沈黙の艦隊
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『沈黙の艦隊』(ちんもくのかんたい)は、かわぐちかいじの漫画作品。『モーニング』(講談社)にて、1988年から1996年にかけて連載。1990年に、第14回講談社漫画賞一般部門を受賞。潜水艦戦を描いた戦記物に、核戦争や国際政治等の問題提起を絡ませ、各方面から注目を集めた。
目次 |
[編集] 概要
タイトルの「沈黙の艦隊」とは、「潜水艦戦力」を意味する英語の「Silent Service」の直訳による。
単行本は「モーニングKC」で発刊され、全32巻で完結。その後、「モーニングデラックス版」として全11巻でも発刊されている。また、「愛蔵版」が全16巻発刊済み。他にも、登場人物の背景やその後に触れた特別編が描かれた他、防衛庁の広報誌『セキュレタリアン』(財団法人防衛弘済会)では官民の安全保障専門家が本作を分析する『「沈黙の艦隊」解体新書』が連載され、講談社によって1995年に単行本化された。なお『やまと』の形状は作品の初期と最後ではハンプバックの形状などが違う。
話数は「VOYAGE XX(XXは数字)」で表される。また、単行本のカバーを外した表紙・裏表紙には、その巻に収録された「やまと」航海の記録が記されている。
1996年にTBS系列の2時間枠の特番として米第7艦隊との戦いまでがアニメ化されたが、諸般の理由でオンエアは中止され、ビデオソフト化のうえリリースされた(結局、さらにその後深夜枠でオンエアされた)。その後1本1時間弱のOVAとして2本が追加制作され、北極海海戦まで描かれている。冷戦終結など国際情勢の変化に合わせて内容は一部変更されている。
主題歌は「夢の渚 ~The Silent Service~」で、歌っているのは笠原弘子。北米では最初の2話が1話分としてまとめられ販売されたが売り上げは良くなかった。第3話以降については未翻訳である。また、ニッポン放送などで単発ながらラジオドラマ化されている。
番外編に、本作の連載終了後「モーニング」にて連載された『瑠璃の波風 沈黙の艦隊~海江田四郎青春譜』がある。
本作を題材にしたパソコン向けのシミュレーションゲームソフトも多数発売されている。作者が旧ソ連空母艦隊の写真を「世界の艦船」に掲載された写真よりスケッチしたことで問題になった。
週刊モーニングのインタビューで、かわぐちは、沈黙の艦隊は実質、当時の編集長との合作で、編集長の影響が強いと述べている。また、やまとの原型はひょっこりひょうたん島だとも述べている。
原潜による所属国家からの離脱、対潜魚雷の無効化戦術、MAD紹介シーンの言いまわしなど、トム・クランシー著「レッド・オクトーバーを追え」との類似点が指摘される。
[編集] ストーリー
平和な日本の近海で海難事故が発生した。千葉県犬吠埼沖で、海上自衛隊の潜水艦「やまなみ」がソ連(現ロシア)の原子力潜水艦と衝突し沈没、「やまなみ」艦長の海江田四郎二等海佐以下全乗員76名の生存が絶望的という事故の報道は日本に衝撃を与える。しかし、海江田以下「やまなみ」乗員は生存していた。彼らは日米共謀により極秘に建造された原子力潜水艦「シーバット」計画のメンバーに選ばれ、事故は彼らを日本初の原潜に乗務させるための偽装工作であった。
アメリカ海軍所属となった日本初の原潜「シーバット」は海江田達の操艦のもと、高知県足摺岬沖での試験航海に臨む。しかしその途中、海江田は突如艦内で全乗員と反乱を起こし音響魚雷で米海軍の監視から姿をくらまし逃亡。以降、海江田を国家元首とする独立戦闘国家「やまと」を名乗る。さらに出港時「シーバット」は核弾頭を積載した可能性が高い事が発覚。
アメリカ合衆国大統領ベネットは海江田を危険な核テロリストとして抹殺を図る。海江田は超人的な操艦と原潜の優れた性能、核兵器(の脅威)を武器に日本やアメリカやソ連、国際連合に対抗してゆくこととなる。
注意:以降の記述で物語・作品に関する核心部分が明かされています。
[編集] 解説
連載開始時の米ソ冷戦下における核管理体制と潜在的核戦争勃発の可能性を取り上げている。長期連載中に冷戦崩壊があったが、作中では違った形での冷戦崩壊を示すなど現実に沿うよう作品を動かし読者が受け入れやすくされている。 物語は潜水艦戦と国際政治ものがほぼ半々で、「やまと」と米海軍との交戦が終わるごとに海江田が海面にでて新しい宣言(独立宣言、国連参加宣言など)を世界に発し、この宣言に反応した米海軍が新たな作戦で「やまと」を攻撃する、という流れが主である。およそ、アメリカは反発、日本と国連(事務局単独)は海江田を支持、欧州諸国は事態を客観視するという構図で展開される。
連載途中、旧ソビエト連邦がロシア連邦への移行や西ドイツからドイツ連邦共和国への移行など、ストーリー上の同国の国名・指導者が変わった。
連載当初から話題にはなっていたが、一番注目されたのが、湾岸戦争が勃発して自衛隊派遣、憲法9条問題などで大揺れした時期であり、1990年5月29日の衆議院内閣委員会では、山口那津男(公明党所属)委員が、石川要三防衛庁長官に対し「防衛庁長官はこの作品はお読みになったことございますか」と質問までしている。また石原慎太郎が本書を「たいそう甘美な、そして危険な、しかし目をそむけることが出来ない書」と評している。
最大のテーマは、世界政府創設と恒久平和の実現というカント以来の政治学的課題であり、また核廃絶の手段として、「もしも、どの国家にも属さない原潜艦隊が、あらゆる核保有国のうち一国でも核攻撃を行った場合に対する核報復宣言をしたら、それは究極の核抑止力であり、地球上から核戦争はなくなるのではないか。」という問題提起であり、その役を担ってきた米国は当然海江田を核テロリストとして抹殺しようとする。「国家とは何か」「人類は戦争を防止する国際システムを作れるのか」「国連の存在意義はあるのか」などであり、現代の世界政治、軍事と言う複雑な事態を作品で演出し背景となされている。
連載開始当初は、日本人が政治と歴史の作品を書けば、判で押したように「左翼的(または右翼的)である」と短絡的に評価される時代であった。この作品に対しても、一部の右翼評論家が「かわぐちかいじは現代の三島由紀夫である」などと発言してその「右寄り」物語が話題になったり、次第に海江田の反ナショナリズム的姿勢と国連中心主義が明らかになるにつれ今度は「左寄り」の物語と見られた。「マンガ夜話」では「番長漫画」と評された。国家観や作品内の論理性について、佐藤健志は著書『ゴジラとヤマトとぼくらの民主主義』で批判をしている。
なお、足掛け8年、全32巻という長期に渡って繰り広げられる物語だが、劇中で実際に経過した時間はわずか2ヶ月である。作者の意図と思われるが、多くの日本人登場人物名に「水」や水を表す「氵(さんずい)」を使う漢字が使われている。
[編集] 主な登場人物
[編集] 主人公および作品を通しての中心人物
- 海江田四郎(声優:津嘉山正種)
- 本作品の主人公。
- 海上自衛隊のディーゼル潜水艦「やまなみ」艦長。初登場時の階級は二等海佐だが、「やまなみ」沈没事故の偽装工作により殉職とされ二階級特進、海上自衛隊での最終的な階級は海将補となる。
- 秘密裏に日本初の原子力潜水艦「シーバット」艦長に任命されるが、処女航海で突如米原潜部隊に対し音響魚雷を放ち逃亡。その後、米第7艦隊の前に浮上し戦闘国家「やまと」の独立を宣言し自らの思想の表明と実現のために「やまと」を駆使する。
- リムパック演習で米空母「カールヴィンソン」を5回沈めた実績を持ち、その操艦能力は米海軍に「慎重」と評された。おおむね冷静沈着だが、必要に応じて大胆な策をとる事もある。また軍事のみならず政治、国際情勢についても深い理解と読みの鋭さを持つ。
- 非常に高いカリスマ性によって全乗員を統率し、既存の戦略技術に捕らわれない超人的な操艦能力で次々と米ソの攻撃を打ち破る。その操艦能力から、敵対する海軍に「海の悪魔」「モビーディック(白鯨)」などと呼ばれ恐れられた。
- クラシック音楽を好み、なかでもモーツァルトの曲を流すシーンが多く出てくる。ちなみに、作中で最初に聴いていた曲は「交響曲第41番 (モーツァルト)」。(特番では、最初に聴いていたのは、同じくモーツァルトの交響曲40番)ニューヨーク沖海戦時には、ストラビンスキーの「春の祭典」を流した。
- ニューヨーク上陸の際には共に行こうとする深町に対し「自分のいない「やまと」には深町の全てが必要」とやまとを託して国連に向かう。
- 妻と一人の子供がおり、母は鎌倉在住。亡き父・海江田巌海将は「海上自衛隊の立役者」と言われている。
- 海江田四郎という名前は、劇画「クライングフリーマン」(作:小池一夫/画:池上遼一)に登場している。また、作者が半村良の小説を漫画化した「軍靴の響き」にも海江田一等海佐という人物が登場する。
- 深町洋(声優:大塚明夫)
- 海上自衛隊のディーゼル潜水艦「たつなみ」艦長。階級は二等海佐。昇進に値する能力を持っているが、粗暴な言動が妨げになっている。
- 海江田とは防衛大学校の同期であり良き競争相手で、後に海江田が「自分に対抗しえる能力を持っている」と認めた唯一の人物。海江田の思考をある程度予測できるらしく、「やまなみ」沈没事故時の海江田の行動に疑問を抱き、組織に内緒で真相究明のため独自に調査を進める。海江田と対峙する事も多かったが、最後には「あいつは友達」と発言した。
- 操艦技術も確かで、海江田と並びリムパック演習で米空母「カールビンソン」を5回撃沈した実績を持つ。その操艦は米海軍に「大胆」と評され「シーバット」艦長候補として海江田と共にその名が上がるも、米海軍は海江田の慎重な操艦を抜擢した。実際、劇中ではディーゼル潜水艦であるが故に潜行能力や潜行時間の点で制約のある「たつなみ」に無茶をさせて、危険な状況になることが何度かあった。
- 作品中で東京湾の原潜「やまと」(「シーバット」)護衛時に海自潜水艦初の実戦をおこない、圧倒的な艦の性能の劣勢を感じさせず(東京湾の平均水深は30mで、原潜の性能が最大限発揮できなかったことも大きい)米海軍ロス級原潜5隻中3隻(ハート・フォード、サンタフェなど)を戦闘不能に陥れた。
- 「たつなみ」沈没時、艦内に乗員が残っていないか確認してから最後に退艦するあたりに(乗組員からも大きな人望を集めている描写もある)、彼の自衛官としての優秀さがうかがえる。
- 作品中、立場(肩書き)を変えて複数回「やまと」に乗艦した唯一の人物。
- 竹上登志雄(声優:阪脩)
- 日本国内閣総理大臣。
- 当初は日本民自党所属。最初のうちは「外交オンチ(ただし英語は話せる)」「本命までの中継ぎ政権」と国内外で酷評されていたが、「沈黙の艦隊」事件をきっかけとして、首相としてふさわしい力を備えた政治家として成長する。
- 反対論が強い中で海江田と友好条約を結び、「やまと」に浮きドック「サザンクロス」を提供したり、国連決議で「やまと」独立が承認されるまでの間、陸上・海上・航空自衛隊及び原潜「やまと」の指揮権を国連に委ねるといった、今までの日本では考えられないほど大胆な外交策をとる。しかし、それがもとで与野党両方から批判を受け、総理権限により衆議院を解散して総選挙を行う。その際に日本民自党を離れて自らを党首とする新民自党を結成。総選挙後の首相指名選挙において再選された。
- モデルは連載開始時の首相、竹下登。時代背景や名前から考えて、おそらく「民自党」のモデルは自民党であると思われるが、作中において閣僚が「自民党議員」に詰め寄られる場面があり、自民党が別に存在している可能性がある(作者の間違いか誤植の可能性もある)。
- ちなみに、民自党内において竹上が総裁であるという記述はなく、民自党トップの名称が総裁か否かは不明(竹上が離党後、民自党の事実上のトップとして行動していた海渡一郎の、総選挙前の党首討論出演時点での肩書きは幹事長のままであった)。
- ニコラス・J・ベネット(声優:上田敏也)
- アメリカ合衆国の第43代大統領。
- タカ派(ただし、「シーバット」反乱事件発生前の大統領選挙時には、軍縮を唱えていたと見られるシーンも存在する)でギリシア移民の子孫。「強いアメリカ」を体現する、アメリカの象徴的存在でもある。
- 当初は「シーバット」の反乱で海江田を早く捕まえ、彼に協力しようとする日本に再占領計画をつきつけて事件の決着をつけたがっているところも多くうかがえたが、次第に海江田の行動分析に興味をもつようになり、物語が進むにつれて、自身の思いや考えと、大統領として下すべき結論に悩み葛藤するところも見られるようになる。国連総会では、ついに海江田と直接出会うことになる。
- なお、話の中で第3艦隊の壊滅や多くの原潜が撃沈及び大破され、大西洋艦隊の艦が多数戦闘不能になるなど計22万トンの艦艇の損失や350名の死傷者を出し、軍事面には非常に問題ありの大統領である(現実でこのような失態を犯せば間違いなく弾劾対象であり、実際作中でも弾劾決議が予定されていた)。しかし自身はアメリカの国家元首としての心得として、「目的達成上避けられない犠牲」を容認しており、「やまと」と第3艦隊との戦いに際しては「第3艦隊が核で壊滅すれば、日本再占領は行いやすい」と語っていた。また、「アメリカの完璧な正義や勝利」にこだわるあまり、時に「やまと」を撃沈できる状況にありながらこれを見逃したり、「やまと」の側から先制攻撃を行わせるよう目論む場面もある。
[編集] 日本政府関係者
- 海原大悟(声優:渡部猛)
- 元防衛庁長官。
- 莫大な資産と人脈を有し、影の総理と呼ばれる。シーバットが逃亡した時は、米ソよりも早くシーバットを捕獲させ、日本政府が原子力潜水艦を練習艦として使いこなすことを命令する。やまとの独立国承認を認めず、あくまで日本政府の支配下に置こうとする。様々な形で日本の政界に暗躍するが、最後は息子の渉に引導を渡された。
- 海原渉(声優:若本規夫)
- 日本国の官房長官。モデルは防衛庁で「海原天皇」と称された海原治か?
- 海原大悟の実子。竹上派のサラブレッド。海原大悟の判断により、「シーバット」計画には不参加であった。天津とは昔からの仲である。やまと問題の処理においては、かなり強硬な姿勢でアメリカと交渉した。政界再編においては竹上の新民自党を結成に参加。総選挙後に外務大臣となった模様。
- 天津航一郎(声優:村山明)
- 日本国外務次官(外務事務次官)。
- 「やまと」事件において浮きドック「サザンクロス」の発注や、駐日米大使館・ハワイ・国連安保理で海原と共にアメリカとの交渉を行う。
- 「シーバット」を環太平洋共同体の布石としていた。外務事務次官になった経緯は影山誠治外務大臣のお声がかりとされる。
- 海渡一郎
- 日本民自党幹事長。
- 民自党最大派閥に所属。「やまと」政策を巡って竹上と対立し、竹上の離党及び新民自党結成後、彼に代わって民自党を率いる。
- 「やまと」との同盟関係を破棄し、アメリカとの関係を修復すべきと主張する徹底した親米保守路線の全面協力策や、衆院選挙後に合従連衡のために金銭をばら撒くやり方など「古いタイプの政治家」としての描かれ方が強い。しかし、それも「日本を守りたい」という固い決意から来ている。
- 竹上再選後は、公民クラブを吸収合併し唯一の巨大野党となった民自党を率いる。モデルはおそらく当時自民党幹事長だった小沢一郎。
- 河之内英樹
- 日本社民党副書記長。
- 海原とは同期。衆議院解散後、「世界社会主義」を掲げ総選挙に向けて公民クラブ・革産党ら各野党議員を集めて革新連合を結成し、日本独自の社会主義国家を目指す。
- 総選挙後は大滝の鏡水会との連合で比較第一党派を目指すが、首相指名選挙を目前に海渡の策略により、公民クラブなどの議員を次々と民自党に取り込まれ少数党派となる。
- 新民自党に取り込まれることをも良しとした大滝を「公約違反」と叱責し、仕方なく少数で革新連合を率い監視役として野党に徹しようとするも、逆に革新保守連立政権を目指す大滝に叱咤・説得され、指名選挙当日には自分に投票される筈だった票をほとんど竹上に差し出す(自身の1票以外全て)という荒業で見事彼に再選を果たさせる。
- その後は革新保守政権のため新民自党・鏡水会と連立、入閣した模様。モデルは名前のみ大内啓伍か?
- 大滝淳
- 民自党の派閥である鏡水会の幹事長。
- 後に鏡水会ごと民自党を離党し、政党化した「日本鏡水会」の党首に就任。政軍分離、軍備永久放棄、常設国連軍創設を政策として主張。
- 「やまと保険」を提唱し、北極海沖でACNテレビ・クルーと共に海江田と会見し、海江田から「やまと保険」の了承を得る。総選挙後は新民自党に合流し、幹事長に就任。さらに、国連の「沈黙の艦隊実行委員会」委員長に就任した。
- 浜本啓介(声優:広瀬正志)
- 日本国運輸大臣。
- 日本政府から親善大使として「やまと」に乗艦。海江田の考えを信じ、友好条約締結の準備に乗り出す。衆議院総選挙では竹上と同じく新民自党に入り、見事当選を果たす。
- 倉池栄
- 大蔵省事務次官。
- イギリス・ロンドンで大滝と共に「やまと保険」成立のためライズ保険会社との交渉を行う。
- 永江
- 公民クラブ幹事長。
- 社民党、革産党とともに革新連合の一翼を担っていたが、総選挙後民自党に大金を積まれ、河之内に工作を蹴るよう必死に説得されるも切り崩され、公民クラブは民自党への吸収合併を選ぶ。モデルは永末英一。
[編集] 原子力潜水艦「やまと」関係者
- 山中栄治(声優:麦人)
- 「やまと」副長。階級は三等海佐。「やまなみ」の副長でもあった。
- 真面目で海江田への信頼が篤い。操艦能力も深町が認めるほど優秀。
- 海江田の国連総会参加時は、代わりに「やまと」の指揮を執った。
- 内海(声優:稲葉実、(VOYAGE3)千葉一伸)
- 「やまと」航海長。階級は三等海佐。「やまなみ」の航海長でもあった。
- 溝口拓男(声優:中博史)
- 「やまと」ソナーマン。「やまなみ」のソナーマンでもあった。
- 南波が「自分の次に耳の良い」と認めるライバル同士。
[編集] 海上自衛隊関係者
- 赤垣三郎(声優:秋元羊介)
- 海上幕僚長。階級は海将。
- 「シーバット」計画に関わった人物の一人で沖縄沖及び東京湾海戦で竹上と共に関わる。その後は天津と共に深町ら「たつなみ」クルーの「やまと」派遣をサポートする。
- 田所進(声優:緒方賢一)
- 第2潜水戦隊群司令。階級は海将補。
- 海江田・深町の防大時代の教官。深町らに「たつなみ」で「やまと」の追跡及び護衛を命じたり、また「やまと」のニューヨーク入港の際にニューヨークへの派遣を命じる。
- 沼田徳治(声優:加藤治)
- 第2護衛艦隊司令。階級は一等海佐。
- 旗艦であるはるな型護衛艦「はるな」にて自衛隊として初の実戦(沖縄沖及び東京湾海戦)を指揮する。海江田が「アメリカ海軍に対峙して自衛艦隊をフルに運用できる唯一の自衛官」と評するほどの有能な人物。
- 速水健次(声優:飛田展男)
- 「たつなみ」副長。階級は三等海佐。
- 理知的な性格の人物で、粗暴な深町を抑える役目を務め、名コンビぶりを披露した。
- 「たつなみ」沈没後は国連特別調停員及びニューヨーク和平特使の一員としてニューヨークへ向かう。
- 渡瀬吾郎(声優:塩屋翼)
- 「たつなみ」航海長。階級は三等海佐。
- 「たつなみ」沈没後は国連特別調停員及びニューヨーク和平特使の一員としてニューヨークへ向かう。
- 南波栄一(声優:中村大樹)
- 「たつなみ」ソナーマン。階級は曹長。
- 海自一のソナーマンを自負しており、性能的に劣る「たつなみ」が米原潜と互角に戦えたのは彼の「耳」の力も大きい。
- 「やまなみ」沈没事故の謎を解くため、深町の命令でテープの修正を行う。
[編集] アメリカ海軍関係者
- スタイガー(声優:大塚周夫)
- アメリカ太平洋軍司令。階級は大将。シーバット計画の首謀者。
- 「シーバット(やまと)」脱走に伴い、第3艦隊・第7艦隊を投入して拿捕及び撃沈を図る。
- ボールドウィン
- アメリカ大西洋艦隊司令。階級は少将。
- マスコミの前でとても優秀な演説をする。
- アラン・B・ランシング(声優:小林清志)
- 第3艦隊司令。階級は少将。
- 旗艦であるミッドウェイ級通常空母「ミッドウェイ」で指揮を執る。沖縄沖海戦では、「やまと」を掩護する日本の海上自衛隊第2護衛艦隊を攻撃し、タイコンデロガ級イージス艦「ヴァリ・フォージ」のハープーンでしらね型護衛艦「くらま」を沈めるも、チャフ入りのハープーン・ミサイルで身動きが取れなくなった隙に「ミッドウェイ」を沈められ、次々に艦艇を失う。
- リチャード・ボイス(声優:小村哲生)
- 第7艦隊司令。階級は大佐。通称「ヒステリック・ボイス」。
- ニミッツ級原子力空母「カール・ヴィンソン」で指揮を執る。「シーバット」を拿捕又は撃沈を謀るが海江田の戦闘国家「やまと」独立宣言に翻弄される。
- ジョン・アレキサンダー・ベイツ(声優:堀内賢雄)
- シーウルフ級原子力潜水艦「アレキサンダー」艦長。階級は大佐。
- 米政界の名門ベイツ・ファミリーの養子でベネズエラ生まれ。自分を受け入れてくれたベイツ・ファミリーと義兄のノーマンに多大な感謝と信頼を寄せており、ノーマンを大統領におさめ、自らは統合参謀本部議長になる夢を描いていた。
- オーロラ作戦ではノーマンと連携し最新鋭艦の能力を駆使して「やまと」を追い込むが、氷塊下での激戦の末、肉弾を回避して部下の命を最優先にと考え、降伏する。その勇猛果敢な戦いぶりは、海江田をして「今まで遭遇した中で最強の艦」と言わしめた。
- ノーマン・キング・ベイツ(声優:田中秀幸)
- シーウルフ級原子力潜水艦「キング」艦長。階級は少将。
- ベイツ・ファミリーの長男で、ジョンの義兄。ジョンとの連携プレイで「やまと」を追い詰める。
- 僚艦「アレキサンダー」の戦術によって格好の位置から「やまと」へ魚雷を発射するが、海江田の(軍事的だけでなく政治的にも)鋭い読みから逆に雷撃を受け戦死する。
- 次期大統領候補の一人と称されたほどの人物で、彼を戦地に送ったことを悔やむベネットは、この頃から種々の決断に思い悩む描写が多くなる。
- アレックス・P・ナガブチ
- キティーホーク級通常空母「ジョン・F・ケネディ」艦長。階級は大佐。
- 日系アメリカ人で軍人の父を持つ。ネルソンと比べて理知的で聡明。ローリング・サンダー作戦で「やまと」に挑むが失敗。対潜ヘリ攻撃隊で新たに挑むが、五ヶ国原潜の登場と「やまと」のニューヨーク港への強行突破に敗れる。
- ケリー・J・ネルソン
- ニミッツ級原子力空母「エイブラハム・リンカーン」艦長。階級は大佐。
- 攻撃的で頭に血が上りやすい熱血漢でアメリカを象徴する人物の一人。ナイアガラ・フォールズ作戦などで襲いかかるも「やまと」には探信音による戦略で終始翻弄されていた。しかし、ニューヨーク沖海戦における最終判断は、責任者にふさわしい冷静な判断であった。
- テレンス・B・カーバー(声優:筈見純)
- タイコンデロガ級イージス艦「ヴェラ・ガルフ」艦長。階級は大佐。
- 魚雷攻撃で海底に埋まった「やまと」を沈めようとするが逆に脱出に利用されてしまい、アスロックを使ったオリジナル戦術で「やまと」を攻撃するも、予想を超えた「やまと」の攻撃に動きを封じられ敗れる。大破した「ヴェラ・ガルフ」から脱出する描写がなく、生死不明。
- デビット・ライアン(声優:徳丸完)
- 「シーバット(やまと)」オブザーバー。階級は大佐。
- 「やまと」独立宣言をはじめとする海江田の行動に反感を覚え拘束されるが、海江田達の思想や行動に一貫性とある種の正当性を感じ、米海軍人ながら「やまと」の理解者となる。
- 自走浮きドック「サザンクロス」沈没の際に「サザンクロス」クルーと共に陸上自衛隊のCH-47で脱出した。
- ヘンドリック・ドール(声優:稲葉実)
- アメリカ国防総省統合参謀本部議長。
- 北極海海戦及びニューヨーク沖海戦時に作戦の指揮を執る。後に彼も海江田の思想に興味を抱くようになる。彼のモデルはコリン・パウエル及びノーマン・シュワルツコフと思われる。
- 統合参謀本部議長には上述の北極海及びニューヨーク沖海戦のような軍事作戦に対する指揮権は無く、実質的には文民である大統領や国防長官が握っており、軍人である統合参謀本部議長は彼らに助言するためのオブザーバーにすぎない。
[編集] アメリカ政府関係者
- アンディ・リード
- アメリカ合衆国副大統領。
- 海江田の超国家原潜艦隊や世界政府の創設に可能性があることを感じ、彼を支持したことで敵視していたベネットと対立する。アルコール依存症の気があるらしい。
- ハロルド・D・ベイカー(声優:中多和宏)
- アメリカ合衆国国務長官。
- ベネットの側近としてやまとに関する外交政策をとる。モデルはかつて大統領対外情報諮問委員会の委員を務めた前駐日大使ジェイムズ・ベイカーである。
- ジャック・ターナー(声優:松本大)
- アメリカ合衆国大統領特別補佐官。
- 沖縄沖海戦時の海原らとの日米緊急首脳会談上では汗一つかかない態度を見せる。
- 眼鏡を着用していることから、海原から「おい、そこのメガネ」と呼ばれた。
- アンドリュー・ギル
- ニューヨーク市長。
- 海江田のニューヨーク入港の際に尚も攻撃を続けようとする政府及び軍に反旗を翻し、「やまと」との友好同盟締結のためマスコミを通じてアメリカからの市の独立国家化を宣言する。また「やまと」擁護を市民に訴える。ナガブチとは旧友。
- カール・シュルツ
- アメリカ合衆国連邦議会下院議長。
- ベネットが「沈黙の艦隊」支持に心変わりするのを察して、これを良しとしない軍産複合体からの意思を伝える。しかし、彼らの傀儡ではなく、あくまでもアメリカのために動いている。
[編集] アメリカ報道関係者
- セシル・デミル
- 米テレビ局ACN社長。
- ボブに海江田の真意を問うべく「やまと」乗艦を命じる。また、海江田の主張する核廃絶・世界政府構想などの可否を確かめるべく、全世界のマスメディアを提携して情報サミットを開催し、世界市民投票を実施する。
- 劇中マスコミとして型破りな行動を行ったので、モルガンからデミルとデビルをかけて、「奴は情報の時代のデビル」と言われた。
- モデルはCNN社長のテッド・ターナーである。
- ボブ・マッケイ
- 米テレビ局ACNレポーター。
- 大滝と共に北極圏で、またニューヨークで「やまと」に二度接触する。「やまと」乗艦時に「やまと」国民となって他のクルーらと共に「やまと」を中心としたネットワーク網を創ろうとする。
- モデルはジャーナリストのバーナード・ショーである。
[編集] アメリカ・その他
- リー・ゴールドウェル
- 軍需産業イースト・ウェスト・ダイナミックス社社長。
- ニューヨーク沖海戦での海江田の行動に深い関心と敵対心を抱き、また軍事費を削減したベネットをも敵視する。「やまと」の国連参加では軍備永久放棄実現を恐れ、各国のマスコミやアメリカ政府への圧力を通じて反「やまと」キャンペーンを促して牽制を目論む。軍産複合体代表の一人。
- トーマス・ネイサン
- ネイサン研究所長で、ベネットの大学の先輩。ライアンと共にホワイトハウスを訪れ、ベネットに海江田の沈黙の艦隊「SSSS(Silent Security Service from the Sea)」構想という完全的核抑止力の素晴らしさを訴え、そして素晴らしいが故にSSSSはアメリカによって設立されねばならないと説き、海江田の排除を提案する。
- マルス・ベネット
- ベネットの息子。野球好きな少年だが、「やまと」や海江田に興味を抱き、ベネットから東洋の話=海江田の思想を聞く。そして、ベネットに海江田と会うよう約束させた。
- 狙撃手(名称不詳)
- カメラマンに扮して国連内に進入し、演説中の海江田を暗殺しようとする。発砲直後に駆けつけた警備員に射殺された。彼の行動が自発的な行動か依頼によるものかは一切不明(依頼を受けているような描写はある)。
- 口にするセリフの内容から、偶像礼拝否定派のクリスチャンであると思われる。
[編集] イギリス海軍・政府関係者
- クリス・ストリンガー
- イギリス海軍トラファルガー級原潜「タービュレント」艦長。階級は大佐。
- 豪快で率直な人物。イギリス海軍屈指のエリート。各国原潜のなかで最初に「やまと」に理解を示し、リーダー的役割をになった。
- ジョセフ・ローリィ
- イギリス首相。
- 原潜「タービュレント」の「やまと」擁護による沈黙の艦隊結成を承認する。
- ジュリアス・ロードン
- イギリス大手保険会社「ライズ」社筆頭アンダーライター。
- 大滝の「やまと保険」に対し、世界中のインフレ発生を理由に反対するが大滝の保険内容と信念に賛同し、受け入れることに。ちなみに「ライズ」の由来はイギリスに実在する保険会社「ロイズ」からとったものである。
- ゴッドフリー・ローレンス
- ライズ保険委員会副会長。
- ロードンが発表する大滝の「やまと保険」の内容について常設国連軍誕生とアメリカに代わって「やまと」の存続による加盟国間の新たなる安保体制の誕生に関心を示し、容認。ワシントン・サミット時は「やまと保険」を実行すべくローリィと同行する。
[編集] ロシア(ソ連)海軍関係者
- ユーリ・アンドロポフ
- ソ連海軍太平洋艦隊司令。
- キエフ級航空巡洋艦「ミンスク」で指揮を執り、米第3艦隊と共に「やまと」撃沈に出るも「ミンスク」に隠れながらの攻撃により次々と艦艇を失う。なお、彼の名前は1982~1984年のソ連最高指導者と全く同姓同名であるが、他の多くのキャラクターが実在人物をアレンジしている中、そのように命名した意図は不明。
- アンドレイ・ロブコフ
- ソ連海軍アルファ級原潜「レッド・スコルピオン」艦長。階級は大佐。
- 貧しい農家の出身の叩き上げでまだ若いが、能力の極めて高い気鋭の軍人。その技量の高さは海江田が前任者のボロジンと比較して「2年前に日本海で遭遇した奴とは違う」と言わせるほど。党に絶対忠誠を誓っている。愛読書はトルストイ。
- フローティング・アンテナを使った戦法で米原潜2艦を大破させるも「やまと」には裏を書かれ、敗れる。
- イワン・ボロジン
- ロボコフの前任の「レッド・スコルピオン」艦長。階級は大佐。
- 自分に比べて年若いロブコフと、彼を後任の艦長に任命した党を愚弄した結果、ロブコフの手で処刑された。2年前に日本海にて、「やまなみ」艦長時代の海江田と対峙したことがある。
- ミハイル・セルゲイビッチ
- ソ連海軍シエラ級原潜艦長。政治将校で階級は大佐。
- 「やまと」が「レッド・スコルピオン」との戦いに勝利し、海江田に同盟締結を試みるが拒否され、止む無くロブコフに撃沈を命じるが…。
- ※実際のソビエト時代には、艦長と別に政治将校(政治士官)が乗艦することとなっていたため、彼のように政治将校かつ艦長の肩書きをもつことはあり得ない。
[編集] ロシア(ソ連)政府関係者
- ミハイル・マレンコフ(声優:秋元羊介)
- ロシア(ソビエト)連邦共和国大統領。
- ソ連の民主化運動の指導者で「やまと」の北極海通過に基づき、ベネットとのホットラインで話し合った結果、テレビを通じた共同声明で北極海に展開中の米(オハイオ級)ソ(タイフーン級)両戦略ミサイル原潜を一時撤退することを発表する。モデルは当時のソ連の指導者ミハイル・ゴルバチョフ。
- ユーリ・ゴルシコフ
- 駐日ソ連大使。
- ターナーとの極秘会談で彼から「レッド・スコルピオン」の米原潜攻撃を不問に付すのと同時に「やまと」撃沈の共同作戦を持ちかけられ、引き受ける。
- ビクトル・ロザク
- ロシア(ソ連)国防議長。
- 北極海の米ソ戦略ミサイル原潜一時撤退やワシントン・サミットでマレンコフと共に行動する。
[編集] フランス海軍・政府関係者
- ジャン・ルオー・メルビル
- フランス海軍リュビ級原潜「エムロード」艦長。
- 各国原潜が「やまと」に向かう中、ただ本艦だけは待機するよう命じた。
- ピエール・モルガン
- フランス大統領。皮肉屋で鼻炎持ちである。
- シャルル・アリダ
- フランス外相。
- 米ソのミサイル原潜撤退の共同声明で海原からフランスを中心とした核軍縮の実現を促され、「やまと」支持で日本の世論が一つに纏まることを条件に引き受ける。ワシントン・サミットではモルガンと同行する。
[編集] ドイツ・中国関係者
- ルードヴィヒ・キージンガー
- ドイツ連邦共和国大統領。
- サミットでは日本以外では唯一の非核保有国として出席した。なお、現実世界ではドイツの大統領は儀礼的な存在であり、現実世界のサミットでは、ドイツからは首相が出席する。
- 張有為(チャンヨウウェイ)
- 中華人民共和国国家主席。
- サミットでは核保有国首脳として、東洋の文化からやまと問題についての見解を語る。中国では国家主席自体は儀礼的存在であり、実質的権限は中国共産党総書記として行使されている。
[編集] 国際連合関係者
- ジョージ・アダムス
- 国連事務総長。
- ニュージーランド人の親日家。海江田のやまと独立宣言及び国連加盟宣言をサポートする。
- リチャード・ローゼンバーグ
- アメリカ国連大使。元アメリカ合衆国連邦議会上院議員。
- 国連安保理にて日本側の「やまと」擁護を痛烈に批判する。
[編集] 軍事的に不自然な点
軍事評論家の岡部いさくは雑誌GON!(ゴン)のなかで、「エンターテイメントではあるが」と前置きした上で、以下のような不自然な点を挙げている。
- なぜか自衛隊がM16を持っている。
- 核を持ってないというが、やまとの船体はどう見ても戦略原潜。
- 少しでも船殻に傷がついたらまずいのに、海江田自ら「やまと」とナイフで刻んでいる。
- 潜水艦はアップトリム90はできない(する戦術的意味がないから)。
- 潜水艦は空は飛べない。作中で高度を読み上げているシーンがあるが、どうやって測っているのか不思議。
以上で物語・作品に関する核心部分の記述は終わりです。
[編集] 関連項目
講談社漫画賞一般部門 |
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