日本中央競馬会
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
日本中央競馬会(にっぽんちゅうおうけいばかい・にほんちゅうおうけいばかい)は、中央競馬を主催・施行すると共に、中央競馬を開催する競馬場やトレーニングセンター、競走馬の育成場などの施設を保有する農林水産大臣の監督下にある全額国出資の特殊法人である。
監督部局は農林水産省生産局畜産部競馬監督課である。世界最大の馬券売り上げを誇り、毎年3,000億円以上を売り上げの一部から国庫に納入している。
また日本中央競馬会主催するレースの賞金は世界に冠たる高水準[1]とされ、世界的に一部高額なレースはあるものの、平均的に見れば日本中央競馬会の主催する重賞レースの賞金は非常に高い。
さらに、馬主団体と呼ばれる馬主の団体の運営費を日本中央競馬会が持っている[2]。これは「競走協力金」と呼ばれ、各レースの上位3頭の馬主が所属する馬主協会に支給される。
略称の「JRA」は、英文表記の「Japan Racing Association」の頭文字を取ったもの。以前は「NCK(Nippon Chuo Keiba-kaiの略)」という略称であったが、1987年に略称が変更された。現在でも電話投票等の口座振替で「NCK」の文字を見ることができる。
目次 |
[編集] 沿革
行政のスリム化を計る吉田茂内閣の下、国営競馬の存在が問題視されたことをきっかけに農林大臣の諮問機関における議論を経て1954年9月16日に設立。国営競馬から施行を引き継いだ。
[編集] 運営
業務内容は競馬の施行や馬券の発売のみならず競走馬の研究、競馬に関する広報活動(その一環として優駿の発行やJRA賞の制定)なども行っている。
日本中央競馬会の運営は、公正さが求められる為、競馬法、日本中央競馬会法などの法律により厳しく定められている。
中央競馬は週末、休日開催が原則で、年間288日開催。
2007年、特殊法人改革の一環として競馬法が改正され、役員会にあたる理事会が廃止され、日本放送協会(NHK)のように、役員組織の上部に最高意思決定機関として、政府によって外部から選ばれたメンバーで構成される経営委員会が設けられ、JRAの運営を監視・指揮することとなった。[3]
[編集] 主な施設
- 競馬場
- 中央競馬#競馬場一覧を参照。
- 場外勝馬投票券発売所(ウインズ)
- トレーニングセンター
- 競馬学校(千葉県白井市)
- 競走馬総合研究所 (栃木県宇都宮市)
- 馬事公苑(東京都世田谷区)
- 競馬博物館(東京都府中市・東京競馬場)
- 根岸競馬記念公苑・馬の博物館(神奈川県横浜市中区)
- 日高育成牧場 (北海道浦河郡浦河町)
- 宮崎育成牧場 (宮崎県宮崎市)
- プラザエクウス (東京都渋谷区)
- Gate J. (大阪府大阪市中央区)
- JRA関東広報コーナー (東京都港区新橋)
- JRA関西広報コーナー (大阪府大阪市中央区・上記のGate J.と同一のビル内)
[編集] 広告・PR
[編集] JRA年間キャンペーン
中央競馬に対する年間通じた広告として、出演者(2001年を除く)とキャッチコピーを定めて、テレビ、ラジオ、新聞、ポスターなど多岐にわたる広告を行っている。GI級競走の開催の直前にはそのGI級競走の告知の内容となる。
年 | 出演者 | キャッチコピー | 特記事項 |
---|---|---|---|
1988年 | 小林薫 | GREEN SPIRIT JRA | |
1989年 | 見るたび新しい競馬です | ||
1990年 | 柳葉敏郎、賀来千香子 | 好奇心100%の競馬です。 | |
1991年 | |||
1992年 | 高倉健 | あなたと話したい競馬があります。 | 他に裕木奈江が出演。 |
1993年 | |||
1994年 | 真田広之、時任三郎、中井貴一 | あなたがいるから、競馬は楽しい。 | |
1995年 | |||
1996年 | 本木雅弘、鶴田真由 | ひとりひとりに競馬はうれしい | |
1997年 | |||
1998年 | 木村拓哉 | キミの夢はここにある~EVER GREEN JRA~ | |
1999年 | 走れ、JRA | ||
2000年 | 緒形拳、松嶋菜々子 | 私を楽しむ。それが競馬 | |
2001年 | 馬キャラ | 競馬がキミを呼んでいる。 | 声優は草彅剛、香取慎吾、PUFFY、前田亘輝、ユースケ・サンタマリア、華原朋美、篠原ともえ、近藤真彦、中澤裕子 |
2002年 | 小林薫、永瀬正敏、妻夫木聡 | GOOD LUCK! | |
2003年 | 明石家さんま | サプライズ! | 他にジミー大西・佐藤江梨子らが出演 |
2004年 | サプライズ!! | 他にユンソナが出演 | |
2005年 | 中居正広 | 大人をでっかく楽しむ時~BIG TIME | |
2006年 | BIG TIME. ~競馬でうれしいのが、いちばんうれしい。~ |
ほかに井崎脩五郎が出演 | |
2007年 | 織田裕二 | FEEL LIVE | |
2008年 | 佐藤浩市、大泉洋、小池徹平、蒼井優 | CLUB KEIBA |
※2001年は他にGO! JRAジョッキーキャンペーンとして岡村隆史が新人騎手で矢部浩之が記者という設定でナインティナインが出演したCMも行われた。放送、CMソングはゆずの「3カウント」。
[編集] JRAブランド広告
上記の中央競馬の告知を行うJRA年間キャンペーンとは別に、競馬の素晴らしさをイメージした広告を行っている。
年 | キャッチコピー | 楽曲 |
---|---|---|
2000年 | それぞれの競馬がある。 | 小田和正 |
2001年 | また、次の競馬へ。 | 小田和正 |
2004年 | そして、次の名馬面へ | ゴスペラーズ |
2005年 | 人が馬を愛すように、馬も人を愛している。 | 一青窈 |
2006年 | 競馬が教えてくれたこと | イム・ヒョンジュ |
2007年 | 今日も私の好きな馬が走っています。 | レミオロメン |
2008年 | Touch,your heart. | 平井堅 |
[編集] JRA制定前のキャッチフレーズ
年 | キャッチフレーズ |
---|---|
1954年~1964年 | 明るく楽しい中央競馬 |
1965年~1969年 | 楽しさは一家そろって中央競馬 |
1970年~1973年 | 新しい心の会が発見できるフィーリングスポーツ |
1974年~1977年 | Enjoy&Study。競馬は遊びの一つです。遊びの主役はあなたです。 |
1978年~1979年 | 遊び・・・・心豊かに。 |
1980年 | 人、馬、われら仲間 |
1981年 | マイフレンド、マイサラブレッド。サラブレッドが競馬が身近になった。 |
1982年 | WEEKEND CHALLENNGER. サラブレッドと新鮮な週末にチャレンジしよう。 |
1983年 | ひらめき族は、THE KEIBA |
1984年 | 今年は、KEIBAが面白い |
1985年 | いま、KEIBAが面白い |
1986年~1987年 | 人と馬の300年ロマン |
[編集] マスコット
JRAでは1989年より『ターフィー』を公式マスコットキャラクターとして採用している。競馬場内やウインズで来客を迎えたり、見た目で和ませる(?)ことを主な役目としている。2004年からはデザインを一新した『ターフィー☆50(たーふぃーごーまる)』が登場。2003年有馬記念開催当日に引継式が行われた。新デザインはサンリオが行い、その見た目の和やかさは更に増長された。
[編集] 提供番組(競馬関連番組以外)
現在
- 筑紫哲也 NEWS23(TBS系列)
- FNNスーパーニュース(フジテレビ系列)
- TVチャンピオン2(テレビ東京系列)
- ポケモン☆サンデー(同系列)
- メガスポ!(同系列)
過去
[編集] 歴代理事長
代 | 氏名 | 就任時期 |
---|---|---|
1 | 安田伊左衛門 | 1954年~1955年 |
2 | 有馬頼寧 | 1955年~1957年 |
3 | 酒井忠正 | 1957年~1962年 |
4 | 石坂弘 | 1962年~1966年 |
5 | 清井正 | 1966年~1972年 |
6 | 大沢融 | 1972年~1978年 |
7 | 武田誠三 | 1978年~1981年 |
8 | 内村良英 | 1981年~1985年 |
9 | 澤邉守 | 1985年~1990年 |
10 | 渡邊五郎 | 1990年~1995年 |
11 | 京谷昭夫 | 1995年~1996年 |
12 | 浜口義曠 | 1996年~1999年 |
13 | 高橋政行 | 1999年~2007年 |
14 | 土川健之 | 2007年~ |
[編集] 主な関連企業
- JRAファシリティーズ - 出馬表などの印刷 競走馬用ゼッケンの製作など(旧 共栄商事)
- 中央競馬ピーアール・センター - 機関誌「優駿」やDVDソフトなどの制作・販売、場内映像システムの運用
- JRAシステムサービス - JRAシステムの開発・運用(旧:日本トータリゼータ)、各種情報サービス・カードの提供(旧:ターフ・メディア・システム)、機器リース業務(旧:日本レーシングリース)
- 日本馬匹輸送自動車 - 競走馬輸送業務
- 競馬セキュリティサービス - 施設警備業務
[編集] JRA柔道部
JRAの柔道部は日本の社会人柔道における名門の一つである。競馬開催日には柔道部所属職員を中心に場内警備に当たる姿を見ることが出来る。
- 主な出身選手
- 小川直也(バルセロナオリンピック柔道95kg超級銀メダリスト、全日本柔道選手権優勝6回)
- 瀧本誠(シドニーオリンピック柔道81kg級金メダリスト)
このほか、中村義博、賀持道明、秀島大介といった有力選手も活躍した。
[編集] 関連記事
- 中央競馬
- 地方競馬
- 地方競馬全国協会
- 連続テレビ小説『ファイト』(撮影協力)
- DREAM競馬(1社提供をしている。また2005年以降は、制作局のひとつ・テレビ西日本における番組関連イベントの共同主催者となっている)
- JRA MUSIC TURF(ベイエフエムで放送しているJRA提供番組)
- JRAサウンドコース(fm osaka、FM AICHIで放送しているJRA提供番組)