競馬の競走格付け
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
競馬の競走格付け(けいばのきょうそうかくつけ)では競馬の競走格付け制度について述べる。
目次 |
[編集] 概要
競馬の競走の1つとして重賞競走がある。しかし、重賞競走の数が次第に増加することによって重賞競走の中でもレベルや重要度が異なるようになり、どの重賞競走が重要でどの重賞競走はそこまでレベルが高くないのかを一目でわかる指標が必要となった。競馬における重賞競走の格付けはレベルや重要度の高い順に1, 2, 3の3段階で行われている。
世界各地で重賞競走を「グレードワン」「グレードツー」「グレードスリー」と格付けすることからグレード制と呼ばれている。ヨーロッパ・オセアニアの平地競馬・繋駕速歩競走では「グループワン」「グループツー」「グループスリー」と格付けするためグループ制と称するが、通常使用する上では両者に違いはない。
日本の競馬ではパート1国入り(詳細は後述)した2007年にグレードの名称を国際格付けの得られた競走のみに付与することとなったため狭義の意味でのグレード制は国際グレードの得られた競走のみとなり、「格付け」≠「グレード制」となっている。ただし2006年以前との兼ね合いなどの便宜上、広義の意味でグレード制=「格付け」として記述されることも多い。
競走の格付けが行われていない重賞競走も存在する。
[編集] 格付け
格付けは1, 2, 3の3段階で行われ、1が最も高い格付けとしてレベルや重要度の高い順で行われている。しかし国によって競走のどの項目が重要であるかは異なる。
もっとも明確な違いが現れるのは負担重量である。ヨーロッパの平地競走はハンデキャップ競走には格付けを行うことはなく、アメリカやオーストラリアでは負担重量がハンデキャップの競走でもGIとされる競走も多く存在する。日本ではハンデキャップ競走がもっとも高い格付けであるG1, GI, JpnIを与えられることはない。
日本では賞金が格付けと連動していることが多いが、ヨーロッパやアメリカでは賞金はあくまで目安(最低賞金額は定められている場合がある)であり、G1の競走よりも高い賞金額のG2やG3、あるいは格付けのない競走も存在する。
イギリスの障害競走では、ノービス(そのシーズン以前に勝ち星を挙げたことの無い競走馬のための競走)の G1 も存在する。
[編集] 国際グレード
国際グレード(こくさいぐれーど)とは国際セリ名簿作成基準書のパート1に記載されているグレード・グループのことで、日本国内で呼ばれる名称である。「国際グレード」という呼び名は世界的に通用する名称ではない。この記事では他の格付けと区別をする為に以下では「国際グレード」と呼ぶ。また格付け上はグループもグレードも同じであるため、以下の説明ではグレードに一本化して記載する。
国際グレードの利点は国際セリ名簿基準委員会(International Cataloguing Standard Committee:ICSC)が定めるせり名簿の作成基準において、グレードの明記ならびに優勝馬を太ゴシック(JRAの説明では太ゴチック文字)、2着馬と3着馬がゴシック文字(同、ゴチック文字)で記載できることである。
国際グレードの制定のきっかけはセリ市におけるセリ名簿の基準作成に由来する。セリ市では、販売者が売りたい馬をよりよく見せようと様々な努力を重ねる。購入者が事前にせり市における購買予定馬のチェックの資料とするためのせり名簿があり、せり名簿に対しても売りたい馬をよりよく見せたいという販売者の意向が働くのは当然のことであろう。しかし、せり市では公正な市場を構築する必要があり、その中でもせり名簿の作成基準が必要となった。
そこで国際セリ名簿基準委員会がせり名簿の作成基準を作ることとなった。せり名簿はその馬の父や母を含む血統構成やその競走成績を記載する。そこで勝利した競走がどのような競走であるかを格付けする必要が生じたために、このグレード制が用いられることとなった。1971年にはヨーロッパでグループ制が、1973年にはアメリカでグレード制が採用された。このグループ・グレードには互換性がある。
- 国際グレードに「グループ (Group)」を用いている主な国
- 国際グレードに「グレード (Grade)」を用いている主な国
国際セリ名簿基準委員会では世界中の平地競走と障害競走を国際セリ名簿作成基準書に記載している。しかし競馬のレベルは国によって様々であり、従ってその国の競馬のレベルを考慮する必要があった。そこで国をパート1からパート3に分け、その中でパート1の国のグレード・グループのみがせり名簿に記載できるという作成基準を設けた。パート2以下の国のグレードも国際セリ名簿作成基準書には記載されているものの、ICSCが定める作成基準ではせり名簿に記載できない。
国際セリ名簿作成基準書は毎年発行されており、作成基準では競走が施行された年の国際セリ名簿作成基準書に従って記載しなければならないとされ、後の年でパートの変更およびグレードの変更が行われてもその前の年の競走には反映されない。たとえば、2001年にステイゴールドが勝利をしたドバイシーマクラシックは2001年の国際セリ名簿作成基準書にはパート1の部にグレード2で記載されているが、翌年よりグレード1となった。しかし、せり名簿上、ステイゴールドが勝利をしたドバイシーマクラシックはグレード2と記載される(ステイゴールドは他にグレード1の香港ヴァーズに勝利している)。また障害競走は国に関係なくグレード制と呼称し、パート4に記載している。
2007年現在、パート1の国はアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、カナダ、チリ、フランス、ドイツ、イギリス、アイルランド、イタリア、ニュージーランド、ペルー、南アフリカ、アラブ首長国連邦、アメリカ合衆国、日本であり、これらの国の各グループ・グレードはICSCに従ったせり名簿に記載できる。またパート2の国(地域)の香港、スカンジナビア諸国(ノルウェー、デンマーク、スウェーデン)、シンガポールの一部重賞がパート1に掲載されており、これらもパート1の国のグレード・グループと同様にせり名簿に記載できる。
日本は長年の間パート2国で国際セリ名簿作成基準書には中央競馬のオープン競走とダートグレード競走の全競走が記載され、中央競馬の格付けとダートグレード競走の格付け(この2つは後述する)をグレードとして記載されていた。パート1に記載された一部の競走を除き、大半の競走はICSCが定める作成基準ではせり名簿に記載できないグレードとなっていた。中央競馬では国際競走を増やすなど、パート1入りを目指した努力を行ってきた。その結果、2007年度の番組にてICSCが定めるパート1国昇格条件を満たしたため、2006年に次年度からのパート1国への昇格が決まった[1]。これに伴い、2007年度からは59の重賞競走(既に格付けを得られている13競走を含む)に国際格付けが与えられた。ただし、他の重賞競走については「今後の馬主制度の改革の進展を待って判断する」とされ、レーティングが基準に達していない競走や国際競走となっていない競走(検疫厩舎がない函館、小倉、札幌競馬場には国際競走が存在しない)も国際格付けを得られていない。また外国馬に開放していない2歳、3歳限定競走についても国際格付けが得られていない。よって東京優駿(日本ダービー)も国際格付けは得られていないが、レーティングは基準に達している。
[編集] 日本国内での格付け
現在、日本国内で競馬に関する格付けには以下のようなものが存在する。括弧内は格付け決定者。
- 国際グレード(国際セリ名簿基準委員会(ICSC))
- JRAによる格付け(日本中央競馬会(JRA))
- ダートグレード(ダート競走格付け委員会)
- 地方競馬各主催者が定める格付け(地方競馬各主催者)
日本における国際グレード競走は「国際競走」も参照されたし。各競走の格付けについては「競馬の競走一覧」を参照。
[編集] 日本中央競馬会が定める格付け
日本中央競馬会が定める格付けには以下の2つが存在する。
- サラブレッド系種の平地競走に対する格付け
- サラブレッド系種の障害競走に対する格付け
いずれも日本中央競馬会が主催する中央競馬のみに格付けを定める。
サラブレッド系種の平地競走の重賞競走において1984年に導入されたのが日本国内で初めての格付けである。この際に最も格付けの高い競走をグレードワン(略してGI・ジーワン)、以下、グレードツー(GII・ジーツー)、グレードスリー(GIII・ジースリー)とグレードを採用したことから、グレード制と呼ばれるようになった。
2007年より国際セリ名簿作成基準書のパート1国への昇格が決まったが、これとともにICSCからそれまで使われていた「グレード(G)」の表記の変更を求められた。「グレード(G)」はICSCの定める国際競走にしかつけることが許されないためである。各格付け団体は新しい重賞格付けの表記などを検討し、他の競技の表記の使用状況や商標登録がされているかどうかを考慮に入れ、「JAPAN」の簡略形である「Jpn」の表記に変更する決定を3月28日に発表した。これに伴い、日本中央競馬会が定める格付けとダートグレード競走(「ダートグレード競走」の呼称は変更せず)について国際格付けが与えられている59の重賞競走については引き続き「グレード(G)」(GI, GII, GIII)を用い、それ以外の競走については「Jpn」(JpnI, JpnII, JpnIII)を用いることとなった。なお、この表記の変更は2007年1月1日に遡って適用されることとなったが、2006年12月31日以前の競走については表記の変更は行われない。「G」と「Jpn」の表記のおける違いは国際グレードが与えられているものとそうではないものの違いのみであり、競走格付や競走体系などの変更はない。なお「Jpn」の読み方は「グレード」でも「ジェーピーエヌ」でもなく「ジー」である[2](例:「JpnI」→「ジーワン」)。文面での表記の違いは一目であるが、発言上では「G」と「Jpn」は混同しやすい。間違った例として、2008年のフローラステークスの実況を担当した長谷川豊は、「JpnII」に格付けされている同競走のことをグレードツーと発言したことがあるが、前述の通り「Jpn」は「グレード」とは呼ばないので明らかな間違いである。
日本中央競馬会はホームページ等における格付け表記の変更には、JRAコンピューターシステムのデータベースおよびプログラムの改修を伴うものがあり、勝馬投票券、競馬場・ウインズのテレビモニターのオッズ画面およびトータリゼータボード等といった全面的な変更は、2008年末の改修完了以降となる予定と発表している。その他メディアにおいても各新聞社では、競馬ブックなどは「Jpn」の表記を採用、サンケイスポーツは「Jpn」の表記をG1、G2、G3といったアラビア数字で区別をしている。しかしスポーツニッポン、スポーツ報知、デイリースポーツ、日刊スポーツといった大手スポーツ新聞社は2008年も「Jpn」の表記を使用せず以前からの表記を継続している。フジテレビ、関西テレビなども同様である。
2006年 | JRAGI | JRAGII | JRAGIII | |||
---|---|---|---|---|---|---|
22 | 34 | 65 | ||||
国際GI | それ以外 | 国際GII | それ以外 | 国際GIII | それ以外 | |
5 | 17 | 6 | 28 | 2 | 63 | |
2007年 | 国際GI | JpnI | 国際GII | JpnII | 国際GIII | JpnIII |
12 | 10 | 16 | 18 | 31 | 34 |
[編集] 日本中央競馬会が定める格付けの特徴
JRAによる格付けの特徴として主催者自らが格付けを定めるため、主に競走の興行ランクにより格付けを行っている点が挙げられる。格付けが賞金と連動しており3歳以上の競走と2歳の競走の間の差を除くと、常にGI, JpnI > GII, JpnII > GIII, JpnIIIの関係が成立する。
諸外国の格付けはレースレーティングなどにより格下げを毎年の如く行っている場合が多いが、JRAによる格付けにおいて興行的に不利な格下げには消極的である。格上げは度々行われるものの、GI, JpnIからGII, JpnIIへの格下げは廃止も含めて導入以来一度も行われておらず[1]、GII, JpnIIからGIII, JpnIIIへの格下げも施行条件が大幅に変更された2000年の鳴尾記念と京都新聞杯(2001年にGIIへ再昇格)まで行われていなかった。以後も開催時期が大幅に変わったCBC賞のみである。
また新設競走は国際グレードではドバイワールドカップなどの大レースであっても2年間は格付けが設定されず、2年間のレースレーティングなどを鑑みて3年目以降格付けを行うが、JRAによる格付けではジャパンカップダートやヴィクトリアマイルなど新設競走を創設当初よりGI, JpnIとして設定する点も大きな違いである。
各路線の充実を図る目的で格上げには積極的であるものの、格下げに非常に消極的であることからGI, JpnI競走が増加の一途を辿っており、2006年にヴィクトリアマイルが創設されたことでその数は22となった。GI, JpnI競走の増加には権威が薄れるのではないかという危惧の声も見られた。ただし、ヴィクトリアマイルに関しては今まで少なかった牝馬限定GIを増やしたに過ぎず、世界的に見ても22というGIの数は特別多いわけではないかもしれない。詳しくは後述を参照。
競馬番組に記載される負担重量で、格付けによる負担重量が変更される場合に用いられる格付けはこの日本中央競馬会が定める格付けと互換性があるダートグレードならびに日本中央競馬会の理事長が定める海外の競走とされ、国際グレードを用いる。
[編集] JRAの格付けによる平地GI, JpnI競走の増加の歴史
- 1984年のグレード制発足時にはGI競走は15。
- 1990年にスプリンターズステークスが格上げされて16。
- 1996年の番組改革により高松宮記念、NHKマイルカップ、秋華賞が追加され19。
- 1997年にダートグレード競走が発足するのにあわせ、フェブラリーステークスが格上げされて20。
- 2000年にジャパンカップダートが新設され21。
- 2006年にヴィクトリアマイルが新設され22。
- 2007年より国際グレードを持つGIと持たないJpnIに表記が変更(JRA内の格付けや競走体系の変更ではない)。
JRAによる格付けは、一部の競走を除き国際グレードと互換性が無かった。2006年に行われた国際GI競走は安田記念、宝塚記念、スプリンターズステークス、マイルチャンピオンシップ、ジャパンカップの5競走であった。
[編集] 世界のG1とJRAの格付けによるGI,JpnI
世界の国際格付けは国際ハンデキャッパーの定めたレースレーティングが中心に据えられており、本来各主催者が独自に決定すべきものではない。つまり、国内や外国の優秀な競走馬を集めることのできる主催者は多くのG1をもち、そうでない主催者は主要競走にも高い格付けを維持することはできない。例えばイタリアでは現在クラシックでG1の格付けを持つのはダービーのみであり、オークスはG2、1000ギニー、2000ギニーはG3である。平地競走の競走数ではイギリスとイタリアではほとんど差がないにもかかわらずG1の数はそれぞれ31、8と大きな開きがあるが、これはイギリスのG1が過剰であることを意味しない。
しかしながら日本の中央競馬では長らく唯一の主催者が決定権を独占したため、興行的に価値のあるまたは路線整備のためGIを増設することに何ら支障はなく、また日本の競走レベルから国際G1の格を得ることも単に外国馬に対して形式的に開放するだけで済んだため、現在もJRA独自の格付けは自動的に国際格付けを得るものとする考えが支配的である。このような条件の下、以下のような意見が存在する。
世界を見渡せば、アメリカやイギリスなど日本よりG1競走が多い国も多数ある。欧州は1か国でみれば少なくみえても各国間の移動が容易であり、その馬のレベルに合わせて欧州各国のG1競走に出走することができ、欧州全体でみれば相当数のG1の競走があると見ることができる。近年、どれだけG1競走を勝ったかよりもどれだけ強い馬に勝ったかによってその馬の価値を決める新たな価値観が生まれ始めている。欧州には凱旋門賞のような権威あるG1競走も存在するが、権威もその出走メンバーによって支えられている面は見逃すことはできない。向こうではG1競走のステップレースにG1競走を使う例も多く、短期間で数多くのG1タイトルを手中に収める馬も多い。しかもこれらはほとんどが同じ距離の競走である場合もある。日本でも近年国際競走を増加させ、日本以外の国からの出走を促してはいるものの独特の馬場、遠征馬の活躍、なによりも日本までの距離などが影響し、日本以外の馬が自国のG1を蹴ってまで日本のGI, JpnI競走へ出走することは、ジャパンカップのような国際招待競走(競走馬の輸送費、関係者の旅費・宿泊費が支給される)、アジアマイルチャレンジやグローバルスプリントチャレンジのような特別ボーナスがつくシリーズに関係する競走以外は少ない。
近年の競馬のスピード化に伴う、より新しい価値観に基づく2000m前後の「中距離」(距離区分のSMILEでのI区分)での距離体系の活躍馬に価値があるとされ始めている中、古馬が出走できる2000mのGIは秋の天皇賞のみ(JpnI競走も皐月賞のみ)である点を問題視する人もいる。2200mの宝塚記念は距離区分のSMILEではL区分であり、2000m前後を得意とする競走馬ではやや長く、また暑い時期の競走でもあり、回避する陣営もいる。
また、古馬牝馬にG1クラスのタイトルが2つと欧米に比べても古馬牝馬の活躍の場が少ないと問題視する人もいる。
[編集] サラブレッド系種の平地競走以外の格付け
1999年より障害競走でもグレード制(J・GI、J・GII、J・GIII)が導入された。呼び方は「ジェージー○○」もしくは「ジャンプグレード○○」と呼ばれ、平地競走の格付けと区別される(例:「J・GI」→「ジェージーワン」もしくは「ジャンプグレードワン」)。現在、平地競走は国際グレードを持つ競走と持たない競走で表記が変わるが、障害競走では2007年以降もJ・GI、J・GII、J・GIIIと表記される。
なお、1995年まで行われていたアングロアラブに対する平地競走の重賞競走は1995年時点でセイユウ記念とタマツバキ記念の2競走しかなかったため、グレードなどの格付けは導入はされなかった。
[編集] ダートグレード競走格付け委員会が定める格付け
1995年から中央競馬と地方競馬の交流が盛んとなったため、1997年4月よりダートの重賞において統一グレード制を導入。この格付けは前述の日本中央競馬会が定める中央競馬の格付けとは整合性がある。ダートグレード競走を参照。
[編集] 地方競馬の各主催者が定める格付け
南関東などの地方競馬では上述のダートグレードとは、全く別の独自の格付けが定められている。その場合は混乱防止の観点からローマ数字(I, II, III)ではなく、アラビア数字(1, 2, 3)を使用することが多い。
ホッカイドウ競馬や東海地区などではダートグレード競走については独自の格付けは行わず、ダートグレードの格付けをそのまま用いてダートグレードを独自の格付けより上に扱うような対応を取っている。
また、2007年3月以前に南関東で行われたダートグレード競走では南関東独自の格付けも付与されたため、例えば関東オークスは「統一GII・南関東G1」といった2つの格付けが行われていた。2007年4月よりホッカイドウ競馬や東海地区と同様にダートグレード競走には南関東の独自の格付けを行わなくなった為、併記されることはない。
なお、ばんえい競馬については使用する馬の種類が平地競馬とは全く異なる「ばんえい馬」(重種)と呼ばれるものである為、完全に独自のものである。
2007年度に格付けを行っている格付け
- ばんえい競馬(帯広):BG(ばんえいグレード)1, BG2, BG3
- ホッカイドウ競馬(札幌、門別、旭川):H1, H2, H3
- 南関東公営競馬(浦和、大井、船橋、川崎):SI, SII, SIII
- 南関東公営競馬では2007年度から格付けを従来のG1, G2, G3からSI, SII, SIIIに変更することとなった。またダートグレード競走については南関東独自の格付けを行わないことから前述のような格付けの重複は解消される。使われる数字もアラビア数字からローマ数字に変更される。
- 東海地区(名古屋、笠松):SP(スーパープレステージ)I, SPII, SPIII
- 九州地区(佐賀、荒尾):KJ1, KJ2, KJ3
- 九州地区では2006年度までKG(九州グレード)1, KG2, KG3により格付けされていた。
(岩手(水沢・盛岡)、金沢、兵庫(園田・姫路)、福山、高知の各競馬場(組合)は競走の格付けはない)
[編集] 2団体以上が同一の競走に格付けを定める場合
このように、日本では、格付け決定者が多数存在するため、同一競走に対し複数の格付けが与えられる場合もある。
2007年現在格付け決定者が重複している主な競走
- ジャパンカップ - ICSC・JRAともにGIに認定
- フェブラリーステークス - ICSC・JRA・ダート競走格付け委員会いずれもGIに認定
その他、JRAで施行された全てのダート重賞は全てJRAとダート競走格付け委員会により重複して格付けされている。ただし両者は整合性を保つように格付けを同一にしており、便宜上共通の格付けとして扱われることが多い。
2006年度(2007年3月31日まで)以前は南関東競馬で行われた中央地方全国交流重賞にはダート競走格付け委員会と南関東の定める格付けに食い違いも見られ、例えば関東オークスはダート競走格付け委員会ではGII、南関東の格付けではG1となっていた。
フェブラリーステークスなどは三者から格付けが行われており、煩雑過ぎる嫌いもある(JRAとダートグレードを共通の格付けと見なしても2種類が存在しえる)。どの格付けを重く見るかは各自の主観に拠るところが大きいが、問題なのは特にある格付け決定者が定める格付けをさも他者が定めた格付けであるが如く表記し、錯覚させるような事例が非常に多いということである。2007年より改められ、どの格付けであるかが明確化されているがJpnIなどの新たな格付け名称が唐突(ただしパート1国になると独自グレードが使用できないのは事前の承知であった)に決定されたため、地方競馬(各主催者や地方競馬全国協会)では4月1日から速やかに変更されたのに対し日本中央競馬会のホームページやポスター、パンフレット、またマスコミの発表などではGIという表記が依然残っているのが現状である(2007年5月までに中央競馬で行われた全てのJpnI競走について日本中央競馬会「GI」と表記していた)。格付け名称の変更を変更が容易な点から行っている段階に過ぎない。
[編集] 国際グレードとの関係
海外の競走については当地の格付けよりも国際格付けを優先することが多い。例えば、1995年にフジヤマケンザンが優勝した当時の香港国際カップは香港GI(香港ジョッキークラブが定めるグレード)であったが国際グレードではGIIであったため、日本でフジヤマケンザンをGI馬と呼ぶ人はごく少なかった。ただし、翌1996年の金鯱賞に同馬が出走した際、斤量がGII勝ち馬に課せられるプラス1キロ(=58キロ。定量は57キロ)ではなくGI勝ち馬に課せられるプラス2キロ(59キロ)に設定されていた。
日本ではすべての重賞競走に国際グレードが付いているわけではないため、国際グレードで見た際にレースのステップが奇異に映る場合もある。例えば安田記念の前哨戦と位置づけられることの多い京王杯スプリングカップは2001年に国際GIIに格付けされたが、肝心の安田記念は2003年まで国際グレードなしという奇妙な状態が続いていた。これは安田記念が国際GIに格付けされる前でも国際GIIレベルにはありICSCに申請すればGIIの格付けを得ることは出来たが、そうすると国際GII・JRAGIと位の違うダブルグレードになってしまうので混乱を避けるため国際GIの格付けが得られるまで国際グレードを取得しなかった。同様の理由で日本がパート1国に昇格する以前の国際グレードを取得した重賞競走は全てJRAの格付けと同位の国際格付けを得ていた。ディープインパクトを代表例として挙げると、国際的には『GI・2勝馬』という扱いになる。
[編集] パート1入りする以前(2006年以前)から国際グレードを得ていたJRA競走
- 1992年~
- ジャパンカップ(GI)
- 2001年~
- 2002年~
- 京王杯スプリングカップ(GII)
- 阪神大賞典(GII)
- 富士ステークス(GIII)
- 2003年~
- 2004年~
- 安田記念(GI)
- マイルチャンピオンシップ(GI)
- 大阪杯(GII)
- マイラーズカップ(GII)
- 2005年~
- スプリンターズステークス(GI)
なお、詳細はコチラ