砂川市にある。夕張メロンの生産に必要な道具等も、市内に企業等はないという)の企業を市内に持たなかった。その結果、夕張メロンが売れてもその利益が市や地元に還元されない状況となった。

[編集] 産業間・企業規模における格差

企業の収益について見ると、各産業間の好不況に加えて、企業規模によっても収益力に格差が生じている。中小企業は、大企業に比べ収益の増加がそれほどでもない。

[編集] 過去の日本の格差社会

[編集] 格差の発生の背景

大元には、「何を格差ととらえるか」という国民の意識の変化がある。そして、意識の変化には社会の変化が影響を与えている[10]

また、実態を適切に把握せずに、イメージ論で語る状況もあるという[7]

[編集] 経済構造の変化

高度成長から低成長への変化、工業製品の大量生産・大量消費のオールドエコノミーから情報やサービスを重視するニューエコノミーへの変換、IT化、グローバル化により、企業の求める社員像は、「多数の熟練社員(多数の学生を採用し、OJTによって育て上げ、熟練職員にしていく)」から、「少数の創造的な社員と、多数の単純労働社員」とに変化していった。この流れは、バブル崩壊による長期不況及び、1997年の山一証券の破綻に端を発した金融不安に対応する社会経済の構造改革などによって加速した[10]年功序列制度の廃止、正社員ベアゼロなどの給与抑制や採用抑制、人員削減が行われ、パートアルバイトや契約社員[11]などの賃金が安い非正規雇用者が増加した。全雇用者にしめる非正規雇用者の割合は、1980年代から増加傾向で推移しており、2005年には全雇用者の約3割を占めている[12]

[編集] 学校システムの機能不全

企業の求める社員の像、規模が変化したことにより、企業に人材を送り出す、学校を取り巻く状況も変化した。企業が多数の正社員を必要としなくなったため、良い大学を出ても、良い企業に採用してもらえるとは限らなくなった。また、各個人の価値観も多様なものとなり、学生の方でも、必ずしも一流大企業と言われる企業を望まなくなった。これにより、「良い大学を出て、良い企業に入る」というシステムがうまく働かなくなった。

また、受験競争の過熱もあって、塾や予備校などが普及し、公立学校の地位は低下しており、一般に一流と言われるような難易度の高い大学に進学するには、義務教育や公立校によってなされる授業のみでは事実上不可能と言え、保護者にある程度の資力がないと教育に要するコストを十分負担することが出来なくなっている。

[編集] 家庭の変化

「大家族で、夫が外で働き、妻は専業主婦として家事をこなす」というモデルが主流であった頃は、以下のような対策を取ることによって社会リスクを回避し、格差を顕在化させなかった[10]

収入低下のリスク
家庭の稼ぎ手は夫のため、年功序列制度によって将来の収入増の見通しを立てるとともに、夫が亡くなった場合は遺族年金などによって収入をカバーしていた。
老化のリスク
老化し働けなくなった場合は、子供に養ってもらうことによって生活することを前提としていた。

だが、この家庭モデルは、核家族化、離婚増による母子家庭化によって崩れていく。さらに、「社会リスクを回避するためのもの」だった家庭は、変化によって逆に「社会リスクを増幅し、格差を生産するためのもの」へとその役割を変えていった[10]

(例)

夫、妻の父母が裕福かどうか
裕福な父母がいれば、援助が受けられるが、貧しい父母がいれば、介護をしなければならず、負担となる

[編集] 格差が発生するタイミング

格差は、人生の中で主に3つの段階で発生する[10]

就職のタイミング
就職は生涯の収入に深く関わるため、就職に失敗すると格差が生じる。特に日本のように新卒採用に偏っていると、再チャレンジの機会が少なく、格差が固定化されやすい。
出産・育児のタイミング
出産・育児の時期は労働機会が減るため、リスクにさらされたときに格差が生じやすい。
高齢化のタイミング
老人になると、収入が増える機会が激減する一方で、健康を害するなどリスクが高まる。さらに「子供がいる・いない」「家がある・無い」「蓄えがある・無い」といった状況の違いが人によってあるため、格差が生じやすくなる。

[編集] 格差の再生産・固定化

[編集] 貧困の文化

1960年代以降のアメリカでは「貧困の文化Culture of povertyという概念が提示され、格差の再生産・固定化に強く関与していると言われている。「貧困の文化」とは貧困者が貧困生活を次の世代に受け継ぐような生活習慣や世界観を伝承しているサブカルチャーであり、このサイクルを打破することが格差社会を解決するために不可欠だ、という考えが広がっている。この概念は人類学者オスカー・ルイスOscar Lewisの著書「貧困の文化―メキシコの“五つの家族”」からその名を取る。民主党のモニハン上院議員Daniel Patrick Moynihanのレポートなどに採用され、アメリカの対貧困政策に大きな影響を与えている。日本ではまだ広く認識されていない。

[編集] 教育による階層化

教育により、階層化が進むという指摘もある。

山田昌弘は、「勉強をして良い大学に入れば、良い企業に入れるといった社会の仕組み(パイプラインシステム)が、社会がリスク社会になることによって十分に機能しなくなった。一方で、パイプラインシステムは機能停止はしていないので、勉強すれば報われると思っている人は、勉強をすることによって良い企業に行く傾向にある一方で、勉強しても効果はないと思っている人は、勉強をせず就職もうまくいかなくなる傾向にある」と指摘している[13]

これに関連して、内田樹は「上流階層は努力が報われると信じており、下流階層は努力をしても意味はないと信じている(「勉強をしても良い企業に入れるとは限らない。だから勉強をする必要はない」と、「そもそも勉強をしなければ良い企業には入れない。だから勉強をする」の違い)。子供は自分が所属する階層の価値観に従うため、上流階層の子供は勉強をする一方で、下流階層の子供はむしろ勉強を否定することに価値を見いだす。こうして階層化は加速度的に進行した」と述べている[14]

データとしては、収入の高い家庭ほど進学率が高いという調査結果がある。

[編集] 「上離れ」と「底抜け」

格差には、上位層がますます良くなる「上離れ」と、下位層がさらに落ち込む「底抜け」(例えばワーキングプアなど)がある。このうち、「底抜け」の増加が、社会に与える不安が大きくなる[10]

「底抜け」層は

  • 収入が低い
  • 努力が報われないと思う
  • 未来に希望がもてない

などの特性を持つため、この層の増加は、社会の活力が失われたり、犯罪の増加などにより社会が不安定化する[10]

[編集] 格差の是正

[編集] 再配分

社会政策の観点からは、再分配の仕組みとしては、社会保険や直接税等による富の再分配を通して格差を是正することが考えられる。しかし、社会保険には逆進性という問題もある。また、行き過ぎた再分配が経済成長にはマイナスに働くという意見もある。

厚生労働省の所得再分配調査で見ると、再分配前の当初所得は1996年の0.441(ジニ係数)から2005年の0.526へと拡大の一途をたどっているが、再分配後の所得で見るとわずかな拡大にとどまる(0.361→0.387)。この背景としては直接税による改善度が低下する反面、社会保障による改善度が上昇していることがあげられる。全体的には、ほとんどが社会保障による改善となっている。

1989年に本格的な間接税である消費税が導入され、相続税は2003年度税率改定などで軽減されている。消費税などの間接税は逆累進的な性質がある税制であり、また相続税の軽減は本人の努力なしで手に入れた財産を保護するもので、格差の固定化・助長につながるという批判がある。

なお、低所得者にはほとんどメリットがないと言われていた所得税と個人住民税定率減税1999年より実施)は、2005年度から段階的に廃止されている。

地域間の自治体の収入格差に対しては、消費税の地方への配分のを引き上げが検討されたり[15]、中には東京都を国の直轄地域にしてしまおうという意見もある(地方分権改革推進委員会)[16]

[編集] 教育・訓練

他には、格差是正のために「教育の拡充」「技術革新により賃金の低下を余儀なくされた低技能労働者の再訓練」を提言する意見もある[3]

国際通貨基金の報告書『World Economic Outlook Oct.2007』(世界経済概要2007年10月版)では、格差是正のためには、職業教育・訓練機会の増加によって高技能者を増やすことによって所得水準の底上げ、格差の縮小が行えるとしている[3]

  • 技術革新
IT化などの技術革新により生産性が向上すると、低技能の労働者の価値が相対的に下がり、高技能な業務を行う労働者の価値が相対的に上がる
  • 教育
教育を受ける機会が平等になるほど、高技能な労働者の比重が高まり、所得が底上げされることによって格差が小さくなる

[編集] 格差社会に対する評価

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[編集] 肯定的評価

格差については、「格差は、頑張った人が報われた結果生じるもので、格差がある社会自体は否定されるべきではない」というように肯定的に捉える論者も多い。小泉純一郎安倍晋三中西輝政竹中平蔵奥田碩宮内義彦御手洗冨士夫三浦朱門八代尚宏(つまり新自由主義を奉じる人々)などが肯定的な発言をしている。また、「格差論は甘えです」(奥谷禮子)、「格差は能力の差」(篠原欣子)などの発言もある。

一方で、「『勝ち組』と聞くと近年の金融ファンドなどヒルズ族デイトレーダーがネット端末の前に座ったままクリック一つのマネーゲームで楽に利益を追求する株式・証券投資などのイメージが強いが、実際には『勝ち組』の中にも一生懸命働いて儲けを手に入れている人もおり、安易に『アリとキリギリス』の論理で勝ち組を批判するのは早計である」という意見も出されている。

あるいは、「そもそも格差社会を率先して批判しているメディア業界自体が一部の企業の会長、社長、取締役など経営陣とその他の社員との格差が大きいとされているので恵まれた境遇の「勝ち組」が格差社会を批判していても形式的に過ぎず、このように報道することで逆に負け組の不満から来る社会的不満を抑制しているというのではないか?」という意見がある。

[編集] 批判

格差を肯定的に捉える論者は、格差の存在の可否のみを述べるに留まり、格差の程度問題(実際の格差の程度が人の能力や努力の違いによる価値差等)については踏み込んだ発言をしないものが大半である。また、階層間の遷移可能性についても触れることは少ない。実際、格差社会を肯定する発言をする者は、自身が経済上著しく恵まれたポジションにある事が多く、自己肯定の発言と受け取られる事もある。例えば小泉純一郎は、首相退任後に国会内の自民党控室で中川秀直幹事長らと会い、「『格差はどんな時代にもある』と、なぜはっきりと言わないんだ。自分は予算委員会で言い続けてきた。君たちは日本が近隣諸国より格差があると思うか」と持論を展開したが、 自身は世襲政治家(3世)として著しく恵まれた境遇にあり、下層や貧困層への理解がないとの批判がある。

格差社会肯定論に対しては、生活保護世帯が増加し続けて100万世帯を超えたことや、ワーキングプアが増加していることなど、貧困層の拡大を指摘して批判する声がある。また、注目される企業の事件・事故、経営者に不祥事があると格差社会肯定の前提である「努力した者が報われる」という命題自体に対して疑問が出されることもある。「いつの時代にも格差はあるが、それを是正もしくは下級層を保護するのが政治の役割ではないか」と苦言を呈する者もいる。また、親の収入がその子供の受けられる教育レベル、しいては将来の子供の収入にも影響するという形で、格差が世襲状態となる事を危惧する意見もある。

格差社会の影響として、過少消費説などをもとに、経済活動の衰退、生活水準の悪化、経済苦による多重債務者の増加、経済苦によるホームレスの増加、経済苦による自殺者の増加などを懸念する声があり、また、国民の公平感が減少することで規範意識の低下、治安の悪化が起こることを懸念するものもいる。なお、かかる議論等において、論者が用いている「格差」なる用語が、いかなる差が生じた場合までを含めて議論しているかについては、必ずしも共通理解があるわけではない。

山田昌弘苅谷剛彦は、「努力が報われる社会」以前に、「格差社会においては、努力する環境に格差が生じている(親の収入・教育水準・教育に対する意識等の家庭環境、子供のやる気等)」と[10][17]、また湯浅誠は自著『貧困襲来』で「努力が報われる・報われない」以前に「貧困が存在する事」自体が問題であると指摘している。


[編集] 他国での状況

[編集] アメリカ

「アメリカンドリーム」という言葉があるアメリカだが、特にレーガノミックス以降格差の拡大・固定化が危惧されている[18]

例えば、ニューヨーク市の上位層と下位層の格差(上2割と下2割の所得の比率)は、40倍となっている。この中には黒人層の失業率が高いなど、人種問題も影を落としているという[18]

[編集] 原因

原因として以下のものが挙げられている[18]

グローバリゼーション
世界中を対象に雇用アウトソーシングが行われるため、アメリカ国内の賃金水準が「世界の安い額」に引き下げられる傾向がある[18]
小さな政府
規制緩和富裕層の減税による競争原理の拡大[18]
株価至上主義
株価を上げることを第一の目的とし、レイオフをいとわない[18]
退職者の再雇用
若年層の就職機会を奪っている[18]
医療費負担
個人の破産のうち、半数以上の原因は医療費負担だという(なお、アメリカは先進国で唯一、国民皆保険制度がない(2007年時点))[18]。これはカードローンによる破産より多い。
個人主義の浸透
個人主義の考え方が浸透しているため、「成功も失敗も個人の努力」と考えるため[18]

[編集] フランス

フランスは経済は好調(2007年時点)なものの、雇用格差(若年層、移民失業率が高い)が大きく、2005年パリ郊外暴動事件が起こるなど社会問題となっている[18]

[編集] 原因

フランスは労働者を手厚く保護しているが、これが雇用格差を生み出しているという[18]

解雇の制限による就業機会の減少
上述したとおり、労働者が労働法によって手厚く守られているため、経営者は解雇がしづらい。解雇が困難なため、経営者は景気等に対応して雇用調整を行うことが簡単にはできない。その結果、新規雇用のリスクが高くなってしまっている[18]
最低賃金の高さによる就業機会の減少
フランスの最低賃金は、欧州でも高い水準となっている。そのため、技能水準が低く、経験が少ない若年層、移民を雇いづらくなる[18]

仮に自社には不適切な者を雇ってしまったとしても、解雇しづらく、高い賃金を支払わなければならない状況では、経営者は雇用に対して慎重になる。フランスの雇用政策は、「現在の雇用を守る代わりに、新たな雇用の機会を奪う」形となってしまっており、これが雇用格差を生み出しているという[18]

ワークシェアリングとして導入された「週35時間労働」も、雇用拡大に役立たず、経済成長を鈍化させているとして批判されているという[18]

この現状への対策として、レイオフを可能な体制(ジョルジュ・デュ・メニルが発言)が挙げられている[18]

[編集] 日本以外の過去の格差社会

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[編集] 脚注

  1. ^ a b c 『世界で格差拡大、解消策は教育 富裕層の所得増要因--分析公表』2007年10月10日付配信 毎日新聞
  2. ^ 例えば、ニューズウェーク日本語版 2007年12月5日号では「経済学の通説では、格差の拡大はグローバル化と自由貿易の避けがたい副産物であとされている」と紹介されている。
  3. ^ a b c d 『所得格差拡大論の誤謬』2007年10月25日 日経ビジネスオンライン
  4. ^ [1]
  5. ^ 『日本の経済格差』橘木俊詔(岩波書店 1998年)
  6. ^ 労働経済白書H2
  7. ^ a b 『地域間格差拡大論のウソ』日経ビジネスオンライン2007年8月7日号
  8. ^ a b 藻谷浩介 『実測!ニッポンの地域力』 日本経済新聞出版社、2007年9月。ISBN 9784532352622
  9. ^ 「我が国の経済格差の実態とその政策対応に関する研究会」報告書(財務総合政策研究所)
  10. ^ a b c d e f g h 『新平等社会』著:山田昌弘 文藝春秋 2006年9月
  11. ^ 企業経営者が、人件費削減と雇用調整要員(いつでも解雇できる要員)確保のために、新規採用を抑制するとともに、正社員より安い賃金体系のアルバイトパートタイマー契約社員派遣社員などの非正社員の採用を進めていったとされる
  12. ^労働力調査』(厚生労働省
  13. ^希望格差社会』(ISBN:978-4480423085 山田昌弘)
  14. ^ 『下流志向(ISBN:978-4062138277 内田樹 2007年)』
  15. ^ 2007年4月15日付配信 読売新聞
  16. ^ 2007年4月17日付配信 時事通信
  17. ^ 『階層化日本と教育危機』著:苅谷剛彦 有信堂高文社 2001年7月
  18. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 2007年10月6日号 週刊東洋経済

[編集] 関連項目

[編集] 参考文献


他の言語


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