国税庁
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国税庁(こくぜいちょう、英字表記:National Tax Agency)は、国家の歳入確保のため、所得税・法人税・相続税(以上、直接国税)、酒税・消費税(以上、間接国税)などの国税(中央税)の課税・徴収を行う財務省の外局である。財務省主税局が税制の企画・法制化などにかかわるのに対して、租税制度を執行する機関としての位置付けになる。
また、国税庁の地方組織として、11の国税局、1つの事務所、524の税務署が置かれている。税務署では、個人の場合、毎年2月中旬から3月中旬にかけて確定申告を行う。なお、法人の場合は決算期の終了から2カ月以内に確定申告することになっている。 なお、酒販免許・酒造免許などは税務署長が権限を持っており、国税庁(大蔵省→財務省)は、「酒」業界の所轄官庁でもある。
東京、大阪、名古屋の国税局には映画「マルサの女」で有名になった査察部がある。(その他の国税局は本庁と同じく調査査察部で査察業務を扱う。)
目次 |
[編集] 沿革
- 大蔵省主税局の一部など、徴税担当部門を母体として発足。
- 本庁は、総務部、直税部、間税部、調査査察部の4部制。
- 所在地は内幸町の東拓ビル。
- 1950年5月4日 - 国税庁協議団及び国税局協議団(後の国税不服審判所)設置。
- 1951年4月1日 - 国税庁次長を新設。本庁の総務部を分割して、長官官房と徴収部を設置。
- 1956年3月23日 - 旧大蔵省庁舎の接収解除により千代田区内幸町から移転。
- 1959年4月13日 - 間税部酒税課所属の醸造試験所を国税庁直属の附属機関とする。
- 1964年6月18日 - 税務講習所を税務大学校に拡充。
- 1970年5月1日 - 国税不服審判所発足(協議団廃止)。
- 1986年5月23日 - 長官官房国税審議官1名を新設。(国際業務を担当)
- 1991年7月10日 - 税目別の徴税体制から納税者別の徴税体制に移行。
- これに伴い、本庁の直税部と間税部を課税部に統合。
- 長官官房国税審議官を1名増員。(酒類行政及び酒税徴収事務の担当)
- 1995年7月10日 - 醸造試験所を東京都北区滝野川から広島県東広島市の広島中央サイエンスパークに移転し、醸造研究所に改組。
- 1998年7月10日 - 税務大学校の本校校舎を新宿区若松町と船橋市から埼玉県和光市に移転統合。
- 2001年1月6日 - 中央省庁再編により、国税庁は財務省の外局となる。
- 長官官房国税審議官は長官官房審議官に改称。(定員2名)
[編集] 所在地
[編集] 組織
[編集] 幹部
- 国税庁長官
- 国税庁次長
[編集] 内部部局
- 長官官房(官房長不置)
- 課税部
- 課税部長
- 課税総括課
- 消費税室
- 審理室
- 課税企画官
- 個人課税課
- 資産課税課
- 法人課税課
- 酒税課
- 酒税企画官
- 資産評価企画官
- 鑑定企画官
- 徴収部
- 徴収部長
- 管理課
- 徴収課
- 調査査察部
- 調査査察部長
- 調査課
- 国際調査管理官
- 査察課
[編集] 審議会等
- 国税審議会
[編集] 施設等機関
[編集] 特別の機関
[編集] 地方支分部局と管轄
[編集] 現役の在籍幹部
- 牧野治郎:国税庁長官
- 佐々木豊成:国税庁次長
- 井阪 嘉浩:国税庁長官官房審議官
- 西村善嗣:国税庁長官官房審議官
- 荒井英夫:国税庁課税部長
- 秦邦昭:国税庁徴収部長
- 杉江潤:国税庁調査査察部長
[編集] 歴代の国税庁長官
- 長官空席時の国税庁長官心得はいずれも国税庁次長が兼務
- 前職は特段記載無ければ大蔵省(財務省)職責、同末尾に※印を付したのは長官退任後に大蔵事務次官を務めたことを指す。
代 | 氏名 | 前職 | 在任期間 | 退任後の主要な役職 | |
---|---|---|---|---|---|
1 | 高橋衞 | 広島財務局長 | 1949年6月1日 - 1952年12月27日 | 参議院議員、経済企画庁長官 | |
2 | 平田敬一郎 | 主税局長 | ※ | 1952年12月27日 - 1955年7月19日 | 日本開発銀行総裁 |
3 | 阪田泰二 | 理財局長 | 1955年7月19日 - 1956年7月6日 | 日本専売公社総裁 | |
4 | 渡邊喜久造 | 主税局長 | 1956年7月6日 - 1957年11月15日 | 公正取引委員会委員長 | |
5 | 北島武雄 | 管財局長 | 1957年11月15日 - 1960年4月12日 | 北海道東北開発公庫総裁、公正取引委員会委員長 | |
6 | 原純夫 | 主税局長 | 1960年4月12日 - 1962年5月1日 | 東京銀行頭取、会長 | |
心得 | 白石正雄 | (国税庁次長) | 1962年5月1日 - 1962年5月16日 | 会計検査院長 | |
7 | 木村秀弘 | 防衛庁経理局長 | 1962年5月16日 - 1965年2月5日 | 日本専売公社総裁 | |
8 | 吉岡英一 | 理財局長 | 1965年2月5日 - 1965年11月16日 | 日本開発銀行総裁 | |
9 | 泉美之松 | 主税局長 | 1965年11月16日 - 1968年6月7日 | 日本専売公社総裁 | |
10 | 龜徳正之 | 大臣官房長 | 1968年6月7日 - 1969年8月6日 | 協栄生命保険社長、会長 学校法人東洋英和女学院理事長 |
|
11 | 吉國二郎 | 主税局長 | ※ | 1969年8月6日 - 1972年6月27日 | 横浜銀行頭取、会長 |
12 | 近藤道生 | 銀行局長 | 1972年6月27日 - 1973年6月26日 | 博報堂社長、会長 | |
13 | 安川七郎 | 日本銀行政策委員会委員 | 1973年6月26日 - 1975年7月8日 | 日本債券信用銀行頭取 | |
14 | 中橋敬次郎 | 主税局長 | 1975年7月8日 - 1976年6月11日 | 国土事務次官、地域振興整備公団総裁 | |
15 | 田邊博通 | 銀行局長 | 1976年6月11日 - 1977年6月10日 | 沖縄振興開発金融公庫理事長 | |
16 | 磯邊律男 | 東京国税局長 | 1977年6月10日 - 1980年6月17日 | 博報堂社長、会長 | |
17 | 渡部周治 | 東京国税局長 | 1980年6月17日 - 1982年6月1日 | 関西電力副社長、関電産業社長 | |
18 | 福田幸弘 | 主税局長 | 1982年6月1日 - 1983年6月7日 | 参議院議員 | |
19 | 水野繁 | 証券局長 | 1983年6月7日 - 1985年6月25日 | 日本たばこ産業社長、整理回収銀行社長 学校法人東京経済大学理事長 |
|
20 | 梅澤節男 | 主税局長 | 1985年6月25日 - 1987年6月23日 | 公正取引委員会委員長 | |
21 | 窪田弘 | 理財局長 | 1987年6月23日 - 1988年12月27日 | 北海道東北開発公庫総裁 日本債券信用銀行頭取、会長 |
|
22 | 水野勝 | 主税局長 | 1988年12月27日 - 1990年6月29日 | 日本たばこ産業社長 | |
23 | 角谷正彦 | 証券局長 | 1990年6月29日 - 1991年6月11日 | 中小企業金融公庫総裁 | |
24 | 尾崎護 | 主税局長 | ※ | 1991年6月11日 - 1992年6月26日 | 国民金融公庫総裁、国民生活金融公庫総裁 |
25 | 土田正顯 | 銀行局長 | 1992年6月26日 - 1993年6月25日 | 東京証券取引所理事長、社長 | |
26 | 濱本英輔 | 主税局長 | 1993年6月25日 - 1994年7月1日 | 北海道東北開発公庫総裁、全国労働金庫協会理事長 ロッテ副社長、千葉ロッテマリーンズ社長 |
|
27 | 寺村信行 | 銀行局長 | 1994年7月1日 - 1995年5月26日 | 国家公務員共済組合連合会理事長 | |
28 | 小川是 | 主税局長 | ※ | 1995年5月26日 - 1996年1月5日 | 日本たばこ産業会長、横浜銀行頭取 |
29 | 日高壮平 | 証券局長 | 1996年1月5日 - 1997年7月15日 | 金融情報システムセンター理事長 | |
30 | 竹島一彦 | 経済企画庁長官官房長 | 1997年7月15日 - 1998年1月30日 | 内閣官房副長官補、公正取引委員会委員長 | |
心得 | 舩橋晴雄 | (国税庁次長) | 1998年1月30日 - 1998年1月31日 | 国土交通審議官 | |
31 | 薄井信明 | 主税局長 | ※ | 1998年1月31日 - 1999年7月8日 | 国民生活金融公庫総裁 |
32 | 伏屋和彦 | 金融企画局長 | 1999年7月8日 - 2001年7月10日 | 内閣官房副長官補、会計検査院長 | |
33 | 尾原榮夫 | 主税局長 | 2001年7月10日 - 2002年7月9日 | 国家公務員共済組合連合会理事長 | |
34 | 渡辺裕泰 | 財務総合政策研究所長 | 2002年7月9日 - 2003年7月8日 | 早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授 | |
35 | 寺澤辰麿 | 理財局長 | 2003年7月8日 - 2004年7月2日 | 独立行政法人都市再生機構理事長代理 駐コロンビア大使 |
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36 | 大武健一郎 | 主税局長 | 2004年7月2日 - 2005年7月13日 | 商工組合中央金庫副理事長 | |
37 | 木村幸俊 | 関税局長 | 2005年7月13日 - 2006年7月28日 | 損害保険料率算出機構副理事長 | |
38 | 福田進 | 主税局長 | 2006年7月28日 - 2007年7月10日 | ||
39 | 牧野治郎 | 財務総合政策研究所長 | 2007年7月10日 - |
[編集] その他の出身者
- 品川芳宣:元高松国税局長、元筑波大学大学院教授、早稲田大学大学院教授
- 岡田至康:初代国税庁長官官房国際業務課長、元国税庁長官官房審議官、移転価格税制の専門家、税理士法人中央青山顧問、中央青山租税戦略研究所長
- 川田剛:元仙台国税局長、税理士、国士舘大学教授
- 野村興児:元国税庁調査査察部長、山口県萩市長
- 平岡秀夫:元国税庁課税部法人税課長、衆議院議員(山口2区・民主党)
- 山村紅葉:女優
[編集] 関連書籍
- 落合博実『徴税権力~国税庁の研究』(文藝春秋、2006年)ISBN 9784163687408