教育格差
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教育格差(きょういくかくさ)とは、格差社会に関連して作られた造語である。生まれ育った環境により、受けることのできる教育に格差が生まれることを指す。
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[編集] 概要
この格差には大きく分けて二つあり、一つは、ゆとり教育によって没落した公立校とハイレベルであるが学費も高い私立校の格差、もう一つは、ハイレベルな塾や予備校へ通うことができる都会とそれができない地方との格差である。
これら二つの格差の共通項は、「どの親の元に生まれたか」によって大きな格差が生まれるという点である。いずれの格差も、最終学歴に大きな影響を及ぼし、日本においては、最終学歴がその人の人生を左右する割合が大きいため、教育格差は世代を超えた格差の固定化につながる危険性が大きいとされる。
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)で世界一の学力を示したフィンランドの教育の特徴として、学校間格差が非常に少ないことが挙げられる。一方、日本の場合は、学校間格差が非常に大きいことがわかっている。
嶺井正也らは、著書で「県民所得の高い都道府県ほど大学入試センター試験の成績も高く、逆に、県民所得の低い都道府県ほど低い」という傾向があることを述べている。また、就学援助率と学力テストの間には負の相関関係が見られることも示している。学校選択制では、人気校を選ぶ家庭は所得階層が高いのに対して、不人気校に残る家庭は所得階層がそれほど高くないという傾向も示している。
こうしたことは、教育機会が親の階層や教育水準によって左右され、教育格差がさらなる教育格差を生むという負のスパイラルへとつながる危険性を示している。
一部の私立大学では、付属幼稚園や付属小学校から大学までの一貫教育を行っており、付属校に入学すればほぼ全員が大学まで進学できるが、付属幼稚園や付属小学校の学費が非常に高額であり、教育機会格差の象徴と言える。また、そもそも付属幼稚園や付属小学校の入学試験では親の肩書きや寄付金の多寡で合否が決まるという問題もある。
なお、青山学院大学の付属幼稚園から大学まで19年間の学費は総額1972万円、学習院大学の付属幼稚園から大学まで18年間の学費は総額1601万円、慶應義塾大学の付属小学校から大学まで16年間の学費は1750万円である。(外部リンク参照)
[編集] 関連書籍
- 『学校選択と教育バウチャー』(嶺井正也・中川登志男著,八月書館)
- 『競争をやめたら学力世界一 フィンランド教育の成功』(福田誠治著,朝日新聞社[朝日選書],2006年,ISBN 4-02-259897-2)
- 『教育格差、親の意識が子供の命運を決める』(和田秀樹著,PHP研究所)
- 『教育格差絶望社会』(福地誠著,洋泉社)
[編集] 外部リンク
『有名大学付属校ライフ、トータルでおいくら? お受験ブランド校・学費比較!』 http://allabout.co.jp/children/ikujinow/closeup/CU20030531C/index.htm