資本主義
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資本主義(しほんしゅぎ、capitalism)とは、経済の仕組みの一種で、資本の運動が基本原理となる体制のことである。資本制とも言う。
社会に貨幣を投下し、投下された貨幣が社会を運動してより大きな貨幣となって回収される場合この貨幣が資本とよばれる。(資本を参照)資本が利潤や剰余価値を生む社会システムのことを資本主義という。
フランス革命前後から活発となった社会経済に対する思索の深まりと、産業革命の進展、18~19世紀にわたって定着した近代的な量産化システムと新たな貧困(旱魃・飢饉や疫病などといった天災によらない、社会的な悲惨)に対する考究から、次第に解明されてきた社会の実相に対する説明のひとつで、19世紀中ごろからイギリスで言葉が用いられ始め、経済学者のカール・マルクスは著書『資本論』の中で「生産手段が少数の資本家に集中し、一方で自分の労働力を売るしか生活手段がない多数の労働者が存在する生産様式」として「資本主義」と定義した。
日本では、明治維新以後を資本主義社会と考えられている。
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[編集] 概要
資本主義が成立する為には商品の生産と商品交換が一般化しており、自己の労働力を商品化する賃金労働者の存在が必要である。資本主義といっても時代や国によって体制には差があるが、一般的に以下のような特徴を持つものであるとされる。
但し、以上のうち、どの特徴が資本主義にとって本質的なものであるか、どの特徴が偶有的なものであるか、については必ずしも意見が一致しない。基本原理としては生産手段を持つ資本家が、賃金労働者を使用して利潤を追求する社会システムである。ただし資本家や労働者という地位は象徴的なものであり、特権的な地位として資本市場が開放されていない状況(ギルド、座.etc)を別にすれば、賃金労働者であっても自己資本を出資することで資本システムからの果実(配当)を獲得することは可能である。また企業オーナーが社長や従業員として、当該企業から賃金を受けることも可能である。
[編集] 資本主義が孕む矛盾・問題点
19世紀における、レッセフェールが最高潮に達した時点で資本主義は様々な問題を抱えていた。
これらに対する反動として大企業や資本家を打倒し労働者が主体の社会を目指すことで、資本主義の抱える様々な問題点を解決する動き(共産主義)が生まれた。
20世紀には多くの共産主義国家が生まれ、資本主義と対決したが現実には労働者が政権を握れば社会の変革が成功するという程甘くは無く、20世紀の終わりには資本主義の勝利が声高に宣伝されるに至った。しかし資本主義のシステムそのものが数々の矛盾・問題点を内包していることに変わりは無く、20世紀半ばには、資本主義国の多くが社会保障や計画的な経済政策を採用し混合経済(修正資本主義)へ移行した。
資本主義は商品化の機能を背景に、拡張する傾向がある。商品化は時に企業倫理観などと衝突し社会問題となる。
[編集] マルクス学派
マルクスは「資本論」の中で「総需要は有限であり、市場は必ず失敗する」という論を展開した。これはリカードらが主唱していた古典的な経済観(古典派経済学)への批判であり、セイの法則に見られる『供給を強化さえすれば需要(購買力)も増大する』という楽観的な観測の否定であった。総需要は自由市場の調節に委ねてはかならず減少してしまい、結局国家の総購買力(国富)も減少してしまう。そのため政府による総需要管理がより優れており、全ての経済活動は管理され、統制されるべきという結論が導かれる。マルクスの考えを敷衍した経済運営では、国民経済計算や産業連環分析などにより、各生産セクターにおける需要量を測定・予測し、それに充当すべき資源を国家が配分するという考えに立つ(計画経済)。
現代的には需要が常に飽和する状態に維持しておくべき分野において、政府による独占経営がされている場合が多い。たとえば健康保険など国民皆保険を政策目標とする場合は、需要がつねに飽和する(供給が十二分に達成されている)状態で維持されるのが望ましい。この場合には国営化はベストチョイスである。
[編集] ケインジアン
ケインズは総需要が有限であるように見えるのは、やはり資本主義が矛盾しているからという論に立った(流動性選好による流動性の罠)。そしてケインズは財政出動による総需要対策で克服できるという論を展開した。今では全ての資本主義国家で、財政出動による景気対策が行われているのは周知の事実である。
[編集] 起源
- 遠隔地貿易の説
- 農民都市の説
- マックス・ウェーバーの説
[編集] レギュラシオン学派による資本主義類型
レギュラシオン学派は、基本的に資本主義が矛盾しているという立場に立つ。にもかかわらずマルクスが予言したように資本主義が崩壊しなかった理由として暗黙的な調整(レギュレーション)を認識する。政治学、経済学、社会学を横断的に資本主義諸国を分析し、類型化する。どのタイプの資本主義が優れているか、という論は採らない。
製品市場競争、賃労働関係、金融部門、社会保障、教育の各セクションの相互作用をクラスター分析することを基本的な手法とする。
[編集] 市場原理型資本主義
アングロサクソンモデルとも言われる。金融部門の発達による民間保険メニューの充実が、福祉国家を不要とする。また、製品市場競争は低品質・低価格競争が主であり、低賃金労働者の需要が多い。そのため低賃金化を促進するために、やはり福祉国家の削減が推進される。また金融部門の発達が株式市場の活性化を促し、上場企業に対する短期利益の追求を要求する。そのため低賃金労働者への需要が多くなる。
[編集] 福祉国家型資本主義
北欧モデルとも言われる。金融部門の未発達が福祉国家の必要性を促進する。また賃労働関係における同一労働同一賃金と福祉国家による積極的労働市場政策とが、雇用の流動性を促進する。製品市場競争における貿易依存度の高さは、安易な賃金上昇を回避するための同一労働同一賃金へと繋がった。
[編集] コーポラティズム型資本主義
大陸ヨーロッパモデルとも言われる。金融部門の未発達に対して、中程度の福祉国家と中程度の雇用保障で対応する。
[編集] 自営業型資本主義
地中海モデルとも言われる。金融部門の未発達が強い雇用保障を促進する。強い雇用保障が大企業における雇用拡大を阻害するため、自営業者の増加を促進する。
[編集] 大企業型資本主義
アジアモデルとも言われる。金融部門の未発達に対して大企業が終身雇用の提供と福祉国家の代行(企業福祉)を促進する。株式市場が非活性なことは、株主が企業経営から排除されることを推進し、これが上場企業の長期戦略(終身雇用等)を可能にした。また、社会保障の未発達は個人貯蓄の増大を促し、これが間接金融による株式市場の不活性を促進する。
[編集] 関連項目