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札幌競馬場 - Wikipedia

札幌競馬場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

札幌競馬場(さっぽろけいばじょう)は、北海道札幌市中央区にある競馬場である。

目次

[編集] 競馬場概要

  • 所在地:札幌市中央区北16条西16丁目
  • 駐車場(JRA):有料(開催時1000円、場外発売時500円)
  • 駐車場(ホッカイドウ競馬):有料(1000円)
  • 収容人数(ホッカイドウ競馬):12000人(内馬場及びスタンドの一部は使用できない)
  • 入場料金(JRA):一般席100円、A指定席1000円、B指定席500円、C指定席300円
  • 入場料金(ホッカイドウ競馬):100円
  • 在宅投票システム(ホッカイドウ競馬):オッズパークSPAT4楽天競馬

1907年(明治40年)10月に開業した。中央競馬ホッカイドウ競馬を開催している。施設所有者は日本中央競馬会 (JRA) で、ホッカイドウ競馬はJRAから施設を賃借して競馬を開催している。

JRA・ホッカイドウ競馬ともに非開催時は場外発売所として使用しており、JRAは「パークウインズ」、ホッカイドウ競馬は「札幌場外発売所」と呼称している。 Aiba札幌駅前の開設に伴い、現在はホッカイドウ競馬開催日のみ場外発売を行い、ホッカイドウ競馬閉幕後に実施している南関東競馬の場外発売などは行われていない。なお、週末に行われるばんえい競馬の発売も、JRAの発売が優先されるため、行われていない。

場内に設置している着順掲示板は、スタンド向きの掲示板をJRA・ホッカイドウ競馬ともに使用している[1]。内馬場にはターフビジョンの裏側に3着まで表示可能な簡易掲示板があり、JRAのみ使用する。

検疫厩舎がないため、札幌競馬場で実施される重賞競走は国際競走とされていない(函館小倉も同様)。

[編集] コース概要

左回り時代の札幌競馬場(1948年=昭和23年写す)正面左側と向正面右側にポケット地点があることがわかる
左回り時代の札幌競馬場(1948年=昭和23年写す)
正面左側と向正面右側にポケット地点があることがわかる

コース・ダートコースともに平坦な右回りコース。障害コースは設置されていない。

開場当時は砂コースしか存在しなかった。砂コースは現在のダートコースとはやや異なるもので、当時の重賞競走の記録等でも「砂」と表記されている。1968年にダートコースに改修され、1975年に左回りから右回りに変更された。

芝コース
  • 1周1641m、直線266m
  • フルゲート:14頭(1200mと2000mは16頭)いずれもAコース使用時
  • 距離設定:1000m、1200m、1500m、1800m、2000m、2600m
芝1500mのコース設定は、現在の中央競馬では唯一、札幌にのみ設定されている。
ホッカイドウ競馬では、芝コースは使用しない。
ダートコース
  • 1周1487m、直線264m
  • フルゲート:14頭(中央競馬開催時は1700mが13頭、1000mと2400mは12頭)
  • 距離設定:900m、1000m、1600m、1700m、2400m、2485m
1000m・1700m・2400mはJRA・ホッカイドウ競馬ともに設定している(JRAの2400mは近年の使用実績がない)。
900m・1600m・2485mはホッカイドウ競馬のみ設定している(900mは近年の使用実績がなく、2485mは2006年2007年道営記念のみ使用した)。
過去には、内馬場の引込み線からスタートする1100mの距離設定がホッカイドウ競馬のみ存在した[2]が、現在は使用していない。
現在のダートコースは当初調教用馬場であったが、ホッカイドウ競馬では1975年からレースで使用していた。その後外回りコース(旧ダートコース)が芝コースに改修されたため、中央競馬でも新ダートコースとして使用を始めた。

[編集] 芝コースの設置

1988年まで、札幌競馬場は中央競馬を開催する競馬場としては唯一、ダートコースのみで開催していた。従来、JRAの競馬場に用いられてきた天然芝は野芝・高麗芝のような主として温暖な気候に適した品種が中心であったため、特に冬季の冷え込みが厳しい札幌では芝が枯れてしまう恐れがあり、芝コースの設置は道内でも比較的温暖な函館競馬場が北限と考えられていた。

そこで、JRAは札幌競馬場の気候条件でも耐えられる天然芝についての研究・開発を進め、ヨーロッパで主に使われているケンタッキー・ブルーグラス、トールフェスク、イタリアン・ライグラスなどといった寒冷地タイプの天然芝と旧来の野芝・高麗芝を混成させる「オーバーシード」という技術を開発。これにより札幌競馬場でも芝コースの設置が可能になり、1989年に旧ダートコースを改修して芝コースが新設された(この年の札幌開催は芝の育成・保護のため、すべて旧調教用馬場を改修した新ダートコースでレースが行われ、札幌記念もダート1700mで施行された)。

オーバーシードは一年を通して芝の鮮やかな緑色を維持できるという特徴もあったため競馬以外の世界からも広く注目され、後に全国各地の芝コースを有する競馬場のほか、天然芝を利用することが多い陸上競技場、サッカーなどの球技場、野球場などに導入され、今日では一部の公園庭園でもオーバーシードのノウハウが活用されるようになった。

ただし、札幌競馬場の旧ダートコースを芝コースとして整備した事により、後年、一つの思わぬ問題が発生した。1990年代に地方競馬との協調が図られダートグレード競走の競走体系が整備された際、基幹距離の一つであるダート2000mの設定が中央競馬では全10場いずれにも存在せず、ダート2000mの大レースが設定できなかったのである。これについては2006年に阪神競馬場がコース改修を行った際ににダート2000mのコース設定が新設されるまで、問題解消は待たねばならなかった。

他方、北海道地区は日本最大の競走馬生産地でありながら、グレード制創設以降現在にいたるまで、GI級競走が開催された事が無いため、北海道内では競馬ファンや生産者、経済効果を期待する商業関係者などから札幌記念のGI級昇格や、コースや距離を問わず中央競馬やダートグレード競走でのGI級競走や国際競走の新設を求める声がある。[3]

競馬ファンなどからは「札幌競馬場でダート2000mが設定可能であれば、何らかの形でGI級競走も開催できたのではないか」という声もある[4][要出典]

札幌芝2000mコースの基準タイム(1分58秒9。1990年7月1日札幌記念」でグレートモンテが記録した走破タイム)は、今日まで破られることなく「事実上のコースレコード」として現在も残っている。のちに天皇賞(秋)を制する名牝エアグルーヴなど、毎年のようにGI級競走で活躍する有力馬が芝2000mの札幌記念に出走しているが、いまだに基準タイムは破られていない。[5]

馬により洋芝コースに対する適性も異なるため、道外の競馬場で結果を残せなかった馬が札幌競馬場で好走する場合がある。これは函館競馬場でも同様である。

[編集] 基準タイム

その競馬場における新設距離、また従来と同じ距離であってもコース改修に伴いコース形態が従前と異なる場合、最初の開催で記録した最高タイムを「基準タイム」としている(同一の開催でタイムが更新された場合は新たな基準タイムとなり、レコードタイムとはされない)。

次開催以降に基準タイムを上回った場合に初めてレコードタイムが記録される。

[編集] 中央競馬

通常は夏の「北海道シリーズ」の後半戦として8~9月に2回(16日間)開催している。なお、2004年度から第1回(8月)開催は薄暮競走として実施している。

[編集] 主な競走

JpnII
JpnIII
特別競走
特別指定交流競走

北海道シリーズでは、地方競馬との交流競走が数多く組まれている。特に2歳戦では、この時期としては異例の「500万下条件戦」を設けるなど、特別扱いで交流競走に力を入れている。地方馬は岩手などからの参戦もあるが、ホッカイドウ競馬からの参戦が最も多く、レースによってはJRAのレースにもかかわらず、出走馬が全馬ホッカイドウ競馬の所属馬というレースもある。ホッカイドウ競馬の調教師にとっても、ここで芝コースの適性を判断してから、今後の参考にすることも多い。
この背景には、以前のように2歳新馬戦を北海道だけで先行させず、道外で同時開催されている競馬場でも夏競馬から2歳新馬戦を一斉に始めるようになったため、各競馬場に2歳馬が分散するようになったこと、また2回札幌開催に入ると、道外では秋の中山・阪神開催が始まるためここでデビューする2歳馬も多くいることから、JRA所属の2歳馬だけでは出走頭数を揃えにくくなっているという事情もある。

[編集] ホッカイドウ競馬

近年は4月から6月(春季)と、10月~11月の閉幕まで(秋季)開催されている。ただしJRAの開催日程や改修工事などの都合に左右されるため、春季または秋季のみとなる年もある。
2008年は4月29日から5月22日まで、2回8日間の開催が予定されている。

[編集] 発売する馬券の種類

全レース100円単位。
○…発売 ×…発売なし

単勝 複勝 枠番連複 枠番連単 馬番連複 馬番連単 ワイド 3連複 3連単
× ×

[編集] 重賞競走(2008年)

3歳
3歳以上

[編集] その他のホッカイドウ競馬を発売する場外発売所(北海道内)

運営主体が異なる発売所の間では、馬券の払戻に互換性がない。
北見競馬場・ハロンズ名寄では、3連複・3連単は発売しない。

  • 門別競馬場 沙流郡日高町富川駒丘76番地1
  • 函館競馬場 函館市駒場町12-2
  • 帯広競馬場 帯広市西13条南9丁目
  • 北見競馬場 北見市若松306番地
  • 旭川レーシングセンター 旭川市宮下通15丁目
  • ハロンズ岩見沢 岩見沢市6条西2丁目
  • ハロンズ名寄 名寄市西1条南8丁目
  • ウインズ釧路 釧路郡釧路町中央2丁目5番地
  • ウインズ室蘭 室蘭市本輪西町1丁目6番3号
  • Aiba静内 日高郡新ひだか町静内木場町2丁目1番30号
  • Aiba苫小牧 苫小牧市木場町1丁目 トマモール地下
  • Aiba小樽 小樽市築港11-2 ウイングベイ小樽(旧マイカル小樽)1F
  • Aiba滝川 滝川市栄町3丁目 高林デパート地下
  • Aiba浦河 浦河郡浦河町大通3丁目 ショッピングセンターMio2階
  • Aiba中標津 標津郡中標津町東31条南1丁目5番地
  • Aiba留萌 留萌市花園町1丁目7番 ハスコム留萌ビル(旧長崎屋)2F
  • Aiba札幌駅前 札幌市中央区北4条西2丁目 パチンコひまわりタワー5F・6F
  • Aiba千歳 千歳市幸町3丁目3-2
  • Aiba函館港町 函館市港町3丁目17
  • Aiba江別 江別市野幌町68番地

[編集] アクセス

[編集] 北海道旅客鉄道

札幌駅まで
旭川駅から約1時間20分(特急「スーパーカムイ」など利用)
新千歳空港駅から約36分(快速「エアポート」利用)
桑園駅まで
札幌駅から約3分
小樽駅から約35分(手稲駅まで快速「エアポート」利用)
石狩当別駅から約40分

桑園駅から競馬場までは徒歩約10分。

[編集] 札幌市交通局地下鉄

さっぽろ駅からは上記の北海道旅客鉄道や下記の市内路線バスに乗り換えとなる。二十四軒駅からは無料送迎バスに乗り換え。

[編集] 南北線

さっぽろ駅まで
麻生駅から約9分(240円)
真駒内駅から約18分(280円)

[編集] 東西線

二十四軒駅まで
宮の沢駅から約6分(240円)
新さっぽろ駅から約27分(340円)

[編集] 東豊線

さっぽろ駅まで
栄町駅から約11分(240円)
福住駅から約13分(240円)

[編集] バス

[編集] 無料送迎バス

JRA・ホッカイドウ競馬ともに、競馬開催日は桑園駅⇔札幌競馬場⇔二十四軒駅前間に無料送迎バスを運行している。[6]

[編集] 市内路線バス

以下の路線バス(桑園発寒線を除く)は、桑園駅に近い「市立病院前」停留所で下車、競馬場までは徒歩約15分。
桑園発寒線のみ、「競馬場正門前」停留所で下車、正門は目前。
(運賃)1区200円・2区230円

ジェイ・アール北海道バス
(52)桑園発寒線(札幌駅前⇔競馬場正門前琴似工業高校前)
(31)北7条線(大通西4丁目⇔市立病院前⇔地下鉄琴似駅前)
北海道中央バス
(西51)北桑園線(札幌駅前⇔市立病院前北24条駅前
(西71)新川八軒線(札幌駅前⇔市立病院前新川営業所前
(東63)苗穂北口線(市立病院前⇔札幌駅北口⇔東営業所前
じょうてつバス
(南4)真駒内線(市立病院前西11丁目駅前⇔真駒内本町⇔真駒内駅前

[編集] タクシー

札幌駅より約10分(1160円~1370円)

[編集] 第三者による移転構想

札幌競馬場については、移転させれば札幌市中心部に捻出できる数少ないまとまった土地、すなわち大規模再開発の可能な土地となると見ているJRA以外の第三者に、競馬場を市域郊外部に移転させようとする運動や構想を提唱している人物・団体が複数存在している。

ただし、その中には初めに移転ありきで、予算などの具体的な裏付けに乏しい非現実的なプランも多い。また、これら運動そのものも市民には浸透しているとは言い難い。

比較的具体的な構想を提唱した団体としては札幌商工会議所が挙げられ、競馬場の豊平区羊ヶ丘札幌ドーム隣接地への移転に加え、全天候型競馬場の設置や地下鉄東豊線の延長・駅設置なども含めた大規模な開発を唱えた構想書を作成している[1]。ただし、これも経済効果の面を高らかに謳ってはいるが、肝心の予算などの裏付けはおよそ無いに等しく、事実上はJRA・行政国庫頼みのものである。

なお、JRAは現在地からの移転を否定している。

[編集] 脚注

  1. ^ ホッカイドウ競馬で着順掲示板を使用しているのは札幌競馬場のみ。旭川競馬場には着順掲示板が設置されているものの使用しておらず、門別競馬場は着順掲示板を設置していない。
  2. ^ 現在でも、ホッカイドウ競馬でレース前に映像装置やテレビ中継などで距離を紹介する際、この引込み線が表示されている。
  3. ^ 中央競馬では路線別の頂点を決するGI級競走体系の整備がほぼ完成していることから道内でのGI級競走開催の可能性は低く、またホッカイドウ競馬も売上の減少などから最もグレードが高いブリーダーズゴールドカップの賞金すら引き下げている現状でダートグレードGIの開催には消極的であり、こちらも実現の見通しは立っていない。
  4. ^ 盛岡競馬場ではダートコースが外側、芝コースが内側のコース形態になっており、ダート2000mも設定されている。現在の札幌競馬場ではダート2000mが設定できないため、コース形態を盛岡と同様にする必要があるが、JRAは芝のレースをメインにしていることから実現の可能性は低い。
  5. ^ この要因として、札幌競馬場でのJRA開催が通常2開催(16日)と少ないため、施行される芝2000mの競走が少ないことや、既に設置から20年近くが経過した芝コースが徐々に荒れてきていることから速いタイムが出にくくなっていることがあげられる。
  6. ^ 場外発売日も無料送迎バスは運行している。ただし、本数は開催日よりも少ない。

[編集] 外部リンク

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