行政
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行政(ぎょうせい)とは、国家作用(国家が行うこと)のうちから、立法作用と司法(裁判)作用を控除した(除いた)ものをいう(控除説、消極説。実質的意義の行政[1])。
また、行政とは、行政府(日本では内閣とその統轄下にある行政機関)が行う作用の全体をいう(形式的意義の行政[2])。
立法権、司法権と並び、統治権の一つとして、行政を行う権能を行政権という。日本政府が進めている法令外国語訳では、行政を指す語として英語で administration をあてているが[3]、同じ英語でも米国では executive、仏語では exécutif、独語で exekutive、スペイン語で ejecutivo、のように管理・管轄というよりも執行・遂行面を重視した語が用いられている。
目次 |
[編集] 行政の定義
現代の行政は複雑で多岐な内容にわたっており、これに必要かつ十分な定義を与えるのは、容易でない。そのため、行政の定義については、内容的に定義することを放棄し、消極的に定義するにとどまる控除説(消極説)と、なんとか行政の内容を積極的に定義してその内容を明らかにしようと努める積極説が対立する。なお、控除説、積極説とも、定義するのは実質的意義の行政である。
[編集] 控除説(消極説)
公法学上は、国家作用のうち、立法作用と司法(裁判)作用を控除した残余の作用を指すとする見解(控除説、消極説)が支配的である。
このような控除説による説明は、内容的な定義づけを放棄しており、意味がないようにも見える。しかし、君主が有していた包括的な国家権能のうちまず立法権が議会に移譲され、その残りである執行権のうち司法権がさらに分化され、君主に残された権能が行政とされたという沿革に対応している。さらに、現実問題としても、行政と観念される作用には様々なものがあり、それらを漏れなく包括する必要もある。したがって、控除説は一般的に支持されている。
[編集] 積極説
もっとも、このような消極的な定義づけに満足せず、積極的な定義づけをする試みもある。代表的な見解は田中二郎によるものであり、「法の下に法の規制を受けながら、現実に国家目的の積極的実現をめざしておこなわれる全体として統一性をもった継続的な形成的国家活動」とするものである。だが、行政の特徴等を大まかにイメージしたものに過ぎないという批判もあり、必ずしも成功しているとはいえない。
[編集] 行政の範囲
[編集] 行政主体(日本での例)
[編集] 行政機関
- 行政機関とは、行政主体のために行政を実施する機関をいう。権限の帰属で捉えた機関概念である。
- 意思決定機関
- 諮問機関:行政庁から諮問を受け意見を申し述べる。諮問機関の意見に法的拘束力はない。
- 法制審議会、各種審議会、中央社会保険医療協議会
- 参与機関:意思決定権限はないが、議決に基づき行政庁の意思決定がなされる。参与機関の意見には法的拘束力がある。
- 電波監理審議会、検察官適格審査会
- 監査機関:行政機関の事務処理について監査する。
- 執行機関:行政目的達成のために、行政庁の命を受けて必要な実力行使をする機関をいう。
- 補助機関:行政庁その他の行政機関の職務を補助するため、日常的な事務を遂行する機関をいう。
[編集] 指揮監督権
[編集] 権限の代行
権限を参照。
- 権限の委任(権限の所在を変更)
- 事務の委任ともいう。
- 法令の根拠が、必要である。
- 権限の代理(権限の所在を変更しない)
- 法定代理(権限の全てに及ぶ)
- 狭義の法定代理
- 指定代理
- 授権代理(権限の一部について行われる)
- 委任代理ともいう
- 法定代理(権限の全てに及ぶ)
[編集] 日本国の行政権の帰属主体
- 行政権は、内閣に属する。
- 第2条第1項
- 内閣は、国会の指名に基づいて任命された首長たる内閣総理大臣及び内閣総理大臣により任命された国務大臣をもつて、これを組織する。
- 第4条第1項
- 内閣がその職権を行うのは、閣議によるものとする。
日本では、憲法65条で、行政権は内閣に属すると定めている。これは、行政権が内閣総理大臣一人に属しているのではなく、内閣総理大臣と国務大臣の合議体からなる内閣に帰属しているということを意味する。
[編集] 行政作用
[編集] 行為形式
[編集] 行政立法
- 行政立法は、行政機関によって定立された一般規範またはその立法行為である。
- 実質による種類
- 形式による種類
- 政令
- 府省令
- 外局規則
- 独立機関規則
- 行政規則
[編集] 行政行為
[編集] 行政契約
行政目的を達成するための契約。
[編集] 行政指導
行政指導とは、指導・勧告・助言等で処分に該当しない行為。
[編集] 行政調査
行政調査は、行政機関が行政作用を公正に行うために、身体・財産を半強制的に調査し情報を収集すること。
[編集] 強制措置
[編集] 行政強制
- 行政上の強制執行:*:義務の不履行を前提とし実力行使により、行政上必要な状態を実現させることで、法律の根拠が必要である。
- 行政代執行
- 直接強制:義務の不履行があった場合、直接に義務者の身体や財産に実力を加えること。例外的に個々の法例で認められる。
- 成田特別法(壊活動家の集合などに使用される工作物の使用禁止命令)
- 感染症予防法第17条(健康診断受信勧告)
- 即時強制:差し迫った事態の解決に、直接実力を加え行政目的を実現させる方法。義務の存在を前提としないのが行政上の強制執行との違いである。
[編集] 義務違反に対する制裁
[編集] 行政罰
- 行政刑罰
- 刑法上の刑罰を科す
- 秩序罰
- 制裁として過料を科す
[編集] その他の手段
- 許認可処分の停止・取消
- 経済的負担
- 違反事実の公表
- 給付拒否
[編集] 行政手続
- 行政手続法
- 行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律(行政手続オンライン化法)