賃金
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賃金(ちんぎん)とは、名称のいかんを問わず、雇用契約における労働の対価として、使用者が労働者に支払うすべてのものをさす。労働基準法では通貨で直接支払う事と定められている。貨幣によるのが一般的。
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[編集] 労働基準法での賃金
- 第3章 賃金
- 賃金の支払(第24条)
- 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。
- 例外
- 法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合。
- 法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合。
- 賃金は、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので臨時の賃金等については、この限りでない。
判例:群馬県教職員給与減額支払等請求(最高裁判例 昭和45年10月30日)
- 給与過払による不当利得返還請求権を自働債権としその後に支払われる給与の支払請求権を受働債権としてした相殺が規定に違反し許されないとされた。
[編集] 賃金の支払い方法
[編集] 支払いの単位
賃金支払いの単位については次のようなものがある。
- 時給制
- 時間単位の賃金
- 日給制
- 一日単位の賃金
- 日給月給制
- 一日単位の賃金を一月分まとめて支払うもの
- 月給制
- 月単位の賃金
- 年俸制
- 一年間の賃金
[編集] 支払い方法
- 日払い
- 労働日ごとに支払うもので、短期的な労働(日雇い労働など)で用いられる。
- 週払い
- 一週間単位で支払われるもので、日払いと同じく短期的な労働で用いられる。
- 月払い
- 毎月一定期毎に支払われるもので、比較的長期的な労働で用いられる。
などがある。
[編集] 賃金体系
賃金は労働者の労働の対価であるが、労働に対する価値をどのように算出するかは、雇用する会社や労働内容によって大幅に異なる。たとえば、一般的な会社での賃金は以下のような項目を加算していったものである。
- 基本給
- 扶養給
- 資格給
- 各種諸手当
[編集] 職種別賃金
営業や研究などといった職種ごとに、賃金体系が異なる形態。そのため、人事考課で「一律な基準では職種ごとの特性を反映することが出来ない」といった不満を解消したり、競争力の高い職種の賃金を上げることによって優秀な人材を確保することが出来る。
米国などでは一般的な制度で、日本でも花王や富士電機などが導入している。財団法人 社会経済生産性本部の日本的人事制度の変容に関する調査も参照されたい。
[編集] 公務員の賃金
公務員の場合、職種やその身分によって「級」「号」が設定されている。なお、公務員の場合は賃金(給料)については、必ず法律・条例に基づいて支給される。
- 教育職の場合、1級は臨時職員(常勤)・実習助手、2級は教諭、3級は教頭、4級は校長といったように分類され、各級の中で複数の号が設定されている。同じ号でも、号が高いほど金額が高くなる。級が上がれば昇給となる。
また給与には、職種ごとに手当が加算される。
[編集] 賃金の確保
賃金収入は、労働者の生活の根幹を成すものであり、労働者は、賃金を得ることができなくなれば、生活を営むことができない。そこで、賃金の不払いは、犯罪として処罰される(労働基準法24条1項本文、120条1号)。
企業(個人企業含む)が倒産した場合、賃金については、優先的に弁済を受けることができる(民法306条2号、破産時には財団債権となる)。また、未払いとなっている賃金の一部については、独立行政法人労働者健康福祉機構に支払を請求することもできる(詳しくは、未払賃金の立替払事業を参照)。
[編集] 賃金に関する統計
主要な統計には以下のものがある。
- 厚生労働省『毎月勤労統計』…給与額、労働時間、労働者数等に関する統計、速報的な内容
- 厚生労働省『賃金構造基本統計調査(賃金センサス)』…職種別産業別、事業所規模別等の賃金、最も大規模で代表的な指標と言われている
- 厚生労働省『賃金引上げ等の実態に関する調査』…賃上げの水準について
- 国税庁『民間給与実態調査』…個人への調査が対象
- 人事院『職種別民間給与実態調査』…人事院勧告の基礎資料