アリとキリギリス
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アリとキリギリスは、イソップ寓話のひとつ。
元は『アリとセミ』だったが、セミは熱帯・亜熱帯に生息し、地中海沿岸を除くヨーロッパではあまりなじみが無い昆虫のため、ギリシアからアルプス以北に伝えられる翻訳過程で改編された。日本に伝わった寓話はアルプス以北からのものであるため、日本では『アリとキリギリス』で広まっている。英語では、The Ant and the Grasshopper、The Grasshopper and the Ant、The Grasshopper and the Antsなどと表記される。
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[編集] あらすじ
夏の間、アリたちは冬の間の食料をためるために働き続け、キリギリスは歌を歌って遊び、働かない。やがて冬が来て、キリギリスは食べ物を探すが見つからず、アリたちに頼んで、食べ物を分けてもらおうとするが、「夏には歌ってたんだから、冬には踊ったらどうだ?」と断られる。
なお、日本においては、それでは残酷だというので、アリが食べ物を恵み「私は、夏にせっせと働いていた時、あなたに笑われたアリですよ。あなたは遊び呆けて何のそなえもしなかったから、こうなったのです」とキリギリスに告げる話に改変される場合もある。これは儒教(儒学)的思想、仏教的思想からきたものである。
経済学者の竹内靖雄が「イソップ寓話の経済倫理学」(PHP研究所)で披露したパロディーでは、冬になった時にキリギリスは「さて、そろそろ働かないと」と言ってコンサートを開き、アリから入場料として食べ物をもらう。
[編集] 教訓
将来のことを考えずに行動すると、その将来が訪れた時に、困ることになる。将来の事を考え、働ける好機を生かすことで、長期的に大きな効果を得ることができる。また、勤勉な人物や、誠実な人々はしばしば独善的で残酷な振る舞いをしがちだ、という戒めもある。
[編集] 義務と権利
冬になるとキリギリスが死ぬパターンについては「いつ来るかも分からない非常事態に備えることは、大変な負担となる。それでも備えていた者は、非常事態には助かる権利がある。一方、備えていなかった者は、死ぬ義務がある。これは、備えていなかった者が生き残るために備えていた者を襲って蓄えを奪うようになれば、集団が崩壊してしまうからである」との指摘がある[1]。